《魔法兵にされたので學園にります ~俺は最強の魔兵~》第33話 決著、そして
その男はいつの間にかそこにいた。ルインとの決戦の舞臺――生の人間が無策でることはできないはずの死の空間で、平然と立っていた。いつものにやけ笑いを浮かべて。白でを隠して。傍らには魔兵オーリィのボディも控えていたが、そちらはただの人形の狀態だった。
「フッハハハ! ついに真打登場というわけだ!」
俺の兄貴、イルオ・ヴィーンはそう笑った。俺らの視線は兄貴へと集中する、俺は両腕をもがれ、他の皆もルインにやられ満創痍だ。だが。
「兄貴……なに、ってきてるんだよ。『死の』はまだ出てるんだぞ!」
俺は思わず怒鳴りつけた。『死の』は魔法に長けた學園生で短時間のみ防げる必死の毒、今ここにいるだけで兄貴は全を毒に侵され、地獄の苦しみを味わっているはずなのだ。
なのに兄貴はなおも笑い、俺らへと歩み寄った。
「なーに『死の』など私には効かん! とっくに慣れたさ! 今はも半分魔兵だしな!」
「慣れた? 何言って……」
「時間がない、話は後だ! 後があるかは知らんがな! 聞け皆の衆、この天才イルオ・ヴィーンが、ルインを倒す作戦を教えてやるぞ! 時間がないのでな、オーリィの伝達機能を使って諸君らの頭に屆ける!」
兄貴が指示を出すとオーリィのの瞳がパッと一瞬る。すると俺らの頭に直接言葉が浮かび、イルオの考えた『作戦』が伝達された。
それは兄貴が命を賭けた、いや、命を捨てた作戦だった。
「兄貴……お前、こんなことしたら!」
「さあ時間がないぞ! 私がまず行く、レイとその友人たちよ、援護を頼むぞ!」
「待てよ兄貴!」
俺の聲を無視してルイン目掛けて走り出す兄貴。それを止めようとした俺を、ミシモフとセイナが引き留めた。
「レイ……イルオさんは本気だよ。私たちは全力でこの作戦に協力する、それしかないよ」
「これがマスターのご意思ならば、私はそれに従います!」
俺を止めるミシモフは、左腕で右腕を摑むと、それを引きちぎり、別れた右腕を俺に突きつける。兄の作戦の一環だ。
『ミシモフの腕を取ってレイの腕に繋ぐ。2人は姉妹兵であるため、セイナの高度な醫療魔法も用いれば接続が可能』。
「ぐっ……わかったよ、クソ兄貴! セイナ、繋いでくれ」
「うんっ!」
俺は切斷された右肩の斷面をセイナへと出した。ミシモフが右腕を添え、セイナは丁寧に魔力を送り腕を繋いでいく。兄貴の予想通りかなり早くミシモフの右腕が俺の腕となった。うん、とセイナとミシモフが頷く。
「先走りやがって! お前は最後まで……!」
俺はすぐさま走り出す。繋がれたミシモフの腕には、ルインを倒す唯一の武である、兄貴の作った兵が握られていた。
走り出した兄貴との距離は十數メートル。俺は兄貴の作戦を考えながら走る。
『ルインがけない間にイルオが攻撃を仕掛ける。イルオのには真の最終兵が蔵されており、それが展開される』。
『ガッ……ガアアアアアアアアアッ!』
イルオの接近に反応し、ルインは迎撃を始めた。『死の』と邪悪な魔力で作られた無數の腕が次々にイルオに襲い掛かる。だがこれも作戦通り。
「重力魔法ッ!」
ミニッツが重力を作してイルオのを宙へと浮かび上がらせる。
「氷……魔法ッ!」
そこにシルリアが氷の足場を作り出し、イルオはそれを渡っていく。『イルオがルインに接近できるよう、他の者がサポートをする』。
『ガアアアーッ!』
