《職業魔王にジョブチェンジ~それでも俺は天使です~》響け!!俺の気持ち(破壊音)!!~全異世界まで轟く悪名~

遅れてすみません。テストやサークルで忙しくて……。

ちなみに、今日、テストなんだ……。あはは……徹夜だ(涙)

クレアシオンが倒れそうなところをリーフがけ止めた。大きく崩れた天井のから、月が差し込み、スポットライトのように二人を照らしている。人工の煌々と照らすスポットライトのと違い、優しく差し込むが二人を照らす様子はなんとなく一枚の絵畫のように思える。

「ねぇ、何か悩み事でもあるのかしら?」

「……どうしてそう思ったのですか?」

リーフは寢てたら、年相応なのに……と呟きながら、クレアシオンを膝枕で寢かしつけ、優しく頭をなでている。

ソフィアは見抜かれた事を顔には出さないが、揺した。出來るだけ表に出さないようにしていた事を見抜かれたからだ。

は逡巡し、そして――――

「聴いて貰ってもよろしいですか?」

話すことに決め、うつむきながら尋ねる。メイド服を摑むその手はし震えていた。

「ええ、遠慮は要らないわ。同じこの子の眷屬よ?」

リーフはソフィアに優しく微笑みかけ、悩みをしでも緩和出來るように相談に乗ると言う。

それだけ、思い詰めたようにリーフの目には映ったのだ。このままでは潰れてしまう。そんな危なっかしさをソフィアは抱えていたのだ。

「……実は、ご主人様の事がたまにわからないのです……」

「……わからない?」

リーフは真っ直ぐとソフィアの瞳を見て続きを促す。いまいち、彼の言うことが摑めないでいた。

「はい……。魔を笑顔で殺す姿を見ていると、ご家族に向ける優しさが噓なんじゃないかって……」

ソフィアはエレノアたちや村の皆と共に過ごしていた時の笑顔が噓だと思いたく無かった。だが、あの恐ろしい程にまで研ぎ澄まされたれるもの全てを切り裂き、一瞬のうちに命の火を消し去る様な殺気を目にすると村での姿は全て『演技』ではないのか?とどうしても疑ってしまう。

そんな筈はない、とそんな思いをかけ消そうと頭を振るが、冷たい全てを凍てつかせるかのような冷たい笑顔が脳裏に張り付いてはなれない。

「そんなこと――」

「――そんなことってどういうことですか!?」

ずっと悩んできたことをたった一言、『そんなこと』と片付けられては堪らない。それも、今日出會ったばかりの人にだ。

なにも知らない貴に何が分かると言うのだ、とソフィアはリーフを睨み付けた。

「ごめんなさい。言い方が悪かったわ。……あんな殺気、近くでけて恐怖を持ったのは分かるわ。でも、それは貴に向けられたものかしら?」

「それは……」

クレアシオンの研ぎ澄まされた淀みない殺気を一に浴びたリーフだから分かる恐怖。あれは余波ですら、普段の優しさを見ていたソフィアが恐怖を十分に與えうるものだった。

だが、それと同時にソフィアに向けられたものではなかった。ソフィアは言われてはじめて今までの殺気は自分に向けられたものでは無かったと理解した。

それほどまでに余波とは思えないほど強烈な、レベルとは関係のない――――力の強さに左右されない――――【敵対するもの全て殺す】という意志の元、幾千、幾億もの実戦のなかで削り削られ、研ぎ澄まされてきた本の【殺意】だった。

「それに……演技なら、ここまで必死に……自分の命をかけて守ろうとするかしら?」

「……」

確かにそうだ。ミノタウロスの時など、まさに死にかけていた。手足の骨は折れ、蔵などミキサーにかけられたかのようにぐちゃぐちゃになっているのは離れてみていたソフィアにも分かるほどだった。

ソフィアはそう言われ、なにもいえなかった。あの冷たい笑みを浮かべる彼が本で演技なら、なにも出來ない子どものように降るまい、苦しむエレノアの姿を見て見ぬふりもできたはずだった。それなのに、勇者をそだて、邪神を倒すという使命のもと、転生した命を危険にさらしてまでエレノアを助けようとしたのだ。

たとえ、薬草を手にれ、エレノアを救うことが出來たとしても、村人やアニス達から怪しまれ、職業が【魔王】とバレてしまい、使命を果すのに支障をきたす可能があったのもにも関わらず、それでも、クレアシオンは悩むそぶりすら見せず、救うことをえらんでいた。

