《老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件》16話 鍛冶
ドンドンドンドンドン
(ん?)
ドンドンドンドンドンドン
「は~い」
朝、扉をノック、というか叩かれる音で目がユキムラは目を覚ました。
すでに外はすっかりと明るくなっており、カーテンの隙間からる日差しがベッドを照らしている。
眠りから覚めてまだはっきりしていない頭をかすようにをばす。
昨日つい張り切って採掘してしまったはパキパキと音を立てる。
しかし、の気だるさはじない。疲れも完全に抜けている。
16歳のというものはこんなにも回復が早いのか、すでに50を過ぎていたユキムラは驚いてしまう。
ユキムラがのんびりしていると、もう一度ドアが叩かれる。
「あ、はいはいー」
急いでドアまで行き開く。
「あれ?」
誰もいない……イタズラか……
「聞きたいことある」
「へ?」
誰も居ないのに聲がする、しかしそっと目線を下に向けると一人のがおずおずと話している。
サリナさん(年齢不詳)だ。
「あ、おはようございます。サリナさんどうしました?」
「仕事場來てしい」
「あ、はい。そしたら著替えてすぐ行きます。
先に行っていて下さい、そこですよね?」
川の下流の方に建つ建を指差すとサリナはコクリと頷き振り向きトテトテと家の方に歩いて行く。
うーん、だ。
ユキムラは急いで著替えて昨日置いていってもらったパンを咥えて、サリナの仕事場へと向かう。
パンを咥えて走っていても差點での子とぶつかるようなイベントは起きなかった。
サリナの仕事場へつくと作業テーブルにゴロンと鉱石を置かれる。
「これ」
デイライト鉱石とミスリル鉱石だ。
「デイライト鉱石とミスリル鉱石ですね」
デイライト鉱石は叩くとほのかにる石で照明系魔道によく使われる。
ミスリル鉱石は魔法過の高い金屬で屬剣や屬鎧、として銀と混ぜたり様々な使い方をされるために、上級の武鍛冶にも素材となるので人気が高い。
サリナはユキムラの返答を聞くとブンブンと顔を振る。
かわいい。
「それはわかってる。
他の量もおかしいけど、こんなものこの近くで取れない。
どこで見つけたの?」
「教えてもらったところでレンと一緒に採掘しましたよ?
結構レアドロ、じゃなくて貴重みたいですけど。
頑張れば出るみたいですね、まぁ、ちゃんとミスリル鉱脈で取ったほうがいいと思いますが……」
(すごく何かいいたそうな顔だが事実だしなぁ……)
「……ユキムラ君が持ってきたものは多すぎるし質が良すぎる。
とてもこんな量は買い取れない、これも無理。
こんな希鉱石、この村を売りでもしないと買えない」
「え……!? そんなにするんですか?」
はーーーーーーーーっと深いため息をつかれる。
「デイライト鉱石なら300,000zは下らない、ミスリル鉱石なんて、多分1,000,000zくらいにはなる」
どうしてもゲームのVOがちらつく。
(1Mって高すぎないか?)
そこでユキムラはあることに気がつく。
この世界に來てまだプレイヤーに一人も出會っていない。
もしかしたら、プレイヤーによる産出が無いから極端に産出がなくて、その値段になっているのではないか、という可能だ。
価と言うものは需要と供給でり立っている。
話を聞いていると採掘などもVOプレイヤーであるユキムラがしているような、採掘場所をピンポイントでさぐれたりもしないし、ミニゲームやったらボロボロっと鉱石が出ることもない、産出時間も産出量も桁違いなんだ。
つまり需要はあるのに供給が不足している狀態、そうすれば相対的に価値は上昇して今言われたような値段になってしまうんだろう。
「參考までに、ミスリル鉱に出するとお値段はどれくらいに?」
質問をぶつけてみる。
「ミスリル鉱なんてもの見たこともないけど、國家予算がく。
そもそもミスリル鉱なんて作ろうとしたら鉱石が大量に必要になる。
そんなことは帝國でもなければ出來ない」
「へ?」
サリナの発言に思わず変な聲が出てしまう。
ユキムラの知識では……
「すみません、仕事場を借りてもいいですか?」
「……君が何をするのか気になる。好きに使っていい」
サリナさんの許可を得て鍛冶場へ立つ。
予想通りコンソールにいつもの鍛冶畫面が出る。
ミスリル鉱:必要アイテム ミスリル鉱石✕2 石炭✕8
制作可能場所:鍛冶場
(いけるな)
「サリナさんそのミスリル鉱石使ってしまってもいいですか?
