たしかに、あの古山章三にはどこか狂気じみたものをじた。

いまでこそいじめっ子に報復するなどと言っているが、それがどうエスカレートするか、わかったものではない。

だが。

狂っている古山に対し、俺はたしかな反論をすることができなかった。いじめられっ子の苦悩もわかっているために、古山に共してしまう部分がどうしてもある。だからこそ、苦し紛れなテンプレートの反論しかできなかった。

どんな理由があろうと人を殺しちゃいけないーーそんなこと、誰もが知っていることなのに。

おそらく、俺はまた古山に狙われる。だが俺には魔法の知識などてんでないし、それが原因で負けてしまった。

たしかな知識さえあればーーきっと俺だって。

見れば、彩坂のが靄のように薄くなっていた。これが彼のいう「時間がない」ということなのだろうか。

まだまだ問いただしたいことはあるが、俺はひとつ、彩坂に申しれることにした。

「最後にひとつ頼みがある。俺を……元の世界に戻すことはできないか？」

「え……？」

彩坂の表が絶のいろに染まるのを見て、俺は慌てて弁解する。

「や、別に古山から逃げようってわけじゃない。ただ……元の世界に戻ったほうが々と対策を練りやすそうだからな。準備を整えた後でまた、こっちの世界に戻りたいんだ」

彩坂がきょとんと首をかしげる。

「い、いいけど……戻ってなにするの？」

「まあ、見ててくれよ」

俺はにやりと笑ってみせた。