《召喚チート付きで異世界に飛ばされたので、とりあえず俺を転移させた神さまを召喚することにしました》第5話 プロメリウスってどこだよ
「はぁっ……ここまで……はぁっ……來れば……大丈夫、だろう……」
「そ、そうですね……」
しばらく走ったあと、俺とは一息ついた。
圧倒的に酸素が足りない。
荒い息を繰り返しながら、必死に酸素を取り込む。
見ると、の方は既に息を整えていた。
異世界人のほうが、引きこもりだった俺などよりもよほど力があるようだ。
當たり前か。
「ぜーはー……ぜーはー……ぜーはー……」
「あ、あの、大丈夫ですか?」
「だい……じょうぶだ……問題ない……」
俺の様子を見かねたのか、逆に心配されてしまった。
けなさすぎる……。
を鍛える必要があるな。
それから五分ほどかけてしっかりと息を整えた俺は、改めてを眺めた。
長は俺よりだいぶ低い。おそらく百四十センチくらいか。
肩くらいまでびた栗の髪は、し量が多いようにじる。
よく見ると、耳がし長い。
人間ではない種族のようだ。
「あ、あの。助けていただいて本當にありがとうございました!」
「気にしないでくれ。困ったときはお互い様だからな」
俺がそう言うと、ははにかんだ。
のある可らしい笑顔だ。
かわいい系だな。
「でも、テンタクルフラワーを追い払う時に召喚をしてらっしゃいましたよね? 私のために、貴重な霊石を使っていただいてしまいました……」
「あー、大丈夫だ。霊石にはそんなに不自由していない。あまり気にするな」
「そ、そうなんですか……?」
「ああ」
霊石はまだ57億個ほどある。
1個使った程度、誤差の範囲だ。
「……もしよかったら、私たちの村に來ていただけませんか? ぜひお禮をしたいです!」
「お禮なんてそんな……。いや、折角だしお願いしようかな」
日本人の癖で斷りかけるが、そういうことならお言葉に甘えさせてもらおう。
俺としても、この世界のことをもっと知らなければならないと思っていたところだ。
この申し出はとてもありがたい。
「そういえば、お名前を教えていただいても?」
「あー。俺の名前は……ソーマだ」
相馬は苗字だったが、そう名乗る。
俺はあまり自分の名前が好きではない。
この世界ではソーマと名乗っても支障はないだろう。
「ソーマさんですか。あっ、申し遅れました。私の名前はフィンといいます」
「フィンか。よろしくな」
「はい!」
フィンの住む村は、すぐ近くにあるという。
村まで案してもらう道中で、彼から々な話を聞くことにした。
彼の話を聞く限り、森に薬草を取りに行く途中、魔――テンタクルフラワーに襲われたらしい。
よくある話だ。
というか、あれはやはり魔なのか。
観察眼ではテンタクルフラワーと表示されていたが。
フィンにそれを尋ねるかし悩んだが、やめておいた。
スキルというのがこの世界でどの程度のものなのか判然としない以上、不審に思われる言は極力避けるべきだ。
「いやー、それにしてもソーマさんは召喚士の方なんですね! びっくりしちゃいました」
「ま、まあな」
どうも。ほとんど木の棒しか召喚できない召喚士です。
フィンがびっくりしたということは、召喚士は珍しいのだろうか。
いや、フィンはおそらく、俺の召喚を見てジョブを判斷したはずだ。
ということは、召喚自を見たことがないわけではない。
多は珍しいくらいのかもしれないが、そこまで希なジョブというわけでもないだろう。
もしくは、この場所にいるのがびっくりしたという意味だったのかもしれない。
「ということはやっぱり、プロメリウスに向かう途中だったんですか?」
「ま、まあな」
プロメリウスってどこだよ。
向かうということは、都市か何かの名前だろうか。
「……実は、ずっと遠いところからやって來たものでな。こちらのことがまだイマイチよくわからないんだ」
さすがに誤魔化しきれないと思ったので、しゲロってしまった。
なかなかうまくはいかないものだ……。
「あ、そうだったんですか! プロメリウスは、この辺りでは一番大きな都市の名前ですよ」
「なるほど。召喚士と言ってもまだまだ未なでね。しっかり働かないと生活もままならないからな」
「そうですよね……。今は々と厳しい時代ですしね……」
適當に話を合わせていると、フィンの顔に僅かに暗い影が落ちた。
厳しい時代なのか。
「それはやっぱり魔王のせいなのか?」
「はい……。この國でも國境近くでは魔族との戦いが起きてますからね。私たちの村も、絶対に安全とは言い切れませんし……」
「そうか……」
それでも、比較的安全なほうではあるのだろう。
今のところ地理も何もわからないので、フィンの表から推測するしかないが。
そんなことを話していると、景が明らかに変わってきた。
森を抜け、視界が大きく開ける。
最初に視界にってきたのは、小さな川だ。
太のを浴びて、水面がきらきらと輝いている。
そういえば、が渇いていたのを思い出した。
こちらの世界に來てから、全く水を口にしていないのだ。
今まで気にならなかったのは、初めて現地人と話して気を張っていたせいだろうか。
「その川の水は飲めるのか? が渇いてな」
「えっ? うーん、飲めないこともないと思いますけど、たぶんお腹壊しちゃいますよ」
フィンの反応は悪い。
こちらの世界でも、川の水は飲むものではないようだ。
「もうしで到著するので、ちょっとだけ我慢してくださいね。家に著いたら冷たいお水を出しますから」
「……すまないな。ありがとう」
「いえいえ」
苦笑するフィンの顔を見ていられなくなり、俺は顔を背けた。
この世界の普通の人なら、が渇いたからといって川の水を飲めるかなどとは聞かないだろう。
完全に変な人認定をけてしまっているような気がするが、仕方ない。
またしばらく歩いていると、明らかに人工のものが見えてきた。
木造の家だ。
近くの畑では、農作業をしている人の姿もある。
何故か、家らしき場所から黒い煙が上がっているところもあった。
それが見えているはずのフィンの様子がなにも変わらないので、村焼きのようなことにはなっていないようだが。
よく見るとそれは家ではなかった。
小さな男が、かまどのようなの前で何かの作業をしている。
炎の熱気がこちらまで伝わってくるようだ。
何をしているのかはすぐにわかった。
あれは鍛冶屋だ。
初めて実を見ると、えも言われぬがあるな。
「著きましたよー。ここが私たちの村です」
「おお……」
そして俺も、ようやくフィンの種族に思い至る。
彼はドワーフだ。
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