シルリアの補助により接近するイルオをルインが迎撃する。シルリアの氷の補助も限界が近づき、腕の數本がイルオに迫った。
「させませんわッ!」
すかさずスライムで全を覆ったユニコが立ち塞がり、そのスライムを広げて防した。スライムは弾け飛び消滅したが、イルオはその隙に降下してルインに近づく。
さらにその時、イルオのが3つに増えた。
「さあルイン! 當ててみるニャ!」
「どうせ聲は聞こえていないだろうからにゃ~」
増えたイルオの2人はミア・メアの姉妹、明化及び魔法の応用で見た目を変えているのだ。2人ともイルオと同程度に魔力を抑えたために暴走するルインでは區別がつかずでたらめに攻撃を繰り出すも、狙いが分散したことでミニッツやシルリアが的確に補助し防いでいる。作戦通りだった。
だがその時。
『アアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーッ!』
この土壇場で、ルインはその腕を倍に増やした。対応できず、イルオへと腕が迫る。すでに皆は他の腕を防ぐので一杯だ。
だが。俺の後ろから強い魔力。見ればミシモフが殘った左腕を前に突き出し、ルインに向けていた。
「ミシモフ・イレイザーッ……! ファイアーーーッ!」
ミシモフから、彼の全ての魔力を使った強烈な魔力砲撃が放たれた。だがあまりの規模のため、ルインへと向かう俺をも程に収めており、このままいけばルインごとイルオすら焼き盡くしてしまう。どうする、補助するべきか、俺は迷ったが。
ミシモフが俺を見て頷いたかと思うと――レーザーは途中で拡散し、見事に俺を避けてルインへと向かう。
そして拡散したレーザーは、ルインのそばのイルオを的確に避けながら、イルオへと襲い掛かる死の腕を完璧に破壊しきった。
「マスター……今ですッ!」
疲弊したミシモフは膝をつきつつもぶ。
そしてついにルインのそばまで接近し、イルオは高らかにんだ。
「最終兵、展開ィッ!」
ぶイルオ。その白の背中をぶち破り、4本のアームが姿を見せる。これこそがイルオが俺にすらにしていた、正真正銘最後の魔兵だ。この作戦もその兵ありきで作られている。
作戦容と共に伝えられた兵の効果はこうだ。『空間魔法を分析し作ったこの兵により、ルインの周囲に小さな結界を発生させる。この結界は『死の』を完全遮斷するだけでなく反、部で超度に圧。ルインは素材に人間を含み、また現在の『死の』はその魔力をも含むため、ルインに多大なダメージを與える』。
反が唯一の弱點であるルインに対してこれ以上に有力な兵はない。だが。
「さあルインよ! 共に、地獄を味わおうではないか!」
兄貴がぶと、4本のアームが兄貴ごとルインを覆いつくし、半明の結界で包み込んだ。その瞬間、部がどす黒くり輝き、戦いの最中ずっとじ続けていた覚――『死の』が止まった。
『ガアアーーーーーーーーッ!?』
ルインの絶が結界の部から響き渡る。『死の』が反され、その部へと攻撃しているのだ。だがそれは同時に、同じく結界の中にいる兄貴も同じ攻撃をけていることを意味している。
黒いの奧に僅かにルインと兄貴の姿が見える。兄貴は必死にルインの両腕を抑えつけていた。己も恐らくは死よりも辛い苦しみを味わっているにも関わらず、結界を守るため、ルインの全ての攻撃をそのでけ続けていた。
そして兄貴は首を俺へと向け、笑った。
「……今だ、みんなァッ!」
俺は走りつつ剣を天に掲げた。それを合図に、セイナ、ミシモフ、ユニコ、シルリア、メア、ミア、ミニッツ、全員の魔力が剣へと注がれる。
