《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第52話 開催に向けて
===リリ視點========================
「おい!聞いたかよ、武闘大會の話っ!」
「ああ、もちろんだ!」
「あの頭の堅い代表者とギルドマスターがよく開催に踏み込んだな!」
「噂によると、旅人の4人が説得したらしいぞ!」
「え!?俺が聞いたのは冒険者2人だそ!?」
「まあ、どっちでもいいじゃねぇか!!今年も開催する事になって!!」
あの夜から3日後、街の代表者であるガルトとギルドマスターであるガイラが大々的に武闘大會開催を宣言しました。武闘大會開催は2週間後。それぐらい開けないと遠くの人は來られないからです。
現在の街中では、武闘大會開催を喜ぶ人達やそれに向けてトレーニングを開始した人達、大會に出す屋臺とかを準備する人達などが出てきて、街は活気に溢れました。急な発表でも文句1つ言わず、笑顔で準備する人達は、參加する人達や大會に屋臺等を出して稼ごうとする人達に多く、辛そうな顔で準備しているのが運営側の人達です。なにせ、ついこないだまで中止すると言ってたトップ2人が急に開催と言い出したんです。何の準備も出來ていない中、2週間は長いようで短いのです。
そんな街中を私とルルは手を繋いで歩きます。ティフィラさんとエルガさんとは別行。オリナは宿で待機中です。
私達の目的地は街の役所、あのガルトとかいう男がいるところです。ティフィラさんとエルガさんは冒険者ギルドです。
私達の目的は、しっかりとガルトとガイラが命令を遂行しているかの監視。実は、武闘大會開催の発表までの3日間も同じ事をやっていましたが、それはティフィラさんとエルガさんだけ。私達は………寢込んでいました。
ルルは勿論、『魔導』の酷使による魔力欠乏と調不良。『魔導』はすごい魔法なだけであって、消費量も尋常じゃないようです。
私は………人殺しを実した事による調不良です。あの日、私は怒りに任せて1人の男を殺してしまいました。それを思い出すだけで、吐き気が止まらなくなって、ティフィラさんに強力な"スリープ"をかけて貰わないと寢られないほどでした。
そして、偶然か、私とルルが回復した時に武闘大會開催宣言がされたという事です。
「……………姉さん、大丈夫?」
私があの日を思い出していると、ルルが私の手を強く握ってきました。足も止めず、顔は前を向いたままだったけど、ルルが心配してくれているのはよく分かります。
「………大丈夫。ルルは?」
「……平気」
ルルはいつも通りの無想な顔だったけど、その瞳には悲しみがこもっているのはすぐ分かりました。
「……早く行こう!ついでに登録もしに行こっか!!」
「……………!うん!」
私がメソメソとしていたら、妹に心配されてしまう。たまに忘れそうになるけど、私がお姉ちゃんなんだから!私がしっかりしてないと!!
