===リリ視點========================

「そうですね………、この辺りで武闘大會ってやってません？」

「はい？……………まさか！賞金狙いで荒稼ぎする気か！？」

「しませんよ！ただ、探し人が武闘大會によく參加する人なんですよ！！」

「あー、なるほどな。ちょっと待ってろ」

嫌な誤解もあったけど、しっかり伝わったようで、アギラさんは神殿の奧に行きました。そこに周辺地域の事とかが書かれている地図でもあるんだと思う。

「…………姉さん」

「ん？何？」

「……あいつ、姉さんの事を賞金を荒稼ぎする迷な奴だと誤解した。………あいつを消し炭にーー「駄目！」……分かった」

はぁ、ルルはたまに度が過ぎる発言をする事があるから気をつけないとね。……消し炭とか普段言わないのに……。こういう人を大事に思いすぎて気が短いところは師匠にそっくり。

「うーん、この辺りには無いようだ….」

「そうですか……」

アギラさんは地図を見ながらやって來て、し殘念そうに言いました。殘念だけど、無いものは無いし、仕方けどんな村に降りて聞き込みをしないと……

「力になれなくてすまないな」

「いえいえ、アルナ様に會わせていただけただけで謝しています」

私達は握手をして、扉へと向かいます。すると、扉の向こうで何やら騒がしくなっているようで、怒鳴る聲や喚く聲が小さく聞こえます。

「「「？？？」」」

私達は何が何だか分からず、扉を開けると、そこには酔っ払ったエルガさんが神達と腕相撲をしていました。それもかなりガチの。

「はぁ、一何をしているですか？」

「はあ？見て分からねぇか？腕相撲だよ！腕相撲！！」

私が腕相撲をしようとしているエルガさんに話しかけると、気が荒くなっていて、口からはお酒の匂いが凄くして、思わず鼻を押さえて距離を取ってしまいます。

「いくぜぇぇ！！レディー、ゴー！！」

「おぉぉっ！りゃぁぁぁあ！！」

「弱っちい！弱っちいぜぇ！！」

かなり酔っているとはいえ、師匠が認める実力者。軽く神を吹っ飛ばすほど腕を叩きつけ、見事勝利。

「勝者！エルガァァ！！」

「「「「「「「「「うおぉぉぉぉ！！」」」」」」」」」

「イェーーイ！！」

よく見たら、神達も酔っています。………一、私達が居ない間に何が？……そういえばティフィラさんは！？

「ティフィラさんはどこ！？」

「………！姉さん、あそこ」

ルルが指差す方を見ると、そこには飲み比べをしているティフィラさんとその隣で潰れているオリナとアイが。

「うっ！もう無理だ～！」

「うふふふっ！ま～た～わたしっの勝ちぃ～」

大柄な男の人が苦しそうに倒れるのを見て、酒を飲み干した後に男の頭をペチペチと叩きながら嬉しそうにするティフィラさん。呂律が回っているのが不思議なくらい酔っています。

「ちょっとティフィラさん！！一何をしているんですか！？」

「ん～～～？これは～これは～～！ユウキのお気にりである～リリさんと～ルルさんではありませんか～～！！」

ああ、おかしくなってる。ティフィラさんは立ち上がって私とルルの間にり、肩に手を回してユラユラと揺れながら喋ります。

「あのー、大丈夫ですか？」

「大丈夫～、大丈夫～。お気にりさん達の手を～わずわらせる訳にはいきませんから～～！！」

もうどうしよう？これじゃあ今日はけないよね？

「すみませんが、ここでお暇させていただきます。ルル、ちょっとティフィラさんをお願い」

「ん、任せて」

私はティフィラさんと一緒に飲み比べをしていた神達に挨拶をした後、ルルにティフィラさんを任せて、エルガさんのところへ向かいます。

「おらおら！俺に挑戦する奴はいねぇのか！？」

「あんた強すぎ！！」

「勝てる訳ねぇよ！！」

「あぁ！？それでも漢かよ！！」

小さな男の子らしからぬ発言をしているエルガさんの前に立ち、腕相撲用のテーブルに腕まくりをしてから腕を置きます。

「おぉ、おぉ！！やんのか！？」

「ええ、お願いします」

「いいぜぇ！！捻り潰してやるよ！！」

誰かもわからない審判にしっかりセッティングしてもらい、手を握り合って、見つめ合います。審判が握り合った手を両手で包み込み、10秒くらい経った瞬間、

「ゴー！！」

両手を離し、開始の掛け聲をしました。それに合わせてエルガさんは"強化"を使い、思いっきり私の腕を叩きつけようとしますが、そうはいきません。私も"強化"を使います。

「おぉぉぉぉ！！」

「はぁぁぁ！！」

私とエルガさんが握り合った手は、開始から1mmもかず、テーブルがミシリミシリと音を立てるだけ。狀況は全く変わらないかと思いきや、徐々にエルガさんの腕がテーブルに近づいていきます。

「ぬぅぅおぉぉぉ！！」

「い い 加 減！諦めてください！！」

変に抵抗するエルガさんを圧倒的な力でねじ伏せました。つまり、エルガさんの腕がテーブルにつき、私が勝ったって事です。……まあ、テーブルは木っ端微塵、エルガさんは勢いを殺しきれず、地面に頭をぶつけ、気を失っていますが。

私は気を失っているエルガさんの腕を私の肩に回して立たせます。

「では、お騒がせしました」

私とルルは酔っ払っている大人を擔ぎ、オリナとアイはルルに浮かせてもらって、昨日、野宿した《アブェル》近くの草原に向かいました。

「はぁ、何やってたんだろう？」

私とルルはポーチから出したテントにエルガさんとティフィラさんを橫たわらせ、オリナとアイも同じようにしてから私達も食事と風呂を終えて一緒のテントに橫たわります。

「…………まあ、明日聞こうか」

（コクコク）

「じゃあ、おやすみ」

「………おやすみ、姉さん」

私とルルは疲れていたので、抱き合って深い深い眠気にを委ねました………。

「………………っ！？ルル！！」

「………うん！"リフレクト"」

師匠の修行をけていたら、寢ていても覚、特に危険察知の覚が研ぎ澄まされているようになってしまい、私達は起きてしまいました。起きた瞬間見えたの矢をルルに跳ね返してもらいながら、ポーチを肩にかけ、ルルのポーチも肩にかけさせてあげながら、破れたテントから出ます。

周りを見渡すと、ティフィラさん達がいるテントには何もされていないみたいで、魔法陣もありません。という事は…

「姉さん！また來た！！」

ルルに言われて正面を向くと、の矢が今度は50本、私達に向かって飛んで來ます。私はルルの前に立ち、ポーチから鉄の棒を取り出し、魔力を通して細長い両端が尖った槍にし、それを私達の前で円になるように回転させて防ぎます。

「…………一何者？」

今は多分深夜。の矢は屬中級魔法の"ライトアロー"の可能もあるけど、威力が高いし、一つ一つが大きいし、何より、飛距離が長すぎる。あのの矢は恐らくあの山から來てる。一応目が慣れて來ているから見えない事も無いけど、ここから山までは普通に遠い。"ライトアロー"でこの飛距離はかなり魔力が無いと無理だと思う。それこそ、私達くらい。

「………また來た」

今度は80本、ほとんど一本一本が來る時間が同じくらいになっている事から、一回で80本近くの矢を放っている事になる。そんなの"ライトアロー"では無理。つまり………

「…………ルル、多分これは……」

「…………『神の強ゴットグリード』の仕業」

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