それだけじゃあない、俺は學園を覆う結界を消し、そこに割いていた魔力をも剣へと注ぎ――さらに結界が晴れた外にいる學園の生徒や先生たちの魔力が送られてきた。事前に兄貴が結界解除を合図に魔力を送るよう伝えてあったのだ。
この作戦最大の要がこれだ。『最終兵により『死の』が無効化され、その対策に使っていた魔力を全て、レイが持つ剣に注ぎ込める』。兄貴が全ての『死の』を請け負うことが條件の、決死の力。
全ての魔力が注がれた剣がを放つ。俺が命を捨てるのと同等、いやそれ以上の魔力が剣に宿った。俺は皆の希を乗せた剣を握り、ルインへと走る。距離計算は完璧、すぐそこにルインがいる。
いや正確に俺から見えるのは、ルインにしがみつきそのきを封じる兄貴の背。そのと命はもう限界で、結界はあと數秒しかもたないだろう。だがそれも全てイルオ・ヴィーンの計算通り。
作戦の最後はこうだ。
『最大の魔力を持った剣で、イルオごと、力爐のある左を貫いてルインを倒す』。
「兄貴……行くぞォッ!」
俺も覚悟を決めた。ミシモフから貰った右腕で剣を構え、兄貴から貰ったで――そして俺自の意志で。
「貫けぇぇーーーーッ!」
結界を突き破り、兄貴の背を通して、その先のルインへ。
深々と剣を突き刺した。
『ガッ……ガァッ……!?』
ルインに異変が起こる。剣を突き刺された部分がり輝き、ぼろぼろと崩れていく。そこに、どす黒い魔力と『死の』が集まって収束し――だんだんと、消えていく。
剣に集められた魔力が切っ先へと注がれる。ルインを完全に破壊するのだ、その部から、ルインの魔力と融合した上での――発によって。
剎那の一瞬、兄貴は俺を見て微笑む。
直後、大発が俺らを包み込んだ。
ルイン。
ルイン。
やっと、終われるね。
もういいんだよ、何も壊さなくていい。
いっしょに行こう。
なくとも、苦しみなんてない……どこかへ。
行こう、ルイン。
いや……お姉ちゃん。
…………
――大発で吹き飛んだ俺は、セイナの呼びかけで目を覚ました。
「レイ! よかった……」
「セイナ……俺は、どれくらい気を失っていた?」
「ほんのちょっとだよ。よかった、ケガもほとんどない。不思議だけど……」
「そう、だな……」
俺は右腕を使って起き上がる。魔力を使い切ったための疲弊はあったが、ほとんどにもダメージをけていない。あの大発を、俺はまったくのノーガードでけたはずだったのだが。
「そうだ、ルインは!? まさかまだ……」
「いや……大丈夫だよ」
俺の問いに答えたのはミニッツだ。他にもシルリア、ユニコ、ミア、メアも全員戻ってきて俺のそばに立っている。皆無事だった。
「ルインは完全に消滅した。あの発の後、欠片も殘さずな」
「発……お前らは大丈夫だったのか?」
「何言ってるのニャ、キミが空間魔法で発を防いでくれたくせに」
「お前自空間魔法で助かったのだろう? 記憶がまだ萬全じゃないかのかにゃ~?」
「空間魔法……いや、俺は……」
俺は空間魔法を使った覚えはなかった。もしかしたら咄嗟に無意識で使ったのかもしれないが――まるで誰かが守ってくれた、そんな気がしたのだ。だが空間魔法を使えるのは、俺と、ミニッツと……あとは。
「……まさか……な」
俺はそこで考えるのをやめた。いずれにせよ俺は生き殘ったのだ。そのことを謝することにした。
だがそこでハッと気づく。俺は助かったが、あの時いっしょに発に巻き込まれた……兄貴は?
