《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第?話 強き頃
===ユウキ視點========================
(ガキィィン!キィィン!)
金屬音が寂れた廃工場の中で響く。勿論、この金屬音は工場にあるよく分からないボロボロな機械が出している訳ではない。この金屬音は俺の剣と敵のガントレットがぶつかり合う音だ。
「ふぅっ!」
「ちぃぃっ!」
俺は上段から左肩にるように袈裟斬りをし、それを相手がガントレットを差させてけ止める。金屬がれ合う音と苦しそうな息遣いが聞こえる。
「………お前の負けだ。諦めろ」
「何を……!言ってやがるっ!!人間風がぁぁ!!」
相手は怒りに任せて俺の剣を跳ね除ける。しかし、その負荷にガントレットが持たなかったようで、両手のガントレットが同時に砕け散る。
「なぁぁっ!?くっ……!クソがぁぁ!!」
やかましい相手の心臓に俺の剣を投げつける。を貫いたくらいじゃ勢いが殺しきれず、相手のを通って背後にあった機械に突き刺さった。それほど危険な機械ではなかったようで、発もせず、ただ突き刺されたままになっている。
「……………人間風が………」
相手は多量のをと口から吐き出して背中から倒れた。俺はそれを一瞥した後、工場の出り口に置いておいた通學カバンを背負って歩き出した。
「………あ、もう2限目始まってる……」
これから向かう學校で叱られる事が確定した事に嫌気をさしながら………。
「おいっ!今日も遅刻か!!」
職員室の扉を開けて真っ先に怒鳴って來たのは擔任だ。真ん中だけハゲた頭に薄っすらと青筋が見えるのは気のせいだろう。
「………すみません、寢過ごしました…」
俺はもはやお決まりとなった言い訳を言い、頭を下げる。勿論、何回も同じ理由を言っている訳だから、擔任も更に怒りをわにして………
「何回も何回も同じ理由で通ると思うなよっ!!ユウキィィィ!!!」
今日もバカみたいな音量でび、鉄拳を下ろした。
「……………う~ん、やっと終わった~~!!」
擔任が丁度居ないタイミングなので、俺は一杯、びをする。機には建前だらけの文字が並べられた反省文の用紙が置かれている。本來なら擔任に見せて、OKを貰ってから帰らないといけないのだが、そんなのを守る必要は無いと勝手に判斷してカバンを持って教室を出た。
廊下から階段、階段から下駄箱までを自然な足取りで進む中、考えるのは今日戦った相手。
………日に日にああいう連中と戦う頻度が多くなっている……。特に高校2年生に上がった瞬間から急激に多くなった。……そもそも連中は何者なんだ?お姉さんと同じ神なのか?………分からない……聞き出すか?休日の時に來たなら。
「ただいまー」
俺は玄関から階段を上り、そのまま部屋にる。部屋でカバンを下ろし、制服から部屋著に著替え、部屋を出て階段を下り、テレビが置かれているダイニングに向かい、テレビをつける。
夕方であるこの時間帯はニュースがよくやっているので、適當にチャンネルを変えていると、今日の事がニュースになっていた。
『今日未明、〇〇市の廃工場で何者かが爭っているという通報をけ、近くの警が様子を見たところ、何者かの大量のと刀と思われるもので傷ついた機械が多數見られました。警察は暴力団の闘爭として調査している模様です』
………相手の死は仲間が回収したんだろう。これまでも何人も倒しているのに死が一回も警察に見つかっていないからな。……俺の剣はちゃんと霧散したみたいだし、疑われる筈は無いだろう。
「………さーて、買い出しに行くか」
俺はテレビの電源を消し、びを一回した後、部屋著に上著を一枚羽織って財布を持った。中を確認すると、萬札が10枚ほどっている。通帳もチェックすると、殘高は後ろに0がやたら多い數字になっている。あの人に謝しつつ、通帳を元の場所にしまい、家を出た。
「………これで大丈夫だな。今日は鍋でさっと済ませてーー」
(ドゴォーーン!!!)
近所のスーパーからの帰り、エコバッグの中を確認している最中に後ろで音が聞こえた。
前を歩いていた俺と同じように買い帰りだったであろう婦人は腰を抜かして、俺の後ろに人差し指を指してガクガクと震えている。
俺は"ボックス"にエコバッグをしまった後、振り返った。そこには人より一回り大きい薙刀を背負っているいかついおじさんが居た。
「…………誰?…」
「……お前が最近、我らの仲間を殺しまくっている人間か?」
「………まあ、そうですけど?」
おじさんは一つため息をついた後、もの凄いスピードで薙刀で橫薙ぎしてきた。
(ガギィィィン!!)
「ぬっ!?」
「………いきなり何するんですか?」
俺は"ブレイド"で作った剣で薙刀を縦にけ止めながら、おじさんを睨みつけた。そして、しずつ押していく。薙刀の刀と棒の部分を繋げている接合部分からミシミシと音が鳴る。
それを聞いたおじさんは俺から離れようと飛び下がるが、無理矢理下がったため、俺を払い除ける事が出來なかった。
奴を追いかけるようにし駆け寄った後、普通に腹を橫腹から斬り裂いた。
斷末魔をあげる事もない。背骨のみで上半と下半が繋がっているおじさんは死んだみたいだ。
「………ふぅ、あとは……」
俺は年甲斐もなく失している婦人に近づき、頭を摑む。摑まれた婦人は絶に染まった顔になるが、やめる事は無い。
「………やっ……やめっ……!」
「……"ブレイク"……」
婦人は一瞬をビクッと震わせた後、そのまま橫に倒れた。勿論、殺した訳ではなく、ただ記憶を壊しただけだ。
婦人をそのままにして、俺は家へと足を踏み出す。……今回も初めての事ではなく、慣れているから別に何とも思わない。
見慣れた帰り道、自分でも驚くほど自然に呟いていた。
「………お姉さん、どこに行ったの?」
俺は足は止めず、手のひらを見る。そこには何も無いが、代わりに白い雷のようなものが一瞬出た。それは別に珍しくもないが、これを珍しくもないと思う俺はもう異様なんだと思う。
いつ思い返してもはっきりと鮮明に思い出せるあの人の顔、聲、匂い。……お姉さんが居なくなってからもう10年。お姉さんが居なくても大丈夫なようにつけた力はもう充分なのだろうか?まだ足りないのだろうか?………力がありすぎて困る事は無い筈だ。もっと力をつけよう。お姉さんに自慢出來るように………。
俺は自分に言い聞かせ、誰も帰って來ない家へと帰る。二度と忘れないだろう、11年前の事を思い出しながら………。
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次は水曜日に投稿します。
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