《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第25.75話 魔神を狙うもの
===魔神視點==================
「でっ!では、始めっ!!」
気弱そうな職員の掛け聲で始まった決闘は、獣人の男の先制攻撃から幕を上げた。
「せぇやっ!!」
男は斬馬刀を思いっきり振り下ろし、砂埃が舞い上がる。勿論、砂埃が舞い上がるって事は、
「"グラビティキャノン"」
妾は男の一振りを軽く躱し、"グラビティ"を改変させて、重力を橫に、それもキャノン系みたいに威力を溜めたものを男の腹にぶつける。
「ぐはぁっ!!!」
男は反吐を吐きながら決闘場の壁へと衝突した。
「しょっ!勝者!!モリー!!!」
気弱そうな職員の宣言で決闘は幕を閉じた。
「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」
野次馬の様に決闘を観戦していた冒険者達は靜まりかえるが、そんな事はどうでもいい。
それより、付嬢のところへ……!ところが、いつもの付嬢なら心配して駆けよってくれるはずじゃが、付嬢はその場から微だにせず……。
なんじゃ、その目は?何故、いつものように接してこん?何故、妾から後ずさる?何故、を震わせておるのじゃ!!
「……ばっ、化け」
付嬢がを震わせて呟いた。
「……………っ!!」
ああ、そうか。こやつが好いておったのは優しいエルフの妾であって、魔神の妾ではない。魔神のようにけなくぶちのめす妾ではなく、せめて、酒場の時のような軽めの対応をする、優しいエルフの妾を好いておったのだ……。
「くっ!!」
妾は全速力で《冒険者ギルド》から出て行き、村の通りを駆け抜ける…!途中、何回人の肩に當たったか分からないほど……。
目から溢れる涙を顧みず、"強化"も使い、山の貫通トンネルを抜ける。職員らしき人が妾を止めようとしたが、それをことごとく躱し、前を歩いておる人達を避け、《ブリュンビレ》へと向かう。
《ブリュンビレ》に著いたのは、その日の深夜。當然、門は閉まっており、今日は野宿。
「ひっ……ぐっ、…ぐすっ」
妾は門から離れた所で魔法で土で出來た小屋を作り、隅で泣き明かした……。
>>>???視點>>>>>>>>>>>>>>>>>
「効果は?」
「勿論、抜群さ♪」
「魔神は?」
「《ブリュンビレ》近くの森の中で泣きまくってるよ♪」
「回収出來るのは?」
「うーんと、1週間後になりそうかな」
「そうか、準備を怠るなよ」
「へいへい」
>>>魔神視點>>>>>>>>>>>>>>>>>>
「う、う~ん」
妾は目を覚ます……中が痛い。そうか……あの日は"強化"をフルに使って、この小屋の隅で泣きまくっておったのか……。
「取り敢えず、外に出よ」
妾は小屋の維持を解くと、みるみる小屋は崩れ、辺りは木で覆われていた。
日が高い事から、今は晝頃か。
遠くには門が見える。取り敢えず、今は街の中にるとしようかの…。
並ぶ事、30分。漸く、る事が出來た。分証明として、ギルドカードを見せると、守衛はかなり驚いておったが、すぐにれてもらえた。
《ブリュンビレ》、連合國直屬の防衛都市。人口はどれぐらいおるのか知らんが、かなり多いのはわかる。
あまり意識はしてなかったが、壁は高さ30m、厚さ5mもある。その壁の上には、都市公認の魔師が常時駐屯しており、街には所々に警備隊がウロウロ。《冒険者ギルド》も凄くデカイ。そして、この街では、分証明出來るが無かったら何も出來ない徹底。確かに、連合國隨一の防衛都市だと言える。
ここに、もしかしたら奴が……。
「取り敢えず、《冒険者ギルド》に行こう」
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
「初めましてっ!!ブリュンビレギルドへようこそ!!冒険者ですか?それとも冒険者志者ですか?」
妾が偶然にも、考えなしに並んだ付は、エルフの付嬢じゃった…。
「冒険者です」
妾はギルドカードを差し出す。
「えっ!?Aランク!?すごいですね~~!!その若さで!同じエルフとして応援してますね!!」
やめてくれ、嫌な事を思い出さんでしい。
「きっと、他の冒険者から妬まれたりして、決闘などを申し込まれる事もあるかと思いますが、頑張ってくださいね」
不幸にもこやつはあの付嬢と似ておる……!
「時にはその強さから、他の人に"化け"と言われる事もあるかと思いますが、お気になさらないでくださいね」
「……………………!」
やめてくれ!これ以上、あの付嬢を思い出させんでほしい……!
「もしも、あなたの事をめるような人が現れたら、私に相談してくださいね?私はあなたの味方ですから」
不意に頭をよぎったのは、あの言葉。
『……ばっ、化け』
「………っ!!やめろっーーーー!!!」
(ドゴォーーーン!!!)
「あ」
忘れてた……。妾は、魔神は、が高ぶり過ぎると、魔力が暴走して発するんだった…。
発による煙が晴れるとそこには、酒を飲んで笑い合っていた人達が、些細な事で言い合いをしていた人達が、さっきまで妾に一生懸命話しかけていた付嬢が、まみれになって倒れていた。
「ど………し……て………?」
さっきまで妾に笑顔を向けながら話しかけてくれていた付嬢は、掠れた聲を出し、恐怖一の目、表をしていた………。
「あ、あぁぁぁ!あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
頭が真っ黒に染まっていくような覚がだんだん強くなっていく。今までの人を思いやる気持ちや嬉しかった気持ち、人の役に立ちたいと思った気持ちが薄れていく………!
ああ、どうして妾は魔神として生まれてきたのじゃ…………。
===???視點=================
「どうやら、魔神に変化が現れたらようだな。これも貴様の"遊び"か?」
「いいや、これに関しては僕は何もしてないよ……。でも、そんな"イベント"も"遊び"の醍醐味さ。それに………」
「?」
「この"イベント"、いや、ハプニングと言った方がいいかな?確かに予定とは違うけど、こっちとしては嬉しいハプニングさ!!」
「ふん、変わり者の貴様だが、実力は信頼している。……しくじるなよ?」
「分かってるよー、『暴神』」
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魔神の心が壊れていく話でした……。はっきり言って、自分で書いてて、とても悲しかったです。なんか、申し訳無くじました。魔神に。
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