私はルルの手を無理矢理引っ張りながら駆け出す。ルルは驚いていたけど、すぐに私と同じペースで走ってくれた………。
「はい!これで登録完了です!!2週間後の大會でこの札を渡してくださいね!!」
「「はい!」」
無事、手続きが終わって茶の細長い札を貰いました。この札には特別な魔法陣が組み込まれているらしく、何も書いていないように見えても、特別な魔導を使えば表示されるようです。
因みに、さっき私達の登録の対応をした職員は、私達が騒ぎを起こした時は非番だったらしく、普通に対応していたのをあの場にいた職員は職務を放棄してハラハラしながら見守っていました。………変な事や悪い事をしなかったら何もしないのに………。
「……………姉さん、摑まって」
「あ、そうだね」
ルルは魔導書を開いて、その中を凝視しながら、私に手を差し出してきました。それを見て、"転移"であの男の部屋に行くのを思い出し、ルルの手を取ります。ルルはしほっぺを赤らめながらも"転移"をしっかり使いました……。
「…………はぁ、はぁ、著いたよ」
「ありがとね、ルル」
「………大丈夫」
著いた部屋は、黒と赤を基調とした大人らしい部屋で、ところどころに飾ってあるトロフィーは武闘大會に関するものでしょう。質の良さそうなソファ2つの間にテーブルがある応接室のような空間とし離れたところに執務機があり、そこにガルトが座っていました。
ルルは魔力を大量に消費して辛そうにしながらも、執務をし続けるガルトを見る。
いくら、魔導書によるサポートがあっても"転移"は國を滅ぼせる階級である英雄級の魔法。消費魔力は尋常じゃないのに、1人で発でき、意識を保っていられるのはルルとティフィラさん、そして師匠と守姫さんぐらいです。
「…………止め」
ルルの小さな聲でも、すぐにピタッと止まるガルト。その顔は隈だらけで疲労が見える事から、不眠不休でいていた事が分かりました。
「………狀況を説明して」
「はっ。現在、出來る限り職員を総員させて中央闘技場の調整等や周囲の街などにビラ配り、《ブリュンビレ》に警備の依頼などを例年通りにやっております」
「………そのは人間。適度に休まないと作業効率が落ちる」
「承知」
ガルトは私達の前に跪くと、機械的に説明し始めました。その聲は機械的ながらもの疲労が隠しきれておらず、それを気にしたルルは休みもれるよう指示して、部屋にあった窓に向かう。"転移"を2回も使えるほど、ルルは魔力が殘っていないから、窓から外に出るように決めていた通りだ。それを向きを私達の方へ向けて跪くガルト。
「…………また來る」
「はっ」
ルルは一言殘して窓から飛び降りる。私も後に続いて飛び降りた。ここの役所は二階は無い。當然、あの男の部屋も一階にあり、そこの窓から飛び降りても、大したダメージにはなりません。というか、かなり高いところから飛び降りないとダメージはけません。それぐらい強くないと、師匠の厳しい修行にはついていけませんしね。
「…………どうする?」
「うーーん、ちょっと寄り道して行く?」
「………うん」
ちょっと小腹が空いてきたので、買い食いをしに行く事にしました!
「はいよ!鹿の串焼き2本!!」
「ありがとうございます!銀貨4枚です!」
「丁度だね!まいどあり!!」
味しそうな鹿の串焼き2本と銀貨4枚を換して、串焼きの1本をルルに渡す。
「……ありがとう、姉さん」
「ふふっ、どういたしまして」
「ん!らかくて味しい!!」
「………ほんとだ、味しい」
味しい串焼きを頬張りながら、街中を歩きます。歩行者の中には私達と同じように買い食いしている人がちらほら見えました。
遠くからであまりよく見えませんでしたが、丸くて湯気が出ている食べを味しそうに食べているのを見て、今度はそれを食べたくなってきて、その食べが売っていそうな屋臺を見つけました。看板には『たこ焼き』と書かれていて、茶の丸い絵が書かれていたのできっとこれでしょう!
「ねぇ、ルル、今度はあの『たこ焼き』ってのを食べてみない?」
「…………うん、食べる」
私達はし行列が出來ている『たこ焼き』と大きく書かれた看板のある屋臺を並びます。並んでいる間、暇だったので、看板に書いてある小さな字を見て見るとそこには、
『昔、この世界を救うために異世界から來てくださった勇者様伝承の食べ!!』
と書かれてありました。
「ねぇ、異世界から來たっていう勇者様の食べらしいよ!」
「…………それは気になる」
私達はウキウキしながら『たこ焼き』という食べに想像を膨らませながら、順番待ちをしました………。
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今回出て來た勇者様は、過去、初めて現れた《キングミノタウルス》を倒すために呼ばれた勇者です。
その他にも呼ばれた勇者はいて、今回の魔神を倒すために呼ぼうと一悶著したほど、勇者に頼りきっているところもあります。
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