《俺にエンジョイもチートも全否定!~仕方ない、最弱で最強の俺が行ってやろう~》第十二回 Sランクなんて、無理な話?
ボスの手下である組織の一ボスを倒したこと。
その後宿に帰って大人しくギフトについて調べようとしたこと。
中々そんな気分になれず、一日パスしたこと。
そして彩などと依頼をけ、しかしまだランクがCのままという、やる気も元気も出ない憂鬱な日々を過ごしていた事。
ギフトへの進展もなく、ただただゆったり日常が過ぎていた事。
ああ、やっぱりこんな夢か。
様々な最近起きた事象が雑に絡みあう夢の中、リーゼルトは無意識にそう思っていた。この時點でおかしいことに、夢の中であるために気付いていない。
その夢の中で、奇妙な音聲が絡み合った。決して、リーゼルトはこの一週間近い間聞いたことのない、やや人の神経をかき回すような音聲。
『―――Sランクとなれ―――』
『―――突破せよ―――』
『―――そうすれば、其方の人生への道は自ずと開かれる―――』
『―――なんちゃってね?』
〇
「なんつー夢だ……」
宿の部屋の中、むくりと起きたリーゼルトは額を抑えて苦笑いした。聲しか聞こえぬ夢ではあったが、だいぶ先に別れた賢者リオンだろう。
恐らく何かを思い出して、そう、リーゼルトが二つ目のギフトを獲得する方法のキーワードを思い出し、伝えるために夢に現れたのだろう。
サテラに聞いただけだったが、こう言った通信は隨分力がかかるらしい。
「さすがにビビるぞリオン……っておいサテラ、サテラ!」
「んみゅぅ……」
「何でいつのまにか俺のベッドに潛り込んでんだお前。恥心を持ちやがれ!」
「便利だったからでぇす……」
「寢ながら本音を出すなそして起きろ! もう太まで登ってるだろうが」
恐らく九時ほどだろうか、さすがに起きる時間が遅かったのでリーゼルトは何故か隣に眠るサテラを揺すって起こす。
いつもよりやや揺する力が弱いのには理由がある。
昨日までリーゼルトの部屋で何かギフトについての報がないか調べてくれたのだ。勿論リーゼルトも調べていたのだが、途中退。
彩はユリウスとセットで一部屋とり、リーゼルトとサテラ、レスナもそれぞれ一部屋ずつ宿を取り直してはいるのだが……。
サテラがリーゼルトの部屋でが一番やりやすいとの事なのでこうなっている。
サテラの賢者権力により集めてきた書は分厚く、最近一週間これを見続けているのだが未だ読み終わる気配はない。
ギフトへの補助は無かったが、その代わり知識が半端ないほど増えてきている。
「どうしたんですかぁ、リーゼン……リーゼルトさん」
「オイこらお前言う事に欠いてリーゼントって言いやがったなコラ。元はと言えばこの名前お前らシステムが決めたんだろうがこら」
「仕方ないじゃないですか。似てるんですもん。で、どうしたんですか?」
「何か、リオンからメッセージを貰った」
「リオンさんからですか……ここに念話を飛ばすとなると、しかも夢の中に飛ばすとなると結構な力が必要ですね。何を言われたんですか?」
「Sランクになればギフト、貰えるんだと。それだけだ、それで起きた」
サテラがいつの間にかリーゼルトのベッドにて寢ていた、というのはよくある事だ。二人はさほど戸うこともない。
もちろんサテラとリーゼルトの距離は最初から三十センチは離れていたので、騒ぐ材料にもならないのである。
そのため淡々と話を進める。
サテラが賢者としての知識をフル活用しているのか、顎を抑えて考え込んでいる。とても疲れていたのか、昨日の服から服裝が変わっていない。
眠るための服裝も買ってあるのだが、最近彼はそれを使っていない。
「やはり組織のボスの特殊な魔または魔法でしょうか。そもそもそのように大きなギフトがないことは説明しましたよね?」
「ああ、そうだったな。Sランクって昇格するだけだしな……何かあるんじゃねぇの?」
「さあ、どうでしょう。例えば今ハプニングが起きれば話は別ですが――」
「それフラグ」
『―――リーゼルト殿はいるだろうか?』
噂をすればハプニングである。そんな訳がないと思っていたサテラは固まり、リーゼルトは苦笑いしながら扉を開けた。
そこには、いつもの裝飾だらけの服裝とは相まって控えめな服裝を著た國王フェルトがそこに立っていた。
もちろん、國王な故に要所要所に自己主張の強い飾りは付いているのだが、やや貧弱な彼の顔のせいで飾りがあまりにも目立っている。
久しぶりに目にした國王の姿に、二人は目を丸くして固まった。
「國王、さん……?」
「あぁ。來ていきなりで申し訳ないのだが、今まで度々に怪我をさせてすまなかった。一國の王として直々に謝ろう」
「いや、良いんっすよ。俺は俺で強くなったし」
「しかし、それでいいわけにはいかない。國民にも示しがつかない。私のできる限りの協力をしよう、何か願いはあるか」
「願いっすか……俺は特にな」
「あります。先ほど話して居たばかりでございます。私達をSランクまで上げてくれますでしょうか。彼は、言った通り強くなりました」
「その話も知っている……しかし、ギルドの力は大きい。Aランクならまだしも、いきなりルーキーをSランクに上げるわけにはいかない」
「まあ、そうだよなあ。だってよ、サテラ?」
その答えをあらかじめ予想していたリーゼルトは驚くこともなく、落ち込むこともなく、両手を広げて呆れた目をサテラに向けていた。
しかしサテラは黙ってフェルトを見つめている。その先の答えをんで。その先にある考えを、んで。
彼がそのサテラの考えを汲んだのかは分からないが、フェルトはしばし考え込んだ後、やや好戦的に口角を上げた。
「それほどまでSランクをむなら、私がそなたらのグループにろう。それなりの人數があるのだろう? クランを結してもいいかもしれんな。……一番は私がいれば、ある程度ランクアップの融通が利く」
「良いんですか? フェルト様、貴方は國王であらせられる立場なのですよ?」
「サテラ君。私は國王だ」
サテラの杞憂を、フェルトはばっさりと切り捨てる。そう言う人だったな、とサテラはやや呆れた目をフェルトに向け、一歩下がった。
職業柄仲良くなっていたフェルトとサテラは、それなりに互いの心を読み取れる。サテラがこれ以上何も言ってこないことを察したフェルトは、リーゼルトに右手を差し出した。
リーゼルトは一瞬彼が何をするのか分からず戸った。何故ならこの世界に握手の文化はまだ広がっていない。
過去何人かいた異世界人やいわゆる『勇者』が広めてはいたが、未だに使う者がないのである。
しかし元が日本人なだけあってすぐに握手に反応したリーゼルトとフェルトは、宿の一室で固い握手をわしたのだった。
「……いやこれ、莫大な夢過ぎるんだけど!?」
そしてこのびはフェルトが帰ったあとの話。
國王とのSランク昇格を目指そうぜ! ―――なんて、さすがに前向きに検討できる程、リーゼルトは太っ腹ポジティブ男ではなかった。
まだ見ぬ膨大な夢の先へ、リーゼルトは夢など見ずにぶのだった……。
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