《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第54話 師匠と勇者

===リリ視點========================

「師匠って、異世界から來たんですか?」

私の言葉にティフィラさんは顔をしかめ、エルガさんも真剣な表になりました。

「どうしてそう思うの?」

「今日、『たこ焼き』というものを食べました。それは師匠が作ってくれた『お好み焼き』にすごく似ている食べで、その『たこ焼き』は異世界から來た勇者様が作ったのが最初らしいです」

ティフィラさんの眉がいた。あれは揺している証拠。

「ユウキがその『たこ焼き』を前から知ってて、それを改良したのが『お好み焼き』だと思うけど」

「いえ、師匠は異世界から來たと思います。だって、その『たこ焼き』を作ったのが『ユウト』と言うんですよ!」

「「……………!!」」

『ユウト』と言った瞬間、ティフィラさんもエルガさんも目を見開いて、明らかに驚きました。

「それにっ!その勇者様は黒髮黒目だったそうですし、今思い返してみたら、歴代の異世界から來た勇者様は皆、黒髮黒目だと言われていました!!だとしたら、師匠は異世界から來たんじゃないんですか!?」

私の意見を聞いたティフィラさんはゆっくりと私の目の前で腰を下ろし、俯きながらゆっくりと話し始めました。エルガさんは宿に設けられた窓から外を眺め、ルルは私の右隣で座り、オリナも左隣に座り、私もその場で腰を下ろして、ティフィラさんの話に耳を傾けました。

「私がユウキに會ったのはどこかも分からない村だった。當時の私は腹の立つクソみたいな実験でむしゃくしゃしていて、誰一人信じられなくて、村を見つけては破壊し、強奪する毎日を過ごしていた時に、ユウキがいた村を見つけたの」

ティフィラさんはが滲み出るほど手を握りながらも、落ち著いた聲で話しています。

というか、師匠は最初は旅人じゃなくて村人だったんだ…………。

「その村はあまり大きくなくて、魔が普通にはびこるこの世界では、小さくても村を囲む壁やら塀を作るものだけど、その村は何もそういったものがなかったの。最初はなんて破壊しやすい村なんだと思ったわ。いざ、破壊しようと惜しむ事なく霊を展開した時、それを見た村人達は何をする訳でもなく、ただただ普通に過ごしていたわ。それに腹が立って、霊魔法を撃とうとした時、ユウキが現れたの」

師匠が出て來た時のティフィラさんの聲は明るい気持ちが現れていて、し映嬉しそうな聲でした。

「ユウキは私を見て、最初に言ったのが「迷子なのか」よ。今思い出したら笑えるけど、當時の私は全てに怒りを覚えていたから、いきなり霊魔法をぶっ放したわ。けど、それをユウキは二本の『ソウルウェポン』の斬撃で防いだ。純白の大きな片刃直剣と漆黒の片刃直剣でね」

「二本の『ソウルウェポン』を持つ人族なんて、私のような存在しかいないのに、あろうことか私は同類に會えた事に喜んだ訳じゃなくて、同類にすら裏切られたと思っちゃったの。ほんと、馬鹿だったわ、あの頃は………」

「そして、私とユウキは2日間、寢ずに戦い続けたわ。こんな事は初めてだったらしく、村人達は1日目の夜辺りから漸く私に怯え始めたわ。……ほんと、どんだけユウキを信用していたのかしらね」

師匠とティフィラさんは2日間も戦い続けたんだ………。集中力と力がもう凄かったんだ………!

