《召喚チート付きで異世界に飛ばされたので、とりあえず俺を転移させた神さまを召喚することにしました》第21話 お風呂問題と初依頼
しばらく必要になりそうな生活必需品を買い揃え、俺たちは冒険者ギルドへと足を運んでいた。
著替えなどのこまごましたものが多くなったので、買ったものはかばんにまとめて突っ込んでいる。
こういう時にインベントリはし不便だな。
このまま依頼をけに行くわけにもいかないので、しばらく滯在する宿を探すことにした。
冒険者の中にはそういう者も多いらしい。
無し草のようなものだ。
冒険者ギルドの依頼板の隣に、宿屋の報が記載された紙が大量にられている。
しかし、俺はまだ文字が読めない。
「フィン、何て書いてあるのか読んでくれるか?」
「あっ、わかりました!」
俺の代わりにフィンに読んでもらうことにする。
そのうちフィンに文字を教えてもらわなければならないが、今日は仕方ない。
今夜にでも改めて頼んでみようか。
「夢幻の庭園亭。一泊三百五十ディール。食事なし、お風呂もなしですね」
「うーむ」
上から順に読み上げられていくが、あまりピンとくるものがなかった。
正直どこも大差ないように思える。
宿泊料金は昨日のところと比べると安めだ。
平均するとだいたい三百から三百五十ディールくらいか。
もちろんシャワーが付いているわけでもなく、朝食も付いていない。
朝食のことを考えると、昨日の宿がそこまで劣悪というわけでもないだろう。
シャワールームが付いているような宿屋は數がない上に、かなり割高になる。
最低でも一泊七百ディールほどだった。
「シャワールームがあるだけでここまで高くなるのか……」
「シャワールーム?」
「あー。フィンの家にあったような風呂のことだ」
実際はしというかだいぶ違うのだが、そう説明しておく。
「宿屋にそこまで求めるのは、ある程度懐に余裕のある人たちでしょうし、仕方ないですよ」
それを考えると、やはりあの村でのドワーフ達の生活はかなりかなものだったのだろう。
とにかく、日本人である俺としてはずっと風呂にらない生活は厳しいものがある。
シャワーだけでもいいのでなんとかしたいものだ。
「俺は正直シャワー付きのところがいいんだが、予算の問題もある。フィンはどう思う?」
「うーん。正直私もお風呂付きのほうがいいですけど。依頼を一日に三個も四個もけられますかね?」
「まあ、厳しいよな……」
ランク1の冒険者がけられる依頼は、それこそ駆け出しでも頑張ればこなせる程度の簡単そうなものが多い。
その分報酬もそんなに多くないのだ。
多くても四百ディールまでのものが大半で、それ以上のものはほとんどない。
手持ちの金にはまだ余裕があるが、ずっと赤字ならいつかは破綻してしまう。
稼いだ日銭以下の宿に泊まるのは當然のことと言える。
二人でシャワー無しの三百ディールの宿に泊まっても、それだけで合計六百ディールかかる。
毎日依頼を一つけるだけではとても足りない。
それどころか、シャワー付きなら毎日千四百ディールだ。
ランクが上がっていけばわからないが、今の俺たちではとてもじゃないがそこまで稼ぐのは無理だろう。
どうしたものだろうか。
「ただプロメリウスには公衆浴場があるので、シャワー無しのところに泊まって、そちらを利用したほうがいいかもしれません。公衆浴場なら安いところだと五十ディールほどですし」
「公衆浴場があるのか?」
「はい。昨日の宿の近くにもありましたよ」
「ふむ」
公衆浴場があるというのは初耳だ。
というより、俺はこの世界の人たちは風呂にる文化がないのではと思っていたのだが。
「もしかして、こっちの人も風呂にる文化自はあるのか?」
「えっと、そうですね。貴族様のような大きなものは家に置けませんが、公衆浴場でお風呂にる人は多いと思います」
なるほど。そういうことだったのか。
別に風呂にる習慣が無いというわけではないのだ。
ただ家に風呂があるという人がないだけで。
「そういえば、公衆浴場というものも初代勇者によって提言されたと言われています。私もそんなに詳しく知ってるわけじゃないんですけど」
「そうなのか」
初代勇者さんもこの世界に多大な貢獻をしたようだ。
魔王を倒しただけではないらしい。
そんなことを言いながらも、俺は一つの宿屋に當たりをつけた。
一泊あたり三百二十ディールで、シャワールームや食事はついていない。
だが、すぐ近くに公衆浴場があると書いてある。
とりあえずここに行ってみるか。
「じゃあ、ここに行って荷だけ置かせてもらって、その後依頼をこなすことにするか」
「そうですね。そうしましょう」
フィンの同意も得られたので、次はける依頼を選ぶことにする。
しかし、フィンに依頼書を読んでもらっても魔の名前がわからない。
仕方ないのでフィンに適當に見繕ってもらうことにした。
「ソーマさんならランク1の魔なんて全然大丈夫ですよ。あ、じゃあレタスプラントの狩猟にしましょうか。この時期のレタスは味しいですし、しくらい食べちゃっても依頼に支障はありませんよね」
「すまない。フィンが何を言っているのかわからない」
レタスプラントってなんだよ。
狩猟と言うくらいだから、魔の一種なのだろうか。
でもレタスだよな……?
謎は深まるばかりである。
結局フィンの押しに流され、俺たちはレタス二十個の納品という依頼をけることにした。
レタスプラントの狩猟なんて書かれていないんだが……。
ちなみに二十個に屆かなくても、一個単位で冒険者ギルドで買い取っているらしい。
もちろん二十個納品したほうが報酬は良くなる。
というか、もしかしなくても、今朝のサンドイッチに挾まれていたレタスっぽい野菜はレタスプラントのものだったのだろうな……。
そんなどうでもいいことを思い出しながら、俺とフィンは記念すべき初依頼をけることになったのだった。
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