《人喰い転移者の異世界復讐譚 ~無能はスキル『捕食』でり上がる~》23 馬車は町を発ち地獄へ向かう
おそらく先ほど助けたあのは、ゴロツキ2人を殺したことを自警団にすぐさま報告するだろう。
捕まる前に、町をでなければならない。
追いかけてきた自警団を始末するというシナリオも考えたけれど、斜め前に見える大きな建を見て考え直すことにした。
あんな巨大な金屬の塊に、いくら能力が上がっているとは言え生で勝てるとは思えない。
それは鉱山から発掘された魔力を含有する鉱石”ミスリル”を用いて人工的に作られた量産型アニマ、”アニムス”の格納庫だ。
何らかの作業中だったのか、ちょうどり口の扉が開いていて、運良く巨大なアニムスの姿を拝むことが出來た。
さすがにこれ相手に生で喧嘩を売る気にはなれない。
周囲を見渡すと、僕たちと同様に、観客や商人らしき人々が足を止めてアニムスを見上げていた。
「こうやって見ると大きいね」
格納庫の前に立ち止まり、百合と共にアニムスを見上げる。
機の大きさは、三階建ての建よりし小さいぐらいだろうか。
7mほどあるアニマとほぼ同等の大きさだ。
「いつも私があの大きさになってると思うと、実が湧かないな」
「相手にするのは同じ大きさのアニマばっかりだからね」
今後、村を潰したりすることがあれば、その圧倒的な大きさを実できるのかもしれないけど。
「それにしても、なんか地味なデザイン」
「僕たちのアニマが派手すぎるだけだったりして」
「あはは、それはあるかも」
他のアニマを捕食しながら姿を変えるウルティオに、スカート型のブレードを武にする百合のイリテュム。
クラスメイトのアニマと比べてもかなり特徴的だ。
「あのアニムス、名前はプルムブムっていうのかな」
「うん、確か一世代前の王國軍の正式採用機だったと思う。軍からの払い下げ品を、それぞれの町の自警団が安く引き取ってるって話」
百合はアニムスの肩に刻まれる文字を読んだようだ。
プルムブム、おそらくそれがこのアニムスの名前なんだろう。
素材の味をそのまま活かすような鉛の機に、丸みを帯びたフォルム。
そのデザインからは、百合の言うとおり地味な印象しかけない。
武裝はソーサリーサーベルと頭部の両端に著いている小型のソーサリーガン、そして手に持った銃型のソーサリーガンのみというシンプルな作りだ。
「能力はどれぐらいなんだろ」
「HPは3000ぐらいだってアイヴィが言ってた気がするけど」
「んー……作られたにしては、そこそこなのかな?」
「戦闘力の面じゃどうしてもアニマには劣るみたいだね、アニマと違って町中で使えるってメリットはあるんだけど」
それでも、この世界の戦爭における主力兵はアニムスだ。
ミスリルさえあればいくらでも生産可能で、才能が無くとも訓練さえければ縦できてしまうのだから。
つまり、そのアニムスを凌駕する戦闘力を誇るアニマは、まさに切り札とも呼べる代だ。
王國がわざわざ異世界から使い手を召喚してまで、その戦力をしがった理由もよくわかる。
「あとは軍から払い下げられたアニムスが輸送用として再利用されてたり、戦場で大破したアニムスを修理して山賊が使ってたり、々活用されてるらしいよ」
「なんで岬はそんなに詳しいの?」
「アイヴィが座學で言ってたから。百合は聞いてなかったんだ」
「あ、あはは……戦爭とか機械とか、あんまり興味無かったから」
確かにの子はあまり興味の無さそうな話題ではあった。
毎晩寢不足で、疲れ気味だったってのもあるのかもしれないけど。
アニムスの観察を終えた僕たちは、再び町の出口へ向かって歩き始める。
後ろを振り向いても、誰かが追ってくる様子はない。
あのの子、自警団に通報せずに、怖くて逃げてしまったのかもしれない。
その方が都合はいいんだけども。
◇◇◇
プリムスを出た僕たちは、し離れた場所でアニマを発現させ、次の町であるディンデへと向かう。
道中は馬車で2日ほどかかる道のりだけど、アニマなら1日程度で済んでしまう。
時折現れる魔を蹴散らし、喰らいながら、心地よい風が吹く平野を進んでいった。
「今のところ追っ手が來る様子も無し、か。王都に居た頃は考えられないぐらい、今の方が平和な気がするよ」
「退屈だっていうのには同意するけど、森を燃やした岬が悪いと思う。あれじゃ追いたくても追っかけられないよ」
「足止めしすぎるのも問題か……追いつけるように、次の町は観しながら、しゆっくりしてみるのもアリかもね」