「それに、あの時何をするつもりかわからなかったけど、あのままだったら、確実に私は殺されていたわ」

「そんなはずは……。力差がありすぎます」

リーフの言葉にソフィアは驚きを隠せなかった。それもそのはずだ。彼とクレアシオンの間には誰が見ても明白な力の差があった。

その差はイーヴィル・ブラッドミノタウロスの時のように戦闘技ではどうすることも出來ない程に――――

「ええ、そうね。でも、その力差を覆す程の何かをしようとしていたわ」

ソフィアの言葉を肯定しながら、それでも覆されるとリーフはいった。

そんな彼の様子にソフィアはだから必死に止めたのだと思った。だが、それは違っていた。

「でも、その力には大きな代償が必要だったわ。……使おうとするだけで魂が崩れかける程に――――」

リーフがクレアシオンを止めたのはこういう理由だったのだ。霊種が持つという霊眼――――彼の瞳には軋むように悲鳴を上げながら、確固たる決意を宿した魂が寫っていたのだった。

「いえ、正確には一度跡形もなく砕け散った魂をかき集めて取り繕っただけの継ぎ接ぎの魂。……完全には戻らなかったのね。一部が大きく変質してしまっているわ」

こんなに小さなでどれ程辛い験をしたらこんなことになるのかしらね?そう呟きながら、汗で額に張り付いたクレアシオンの髪のを優しく払う。

嫌な夢でも見ているのだろうか。うわ言のように何かを繰り返していた。小さく掠れた聲で上手く聞き取る事が出來ないが、守れなかった、約束したのに、とそんな言葉が繰り返されている。

「……私は助かったわ。貴方のお姉さんもきっと助かるわ」

そう言って、リーフが彼の手をそっと握ると、安心したように靜かに寢息をたて始めた。

「……赤と青……壊れそう」

魂が変質している。これはソフィアにも心當たりがあったのか、ポツリと思っていたことが口に出た。

「ええ、そうよ。二度ともとに戻らないほど変質してしまっているわ。そういえば、貴霊よね?」

リーフはなぜわかったのか、と眼を見開いたが、目の前の存在が同族だということに気がついた。

だが、ソフィアはビクッとを震わせた。

「そうです……」

「なら、霊眼を――」

「――ですが、私は霊眼を持っていません。他の霊が言っているのを聞いただけです」

消えりそうな聲でそう呟いた。その聲からは無力と後悔が濃く寫し出されていた。ソフィアの心當たりとは彼がクレアシオンの元を離れる原因となったオーク狩りのあとのことだった。あの日からなぜ、霊眼を手放したのか、もし、霊眼を持っていたら、クレアシオンのことを信じることが出來たのではないか、という答えの出ることのない、出たとしても決して結果の変わることのない問いをずっと考えていたのだ。

「そうなのね……。彼の魂は暖かく包み込むような優しい赤い炎とれる全ての命を凍らせるような冷たい青い炎……そのふたつが混ざり合うことなく燃え盛っているわ」

ソフィアの表から何かを察したのか、リーフは霊眼のことにはれず、魂の狀態を分かりやすく告げる。

暖かい水と冷たい水、元は同じだが、そのふたつが混ざり會わないように彼の魂は大きくふたつに別れていた。前者は時間と共に再び混ざり合うのに対し、後者は時間が解決できるほど単純ではない、ということだ。

