《老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件》4話 レン

ヒデオが魔石を拾っていると年がキラキラと目を輝かせながら近づいてくる。

「す、凄い! 凄いよお兄さん! あっという間にゴブリンを3匹も!」

「怪我はないか?」

「うん、僕は大丈夫。ありがとうお兄さんおで助かりました。

僕の名前はレン、この先にあるファス村に住んでるんだ。

お母さんが怪我しちゃって森で薬草を集めていたらゴブリンに見つかっちゃって……

どうしよう……薬草がないとお母さんが……」

そのきれいな瞳が潤んでいく、この金髪年はいくつかのクエストを與えてくる。

最初は採取のチュートリアル、薬草採取。

次に釣りのチュートリアル、魚釣り。

最後が料理のチュートリアル、魚の丸焼き。

VOの世界は々なやりこみ要素、便利機能がたくさんある。

そういう要素をやってるだけでも時間が飛んで行く。ふと気がついたら丸一日釣りをしていた。

そんなことも珍しくない。なお、稱號の【釣り仙人】は合計10萬匹の魚を釣った。である。

ヒデオは當然のように持っている。

どれだけの時間釣り糸を垂れていたか?

そういうことを考えてはいけない。

40年も続いたのはそういうところの充実にも一因がある。

基本的にミニゲームでやっていくのだが、そのひとつひとつが丁寧に作られていた。

「薬草ってこれでいいのか?」

「こ、これは萬病に聞くというエリクサ草!!」

「ほら、5匹釣ったぞ」

「ま、まさかこれは川のぬし! しかも5匹も!!」

「ほれ、これ食べろ」

味しすぎるーーーーーー!!!!」

極めるとはこういうことだ。そう言わんばかりの圧巻のテクニック。

なんとなくミニゲームにる時のドットの流れで、見なくてもタイミングが分かる。

意味がわからないレベルの話を、ヒデオはVO時代ギルドメンバーに話していた。

「お兄ちゃん凄い! 凄いよ! そういえば名前は何ていうの?」

「俺か? 俺はユキムラだ」

「ユキムラ兄ちゃん! いや、師匠! 今日から僕を弟子にして下さい!!」

(ん? こんなのあったっけ?)

「弟子と言ってもなぁ……それよりお母さんが怪我してるんだろ?」

「あ、そうでした師匠! 村はもうすぐそこです! 行きましょう、お禮もしないと!」

レンは上機嫌に村へ向かって走り出す。

その道の橫合いから巨大な影が飛び出してくる。

「危ない!」

ヒデオは、まぁ、わかってたんだけど、雰囲気作りのためにレンを引き寄せる。

「こ、コイツはビッグボア! な、なんでこんな村のそばに……

いくら師匠でもコイツはヤバイ!早く逃げよう!」

焦るレンを後ろに追いやって、ビッグボアの前に立ちふさがる。

「下がっていろレン、コイツは俺の獲だ」

VOの中のセリフではあるんだけど、このヒデオ、ノリノリである。

ビッグボアは最初のボスキャラだ。

部位損傷、弱點ウィーク攻撃アタックのチュートリアルが行われる。

ビッグボア。簡単に説明すれば大きなイノシシだ、巨大な牙が空高くびている。

わかりやすい、破壊部分は牙、そして弱點は牙に守られた頭部だ。

ついでにここでサイドステップの作を覚える。

大巖が配置されているのでそこに向かって突進を発させて、牙の部位破壊と狀態異常:目眩を起こさせて頭部を攻撃すればクリアだ。

実際に目の前で見るビッグボアは大迫力だ。

フーフーとれる吐息で、その場の空気がジトッと居心地の悪いへと変わっていく。

ヒデオは巨大なイノシシと戦うには心細い短剣を構える。

【フゴーー!!】

大きく嘶き前足でガリガリと地面をえぐる、突進のサインだ。

きちんと大巖を背にしたヒデオは華麗なサイドステップで突進を避ける。

ドガーーーン! と、大きな音を立ててビッグボアは大巖へダイブする。

同時にベキリと自慢の牙がへし折れる。

クラクラと足元がおぼつかなくなるビッグボア、実はここで短剣で斬りつけるとあまり有効打にならずに、もう一度大巖に突っ込ませるのをやらないといけなくなる。

正解は……

「おらぁ!」

ヒデオは大巖の脇に誰かが忘れた、棒を裝備して思いっきり額を打ち付ける。

【グボァアアー! グァァァァ……ブァ……】

ドスーンとビッグボアの巨が地に伏す。

  有効な打撃系武で弱點である額を攻撃する。

これが正解だ。

ヒデオがビッグボアと戦い終わると人が近づいてくる気配がある。

「何だ今の音は!?」

大巖にビッグボアが激突した音を聞いて村人たちが、槍とか鍬とかを擔いで集まってきたのだ。

「な、なんだこんなところにビッグボアが!? しかも死んでるじゃねーか!

兄ちゃんがやったのか?」

丸太のような腕をして、大きな斧を擔いだ男が訪ねてくる。

「ボレスのおっちゃん! 師匠はすげーんだ!

ゴブリンもビッグボアもあっという間に倒しちゃったんだ!!」

レンが自分の事のようにを張る。

「レン!? お前なんでこんなところに……また村から勝手に出たのか!!

今度やったら許さねぇって言ったろ!!」

ボレスと言われた男の剣幕にレンはピューっとヒデオの影に隠れてしまう。

「お母さんが怪我をしたらしくそのための薬草を探していたそうだ。怒らないでやってほしい」

「な、なに!? そ、それでサリーさんは無事なのか!?」

ボレスは明らかにオロオロとする、筋ムキムキの大男が今では小さく見える。

「そ、そうだ。師匠あとでうちに絶対來てくれよ! 僕はこれ母さんに煎じてあげないと!」

兎のごとくその場からレンは走り去っていく。

その後姿をボレスは心配そうに見つめている、レンの姿が見えなくなるとヒデオの方に向き直る。

「これだけ大きなビッグボアは久しぶりに見たぜ……もしよければこちらで捌いて、よかったらしわけてくれないか? きちんと金は払う」

「ああ、俺もこんな大きいものは運べない。ただ、捌くのは俺がやろう。

ここでやってしまっていいか?」

「あ、ああ、丁度運ぶものは持ってきている。だが、この大きさ一人でって……」

ヒデオは短剣を構えると迷いなくビッグボアを捌き始める。

ボス敵を倒すと剝ぎ取りが行える。NPCノンプレイヤーキャラにやってもらうこともできるが、うまくやれば手にるアイテムが増える。

もちろんこれもミニゲームの績が反映する。

「こ、こんなに見事な皮は見たことがない。切り出された部位に一切の損傷が無い……こんなもの見たことがない」

ビッグボアの革【極上】

「こっちのビッグボアの肝を見てみろ、傷一つなく輝いている」

ビッグボアの肝【極上】

「こんな量の枝が取れるなんて……」

ビッグボアの✕500

「骨も牙もこんなにきれいに、あ、あんた何者なんだ?」

部位破壊ボーナス:ビッグボアの牙【上】

ビッグボアの骨【極上】

村人たちは捌かれた結果に驚愕している。

「俺はユキムラ、この世界に呼ばれた來訪者ビジターだ」

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