《職業魔王にジョブチェンジ~それでも俺は天使です~》キャンディ・ポリス~期の邂逅~

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※この作品はフィクションです。登場する人、組織、事件などは実在するものとは一切関係ありません。作者の妄想です。

アメリカ、ニューヨーク警察にその男はいる。

【キャンディ・ポリス】彼がこう呼ばれる訳は、どんな厳しい銃撃戦の中でも無傷で犯人を無力化し、颯爽とその場をさるからだ。……どの現場でも、気を失った犯人の口にはキャンディがくわえさせられていた。

「なあ、ジン。なんでお前はそんなに誰彼構わず、飴を食べさせたがるんだ?」

同僚は、禮を言う母親と手をブンブンと振るキャンディを口にした子供に手を振っている【キャンディ・ポリス】ことジンに訊ねた。これはずっと疑問だったことだ。

ジンは道を訊ねたご老人から迷子の子供、兇悪犯でもキャンディを食べさせていた。

例えどんな兇悪犯だろうと殺さずに捕らえる事に拘っていた。そして、捕らえた犯人にキャンディをくわえさせ、

『旨いだろ?……なあ、お前がなんでこんな事をしたか、知らねぇが、旨いは誰が食べようと旨いんもんだ。なあ?俺でよければ話を聞くぞ』

こう話を切り出す。最初は犯人も話さずに罵倒や怒聲をあげるが、最終的にはほとんどの者が憑きがとれたかの様に涙ながらに自分の生い立ちを話、どうしてこんな事をしてしまったのか、これからどうすればいいのか?そんなことをジンに話し出す。

ジンはそれを親に聞き、一緒に悩み、犯人の更正を後押ししていた。そのおか、彼が捕まえた犯人の再犯率はゼロに近かった。

「ああ?……それはな、『世の中、全て甘黨だったら爭いなんて無くなるのにな……』って俺の恩人が言ってたからだ」

「なんだ?……それは?」

同僚が怪訝そうに訪ねてきた。

「三十年前……あの銀行立て籠り事件……知ってるか?」

「當たり前だろ?あんなインパクトのデカイ事件忘れる筈がねぇだろ?……サブマシンガンで武裝して人質をとって立て籠ってた犯罪グループが何故か、銀行の屋上から全でバンジーしたことだろ?しかも、天使の羽をつけて……ふははっ、今思い出してもおもしれぇ、ロープが揺れる度にアレがぶらぶらと」

三十年前、連続銀行強盜事件が當時のアメリカを騒がせていた。武裝した強盜グループは大膽にそして計畫的に犯行に及んでいたのだ。

そして、その組織的な行に當時の警察は苦しめられていた。追い詰めると人質をとり、捕まりそうになると、報を渡すまいと人質を殺し、自分達も自害するという質の悪い集団だった。

銀行を襲ったあと、追跡して、強盜グループのアジトと思われる場所を特定しても盜られた現金は全て無くなり、蜥蜴の尾取りのように末端構員しか見つけることができなかったのだ。

それも、

――我らのと魂を捧げる――

という文字と解読不明な魔法陣のようなものと共に変わり果てた姿で――――

この気味の悪い連続強盜事件はカルト集団や悪魔信仰者が何らかの目的の為にやっているのでは?と言われるほど、後味の悪い兇悪な事件だった。

だが、ある時を境にその事件は急速に解決されたのだ。だが、解決したのは、事件解明に懸命にいていた警察ではなかった。

教祖と名乗る男とその幹部と言う男八名が自首をしてきたのだ。

『た、助けてくれ。……あの……悪魔から……いや、違う!!あれは悪魔なんて生易しいじゃない!!!……あれは魔王サタンだ!!!』

と、半狂りながら警察に駆け込んできたのだ。自首と言うよりは、保護を求めて――――

その事件の真相は結局詳しくは解っていない。當時のテレビキャスターの中には良心の呵責に耐えきれず、自首をしたのでは?と言う者もいたが、あれほどの事件を起こすような者が今更、そんな事をしない、という聲と、とてもそんな風に見えなかったという取り調べをした警察の聲によって否定された。

