《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第0話の19 出會い2
===ユウキ視點========================
結局、奴らに目的を聞くことが出來なかった。
俺はアイアンメイデンも、塊も、ガリ勉も置いて部屋を出る。
そして、この宮殿に殘っている僅かな反応がある地下牢へと向かった………。
地下牢へと向かう廊下にあるランタンに火が燈っている。恐らく、最近もここに來たんだろう。
俺は廊下を歩き、その先にあった鉄の扉を蹴り飛ばした。
その先には一本の通路があり、その両側には牢屋があった。そして、扉の近くから奧までに至るまで、が廊下を赤く染めていた。
「……うげ、あいつら一何やってたんだよ…」
俺はの上を踏みたく無いので、魔素を固めて足場にして、地面に浮いたように歩く。
反応は奧の牢屋から4つ。どれも衰弱しているのか、息を潛めているのか、ちっともいていないが、"探知"で生者かどうかはすぐ分かるからな。
俺は反応のあった牢屋の前に立ち止まった。牢屋の格子の近くには既に息を引き取っているどこかの貴族か騎士かよく分からないが、それなりに分の高そうな事が分かるほど豪華な服を著たおじさんが転がっている。
反応はその奧、部屋の隅で固まっているみたいだ。
「居るのは分かってる。俺はあのよく分からない頭の狂った奴の仲間じゃない。數十年前にこの世界に來た、お前らと同じ日本人だ」
しすると、牢屋の奧の空間が歪んで見えたかと思いきや、4人の日本人が現れた。
1人は肩よりし長い程度の髪の、大人しめの子。
1人は頰と左目に縦の斬り傷のある、気の強めそうな男子。
1人は右腕を無くした、表の暗い短髪の子。
1人は右手に両刃直剣を、自分たちを隠すように持っていた、俺を凝視しているゆるふわっぽい髪がおへそ辺りまである子。
どうやら、剣を持っている彼が自分たちを隠していたみたいだ。さしずめ、"自やの回りの人を認識するのを阻害する"とか、そういった類いの『ソウルウェポン』なんだろう。
「……今から牢を開けるよ」
俺は格子の上部分を攻武で切り落とす。音を立てて、格子が牢屋の方へ倒れるが、彼たちには屆かなかったようで安心した。
「あなたは一……」
剣を持った彼が、ゆっくりと俺に近づきながら聞いて來た。
俺は一瞬、名前を言うか悩んだが、信頼を得るために正直に言った。
「俺はユウキ。正當な召喚で呼ばれてないから、苗字とか日本での記憶が結構無いんだ。お前たちは?」
彼は、周りの3人を見た。周りの3人は、靜かに頷いた。
それを見た彼は、決意したように俺を見て言った。
「私は空みそらめぐみ。ユウキ……さん、お願いです。斗真を止める手伝いをしてください。お願いします」
彼は靜かに頭を下げた。続けて3人にも頭を下げた。
斗真はあの特に狂ってたあの男だろう。もともと俺はあいつの報を聞き出すためにこいつらに會いに來たんだが、まあ手伝いっていう事にしとくか。
「ああ、別に良いぞ。あと、俺の事はユウキで良い」
俺は背を向けて、通路を歩き始める。後ろでピチャピチャと音が鳴ってる事からしっかりとついて來てるみたいだ。
その後、地下牢から出て、取り敢えず4人と集まって、宮殿の応接室で今後の事を話し合う事にした。
因みに、大人しめの子が北原梨沙、傷のある男が宮園拓真、片腕の無い子が宮野つぼみだ。
「まず、ここにいた勇者は全員じゃないんです。あと6人居て、その6人は一番強いので魔神討伐へと向かっているので留守なんです」
めぐみが部屋をゆっくりと回り歩きながら説明しているのを、部屋の中央にあるフカフカの椅子に座りながら聞く。
他の3人も俺の対面にある長椅子バージョンにを寄せ合って座っている。
「私たちは6人が苦戦した時の増援、もしくはこの國の守護、もしくは6人が死んでも代わりとなれるようにこの國で待機していました」
「そんな時に、斗真たちが自分たちの『ソウルウェポン』を使ってこの國を乗っ取りました。もちろん、私たちや他の人たちも止めようとしましたが、いわゆる二軍の人たちだったんで、私たち勇者は牢へ、國関係者はその場で殺されるか拷問されました」
「そして、國の人たちが居なくなると今度は私たちに矛先を向けて、一日ずつ仲間が消えていきました………」
「そんな時にユウキが來てくれたんです」と、めぐみは悲しげに笑った。
きっと、めぐみの友達がその殺された中にも居たんだろう。
「……何でだっ!何で何だよっ!!」
突如、拓真が聲を荒げて立ち上がった。
手を握りしめ、悔しそうで、怒った顔になっている。
「前の日までは楽しく過ごしていたのに!あんなにみんなで笑い合っていたのに!どうして……!!」
拓真はそれだけ言うと、この部屋から出て行った。
つぼみは膝を左腕で抱え、それを見た梨沙が抱きついている。
めぐみはともかく、殘りの3人は完全に牙を折られている。ならーー
「なあ、その6人組はいつ帰ってくるんだ?」
「……多分半月辺りで帰ってくるかと」
時間は充分にある。正直、俺1人で行ったら早く済むかもしれないが、俺にはあいつの行パターンやら目的が皆目見當がつかないし、やって損は無いだろう。
「おし、めぐみ。他の奴に言っといてくれ。明日から特訓開始だとな」
「え?特訓?」
「また明日の正午、ここに來るから々用意しとけよ」
「え?ちょっーー」
俺は戸うめぐみを無視して、村へと転移した………。
「……よし、ただいーー」
「やっぱり待ちきれないっ!!」(ドンッ!!)
