《老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件》39話 ジャイアントオーガ戦

目の前に迫る石斧を舞うように避ける、そのまま流れるように足元を斬りつける、バターでも切るように鍛え上げられた筋の塊を切り裂き、しぶきが舞う。

後ろで見ているパーティメンバーには振り下ろされた斧でユキムラが切り裂かれたと思ったら、オーガが足からを吹き出している。何を言っているのかわからないが、狀態である。

【グラァあああああ!!】

オーガはそのやり取りを數度やり、怒りに震えていた。

傷つけられた傷は盛り上がった筋で塞がれも止まっていた。

それでも自分の自慢の一撃を、2度3度振り下ろしても何の手応えもその腕は伝えてこない。

そして鈍い不愉快な痛みが襲ってくる。

今まで誰にも傷つけられることのなかったを、目の前の矮小な子鬼が引き裂いてくる。

その事実は何よりもその大鬼を苛つかせた。

このオーガが脳筋の馬鹿なただの魔なら、これで勝負は終わりだった。

しかし、このオーガにはこの迷宮の支配者であるプライドがあった。

この憎たらしい子鬼をぐちゃぐちゃにするための策を考えていく、今までの力に任せた石斧の攻撃では同じことの繰り返しだ、変化をつけなければならない。

相手に合わせて変えることは屈辱であった。

しかし、自らのをこれ以上傷つけられのはそれ以上の屈辱だ。

攻撃のリズムが変化する。

力に任せた一撃ではなく、速さを重視した牽制のような攻撃に変化する。

ユキムラは心舌打ちをする。

あのまま力任せの攻撃をしてくれば楽だったのに。

今の攻撃はいわゆるスピード攻撃でガードに徹するしかない。

スピードを重視してはいるが破壊力は十二分、

おかしなけ方をすれば防の上から多大なダメージをけてしまう。

しかしそこはユキムラ、CrDクリティカルディフェンスを丁寧に繰り返す。

速度を増した石斧の連撃をユキムラの剣が弾き続ける、格差を見れば明らかに異常な景だ。

石斧と剣とがぶつかり合うたびに生じる火花が花火のように連続して破裂していく、周りで見ている人間には火花が踴っているようにさえ見えた。

いや、そうとしか見えなかったという方が正しい。

一度は頭を切り替えたオーガも、 自慢の力強い一撃を捨てた、策を弄し、矜持を捨てた攻撃をいくら振るっても、數限りなく捌き続ける相手に苛立ち、冷靜さを保てなくなる。

【ガァァアアアア!!】

攻撃の変化という面では、斧の連撃から突然の肩からの當たり。

急激な変化だ、その巨が弾けるようにユキムラに迫る。

並の使い手なら下手にけて壁とサンドイッチでジ・エンドだ。

しかしオーガの前に立っているのは並の使い手ではない、極めた使い手だ。

捉えたと思った瞬間にユキムラの姿はオーガの視界の外へ消えている。

ドサ、ボタタタ、グチャリ

鈍い猛烈な痛みとともに嫌な音を立てて何かがオーガの足元にこぼれ落ちるそれが、自らのと臓であることに気がついたとき、オーガの最後の冷靜さは霧散し、ユキムラへと武を捨てて飛びかかる。

オーガの最後の視點は地面に落ちつつ逆さまにユキムラを見つめる刎ねられた首からの視點であった。

首が地面に落ちた後、オーガの巨は膝を折りうつ伏せに崩れ、二度とくことはなかった。

ユキムラはそのままオーガのから戦利品を手にれる。

ジャイアントオーガの牙✕2(極上)、

ジャイアントオーガの角(極上)、

ジャイアントオーガの骨✕12(極上)、

ジャイアントオーガの魔石(極上)、

オーガの魂(特級)。

オーガの魂は赤い寶石だ。オーガの力の源ともいわれる石で、強力な力を放つ魔石の一種と言われている。ダンジョンの主から出たものだけあって巨大でものすごいパワーをじる。

すべての素材を取られたオーガの死は雪のような灰になり消えていった。

同時に時がき出したかのように救出したパーティメンバーたちがき出す。

「す、す、す、す、すげーーーーーーーー!!!!」

「こんな戦闘始めてみた!!」

「全然見えなかった、火花が散ってオーガのがぶれたと思ったら首が落ちて……」

「とんでもないものを見た気がします」

みんな興して口々に戦闘の想を言っているが、どうにもユキムラは腑に落ちなかった。

「そんなに一瞬だった? 結構長く戦っていたつもりだけど……」

「え? だってガッガッてなってブワーって足からしぶきが出たと思ったら、

バババババーって火花が起きて當たり行ったー! って思ったら首が落ちて、

あっという間でしたよ! ほんと!」

何とも言えない説明だったが、逆に分かりやすかった。

どうやら戦闘中は時間が引きばされたような覚がするらしい、それが集中力によるものなのかVOの戦闘システムによるものなのか、それは今のところ不明だ。

「そっか、何にせよボスは倒したし街へ帰ろうか」

軽く自己紹介をした後に、改めてパーティメンバーを見渡す。

重戦士、戦士、魔法使いは男、僧と弓手がだ。

重戦士はガタイのいい男で短く刈り込まれた深い緑髪のよく似合う男らしい顔つき、どうやらリーダーらしい。名はコーサ。

もう一人の前衛の戦士は絞り込まれているが腕などは太くよく鍛え込まれている。

髪はミドルで赤みがかった茶、リーダに比べるとし鋭い印象をける顔つきだ。

剣さばきを見るにスピード型の剣士と思われる。名はショウ。

魔法使いは肩よりし長い明るい茶髪、知的な目つきをしていて落ち著いた雰囲気を出している。

つきは前衛に比べると華奢だが冒険者としてこのダンジョンに來るくらいの経験があり、貧弱ではない。そして、レイはこの人だった。

陣は張から解かれマントを外しローブだけになると、想像以上にグラマラスな型をしていることに気がつく。名はリース。

なんというか、全的に迫力がある、キュッと締まったウエストとは違った、としての魅力的な腰回り、そしてヒップ、The 安産型。そして大迫力のだ。

マント一つでさっきまでよく隠れていたなと心する。

金髪をきれいに切りそろえており、優しげな表として安心を男に與えるタイプのだ。

弓手はスラリと長い手足が印象的だ。名はフロー。

決して貧相ではなく程よいサイズのと全的にスラリとしたスタイルが、異よりも同が羨むようなつきをしている。

し勝ち気な顔つきもまた同の、特に年下に人気が出そうだ。

明るく照らされるダンジョンを一緒に出する。

外に出てとりあえずレンへと連絡を取る。

『あ、師匠! ずいぶん早かったですね。

今村長と話していたんですが、明日の話し合いで村長は師匠に村長の座を渡すそうですよ』

自分のいない間に大きな変化が起きそうなことを知らされるのでありました。

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