この事件はもっとも不可思議な事件の一つとして三十年経った今でも、熱い議を醸している。あの事件は悪魔信仰者達が悪魔召喚を行っていたら、本當に悪魔が召喚されてしまったのだ、と。

「ああ、お前の言う、その立て籠り事件の時、俺はその場にいた」

「ま、マジかよ!?……それは……悪かったな」

同僚はジンがその現場にいたことに驚いたが、それよりも先の失言を謝った。あの事件はオカルトマニアで知らないものは無いと言われるほど有名であり、同僚は他のオカルトマニアと推測を語り合うのが好きだったので、言ってしまったのだ。

それは被害者にとっては不謹慎極まりない行為だった。まさか目の前の人が被害者とは思わなかったとは言え、謝って許される問題では無い。

だが、

「いや、謝ることじゃない。俺が言い出した事だ」

「あ、ああ。……でも、すまなかった。……それで、何があったんだ?」

同僚はジンが気にしていない事を知り、ほっとしつつも、事件の真相に1歩近づけるということで、好奇心を隠しきれないでいた。

「ハァ、……良いか?今から言うことは全部本當だ。頭のおかしいやつだって笑うなよ?俺も人から言われたら、まず、信じないだろうがな!」

と、前置きをして話始めた。これはお前を親友だと思っているから言うんだ、と言いながら――――

◆◇◆◇◆

三十年前、當時、九歳になったばかりの年は恐怖に震えていた。鳴り響く銃聲、怒鳴り散らす覆面を被った男達の聲、恐怖に押し潰され、すすり泣く聲、が止めどなく流れ、き聲をらす聲、そんな中、年は母親に抱き締められ、必死に聲を押し殺していた。

その景はあまりに無慘で、小さな年にとっては酷なものだった。否、大人でも吐き気を催してもおかしくはなかった。それほどまでにの匂いが充満し、いつ殺されるかわからないという張が重くのしかかっていた。

「大丈夫……。大丈夫だから、神様は絶対に見守ってくれてるから」

彼の母親はまだい我が子を抱き締めながらそう言った。その言葉は半場、自分に言い聞かせている様でもあった。

年だったジンは母親と銀行に今日、偶々來てしまい、當時、アメリカ全土を騒がせていた連続銀行強盜に巻き込まれてしまったのだ。

なぜ、今日なのか、なぜ、自分達がこんなめに合わなければいけないのか、ジンはいながらにこの理不盡な狀況に怒りをじていた。

銀行の外にいる警察は犯人に警告をするだけで何も出來ずにいた。ジンはなにやってるんだよ!!早く助けてよ!!と心の中でぶが、警察はかないのではなく、けなかったのだ。

この連続強盜事件は犯人を追い詰めすぎると、人質や近くにいた警察などを手當たり次第に殺してから自殺をするという手段を多用されてきた。まるで、金がしいのではなく、生け贄のしているように――――

それ故に、突もスナイパーによる狙撃も出來なかった。狙撃は一人でも撃ちらしがあった場合、人質が殺されてしまう可能があるからだ。

「おい、立て」

「ひっ!?」

強盜の一人が母親の頭に銃口を突き付け、低い聲で立ち上がるように促す。

「こい」

「……はい」

「早くしろ!!」

震えながら立ち上がった母親を強盜が無理矢理引っ張って窓際に連れていく。見せしめにするつもりだろう。

「ママ!!」

「お前はここにいろ!!」

「うわ!?」

連れ去られる母親に追いすがる様に駆け寄るが、もう一人の強盜に蹴飛ばされて地面に這いつくばる。

「ジン!!」

「お前は早く此方にこい!!」

蹴飛ばされた我が子を心配して駆け寄ろうとするが、強盜に腕を強く引かれて、窓際に連れていかれる。自分が今、一番危険な狀態にも関わらず、我が子の名前をぶ。

ジンの目には涙が浮かんでいた。痛いからではない。何も出來ない自分がけなかった。悔しかった。何も出來ずに這いつくばる自分が嫌いになった。それに何もしてくれない神に怒りをじていた。

――神様!!見てるんだろ!?なんで、なんで、何もしてくれないの!?……ねぇ、助けてよ!!ママを助けてよ!!……何でもするから!!……ねぇ、誰でも・・・いいから、助けてよ!!

