《絶対守護者の學園生活記》決意
村の住人が増え、1年が経ち、俺は10歳になっていた。
あれから村では様々な変化が起こった。
リリィが年の近い子供達と関われたことで、気な格がしづつ改善されたり、子供達に良いところを見せようと、村の人達がいつも以上に畑仕事などに力をいれるようになったりした。
子供の存在はやっぱり大きいな。笑顔や遊んでいるところを見ているだけで元気を分けてもらえる。村が活気づくのもとてもよく分かる。ソースは前世の俺。
「んじゃ、行ってきまーす」
「行ってらっしゃいレオンちゃん。子供達、特にの子には優しくするのよ~」
「はーい」
母はお決まりの言葉を言って送り出してくれる。特にの子、なのはなぜか前に聞いてみたことがあるが、
「の子を振り回すような子になってほしくないからよ~。男の子はやっぱりの子には優しくなくちゃね~」
と、ちらっと父の方を見ながら教えてくれた。父さん、あんたって人は……。
俺は我が家を出て、村の中央にある広場に向かう。広場に著くと、そこには1年前からこの村に住み始めた子供達がいた。その中から、ふわっとした癖のあるピンクの髪を肩ほどまでばしたの子が、私怒ってますといったような歩き方で俺の元まで來た。
「遅い! 引率者が一番最後ってどういうことよ!」
長差があるせいか、特徴的なアメジストの目で、下からし見上げるようにしながら文句を言ってくる。
「いやーすまんすまん。リリィがあまりにも可すぎてつい」
「ついじゃないわよ! このシスコン馬鹿レオン!」
さっきから聲を荒げているのはカレン。子供達の中で最年長であり、俺とは同い年である。し吊り目なため、怖い印象を與えてしまうが目鼻立ちが整っているだ。
顔評論家の母によると「たまに見せる笑顔が最高に可い」
分かる気がする。
「そんな言葉使うなって。せっかく可い顔してんのにもったいないぞ。」
「かわっ……!?」
「………山?」
カレンは顔を真っ赤にして黙ってしまう。山は違ったのか。まあいい。
「んじゃ行くか」
俺は他の子供達を連れて歩き出す。カレンも慌てて付いてくる。俺が引率者として子供達と村の周りの森でピクニックをするのだ。1年経って子供達が村の生活に慣れてきたのを機に、森の事もし知ってもらおうと思ったためだ。
なぜ俺が引率者なのかは、子供達の相手をしていた俺の姿を見た父が
「お前、やたら子供の相手するの上手くないか?」
と言ったのが元となり、気付けば俺が子供達の世話役をすることになっていた。そりゃ、元保育士だしな……。楽しいので文句は無いが。
というわけで子供達を連れ添って森へとった。
「そういえばレオン。今日はどういう予定なの?」
 カレンが俺の隣を歩きながら聞いてきた。
「ただ森の中を歩くだけだな。この村で過ごすには森との共存は不可欠だし、この森がどんなところか、出來れば構造も覚えてほしいからな。湖も近くにあるから連れていきたいが、魔がいるかもしれないし今度だな」
今回のピクニックのために村の人達が森の魔たちを狩ってくれたおかげで、こうして子供達を連れてこれているが、湖の方までは狩っていないので危険だからな。
「ふーん。でもここら辺の魔ならレオンがいれば大丈夫じゃないの?」
カレンが言いたいことも分かる。ここら辺の魔は弱く、俺でも弓矢を使えば余裕で倒せるからな。
「でも流石に子供達を守り切れる保証はないしな。カレンだけだったら大丈夫なんだけど」
「あんたも子供だってこと自覚してる? じゃ、じゃあさ……下見も兼ねて、今度2人で湖に行ってみない……?」
カレンが不安げに聞いてきた。 なんだ、急に大人しくなって。
「それなら別にいいか。分かったよ」
「本當!? 絶対だからね! えへへ……レオンとデート………」
最後の方は聲が小さすぎてよく聞こえなかったが、急に元気になったな。よく分からん奴だ。
「詳しい話はとりあえず後な。それでは、これより案を始める!」
そして俺は子供達に、森での味い狩場や、景のいい場スポットなどを案したのであった。
※※※
森でのピクニックを終え、村まで戻ってきた俺たちだがそこで問題が起きた。
「レオン! ユウちゃんが……ユウちゃんがいないの!」
の子が1人、いなかったのだ。
「誰か!なにか知ってるやつはいないか!」
俺は聲を荒げて、他の子供達に聞いたところ、1人の男の子が森の方へ指を指した。
「あっち? あっちに行ったのか?」
男の子は小さく頷いた。あっちの方にあるのは確か……。
「まずい……。カレン! 皆を連れて村に戻ってろ! 俺はユウちゃんを探してくる!」
「ちょっ、待ちなさい! レオン!」
俺はカレンが引き止めるのを無視して走り出した。ユウちゃんがいるであろう、湖の方へと向かって。
※※※
俺は必死に走って、やっとのことで湖の近くまでやってきた。どこだ。どこにいる。
辺りを見回して探していた、その時
「來ないでっ!!」
聲が聞こえた。これは……ユウちゃんの聲だ!
聲が聞こえた方向へ全速力で走って向かったところ、そこには、魔に襲われそうになっているユウちゃんがいた。
俺は急いで弓矢を構えた。
「くらえっ!」
俺が放った矢は、しっかりと命中し、魔は倒れた。その直後、俺がいることに気付いたユウちゃんが俺に抱き著いてきた。
「レオンお兄ちゃん……怖かった、怖かったよぉ………」
俺は泣いているユウちゃんの頭をでながら落ち著くのを待った。そして、泣き疲れたのか、ユウちゃんは俺の腕の中でそのまま寢てしまった。
俺はそっとユウちゃんをおんぶし、村へと歩き始めた。
(俺は何をしていたんだ……)
ここは前世とは違う。
日本とは違う。
この前の盜賊にせよ、今回の魔にせよ、気付いたら命を失ってしまっていたというのもおかしくない世界だ。
俺は決意する。
俺はこの世界の子供達とは違う。
前世の知識がある俺だから。
経験がある俺だから。
だからこそ、俺が、この子達を守ってあげよう。
この子達の長を見守っていこう。
だが、俺自もまだまだ子供だ。し狩りが出來る程度の力しかない。
まずは力をつけよう。
俺は決意をにめ、背中に確かな溫かさをじながら、村に向かって歩いた。
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