《召喚チート付きで異世界に飛ばされたので、とりあえず俺を転移させた神さまを召喚することにしました》第15話 盜賊
――盜賊。
正直、現実があまりない。
現代の日本では考えられなかった単語が、今現実の存在として目の前にいるのだ。
「ソーマさん! 盜賊です!」
フィンの聲が聞こえて我に返った。
どうやら彼も狀況を把握したらしい。
馬車から降りて、近くにいる盜賊の男を迎撃していた。
「はぁぁああっ!!」
び聲と風を切る音が同時に聞こえた。
勇ましいフィンの聲だ。
フィンが持っているのは巨大な槌だった。
ちょっとした子供くらいの大きさがある。
先ほどまでは持っていなかったので、インベントリから取り出したのだろう。
裝飾などは一切ない、単純な攻撃力に特化した槌だ。
そんな鉄の塊を、フィンはいとも容易く振り回していた。
化けじみた腕力とスタミナだな。
盜賊の男も、そんなフィンの姿にし腰が引け気味だ。
あれが當たればどうなるか、想像しただけで恐ろしい。
というよりも、あんなか弱そうながそんなものを振り回すなどと、誰が想像できるだろうか。
フィンのほうは、ひとまず大丈夫そうだ。
俺は周りを見渡す。
苦戦しているところはないか。
一番近いのはパパさんが戦っているところだ。
パパさんも、フィンと同じような槌を使って盜賊二人を相手にしている。
今のところ危なげな様子はないが、次の一瞬にどうなっているかわからないのが戦いだ。
俺は躊躇していた。
元引きこもりだった俺に、戦いの経験などあるはずもない。
昨日テンタクルフラワーからフィンを助けるのだって、無我夢中だったのだ。
しかし、相手は盜賊だ。
この世界で生きていくのに、盜賊との戦闘は避けては通れない道だろう。
「……クソっ!」
殺さなければ殺される。
やるしかない。
幸いにも、俺には先ほど手にれたレア武がある。
ただの剣よりは役に立ってくれるはずだ。
俺はインベントリから朧脆剣もうぜいけんタンザナイトを取り出す。
それを手に持った瞬間、不思議と力がみなぎってくるような気がした。
「おらぁぁあああああ!!」
腹の底からび聲を出しながら、俺は盜賊の一人に向かってタンザナイトを振るう。
パパさんの方に意識が向いていたそいつは、突然剣を振るってきた俺にほとんど反応できていない。
盜賊の男はとっさにタンザナイトの刃を剣でけた。
「へ?」
タンザナイトは盜賊の剣をあっさりと両斷し、その勢いをころさずにそのを豆腐か何かのように切斷した。
完全にR18Gな景が目の前に繰り広げられている。
全のが逆立つのをじながら、俺はできるだけそちらの方をあまり見ないようにして、もう一人の盜賊の方を向く。
盜賊の男は、仲間の無殘な姿を見て完全に戦意を失っていた。
そんな隙を突いて、パパさんの槌が盜賊の男に向かって振るわれる。
強烈な一撃が、盜賊の男の腹部に直撃した。
盜賊の男のが、その場に崩れ落ちる。
「ふう、なんとかなりましたね。ソーマさんも大丈夫ですか?」
「あ、ああ。大丈夫だ」
パパさんは、スプラッタなことになった死を見ても平然としている。
これくらいのことは當たり前なのだろうか。
よくわからない。
というか、タンザナイトの切れ味が凄まじい。
本當に人間を切ったのかと疑問に思わせるほどだ。
初めて人を殺してしまったが、それを悩むのは後回しにする。
「よろしければ、フィンのことを助けてやってくれませんか? 私はこれ以上戦うのが難しそうなので……」
「わかった」
そこで俺は初めて、パパさんが槌をし不自然に持っていることに気づいた。
右手は添えられているだけで、ほとんど左手だけで持っているような狀態だ。
俺が來る前に、何か攻撃をけていたのかもしれない。
こちらに來てよかった。
パパさんと別れ、フィンを探す。
彼はすぐに見つかった。
相変わらず、盜賊の男と戦狀態だ。
狀況はほとんど変わっていないように見える。
しかし、フィンの背後にもう一人の盜賊が迫っていた。
そいつが迫っていることに、フィンは気づいていないようだ。
「フィン!!」
「えっ!?」
とっさにがいていた。
フィンの背後に迫っていた盜賊に向かって、タンザナイトを振るう。
俺の存在に気付いていなかったのか、先ほどと同じように盜賊の反応がし遅れた。
俺のタンザナイトに合わせるようにして、手元の剣で斬撃を弾こうとするが、無駄だ。
タンザナイトは盜賊の剣を両斷し、次いで盜賊のをも切り裂いた。
先ほどと同じような景が、再び目の前に展開される。
一つ違ったのは、目の前に青の破片が飛び散り、タンザナイトが々に砕け散っていたぐらいか。
……ん?