なくとも二百年以上は――――

「では、そのせいで……」

魂がふたつ、そうなればふたつの人格があり、もう一つの殘忍な格があるのでは、そうソフィアは思い至った。

だが、

「いえ、それは違うわ」

ソフィアの考えはすぐに否定された。

「ふたつに別れていても、紛れもなく同じ彼よ」

ならばなぜ、というソフィアの問いにリーフはし目をつぶり、考えながら言葉を紡ぐ。

それほど魂という無形のを言葉にして伝えるのは難しいことなのだ。

「そうね……ふたつの炎は深い……もっと本的な場所で繋がっているわ」

本的な……」

リーフの言葉をおうむ返しにし、ソフィアはこれまでの、ほんの僅かな時間だが、クレアシオンと過ごした時間を振り返り、探す。

彼を信じたいと思った原因を、信じられなくなった原因を、そして――――

「『守りたい』それが彼の魂の本質よ」

「――っ!?」

全てのピースがはまった気がした。かかっていた靄が晴れた気がした。

彼がここにいる理由も、彼が今倒れている理由も、彼が転生した理由も、彼が――――、

「これも……」

ソフィアの手には杖が握られていた。『死なれちゃ困る』そうぶっきらぼうに渡されただが、込められた想いは違っていたのかも知れない。

白銀に漆黒の鎖の様な模様が浮かぶ杖を雫が濡らす。

「私には青い炎は、大切なれるな!って必死にんでいるように見えるわ……」

「私は何も知らず……」

「……魂は普通は見えないわ。何があったかわからないけど、この子は気にしてないと思うわ。この子が起きたら、その時ちゃんと話せば大丈夫よ」

「……はい」

月明かりが照す中、のすすり泣く聲だけが聞こえていたという。

◆◇◆◇◆

「……すみません。お見苦しいところを」

「大丈夫よ。落ち著いた?」

「はい」

しばらくして、ソフィアは顔を上げた。その眼は赤く腫れていたが、もう、先程までの思い詰めたような様子はない。

そんな彼の様子を見て、リーフは安心したようにほっと息をついた。

そして、ポツリと呟いた。

「守ってる姿が、守ってる人たちから恐れられるなんて……なんだか。この子を見ていたら、父に話で聞いていた方に似てるわね」

その様子はする乙のようで、頬を染め、ぼんやりと月夜を眺める。

「誰ですか?」

その姿に、ソフィアに興味を持って聞いてしまった。そう、聞いてしまったのだ。その答えがどんなものかも知らずに……。

 しかし、一度口から出た言葉は戻せない。ソフィアの問いに、リーフはし頬を赤らめ、モジモジとしながら、元からロケットペンダントを取り出した。

「……こう言うのは人とか家族の寫真をれるのが普通だけど。子供の時から憧れて、お守り代わりに持っていたのよ。……邪気に飲まれなかったのも、いつかこの人が助けてくれるって思っていたからかしら」

お守りと言っているが、それ以外のがあるのは誰が見ても明らかだった。

そして、ロケットペンダントの蓋を開ける。その中にはクレアシオンがたまに見せるような、全てを凍りつかせるような兇悪な笑みを浮かべている黒髪に金の瞳のクレアシオンそっくりの男が寫っていた。――――とても他人には思えない。髪が蒼銀で、瞳が蒼なら完全に一致していただろう。

これは、お守り代わりにもするはずだ。魔除けどころか、邪神も足で逃げ出すような悪名高い天使の姿が寫されていたのだから。

「な、名前は……」

ソフィアは、た、他人の空似、似ているだけ……世界には同じ顔が三人居るって言うし、他人の空似よね?まだ、大丈夫……本人と決まった訳じゃないわ、と自分に言い聞かせたが、現実は無かな。

リーフの口から紡がれた言葉は彼に現実を突きつけた。

「神を神とも思わない、幾千もの魔を統べし【神よりも神らしい天使】【神をも裁きし魔王】【世界の終焉を告げる天使】【ムケツノ魔王】【沈黙の天使】【神界に宣戦布告せし魔王】――――クレアシオン=ゼーレ=シュヴァーレン様よ」

「……恐らく、本人です」

「……えっ!?」

◆◇◆◇◆

時はし戻り、クレアシオンのを発した【紅月】の極が夜空を照らす。

轟音は大地を揺るがし、解き放たれた紅雷の奔流は辺りを破壊した。クレアシオンの渾の一撃により、辺りは彼の濃な魔力に包み込まれ、力のない者は突然現れた魔力を伴う紅いという恐怖に駆られ、一目散ににげだした。

だが、それだけではない。強いというものは々なものを引き寄せる。

「墮ちた天使……クレアシオン♥何処にいるかと思えば、ここにいたか♠しかも、小さくなって弱くなってるとは……♣」

黒い雷とともに、黒い赤のスペード、ダイヤ、グラブ、ハートのマークがあしらわれた燕尾服とシルクハットにを包んだ男が現れた。顔の左上のみを隠した仮面をつけ、アタッシュケースを右手に持っている。

のない仮面によって左目は完全に隠され、男の雰囲気をより不気味なものへと変えていた。

「はぁ……♦あれがあの【紅月】か♠?がっかりだぜ、クレア……♣星を塗り潰す程の威力があった技を使って、ダンジョン一つがやっとかよ♥」

その男は楽しそうに笑い聲を上げていたが、クレアシオンがリーフと対峙し、何かを使おうとした瞬間、表が変わった。

『……ああ、殺してしまおうか♠♥♣♦』

先程までと一転して、冷たい聲が響いた。

「……行かないのですか?」

男の聲が響き、黒い風が吹き荒れ、仮面の男の橫に集束し、しずつ、人の形を型どっていく。

黒い風が霧散し、白を著た白髪の男が現れた。その男は両目が赤い包帯で隠されているにも関わらず、仮面の男の方を見ている。

「これはこれは、【黒き風と疫病の邪神】殿」

仮面の男は白の男の問いにおどけた口調で恭しく頭を下げた。いつのまにか、彼はペストマスクをつけている。

「喧嘩がしたいなら、買いますよ?【狂騒と狂楽の魔王】様?」

『あぁ♠?』

仮面の男はペストマスクを外し、左目を隠した仮面に手をかけ、彼の周りには黒い雷が迸り、白を著た男は両目を隠した包帯を摑み、何時でも外せる狀態になり、皮はボコボコと蠢き、彼のからは黒い煙が吹き出して白を揺らしている。