その瞬間、願いが通じたのか、空間にヒビがった。

パキパキっとガラスが割れるような高い音が響く。そして、

「あれ?何処だここ?雑誌にあった店の近くに転移する筈だったのに……」

不思議そうに首を傾げる東洋人の青年が空間に出來たヒビを蹴破ってってきた。

だが、派手な登場だったにも関わらず、周りの人間は誰一人としてその男を見ていない。まるで、ジン以外には見えていない化のように……。

周囲の人間は自分じゃなくてホッとする者、ジンの母親に同的な視線を向ける者、撃たれた怪我人の手當てだけで手一杯の者しかいなかった。

男は周りを見回すと、眉をひそめただけで、もう一度、空間にを開け何処かへ行こうとした。

「お兄ちゃん!!助けてよ!!なんで見ないふりするの!?」

ジンは気がついたらんでいた。藁にもすがる思いで、助けを求めた。

周りは誰に言ってるのだ?と辺りを見回すが、男は驚いた様に振り返る。

「……俺が見えるのか?」

男は信じられない、とでも言うような顔をしている。

「ママを助けてよ!」

ジンはそれでも、男にすがりついた。ジンにもう、助けを求められるものがなかったから。

しかし、男は首を橫に振った。

「……悪いが、下界に干渉することは出來ない」

そう言って、男が空間を毆ると空間はひび割れ、ガラスが割れたように大きなが開いく。

「……それに、いちいち人間同士の爭いに付き合ってられるか。……切りがない。俺は甘いものを食べに來たんだ……」

男は吐き捨てる様に言いながら、割れた空間をごうとした。

「何でもするから!!助けてよ!!」

その言葉に男はピクッと反応した。周りは極度の張狀態と恐怖でまだ年がおかしくなってしまったのではないか、と心配している。

「おい、そろそろ黙れガキ!!」

何もない空間に・・・・・・・に向かって年が不気味だったのか、只々、煩かったのか、ジンの近くにいた銀行強盜が拳を振り下ろす。

ジンは迫り來る痛みに目をそらすが、いつまでたっても來るはずの痛みが來なかった。

不思議そうに顔を上げると、

「……今、なんて言った?」

「え……?」

いつの間にか、し離れた場所にいたはずの男が強盜の拳を止め、ジンを見下ろしていた。

漸く、目の前の男の存在に気がついたのかのように、周囲は騒然としていた。

「な、なんだ!!誰だお前は!?どっか――――」

「……お前には聞いてない。おい、なんて言ったか聞いているんだ」

突然何もないところから現れた男に誰何し、銃口を向けようとした強盜を見もせずに毆り飛ばし、男は再び、ジンに尋ねた。

「な、何でもする……」

「何でもする……か。覚悟はあるのか?」

有無を言わせない、男の求める答え以外を答えてはならない、という重圧のようなものをじながらも、ジンは答えた。

その答えに、男の口は裂けるように笑った。それはしい様で、そこの見えない恐ろしさがあった。まるで、絵に書いた魔王のような……。

「た、助けてくれるなら、ボクは悪魔とだって契約するよ!!」

それは本心だった。神が助けてくれないのならば、悪魔に魂を売ってもいい、と。

だが、

「悪魔だなんて人聞きが悪い。……俺は天使だぞ?」

男は頭の上にあるを指で弾いて笑う。

男は、ジンに背を向け、半円狀に囲みながら銃口を向ける強盜達に向かってゆっくりと歩き始めた。

こうして、ジンは契約した。悪魔なんて比較にらないほど恐ろしく、神よりも頼りになる存在と……。

自分のその後が大きく変わってしまうと知らずに――――

ありがとうございました。

なぜ、あのタイミングで天使(自稱)が転移する場所を間違えたのか、なぜ、年だけに見ることができたのか?その答えは神のみぞ・・・・知るってことで……。

天使(自稱)が年に求めた代価とは……?

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