「えっ」
手元には何も殘っていない。
俺の右手は、ただ宙をつかむように手持ち無沙汰にしていた。
「はぁぁ!? うっそだろ!?」
朧脆剣もうぜいけんタンザナイトは、見事なまでに砕け散っていた。
青の欠片が目の前に広がり、まるでそこに何もなかったかのようにその存在が消失する。
「いくらなんでも脆すぎるだろ!? 二回しか使ってねぇぞ!?」
正確には、盜賊の剣二本と盜賊の二人分だが。
それにしても耐久値が異様に低い……。
もしかしなくても、『その刃の前にはあまりに脆い』とかいう説明文は自己紹介も兼ねていたのか。
盜賊を一撃で屠れるほどの威力だったので、能はかなり良かったようだが、耐久値がこれではハズレ枠になってしまうのも納得だ。
とはいえ、俺はガチャをほぼ無限と言っていいほど回せる。
耐久値はゴミだが、使い捨ての武として見れば能面では何の問題もない。
今後も召喚することができたらインベントリに保存しておくことにしよう。
俺がタンザナイトについて考察していると、片手に槌を持ったフィンが近くまでやってきた。
先ほどまでの様子からあまり心配はしていなかったが、戦闘は無事に終わったようだ。
「あ、ありがとうございますソーマさん。さっきのき、凄かったですね……!」
「え? そうなのか?」
「はい! とっても素早く華麗な一撃でした!」
「そ、そうか。ありがとう」
本當に剣を習っている人間からすればど素人もいいところだっただろうが、フィンの目にはそう映ったらしい。
おそらく能力についても剣についていたスキルのおかげだったのだが、黙っておくことにした。
タンザナイトは壊れてしまったから、どうせ証明することもできない。
「なんとか盜賊を全員追い払えたようです。ソーマさんもありがとうございました」
「ああ。フィンが無事でよかった」
「えっ!? あ、ありがとうございます……」
フィンの顔がし赤い。
戦闘によってが溫まっているのだろう。
しばらく休んだほうがよさそうだ。
他の盜賊たちも、すべて倒されるか敗走したらしい。
なんとかなってよかった。
ドワーフ側の損害は比較的軽微だったようだ。
積み荷が盜まれたということもない。
ただ、死者は出なかったものの、負傷者は出た。
數人の村人たちとともに、負傷者には引き返してもらうことになった。
品は村長らしき人が責任をもってプロメリウスで売ってくるそうだ。
盜賊たちの所持品も村のものになるらしい。
まだ生きている盜賊は、奴隷として売り払う。
プロメリウスでそれらを売り、村のドワーフたちに還元するとのことだ。
殘念ながら、俺が倒した盜賊たちの裝備品は使いにならなくなっていたので、俺の取り分はない。
相変わらずの一文無しである。
「大丈夫。パパ……?」
「これくらいなら大丈夫さ。すぐに戦うのは厳しいかもしれないが……」
「そう? それならいいんだけど……」
パパさんは大丈夫だと言っていたが、一応他の村人から手當スキルによる治療をけていた。
手當をけると完全に回復したようで、俺やフィンとしても一安心だ。
それにしても、手當のスキルを使う人を初めて見たが、やはり手當は回復スキルとしては最弱レベルなのだろう。
それでも無いよりははるかにいいだろうが、召喚や観察眼と比べるとし弱いような印象をける。
とりあえず、また機會があれば試してみることにするか。
パパさんの怪我も大したことはなかったので、そのままプロメリウスに向かうことになった。
それからは特に何のトラブルも起きることはなく。
俺たちはプロメリウスに到著した。
【書籍化/コミカライズ決定】婚約破棄された無表情令嬢が幸せになるまで〜勤務先の天然たらし騎士団長様がとろっとろに甘やかして溺愛してくるのですが!?〜
★書籍化★コミカライズ★決定しました! ありがとうございます! 「セリス、お前との婚約を破棄したい。その冷たい目に耐えられないんだ」 『絶対記憶能力』を持つセリスは昔から表情が乏しいせいで、美しいアイスブルーの瞳は冷たく見られがちだった。 そんな伯爵令嬢セリス・シュトラールは、ある日婚約者のギルバートに婚約の破棄を告げられる。挙句、義妹のアーチェスを新たな婚約者として迎え入れるという。 その結果、體裁が悪いからとセリスは実家の伯爵家を追い出され、第四騎士団──通稱『騎士団の墓場』の寄宿舎で下働きをすることになった。 第四騎士団は他の騎士団で問題を起こしたものの集まりで、その中でも騎士団長ジェド・ジルベスターは『冷酷殘忍』だと有名らしいのだが。 「私は自分の目で見たものしか信じませんわ」 ──セリスは偏見を持たない女性だった。 だというのに、ギルバートの思惑により、セリスは悪い噂を流されてしまう。しかし騎士団長のジェドも『自分の目で見たものしか信じない質』らしく……? そんな二人が惹かれ合うのは必然で、ジェドが天然たらしと世話好きを発動して、セリスを貓可愛がりするのが日常化し──。 「照れてるのか? 可愛い奴」「!?」 「ほら、あーんしてやるから口開けな」「……っ!?」 団員ともすぐに打ち明け、楽しい日々を過ごすセリス。時折記憶力が良過ぎることを指摘されながらも、數少ない特技だとあっけらかんに言うが、それは類稀なる才能だった。 一方で婚約破棄をしたギルバートのアーチェスへの態度は、どんどん冷たくなっていき……? 無表情だが心優しいセリスを、天然たらしの世話好きの騎士団長──ジェドがとろとろと甘やかしていく溺愛の物語である。 ◇◇◇ 短編は日間総合ランキング1位 連載版は日間総合ランキング3位 ありがとうございます! 短編版は六話の途中辺りまでになりますが、それまでも加筆がありますので、良ければ冒頭からお読みください。 ※爵位に関して作品獨自のものがあります。ご都合主義もありますのでゆるい気持ちでご覧ください。 ザマァありますが、基本は甘々だったりほのぼのです。 ★レーベル様や発売日に関しては開示許可がで次第ご報告させていただきます。
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