空気が重くなり、二人の魔力が徐々に強くなっていく。

二人の様子から、左目しか覆わない仮面や赤い包帯はただのお灑落でわない、と理解させられる。隙間から覗く瞳には禍々しいが宿っていた。

だが、

「これ以上やると知されちまう♣」

「……そうですね。で、なぜ行かないのですか?」

そう言われ、仮面の男――――【狂騒と狂の魔王】は料理をしている。クレアシオンを見て、

「クレアはまだ弱いだろ♦?あんなのと戦っても、すぐに死んじまうじゃねぇか♦つまんねぇだろ♠?」

と、あっけらかんと言ってのけた。その表はとても愉しそうで、子どものように無邪気な笑みを浮かべている。

「……これだから貴方には困ります。いつもいつも、そのように……」

「そっちの方が愉しいだろ♣?」

包帯の男――――【黒き風と疫病の邪神】は頭が痛いとばかりにこめかみを押さえながら、ため息を吐いた。

彼とは対稱的に仮面の男は愉しそうな笑みを浮かべ続けている。いや、質の悪いことに包帯の男が困っている様子を楽しんでいるのだろう。

そうこうしている間に、クレアシオンが倒れた。

「……さて、私たちはどうしますか?」

事の顛末を見屆けた包帯の男は仮面の男にこれからの事を聞く。

「そんなの決まってんだろ♥?」

「はぁ、わかりましたよ」

仮面の男は持っていたアタッシュケースの鍵に右手の親指を押し付け、包帯の男からは黒い霧が立ちこめる。

『スタートアップ、【機械仕掛けの狂想曲】。……魔力紋……ユーザー……【ジョーカー】……認証』

アタッシュケースから機械的な音聲が響く。それと同時に機械音を響かせながら、開いた。開いたと言っても、アタッシュケースの本來の開きかたではない。

アタッシュケースだったは男の手から離れ、空中に浮かび上がりながら、展開する。部は、青いラインが縦橫無盡に走り、蒸気を上げ、男の右腕を覆う様に変型していく。

「【大剣】♠」

『アイアイサー。モードチェンジ【大剣】。……完了』

仮面の男の聲に反応し、その姿が徐々に男の背丈より大きな大剣の形をとっていく。だが、その大剣はとても実用的とは思えないほど、洗練とは対極に位置する様なものだった。

一言で言うなら、様々な機械を無理矢理、剣の形に組み上げた、と言ったところだろうか、とてもごちゃごちゃとした形をしている。

「『退屈な世界に狂を』……♠」

『イエスサー。フレェンズィモード……起。……完了。ハヴアグッドタイム』

そのキーワードと共に大剣から禍々しいオーラの様なが吹き出し、それは仮面の男にまとわりつく。

「……さあ、暗躍を始めようか♠?」

彼がそう言った瞬間、彼らの背後に無數の気配が現れた。その姿は様々だが、共通しているものは人間離れした容姿だろう。

そう、無數の悪魔が現れたのだ。

『全ては【友】の為に♠♥♣♦』

「全ては我が【神】の為に」

二人は悪魔達の元へと歩んでいった――――

【狂騒と狂楽の魔王】さんがログインしました。

【黒き風と疫病の邪神】さんがログインしました。

SFりましたー!

暗躍りましたー!

クレアシオンは々やらかしてるので、々な世界で逸話が殘ってるような、ないような……。

クレアシオンの寫真、購者の聲

「こ、こんな寫真……ぼ、沒収です!ウィルさんと木で寢てる姿とか、読書中に寢落ちしてる寫真とか……。とにかく、売る前に私たちがチェックします!!」

「な、わ、私がそ、そんなもの買うわけないだろう!……あ、いや、その……こ、こんな寫真が出回ったら、アイツの恥だからな……」

「ハァ、ハァ……。この刺すような視線!寫真でも、最高ですわ!!」

「このゴミを見るような視線!……また、サンドバッグにしてもらいたいものだ!!がっはっは!!」

「本當に効果が有りました。これを見せた邪神が泣きながら逃げていきました。」

「これを買ってから、悪魔が寄り付かなくなりました」

※これらの商品は神アリア様と天使イザベラの二人によって厳選されたものです。

クレアシオンの寫真(盜撮)が彼の知らないところで魔除けとして販売されています。

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