《ただの世界最強の村人と雙子の弟子》第105話 再會と対立と目醒め
===ユウキ視點===========================
「久しぶりね、ユウキ」
必死に記憶を漁っていた俺に、優しげな聲がかけられた。ほぼ反的に頭を上げると、そこには1つも変わりないーー
「お姉さん……?」
「あら?まだその呼び方だったの?」
嬉しそうに微笑むお姉さん。
その顔を見た瞬間、記憶がフラッシュバックしてきた。お姉さんと始めたあった日、家族を失った日、神どもを難なく倒していた日。
だが、それらはあの男に見せられたもので、本當に記憶が戻った訳では無かった。
「…ごめんなさいね、貴方の記憶は破壊したの。…そうせざる得なかったの」
お姉さんはそう言うと、俺を抱き締めた。力は多しかっていない、を示すためのハグだ。
俺も抱き締め返した。これは『地球』に居た頃の俺が待ちんでいた事だと直的に理解したからだ。
お姉さんとのハグは落ち著く。まるで母親の暖かさを再現したかのようだ。といっても、俺には母親の事はおろか、家族もほとんど覚えていないが。
「………なあ、俺は『地球』であんたの役に立てていたのか?」
「……ええ、勿論。貴方のおで………」
何故かそこから続けなかったが、"役に立っていた"という事実を知れただけで救われた気分だ。
「……………ねえ、貴方に渡した力はしっかり使えている?」
「……?守姫達の事か?それならしっかりーー」
「…………っ!!?」
話している途中で、いきなりお姉さんは俺から飛び退いた。最初は訳が分からなかったが、目の前に現れたメイド服を著た真っ白な大剣を持った、守姫の所為だとすぐに分かった。
「……っ!?おいっ!守姫!何をしてるんだ!!?」
今まで何の反応も無かった守姫がいきなり出てきたのにも驚いたが、それより何でお姉さんを!
俺は守姫を止めるために立ち上がろうとするが、首元に剣を突きつけられた事で固まってしまう。
「おっと、くなよ?」
「………………」
聞き慣れた聲が背後から聞こえ、ゆっくりと振り返るとそこには剣を俺の首元に突きつけている技姫と真剣な表でお姉さんを睨んでいる攻武が居た。
技姫はとても不本意そうに、を噛み締めているし、攻武も自である真っ黒な大剣の背を肩に軽く乗せているが、そんな事よりーー
「お前らっ!!一どういうつもりだっ!!!」
怒りに任せて思いっきりぶ。に殆ど殘っていない魔力を全に満遍まんべんなく回し、戦闘態勢を取る。いざとなれば『殲滅武』を使って制圧するために。
「俺の恩人でもあり、家族同然のお姉さんに刀を向ける意味が分かっているのかっ!!!」
未だ背を向け続ける守姫にぶ。だが、守姫は反応せず、攻武が守姫の隣に並んだ。明らかに戦闘態勢だ。
「ちょっと!守姫さん達!?何やってるんですか!!??」
俺の怒鳴り聲を聞きつけたのか、リリとルル、アルナが駆け寄ってくる。だが、守姫達は一切気にせず、守姫が代わりに唱えた。
「……『魔導』"絶界隔離"」
ありとあらゆる現象や存在、力を分け隔つ『魔導』の中でも最高位で、一回くらいしか使えないものを。
リリ達の姿は見える。は分けていないようだ。だが、姿が見えるだけで聲もルルがやっている魔法の魔力もじない。完全に分けられた世界。
「……ここなら、邪魔はりません。思う存分、貴方を殺せます」
守姫と攻武は剣を構え、技姫は俺に小型アトラを付けた後、自を弓に変化させて構えている。
「……………やっぱり許せないのね…。私の事を」
「ええ、當たり前です」
お姉さんは何やら心當たりがあるみたいだが、俺には何の事か全く分からない。
俺だけが置いてけぼりになった中、剣を構える守姫と攻武、矢を今すぐにでも放ちそうな技姫。記憶で知った"ブレイド"によって作った金の剣を構えているお姉さん。
…………このままじゃ、殺し合いが始まる。なのに、俺は守姫達の主人としても、お姉さんの家族としても止める事が出來ない。
……長く忘れていた。力が無い、無力というのは耐え難い。力がしい。
………なあ、名前も知らないお前。後で自己紹介でも叱咤しったでも何でもすれば良い。だから、俺に力を貸せ!!