「お……おお、レイ……無事だった、か……」
近くから聲がする。慌ててそちらを見ると、そこには兄貴が倒れていた。いや正確には『転がっていた』という方が近い――兄貴のはもうまでしかなかったのだから。
「レイ、早くこちらへ。わたくしのスライムでなんとか命を保っておりますが……もう、長くはもちませんわ」
すぐそばにユニコが座り、兄貴の半をスライムで覆っている。それで辛うじて生命を維持しているらしかったが、それが気休め程度の延命であることは言われずともわかっていた。
俺は兄貴へと歩み寄る。セイナをはじめとする皆も俺に付き合った、彼らにとっては赤の他人だ、しかし誰が言うまでもなくイルオを見る目には悲哀があった。
ユニコがそっと場所を開け、俺はその傍でかがみ込む。その反対側、イルオともっとも近い場所ではずっと、ミシモフが座り込み寄り添っていた。
「レイ、そしてミシモフ……お前らが無事なら、私はそれでいい。損傷は、オーリィのボディを使って治すといい。私の研究所にやり方は殘してある……」
死の間際だというのに、兄貴は最後まで俺らのことを優先して考えていた。ミシモフがそっと、その頬をなでる。
「マスター……私は、わかりません。マスターと共に、死ぬつもりでした。もとより私はただの魔兵、マスターのためにくことが私が生きている意味……マスターがいなくなった後、どうすればよいか……生きればよいのか、すらも……」
ミシモフはとぎれとぎれに言葉を紡ぐ。彼に涙を流す機能はなかったが、その悲痛な表は、涙以上に彼の心を語っていた。
イルオはそんな彼に微笑みかける。
「ミシモフ、私は前に聞いたな……お前が今意思を持ち、き、話すことを……不幸だと思うか、と。あの時お前は答えられなかったな。今はどうだ、ここに自分が生きること、否定するか?」
ミシモフはぐっと手を握り、ぐしゃぐしゃに顔を歪ませる。そして答えた。
「思うわけっ、ありません! 私はマスターに、心を與えられて……ただの、魔兵だった私を、マスターは娘と呼んでしてくれて……私は、幸せでした」
その答えにイルオは満足そうに笑った。
「私もお前に謝している。私の勝手な都合でお前という人格を生んだにもかかわらず……お前は私をけれ、今日まで慕ってくれた。私はお前に、魔科學が必ずしも悪でないと教えてくれた。結局は、人の心なのだ、とな……それは私にとって……救いだったのだよ」
イルオはそう言って、真に安らいだように微笑んだ。その意味は俺にはよくわからなかったが、なくとも兄貴の笑みは憑きが落ちたように穏やかだった。
「生きる意味などゆっくり探せばいい……幸いここは學校だろう。レイや、友人たちと……笑って、生きればいい。レイよ、ミシモフを頼んだぞ。苗字もお前のを與えてやれ……もう魔神兵ミシモフはいない、ミシモフ・ヴィーン……いや、ミシモフは魔兵の、そして男の名だな。ミーシャ・ヴィーンとして生きていけ」
「はい……マスター、ありがとうございますっ……」
俺も兄貴に、ミシモフ改めミーシャを任されることを誓った。
そして兄貴は最後に、いつものいやらしい笑顔をミーシャに向ける。
「鉄面皮のお前がついに、私の死にそこまで表を変えてくれたな。クールもいいが、やはりは表かな方が私は好みだぞ……フ、ハ、ハ」
その笑顔を見て、それまで悲しみ一だったミーシャの表が僅かにほころぶ。そして何かを察したように微笑んだ。
「……マスターはやはり、気持ち悪いです。でも大好きです、マスター」
「ハハッ、最高の言葉だ。これまでありがとう、ミーシャよ」
イルオとミーシャは最後に笑い合った。それは悲しくも、幸せな別れだった。
そして兄貴は次に俺へと視線を向ける。
「レイよ……愚兄を、許せよ。最後までお前に手を汚させた……結局私は、お前に全てを押し付けた……愚かで、非力な、ダメな兄だった」
自責の言葉をらす兄貴。俺は首を橫に振り、兄貴に上を見るよう手で示した。
セイナは涙を流し、シルリアは辛そうに目を伏せる。ユニコもさめざめと流れる涙をハンカチで抑え、メアは泣くミアをそっと支える。ミニッツも悲しそうに兄貴を見つめていた。