後石炭を々」
「買い取る事はできないからそれは君のもの、自由にしていい。石炭も」
ミスリル鉱石と石炭を手に持つとコンソールの灰だった欄がはっきりした絵面になる。
出開始、いつもの見慣れたミニゲームが始まる。息をするようにささっと終わらせる。
《ミスリル鉱(上)を手にれた》
(うーん、設備レベルがこんなもんならここらへんかな)
「サリナさんこれがミス……リル……鉱なんですけど、どうしました?」
振り返ろうとするとの顔があまりにも近いところにあったので思わずじろぎしてしまう。
サリナはもう目も飛び出さんばかりに見開き、あんなに小さな口がここまで開くのかーと思ってしまうほどに開ききっている……
「い、今……何を、いや、出……? こんなに一瞬で? たったあれだけの鉱石で?
そ、そんなはず、でも、これは確かにミスリル、本當に……?」
そういえばレンに指導したらすぐに出來るようになったからもしかしたら……
「サリナさん、ちょっといいですか?」
デイライト鉱:デイライト鉱石✕2
石炭✕8
製作可能場所:鍛冶場
ユキムラはVOでの出ミニゲームのコツをサリナに教える。
サリナは神妙な面持ちでそれを聞いて出作業を始める。
するとユキムラと同じぐらいの時間で、しミスが有ったが出作業が終わる。
「デイライト鉱、出來は普通ですが最初でこれは流石に筋が良いですね」
サリナは、自分がやった事を理解できるようになって、まともにこっちの世界に戻ってきたのはすっかり日が高くなった晝前であった。
【書籍化・コミカライズ】誰にも愛されなかった醜穢令嬢が幸せになるまで〜嫁ぎ先は暴虐公爵と聞いていたのですが、実は優しく誠実なお方で気がつくと溺愛されていました〜【二章完】
『醜穢令嬢』『傍若無人の人でなし』『ハグル家の疫病神』『骨』──それらは、伯爵家の娘であるアメリアへの蔑稱だ。 その名の通り、アメリアの容姿は目を覆うものがあった。 骨まで見えそうなほど痩せ細った體軀に、不健康な肌色、ドレスは薄汚れている。 義母と腹違いの妹に虐げられ、食事もロクに與えられず、離れに隔離され続けたためだ。 陞爵を目指すハグル家にとって、侍女との不貞によって生まれたアメリアはお荷物でしかなかった。 誰からも愛されず必要とされず、あとは朽ち果てるだけの日々。 今日も一日一回の貧相な食事の足しになればと、庭園の雑草を採取していたある日、アメリアに婚約の話が舞い込む。 お相手は、社交會で『暴虐公爵』と悪名高いローガン公爵。 「この結婚に愛はない」と、當初はドライに接してくるローガンだったが……。 「なんだそのボロボロのドレスは。この金で新しいドレスを買え」「なぜ一食しか食べようとしない。しっかりと三食摂れ」 蓋を開けてみれば、ローガンはちょっぴり口は悪いものの根は優しく誠実な貴公子だった。 幸薄くも健気で前向きなアメリアを、ローガンは無自覚に溺愛していく。 そんな中ローガンは、絶望的な人生の中で培ったアメリアの”ある能力”にも気づき……。 「ハグル家はこんな逸材を押し込めていたのか……國家レベルの損失だ……」「あの……旦那様?」 一方アメリアがいなくなった実家では、ひたひたと崩壊の足音が近づいていて──。 これは、愛されなかった令嬢がちょっぴり言葉はきついけれど優しい公爵に不器用ながらも溺愛され、無自覚に持っていた能力を認められ、幸せになっていく話。 ※書籍化・コミカライズ決定致しました。皆様本當にありがとうございます。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※カクヨム、アルファポリス、ノベルアップにも掲載中。 6/3 第一章完結しました。 6/3-6/4日間総合1位 6/3- 6/12 週間総合1位 6/20-7/8 月間総合1位
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