『………何でもするって言ったね』
ああ、だから力を貸せよ!!
『…ふふ、そんな焦らなくても私はいつでも力を貸すよ』
「はぁぁぁっ!!」「うおぉぉおっ!!」
「…………」
(ガギィィィンッ!!!)
守姫の大剣、攻武の大剣、お姉さんの剣、それらの間に降り立ち、守姫と攻武の大剣を右手の剣でけ止め、お姉さんの剣を左手で挾み込み、お姉さんに迫っていた矢を足で蹴り飛ばした。
「……あぁぁっ!!そんな……!?」
「……クソがぁっ!!」
俺を見た守姫はその場に涙を浮かべながら座り込み、攻武は自をなおした後、思いっきり天に向かってんだ。
俺は2人を放置して、お姉さんと向き合う。
「…………あんたは俺にこいつを呼び醒ませようとしていたのか……」
「……ええ、またまた貴方を利用する事になるとしても、貴方にはその力が無いと駄目です」
お姉さんは悲しげに微笑んだ。きっとそんな事はしたくなかったんだろう。けど、それを知っていたとしても俺はきっとこいつを呼び起こしただろう。
「なあ、神姫"イエリアス"」
『だって、私が居ないと君は神には勝てないもの』
右手に有った眩い程のを放つ柄も鍔も無いだけで形作られた両刃剣は消え、代わりに背中に重みがかかり、首元に腕が回される。
俺の背中にもたれているはで人型に形作られているだけで、は人の形しか分からない。顔は守姫のような可らしい顔つきぐらいしか分からない。ただ、目はリルのように真っ白にっていた。
『私と君は一心同、それは切っても離せない。今までは余計な仕切りがあったけど、君が破ってくれたおで今まで通りになったね』
「…….そうか、これが神の力を持つという事か……」
イエリアスを出した所為か、視界がいつもより輝き、魔力の流れや魔素の濃度、神気とやらのきも見える。
「……!ご主人様っ!!今すぐにでも彼を封印しましょう!!彼の力はまたご主人様に破滅を………!!!」
守姫が泣きながら抱き付いて懇願して來る。
………守姫達がお姉さんを殺そうとしていたのはイエリアスの復活を防ぐ為だったようだ。
………だが、どうしてイエリアスが俺の破滅と関係あるんだ?こいつはかなり強い力なのに。
「…貴方は自分の死因を知らないからそう言えるの」
「貴方がそれを言わないでっ!!」
お姉さんを殺気丸出しで睨みつける守姫。守姫はどうやら俺が『地球』に居た頃を知っているようだ。
「貴方が!ご主人様に『神殺し』という結果を付けたから!!ご主人様は………!!!」
「………なら、貴方が助ければ良かったじゃない。私はユウキを助けるために貴方達を創った。その役目を果たしていないのに怒るのは筋違いよ」
守姫は俺から離れ、お姉さんの前に立つ。相変わらず殺気丸出しで。
「自分達が悪いってのは私達が一番知っているのよっ!!だから、この世界では誰よりも力になった!!けど、貴方はこの世界でも、よりによってこの『オリジン』で『地球』と同じ事をさせるなんて、死ねと言ってるのと同じじゃないっ!!!」
「けど、ユウキの力が無かったらこの世界は_滅亡する。それは何としてても避けなきゃいけない。絶対に!」
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中途半端に終わってしまい、申し訳ありません。
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