「例の見世小屋にったりして?」
「あれはどうなんだろうね、僕は見たいとは思わなかったけど」
例の見世小屋とは、プリムスで見かけたチラシに書かれていただ。
どうやら僕たちがあの町を訪れる前日まで開催されていたらしく、世にも奇妙なが見られるとおどろおどろしく書いてあった。
日本にも、何十年か前までは似たような催しが行われていたと聞いたことがある。
単純にや、すごい蕓を見られる見世小屋ももちろんあるんだけど、に障害を持って生まれてきた人を見世にしている場合もあると聞いたことがある。
どうにも僕は例の見世小屋が、後者であるとしか思えなかった。
ギロチンがショーにりうるぐらいの文化レベルだからね、この世界は。
「どうせゆっくりするなら、私は岬と二人きりで宿でゆっくりの方がいいかな」
「それもいいかもね」
果たして本當にゆっくり出來るのかは疑問だけど。
「もしかして、本當にゆっくりするだけとか思ってない……よね?」
「思ってないよ、なんで聞き返すかな」
「あんまりあっさりだったから不安になったの!」
今更あえて言うほど淺い関係でも無いのに。
會話のネタも盡き、ただ進むのも退屈になってきた頃、僕はふとあることを思い出す。
そう言えば、最近ステータスをあまり見てなかったな、と。
正確には、彩花を喰らってからか。
武裝が追加されているのは知っている。
けれど、ステータスという形ではっきりと見てしまうと、彼の死を否が応でも実させられるからだ。
気持ちがし落ち著いた今なら――見ても平気だろうか。
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名稱 ウルティオ
武裝 頭部ソーサリーガン
腕部火炎放銃:アグニ
腳部凍結機構:フリームスルス
非実剣:ソーサリーサーベル
実手甲剣:シヴァージー
実弓:ガーンデーヴァ
可変ソーサリーガン:殲滅形態モードブリューナク
可変ソーサリーガン:狙撃形態モードアンサラー
部大型ソーサリーガン:ヴァジュラ
スキル 親なる友スウィンドラー
卑劣なる俯瞰者ライフトーチャー
正義の味方ブレイバー
霧に消える悪意ソーサリーチャフ
魔弾の手イリーガルスナイパー
能力 Lv.39
HP 36200/39200
MP 19800/34000
出力 3660
機 3920
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ああ……やっぱきついもんはきついな。
結局、森の中で戦闘した2人からは武裝も何も奪えていないみたいだ。
一方で彩花は武裝もスキルも取り込めているという事は、捕食した相手との関係の深さが、捕食に多なりとも影響を及ぼしてるんだろうか。
それとも、ただの偶然なのか。
隠し腕やガトリングはしかった気もするけど、考えてみれば大蜘蛛や白鳥とまともに話したことなんて無かったしな。
「うわ……すごいステータス」
「そういや百合には見せたことなかったんだっけ?」
「なかなかアニマで一緒に行するってことが無かったから。本當に能力や武裝も吸収しちゃうんだね」
広瀬の武裝やスキルを見せたのはあまり良くなかっただろうか。
いや、これしきのことで傷的になるようだったら、最初から付いてきたりはしてないか。
「そういえば、百合のステータスも見たこと無い気がするな。一緒に旅をするなら確認しておきたいんだけど」
「う、こんなの見せられた直後じゃ見せづらいなー……でもいいや、岬に隠したって仕方ないもんね」
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名稱 イリテュム
武裝 実剣:ミセリコルデ
実導弾:ダガーミサイル
連結円環刃:スカートブレード
虛像破棄:ヴァニタス
スキル 獨り歩きする噓アフェクテーション
能力 Lv.21
HP  6800/6800
MP  9700/9700
出力 1150
機 2330
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知ってはいたけど、やっぱり機特化のアニマなんだ。
でも、彼はスキルで分を作ることが出來る。
単純に二倍とはいえないものの、火力は見た目の數字より高いと思っても良い。
それに、分を発させる武裝”ヴァニタス”の威力は、イリテュム自の出力が低くとも十分だった。
