《老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件》333話 魔王エテルノ

魔王城への転移ポイントが登録された時點で、一度ユキムラたちは人間軍の本部へと戻った。

すでに魔王軍が人間の國に襲いかかることはない、それと予想以上に魔王復活に魔石を消費したこともある。

最後と思える異世界侵を前に準備を整えなければいけない。

それにライオネル、ポスタル、スカーレンも魔王を迎える準備や、城の復興などですぐに門への案を頼むのも悪い気がした。

GUも提供して復興の手伝いを申し出た。

ユキムラ的には、赤子を抱えたままでいるのが大変そうだったから、それに赤ちゃん育てるのに崩れた城じゃぁかわいそう。それぐらいの気持ちだ。

しかし、三獣師からすれば、魔王復活の際の助力や、現狀への配慮など、敵対していたものに対する大いなる慈悲に心から嘆した。

人間全に対する敬意とまでは行かないものの、ユキムラを筆頭とする白狼隊に対する敬意が生まれたことは必然と言えた。

人間軍側も、たったの5人で敵本陣へと決死の突を試みて、見事戦爭を終わらせた白狼隊は英雄以外に表する名を見いだせなかった。

いくらユキムラ達が狀況説明をして、自分たちの手柄ではないことを説明しても、結果からすればそうなのだ。

こうして、魔たちの世界でも、人間の世界でも白狼隊の名は高まっていった。

數週間は戦後処理に追われることになった。

魔王の島の復興にもいろいろと手を貸している。

これからは殘された非戦闘員數千人(意思疎通のしっかりと出來る魔族)で國家運用をしていくことになる。

三獣師を中心としてまだい魔王を支えていかなければならない。

人間側にも大きな被害が出ていないのに加えて、戦闘員は魔神によって殺されたという印象が強いため、両種族に強いわだかまりが生まれていないことは、これから先の関係づくりにおいてプラスに働くことだろう。

すでに水面下では各國と渉を始めている。

舵取りをサナダ商會で仕切らせてもらっているので、お互いに安心してもらえているようだった。

「なんか魔王ちゃん大きくなってない?」

【ああ、魔族は小児期が人間族よりも短い。大最初の一年で人間の15歳くらいまで長する。

そして、人期が非常に長い。魔王様ともなるとどれほどの年月かは想像もつかない。

俺はまだ1200歳程度だからな、ポスタルは3000歳、スカーレンは【死にたいのかい?】】

ライオネルの犠牲のおで、魔族の生態を知ることも出來た。

魔王城もすっかりと復興され、のどかな農耕地帯も戦闘の傷跡から回復していた。

【これらの技も魔王様の叡智によってもたらされた。

はるか昔は共食いも辭さない野蠻な生だった魔族をここまでかにしてくれた。

魔王様は最後まで魔神の手先になることを拒んでいたのだが、我らが愚かだった……

魔人達の指示に従うと決めた時點で、魔王様はやつらに何かされていたのだな……】

【あの首かざりから穢れが吹き出し、一瞬で魔王様は飲み込まれてしまった……】

【本當に良かったわ……魔王様がこの姿でも殘ってくださっていなかったら、我らは自決したでしょうね】

「これからこの國をいい國にしていけばいいさ。

手伝いならするからさ」

【さて、無駄話はこれくらいにして、地下の門の話だが……】

【やはり封印は魔王様にしかとけないようだ】

【一年……いや、半年ほど待ってもらえないだろうか?】

「それは構わない。魔人達の向は気をつけないといけないけど、たぶん次が最後の戦いになるから、出來ることは全てやっておきたい。ライオネル達と互角以上は戦えないと、きっと魔人達とは勝負にならないからね」

【それはいくらでも協力するぞ! 我らも天狗になっていたが、一から鍛え直しだ!】

魔王の島にもダンジョンは複數存在しており、三獣師を味方につけての訓練は白狼隊にとって非常に有意義なものとなる。

目の前に訪れていた危機は去ったが、魔神の手下である魔人達の非道は周知させているために、人間も魔も油斷することなく日々の報収集は怠っていない。

そんな張をよそに、日々は穏やかに過ぎていく。

「ユキムラさん。おはようございます」

「ああ、ソーカおはよー。まってねー今準備終わるからー」

「はい!」

この二人も休日をのんびりとデートする時間を取れたりしている。

ソーカの見た目が若々しい村娘に戻ってからしばらくは、まぁ理的に忙しかったのもあるのだが、ちょっと距離をじていた二人だが、共に戦って、過ごした日々は変わっていないことを確認して、以前のように自然に振る舞えるようになった。

この時期の青年、は、數ヶ月でも見紛うぐらいに長する。

ユキムラもソーカも戦いや特訓の日々で悍さを取り戻していた。

部能力が外見への影響していくというメタい面もある。

普通の一般人よりはその強大な力に見合った、説得力のあるへと変化していくスピードは早い。

「いやー、転移っていいねー」

「ほんとうに、サナダ街からフィリポネアまで一瞬ですもんねー」

二人は砂浜にピーチパラソル、チェアを広げてゆったりとした時間を楽しんでいる。

アイテムボックスを使えばキンキンに冷えたジュースを取り出すこともお茶の子さいさいである。

波の音、吹き抜ける風、そして……

「キターーーーー!! ブルーサファイアシュリンプ!!」

「私もイエローダイヤモンドシェルゲットです!」

超レア食材を狙ってのフィッシング(スキル)。

二人のデートは食材採取からの調理という流れがほとんどだ。

「はぁ~……味しかったぁ……」

「お土産分も取れてよかったねー」

「今日はノッてましたねお互いに!」

「確かに、やっぱレアは気持ちいいなぁー」

「そう言えばユキムラさん魔王ちゃん見に行きましたー?