俺は家の扉の前で10分も躊躇った上に、やっと扉を開ける決心がついたかと思いきや、いきなり扉が開いて顔面を強打した。
「あぁぁ!ユウキぃ!ごめんね!」
俺を心配するティフィラの顔が、どうにも懐かしくじるのは、あの出來事があれだけ濃くて、キツイ事だったのかもしれない。
俺はティフィラが差し出してくれた手を取って立ち上がり、言った。
「ただいま」
あれから半年の時が過ぎた。
壊滅狀態だった宮殿だが、王が王位を継承して、無事に國をかせている。
そんな中、俺はあいつらの所へ毎日行き、『ソウルウェポン』の扱い方や魔法、武の指導をした。
まず、めぐみ。
めぐみの『ソウルウェポン』は白い薔薇の枝のような模様がある両刃直剣で、能力が"自から半徑2mにいる認めた人と自を認識出來なくする"という、中々強い能力だ。
簡単に言うと明人間になれる能力だ。
次に拓真。
拓真の『ソウルウェポン』はまさかの甲冑で、もちろん、全裝著型だ。
能力は"自の機能の大幅強化"と"剣の無限製造"だ。
拓真の甲冑の耐久も申し分ないが、甲冑なので、比較的傷つきやすいのが弱點だ。
次は梨沙。
梨沙の『ソウルウェポン』は一見ただの木の弓に見えるが、その威力はかなりのものだ。その時は外だったんだが、試しにってもらったところ、宮殿に小さなが貫通してしまった。
弱點としては、矢を1つずつしか生出來ないらしいので、一回一回をしっかりと當てないといけない。
最後につぼみ。
つぼみの『ソウルウェポン』は彼の周囲に浮かぶ5つの手のひらに収まる程度の大きさの剣だ。
能力は"剣が突き刺さっている間は魔法を発出來ない"という、魔法を主に使う人たちからしたら、恐怖でしかない能力。
欠點としては殺傷能力がほぼ無いくらいだ。
そんな4人の修行期間も終わった。何故なら今日、魔神討伐に出た奴らが帰ってくるらしいからだ………。
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乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル 【書籍化&コミカライズ】
【TOブックス様より第4巻発売中】【コミカライズ2巻9月発売】 【本編全260話――完結しました】【番外編連載】 ――これは乙女ゲームというシナリオを歪ませる物語です―― 孤児の少女アーリシアは、自分の身體を奪って“ヒロイン”に成り代わろうとする女に襲われ、その時に得た斷片的な知識から、この世界が『剣と魔法の世界』の『乙女ゲーム』の舞臺であることを知る。 得られた知識で真実を知った幼いアーリシアは、乙女ゲームを『くだらない』と切り捨て、“ヒロイン”の運命から逃れるために孤児院を逃げ出した。 自分の命を狙う悪役令嬢。現れる偽のヒロイン。アーリシアは生き抜くために得られた斷片的な知識を基に自己を鍛え上げ、盜賊ギルドや暗殺者ギルドからも恐れられる『最強の暗殺者』へと成長していく。 ※Q:チートはありますか? ※A:主人公にチートはありません。ある意味知識チートとも言えますが、一般的な戦闘能力を駆使して戦います。戦闘に手段は問いません。 ※Q:戀愛要素はありますか? ※A:多少の戀愛要素はございます。攻略対象と関わることもありますが、相手は彼らとは限りません。 ※Q:サバイバルでほのぼの要素はありますか? ※A:人跡未踏の地を開拓して生活向上のようなものではなく、生き殘りの意味でのサバイバルです。かなり殺伐としています。 ※注:主人公の倫理観はかなり薄めです。
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