「さて、今日のお祈りも済ませたし、そろそろ教室に向かわないと……」

私は毎朝の習慣であるお祈りを済ませ、學園に設置された堂から出る。今日も風が心地よく、気分が良い。ただ、最近は何故か寢ても疲れが取れないことが多い。これはまだ祈りが足りないのだろうか？

そんな事を考えていると、私は自分の教室に著いた。教室にると、私は必ず挨拶をする。當たり前の事だろうが、行わない生徒がいる様なので私が手本にならなければならない。

「おはようございます」

聲をお腹の底から……と歌の様に言うわけでは無く、聖らしくお淑やかに私は挨拶をする。勿論、教室にり挨拶する前にお辭儀を忘れない。

私の挨拶は教室に響く、しかし誰も挨拶の返事がない。寂しいと思うが、実際はまだ誰も教室にいない。

だが私は気にせず自席に著く。噂ではこのクラスにあの私のを知った男が編して來るらしい。彼は興味が無いから誰にも言わないと言ったが、いまいち信用ならない。それに、可能だけれどキリちゃんのことを呼び捨てで呼んでいたからキリちゃんが危ない！

し考え事をしていただけで、いつのまにか教室が賑わっていた。楽しく最近の流行りの裝飾品の自慢をしあったり、今日の授業の容。それと、新しくこの學園に來た生徒の話題が私の耳にってくる。主に話されているのはやはり転してくる生徒の話だけれど、私は一人心當たりがあった。

他の生徒はまだ彼の容姿など知らないはずだから、「綺麗ながいいな」などと言う呆れた発言も當然ある。それに、長期休み明けに學長先生の言葉とかが無いので、新生を紹介する場がないから容姿も來る教室もわからない。

そこで先生が教室にって來た。

「さて、席に著きなさい。今日は々とあるからねー」

さすが冒険者の出なのか、貴族の子がいる中でも堂々との先生はフレンドリーに話す。まぁ、そこがこのクラスの生徒にとって好が持てる所なのだろう。誰も悪態は付かない。

「まずは面倒臭いけどこのクラスに転生が來たからそれの紹介ね。って來な」

私は先生のセリフにを聞いて耳を疑った。

このクラスに……転生？

「あの――」

私が先生に質問をしようとした時、教室の扉が開かれた。開かれた扉からは例の彼がって來た。肩に白い玉？で服裝はこの學園の制服。腰には刀と思われる得が二本一つの皮製の鞘に納められている。髪のは軽く整えられ、黒い髪に一房の不自然な緑がある。瞳は毒を連想させるような紫の瞳で、顔は若干整っている。

間違いない。彼だ！キリちゃんを呼び捨てした奴だ！

そして彼は教壇に立つと、目つきを変えて口を開く。

「ケイト＝オリサカ。一応こんな見た目ですが東が出です。貴族の子様方々に忠告だが、俺は敬意を払うのは苦手だ。最低限は払えるが悪いけど通常はこんなじになるから気にっても謝らない」

紹介がある意味最低だった。だが、そんなゴミを見る様な目で見られているのにときめいてしまった私は何⁉︎

勿論、他の生徒は不満を表に表した。そして彼に対する質問をする時間もなく、授業が始まった。

「はっはっはっは！試験の時の威勢はどうした！」

「五月蝿い！アンタの聲はいちいち耳に響いてウザい！それにアンタあの時、得を壊されて負けただろうが‼︎」

ローサム先生といい勝負をしている彼を見ていると、他の生徒たちの剣技が可いものに見える。ちなみに私は聖職者なので魔法の訓練を授業で行なっている。その休憩時間で見た景がそれだった。

木剣と木刀で打ち合っているはずなのだが。火花が散ったり、たまに金屬音がしたりして怖い。それに、ローサム先生の攻撃をけて骨折してもいている自彼が狂ってる様に思える。ってまた骨折⁉︎

「はっはっはっは、いやぁ弾戦は楽しいな！」

「あ"ぁ"ぁ"、骨折した腕邪魔！そしてアンタは本當に五月蝿い！」

一通り模擬戦？をしたローサム先生は意外といい顔をしていて、彼はその真逆で完全に苛立っていた。

本當は彼の骨折を治したくはないけど、聖であるからには差別は駄目ね。私はそのまま彼に近づいて聲をかける。

「あの……よかったら骨折を治しましょうか？」

「…………お願いします」

て、丁寧語……コロコロと口調が変わるわね………

「ではかけますよ」

―我らの（ry

〈復元リストレーション〉―

私は復元の治癒神法を彼の骨折した左の二の腕を戻す。本當は用できる様なものではない高位な神法なのだが、私の信仰心にかかれば朝飯前だ。

「二回目…か……ありがとう。だが、アンタは本當に聖なのか？」

「だから言っていますでしょう？私は聖です」

彼の発言の聲は正直言って、噓に聞こえる。それは、あえて私達學園側の生徒と故意的に隔たりを作り、悪役を演じようとしている様に思えた。

「ハァ…………そもそも、貴方はなぜ骨折をしてもこうとするのですか………」

「……も、目的をた、達…していないから………？」

溜息じりの私の疑問に、明らかにその場凌ぎの言い訳を彼は吐いた。

その様子が面白く、私は思わず笑ってしまった。

「フフッフフフフフッ……」

「なっ、これでも咥えて黙ってろ」

「フhモッ⁉︎」

彼はそう言うと、笑っていた私の口にらかく香ばしい何かをどこからか取り出し、押し込んだ。

押し込まれたそれは、認識するのに時間がかかったがパンだと分かった。しかも白パンで、仄かに甘い。所々にキューブ狀に近い甘酸っぱい何かが混じっていて、その食も面白い。唾でシットリとした部分にはさらに甘みが増し、食がモチモチとしている。だから、あっという間に私は詰め込まれたパンを食べきってしまった。

そしてまた食べたいと思ったと同時に、私は餌付けされている様な覚をじてゾクゾクしてしまった。

「あの聖様の口に食べを押し込んだ…だとっ……」

一人の男子生徒が呟く。それは非難と言うよりは憧憬と言える様なが注がれていた。

さらに、

「聖様が思うわず食べきってしまうほどのパン……私もしいなぁ」

と言う子生徒の聲も聞こえる。それらを聞いた彼は舌打ちをしてその場から離れた。周りから見れば、私に負けて逃げた悪者の様に見えるが、私は彼は違うと思った。

彼……いえ、ケイトは必死に悪役を演じる人で、褒められることに慣れていない。そして、無機な優しさを隠す様に努力している。

―だが、私は彼を認めない！

キリちゃんを呼び捨てで呼んだ彼は、私の中の立ち位置はまだグレーゾーン。しかも黒寄りの！この考えだけは変えたくは無い。変なプライドだけれど、聖職者にとっても悪い考えだけれど、捨てられないの！

私は知らない。その固定概念が出來た時のきっかけを。

そして私は知らない。自分の信仰している神を。