もう、さいっこうに可かったですよー」

「魔王ちゃんって、エテルノって名前で読んであげなよ。

いよねー。もう歩き回ってスカーレンがオロオロついて回ってたよ」

「この間まではいはいしてたのに、毎日長しますねー赤ちゃんは」

「特にエテルノとか魔族は早いらしいからねー」

「赤ちゃんかわいいなー」チラチッラ

「うーん、この戦いが終わったらって言うと、フラグみたいで嫌なんだよなー」

「死亡フラグってやつですね……うう……」

「來年になればちゃんと人するからさ、ソーカも……」

「ユキムラさん……」

ちゃんと考えているんだよということを伝えるくらいには、心がわかってきたユキムラであった。

実際問題として、ユキムラはこの世界を神の依頼で魔神のてから救おうとしているが、その過程の冒険も彼の人生においては変えることの出來ない素晴らしい経験をもたらしてくれているとじていた。

もし、魔神を倒して、所謂ゲームクリアとなった後にどうするか、この世界のMDを昔のように毎日やりこんでいくのか、未來のことなど、まだユキムラにはわかるはずもなかった。

魔王であるエテルノは三獣師にし甘やかされ気味に育てられ、すくすくと長していく。

半年もするとその非凡な才能がすでに発揮されていた。

「ライオネルよわいー」

【いやー、エテルノ様には勝てませんな……】

「まじめにやってよー。もういいヴァリィとやるー、ヴァリィ呼んでー」

【い、いやエテルノ様、彼らも仕事がありますから……】

ユキムラがこちらの世界に持ってきたものの一つ、將棋。

知的ゲームとしてこの世界でも人気が出ている。

魔族の間でも人間との易によって々なものが流している。

見た目的には5歳位のである魔王エテルノは非常に聡明な人に育っていた。

甘やかす三獣師よりも、しっかりと議論してくれる白狼隊のメンバーの方に懐いていた。

「もうライオネルじゃ相手にならないのか……」

「あ、ユキムラにーちゃんかぁ、もっと弱いからなぁ……レンにーちゃんはいないの?

今度こそ勝つんだから!」

「あー、ごめん。今日は訓練の方に……」

【ゆ、ユキムラ殿!!】

「あ……」

「……連れてって! 訓練!! 私も行く!!

この間宿題もちゃんとやったし! 魔法も勉強した!!

テストだってちゃんとクリアした!

連れて行かないのはずるい!!」

エテルノはユキムラ達のダンジョンを使った訓練にどうしても參加したかった。

年齢的な長が流石に早すぎるので一年経つまでは我慢させたい三獣師から、その話題は極力避けるように言われていたのに、うっかりユキムラが話してしまった。

もう、こうなると止まらない。

「エテルノちゃん。前にも言ったけど、急激なレベルアップはに良くないから、1歳になるまで我慢してしいって皆で説明したよね?」

「やーだー。だって私、もう強いよ! 魔法だってスカーレンからおすみつき貰ったんだから!」

「ほ、ほら、こないだポスタルに5本勝負で負けたからまだ我慢だって」

「じゃぁ今すぐもう一回やる。もう負けないもん」

これはたぶん事実だとユキムラも思っている。

ユキムラ達と一緒に修行を行った三獣師は目をみはるような長を遂げた。

その三獣師たちを、生後半年の魔王が圧倒し始めているのだ。

「……ライオネル……魔族にも急激なレベルアップの児への弊害ってあるんだよね?」

【正直実例がなすぎるんですが、基本的には我ら魔族は生まれたときから強者は強者、弱者は生き殘れないって生なので……レベルアップもあまり取り組んだことが、ユキムラ殿らとその重要は今でこそはっきりと理解しておりますが……】

一時は戦闘員を壊滅した魔族だったが、非戦闘員もユキムラ達とダンジョンに篭ってレベルアップすることできちんと長することがわかった。

それどころか、人間と同じように凄く長幅があることも判明した。

そして、VOのスキルシステムも魔族にも適応できた。ただ、これにはルールがあって、二足方向で言語を理解できる魔族、に限られた。

言語理解が出來てもラーミアのような下半だったり、ケンタウルスもだめ。

基本的には人に當てはめられたシステムだからとユキムラは理解した。

魔族の配システムは様々で、中にはレベルアップをすることでクラスが変わり、番つがいでの出産を一瞬で行うような種族もいた。

これによって、魔族の人口、戦力はある程度回復に功している。

「いやだーーーーーダンジョンにいくのーーーーーーーー!!」

「だったら、俺から一本取ったら連れてってあげるよ!」

見かねたユキムラは提案してしまう。

最近かなり本気になっても危ないエテルノとの一騎打ちを……

【ゆ、ユキムラ殿!?】

「た、たぶんまだ、大丈夫……なはず……」

小聲でライオネルに緒話をするが、ふいに背中に冷たいものが流れた。

「ユキムラにーちゃん……漢に二言はないよね?」

まさに魔王のオーラをまとうがそこに現れたからだ。

ユキムラは思った。

これは……負ける。

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