「結果は………、まあ、私の負けよね。倒れた私を村人達は牢にぶち込んだわ。當然ちゃ、當然だわ。私はここで処刑されるのを悟って、ユウキとの戦闘で疲労しきったに鞭打って獄しようとした時、牢にぶち込んだ村人達が私を解放したの。訳が分からず、ある屋敷のような家に連れてかれたらそこには村長らしき爺さんとユウキが居たわ」

「もしかして………」

「ええ、ユウキは村長に頼まれて用心棒をしていたらしく、私を牢から出さないと出て行くと村長に言ったらしいわ。その事は後から聞いたけど」

師匠らしい………。

「それからは、私とユウキの二人で村を守ったわ。最初は警戒されたけど、ユウキが私の安全を周りに言い回ったらしく、打ち解けるのにそこまで時間はかからなかった。その頃は村長が用意してくれた小さな家に二人で住んでいたから、まるで新婚みたいだったわ~」

新婚あたりで顔がふやけるティフィラさん。やっぱり、そこはブレてない。でも、二人きりっておかしくない?

「あれ?その家に守姫さん達はいなかったんですか?」

「ええ、あの日、ユウキに呼び出されて家に行った時に初めてみたわ」

ということは、師匠は守姫さん達の存在を隠していたのか、それともいなかったか、実化出來なかったという事かな?

「まあ、とにかく、その家でユウキの事を々聞いたわ。それで、私と同類だと分かったんだけど、そこでユウキが言ったの。「他の世界に行ける魔法は無いのかな」って」

「「「!!!」」」

え……つまり、師匠は異世界から來て、帰る方法を探していたの?……確か過去の勇者様は課せられた目標を達していたけど、元の世界に戻れたという事は聞いてない!つまり………元の世界に帰れた勇者様はいない………。

「最初は何言ってるんだろう?と思ってたけど、ユウキは便利な道を沢山持ってたわ。『ライター』に『車』、『蛇口』とか々。私じゃ考えもしない発想に毎度驚かせられていたのを覚えてる。そんなある日、王都で勇者召喚があったらしいの。それを聞いた時のユウキの反応は尋常じゃなかった」

多分、その召喚は先代魔神を倒すための召喚で、勇者召喚の歴史上、初めて勇者様が完全敗北して、強いとされる勇者様が負ける相手を『全能の大英雄』様が倒したからこそ、今なお名を知られる大きな理由の一つ。

「とまあ、これが私が知ってるユウキと異世界との関わりよ」

ティフィラさんの話の半分は師匠との馴れ初めだったような気がするけど、とっても貴重な話しでした。

「………そういえば、お師匠様は勇者召喚を聞いてどうしたの?」

「あ!そういえばそうね!どうしたんですか師匠は?」

「………確か先代魔神と勇者が近々ぶつかるという報せを聞いた時に「會いに行ってくる」とか言ってそのまま帰って來なかったわ……….」

「え?」

「気になった私は、村の周囲に"グランドキャニオン"で壁を作ってからユウキを捜す旅に出て、暗い表になっていたけど何とか見つけて、一緒に魔神を倒す旅に出て、道中でクソ野郎エルガとイアに出會ったの」

「師匠はどうして暗くなってたんですか?」

「何でも、勇者の一人を殺したそうよ」

「「え!?」」

「ああ、勇者の中でも魔族に通じていた勇者だったらしいだけど、「同じ日本人を殺してしまった」と泣きながら私に抱きついて來たのを覚えているわ!」

地味に抱きつくの部分を強調してくるティフィラさんにイラッとしちゃったけど、平常心を取り戻しながら頭の中を整理する。

「師匠はそれから元の世界に帰る方法を探していたんですか?」

「いや、全く」

あれ?師匠は元の世界に帰る事を諦めたの?それとも帰りたくなくなったの?

「何とも言えない話しじゃの……」

「…………結局、お師匠様は勇者なの?」

「「あ」」

「そこら辺はどうなんですか?」

「いや、自分の事を勇者とは言ってなかったわ」

「その頃に勇者召喚は行われていなかったはず………」

「「「「んーーー?」」」」

師匠の謎が解けたのか深まったのかよく分からず、私達は夜まで首を傾げながら師匠について語り合いました………。

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次回、いよいよ武闘大會開催!!

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