総じて、かなり優秀なアニマと言っても良いと思う。
「黙ってないで何かコメント言ってよ」
「數字以上に強いアニマなんだな、ってこと。あと、ダガーミサイルなんて武裝があるのを始めて知った」
「ああ……あれね、なんとなく恥ずかしいから使ってないんだ」
「恥ずかしい?」
「スカートブレードの中からぼろぼろーってミサイルが出てきて、それが相手に発されるの」
「それはまた変わった発の仕方っていうか……」
スカートの端を持ち上げながら武裝をばらまくっていうのは、ヴィジュアル面だけで言えばロマンはある。
でも、ロマンってのは得てして他人にとっては恥ずかしいものだ。
百合がそうじるのも仕方のないことなのかもしれない。
「あれ、これは……」
「どうしたの?」
「レーダーに反応あり、前の方に誰か居るみたいだ」
移中、僕はスキル卑劣なる俯瞰者ライフトーチャーを発させるようにしていた。
おかげで魔からの不意打ちをけることは無いし、こうして相手に気づかれる前に探知することもできる。
燃費も悪くないし、こんな素敵なスキルをくれてありがとう、中あたり。
「見たところ、一定速度で街道を進んでる。魔じゃ無さそうだ」
「アニマかアニムスってこと?」
「アニムスを使って商人が荷を運んでるのかもしれない、接してみよう」
「殺すわけじゃないんだ」
「相手が商人だとすると、レグナトリクス王國の人間とは限らないから」
「なるほど」
イリテュムがどすん、と手を叩き納得してくれた所で、速度を上げてアニムスとの接を試みる。
近づいてみると、アニムスが先導し、その後ろに複數の馬車が連なっているのが見えた。
あのアニムスは、隊商を魔から守るための護衛のようだ。
黃いカラーリングがやけに目立つが、カスタムされているだけで、ベースとなる機はプリムスで見たプルムブムと同じらしい。
後方からアニマが2機近づいていることに気づくと、プルムブムがきを止める。
「こんにちは」
敵意は無いことを示すめために、らかい口調で挨拶をした。
「おおっ、もしかしてあんたら野良のアニマ使いか?」
アニムスの外部拡聲機構から、中年男の野太い聲が聞こえてくる。
「はい、偶然アニムスを見かけたので聲をかけてみました。みなさんはディンデへ向かっているんですか?」
「ああ、シルヴァ森林があの調子だろ? 遠回りするにも遠すぎるんで、予定を変えてカプトじゃなくてディンデへ向かうことにしたんだ。そしたらいつの間にか、こんな大所帯になっちまった」
初対面のアニマ使いだというのに、相手が警戒心を抱いている様子はない。
聲がのだったことも、その理由の一つなんだろう。
になったことで得をすると、元男としては微妙な気持ちだ。
「嬢ちゃんたちもディンデに向かうのか?」
「はい、そのつもりです」
「ならちょうど良い、報酬は弾むから、よければ一緒に行ってくれないか? 護衛がアニムス一機だけじゃ、いざって時に対応できないかもしれないからな」
弱い魔だけなら問題はないかもしれないが、萬が一の時のために、ってことか。
馬車のスピードに合わせると、今夜は野宿ってことになるな。
まあ、でもあっちから頼まれたんだ、寢床と食料ぐらいは提供してくれるだろう。
「岬、ゆっくりするのは明日でもいい?」
「今日までなら……なんとか我慢してあげる」
「ごめん、ちゃんと埋め合わせるはするから。……というわけで、おじさんの依頼を引きけようと思います」
「助かるよ。魔が現れる時まで、あんたらは馬車の中でゆっくりしててくれていいからな」
言われた通り、僕と百合はアニマを解除する。
すると數人の商人が近づき、挨拶と共に握手を求めてきた。
コネを作りたいのが見え見えだ。
騎士の居ない今、それだけアニマ使いは貴重ってことか。
一通り挨拶をすませ、馬車に乗り込むと、隊商は再びディンデへ向かって進み始める。
さて……聞いた限りだと、全員がレグナトリクス王國出みたいだけど。
「今の岬、すっごい悪い顔してる」
「え、そうかな?」
「そうだよ、見てるだけでゾクゾクしちゃった。人がいる所でそんな顔しちゃだめだよ?」
「わかった、肝に銘じとくよ」
全くの無自覚だった。
けど、まあ――悪いことを考えているんだし、悪い顔になってしまうのも、仕方ない、か。
骸骨魔術師のプレイ日記
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