「見ろよ兄貴、ここにいるみんなを。誰1人、兄貴を否定する奴なんていないさ。みんな兄貴に謝してる……もちろん俺もだ。もう自分を責めるな、兄貴は立派にやり遂げたんだ。兄貴は世界の救世主で……尊敬する、俺の大事な家族だ」
「レイ……」
俺は兄貴の顔を覗き込んで笑みを浮かべる。兄貴は一度目を閉じた後――俺を見て、笑った。
「レイよ。兄は嬉しいぞ、お前というすばらしい弟がいたことを。お前のために、この命を盡くせたこと……私のみは最後に、葉った! ハハ、ハハ、ハハハ……!」
兄貴は笑った。苦し気だが高らかに、聲を上げて、愉快に。俺はその笑顔を複雑な気持ちで見ていた。
だがやがて兄貴は笑うのをやめる。
「フフ……そろそろ、お別れだな」
兄貴はふと視線を逸らし、俺の隣にいたセイナに視線を向けた。
「セイナちゃん、レイを頼むぞ。生憎レイを元のに戻す手段はない……まあなんとかやってくれ。君ならばどうにかなるだろう、兄公認だ、今後ともレイをよろしくな」
「ええ……もちろん! 同士だろうと関係ないです、任せてください!」
おいおい兄貴こんな時に、と俺は照れ隠しに頬をかいた。兄は俺に恥をかかせたことを愉快そうに笑うと、また視線を逸らして上を見る。そこには青空が広がっていた。
「しい空だ。私が、この世界を守ったのだな……そしてそのしい世界を背に、たちが私を覗き込む! フッ、ハハ、この愚兄にはなんと過ぎた、しい最期、だろう、な……」
その言葉がだんだんと途切れていく。そして。
「私は……満足、だ……」
微笑んで目を閉じ――がくりと、力盡きる。
俺の兄、イルオ・ヴィーン。その生涯はここに幕を閉じた。
「……マスター」
ミーシャはそっとその亡骸を抱きかかえて立ち上がった。俺も滲み出る涙を拭き、立ち上がる。兄貴め最後の最後まで迷かけやがって、俺が泣けなかったじゃないか、と、心で悪態をついた。本當は俺だって――死んでほしくない、と、泣きびたかったのに。
「……安心して逝けたかな、兄貴」
だが最後ぐらいは俺が兄貴を気遣ってやれた、それもまた、悪くない気分だった。
と丁度その時、外から足音が響いてくる。先生や他の生徒たちだろう、心配して見に來たのだ。
「勝ったんだな、俺たち」
「……うん」
俺らは互いに頷き合い、笑いあった。魔神兵ルインはついに滅び、世界を守るための戦いに、俺らは勝利したのだ。
俺も兄貴に倣って空を見上げた。サブリナ魔法學園の校舎の間から、穏やかな青空が広がっていた。
【書籍化】斷頭臺に消えた伝説の悪女、二度目の人生ではガリ勉地味眼鏡になって平穏を望む【コミカライズ】
☆8/2書籍が発売されました。8/4コミカライズ連載開始。詳細は活動報告にて☆ 王妃レティシアは斷頭臺にて処刑された。 戀人に夢中の夫を振り向かせるために様々な悪事を働いて、結果として國民に最低の悪女だと謗られる存在になったから。 夫には疎まれて、國民には恨まれて、みんな私のことなんて大嫌いなのね。 ああ、なんて愚かなことをしたのかしら。お父様お母様、ごめんなさい。 しかし死んだと思ったはずが何故か時を遡り、二度目の人生が始まった。 「今度の人生では戀なんてしない。ガリ勉地味眼鏡になって平穏に生きていく!」 一度目の時は遊び呆けていた學園生活も今生では勉強に費やすことに。一學年上に元夫のアグスティン王太子がいるけどもう全く気にしない。 そんなある日のこと、レティシアはとある男子生徒との出會いを果たす。 彼の名はカミロ・セルバンテス。のちに竜騎士となる予定の學園のスーパースターだ。 前世では仲が良かったけれど、今度の人生では底辺女と人気者。當然関わりなんてあるはずがない。 それなのに色々あって彼に魔法を教わることになったのだが、練習の最中に眼鏡がずれて素顔を見られてしまう。 そして何故か始まる怒濤の溺愛!囲い込み! え?私の素顔を見て一度目の人生の記憶を取り戻した? 「ずっと好きだった」って……本気なの⁉︎
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