王都に到著した。今日は一日中私が実化してき回れる日だ。さて、どこから回ろう？

ケイトからはあまり必要のないものは買うなと言われている。それは私でも分かっている。だって、そうじゃ無いと宿代が払えなくなってしまうのだから。アルガンスから宿を取ってもらえるはずだったが、ケイトはそれを辭退してしまった。理由を聞いてみると、流石にそこまでお世話になりたく無いとのことだ。

「ま、それは私には関係のない事だわ」

私は適當に大きな広場に來ていた。広場には子供達が遊んでいたり、カップルが噴水を背景にイチャツイテイタリ、店があったりして、々と賑わっていた。因みに私の服裝は、目立たない様にケイトに頼んだ代だ。ケイトは基本溫厚で思考がたまにアレ狂人だが、服裝などの學に対してはセンスがあると思う。それに……子よりも子と思えるような技を持っている。だから、どこか恨めしくも思う。

それはさておき、王都には見所がたくさんあって、どこに行こうか迷ってしまう。そんな中で、偶に私への視線をじるが、それは多分本へのだろう。そんな中、一つ面白い店を見つけた。それは特に特別なものを売っているのではなく、ただの鍛冶屋だった。

「いらっしゃい……って、ここはお嬢ちゃんみたいな子が來る所じゃないよ」

店にると、高齢と思われるドワーフのが出迎えてくれたが、追い返されそうになった。

「あ、すみません。ですが、ここから面白い雰囲気が漂っていたもので…………そう、例えば元所有者の思念が詰まった……とか？」

それを言った途端、ドワーフのの表が真剣になった。

「どうやら私の目も衰えて來たのかね……しかし、何故それを知っている？」

私は答えずに、腰の魔剣を揺らした。

「ハハッ、そう言う事かい。全く、世の中は面白いねぇ……全然飽きないよ。あ、ここに來た記念にこれを持って行きな。失敗作だけどね」

は真剣な表をすぐに崩すと、今度は笑顔でおよそ200本もの小さな針を私にタダでくれた。これはケイトにあげればいいか。喜んで何かに使いそうだし。

「それじゃ、今からそれを見せるから奧にりな」

私はの後から続き、とある部屋にった。そこには一つ大きな楽が置いてあった。

「これが……？」

「ああ、そうさ。この楽はタタンの角笛って言ってね、タタンって言う絶滅した魔のツノから加工された大笛だんだ。しかし、元の持ち主がとても特殊な格でね……その………好きになった相手をこの笛の音で催眠して、この笛を使って毆り殺していたんだよ。一応捕まったんだけどね…………因みにその赤いは殺された人たちのだよ」

「な、る程……」

ニンゲンコワイ…………そうだ、私は何も見なかった。うん、私が見たのは貴重な魔の角で作られた、赤く塗裝された角笛。何処にでもある呪いの武だ。そう、ごく普通の呪いの武……武？

しばらくして、私は鍛冶屋から他の場所に移した。その場所は大きな建で、以前の所有者が生きていた頃の建とは大きく文明が離れていて、私は唖然としていた。建の中には沢山のお店が構えてあり、ケイトの記憶ではデパートと呼ばれる建に近かった。あ、因みに最近になってやっとケイトの記憶にアクセス出來たのだ。どうしてそうしようと思ったのかと言うと、ただの何処にでもある好奇心だ。私と同じに魂を宿しているから覗く事ができる。しかし、れたのは良いものの、彼の記憶にはまだ鍵ロックの掛かったものが沢山あった。気になる……

そんな事を考えながら歩いていると、聲をかけられた。

「そこのお姉さん綺麗ですね！良かったらうちのお店でその洋服の話し込みで來ませんか？」

一人の店員と思われる金髪のが話しかけて來た。そして、私が答える間も無くは私の手を引き、建の喫茶店の中にった。そして店の奧まで連れて來らた。

「さて、ここなら他の店員も居ませんし、タップリと話が出來ますね！」

「は、はあ………」

イマイチ狀況が把握出來ない。私は何故ここに連れて來られたのだっけ？

「あ、自己紹介が遅れました。この喫茶店『ヤヘイ』の店長をやっています、メヌーです！因みに歳は永遠の17歳です☆」

永遠の17歳って………ええぇ……反応に困る…………

あ、ヤヘイ……気になったので、私はケイトの記憶にある報でヤヘイを検索………………あ、2番目に鍵ロックが掛かっていた記憶黒歴史にあった。えーと、本名はアヤワスカで、南アフリカのアマゾン川流域に自生するキントラノオ科のつる植バニステリオプシス・カーピーの事。また、カーピーにジメチルトリプタミンを含み植プシコトリア・ウィリディスやディプロプテリス・カブレラナを加え、煮出して作られた向神の飲料。服飲すると、嘔吐を伴う強力な幻覚作用をもたらす。主にアマゾン西部の先住民族がシャーマニズムの儀式や民間療法、宗教儀式に用いる…………って危ないやつじゃん！ご丁寧にも、調理方法やら忌の事までも記憶してある………前世で誰かを毒殺でもしようとした、もしくはしたのかしらね……この人ケイトは……

余談はここまでにして、次に私の自己紹介をする。

「私はサナ、一応旅人？歳は……16…（？」

「へー、その歳で旅をしているのかー。あ、理由は聞かないから安心してね！それじゃあいきなり本題！貴、お試しでも良いからここで働いてみない？」

「え、えっと、何故私がなのでしょうか？」

他にも人は居ただろうし、私なんかより斷然上玉の娘も居ただろう。

「うんうんそうだよね。いきなりそう言われたら困るよね！ま、簡単に言えば私の勘が言っていた、貴は働いたことがないと言う事を！」

「いや、働いたことが無いのなら何故――」

「チッ☆チッ☆チッ☆チッ。働いたことが無いからこそだよ！今、この喫茶店には足りないのは萌え！しかも、初験で恥じらう娘の萌えなのよ！」

ナニヲイッテイルノダロウカコノヒトハ。やはり最近の事は理解出來ない……そうだ！こんな時もケイトの記憶から意味を調べれば良いのか！えっと萌えは……も・える【萌える】意味：芽がでる。芽ぐむ。きざす……なんか思ってたのと違う……あ、続きがあった。萌え（もえ）とは本來の日本語では、草木の芽が出る（びる）様を言う………結局同じだった。

「萌え……ですか………？」

「そう！『萌え』なの！本當は制服を著せたいのだけれど、裝はそのままの方がいいわね。それと腰に下げた武だけど……そのままで良いかしらね。貴はなんだもの。護用として攜帯しておきなさい」

こうして意味も経緯も分からずに《魔剣：メラン＝サナトス》の一番初めに宿っていた魂サナは、喫茶店でバイトすることになった。