悠人と舞香の２人は、王都から直線距離ではかなり近い街『スペレイヤー』を目指していた。

「ところでさ、ユウくん。なんで王都の近くの數ある町の中で『スペレイヤー』に行くの？　どこにあるのかは知らないけど、どこでもいい気がするんだけど」

「王都との関わりが他に比べると乏しいからだな。追っ手とか來ても面倒だし」

いや、ほんと面倒。國と対峙とか面倒でしかないし、隠居生活でもしたいものだ。

なぜ『スペレイヤー』が王都との関わりが乏しいかというと、直線距離では近いが、直線上にはゴブリンの森があり、普通は隣の町を通って行く事と、『スペレイヤー』はこの國で1番商売に力がっていて、國の資金的な援助がない町だからだ。

「そっか～。いつも通りの理由だったね～」

俺を普段どういう風に見てんだよ。

「でもさ、危ないんじゃないの～？」

多くの人は避けて通るし、そう思っても當然か。

「固有能力のメニューのマップ機能使うから問題ないだろ。それにいざとなったら、お前の事は守ってやっから心配すんな」

なんか恥ずかしいな、改めて言うと。

「そっ、そっか」

悠人が勢いで言った臺詞で、舞香は顔を赤らめ、照れながら頷いた。

そんな反応すんな。ついうっかり、惚れ直しそうになる。

２人は顔を見合わせ、お互いに照れており、側からは、なに晝間から見つめ合ってるんだこのカップルは、発しろ、といった目で見られていた。

ふと我に返った悠人は、舞香の手を取って足早に歩きながら、舞香の質問に返す。

「まぁ、問題ないだろ」

「そうだよね」

どうせさっきの言葉も意味なんてないんだろうし、と舞香は悠人に聞こえないような小聲で呟いてから、普段通りを裝った。

制服を売った時の金で、野宿道揃えた。萬が一の時ようの道もあるし、メニューのマップ機能使って索敵しておけば大丈夫だろ。

「じゃあゴブの森潛るか」

「おぉ～。なんか気楽なスタートだね。小學校の頃一緒にゲームしたのを思い出すようなじの」

その通りなんだよな。どうせメニュー使えばゲーム気分だしな。

こうして、２人はゴブリンの森の中へと進んでいった。

「魔師マジックゴブリン探して適當に魔法使わせたら、俺はそれ使えるようになるから、それで今日進めるところまで進むか」

この方法なら手っ取り早く、安全に進めるし恩恵ギフトの力を見れるし、丁度いいだろ。

「私、今日はただついてくだけなの～？」

「今日の夜にでも覚えた魔法教えてやるから、舞香は明日からな。それとはぐれた時のためにも、舞香は固有能力俺に対して使っておいてくれ」

まぁ、必要になることはないと思うが……荷共有で、サポーター役やってもらってもいいしな。

いつも、舞香の安全を優先している悠人であった。

＊＊＊＊＊

なんだかんだイチャイチャしている間に、メニューの機能のマップ上に目的の魔師マジックゴブリンのいる群れを悠人は見つけた。

買っておいた使い捨て魔法巻マジックスクロール使って雑魚ゴブリンを倒してからかな。

「範囲魔法、ファイヤウォール」

魔法名を唱えながら魔法巻マジックスクロールを悠人が解くと、火の壁が現れ近くで固まっていた雑魚ゴブリン達が、一瞬にして燃え盡きた。

これちょっと強過ぎないか。

魔法巻マジックスクロールは魔法を発する時に、ほんのしだが、使用者の魔力を消費する。それが魔法適の高さによって、魔法巻マジックスクロールが威力を変化させる。

「ユウくんなんか凄かったけど魔師マジックゴブリン生きてる～？　あとレベル２に上がったね」

まぁ雑魚ゴブリンとはいえ、10ちょっとを倒せばレベルは上がるもんか。最初上がりやすいだろうし。

「あぶねぇぞ、舞香。そこのに隠れてろ！　魔師マジックゴブリンが、なんか魔法使ってくる」

メニューの機能の１つである魔法知もかなりチートだな。

「わかった。でもユウくんも気をつけてね～。敵を倒すためとはいったって死んじゃったら元も子もないんだからね」

この行き當たりばったりな異世界生活に、舞香を巻き込んじまったし、この世界でもいいからのんびりしたいし、死ぬ気なんてないからな。

「●▼◆■」

ゴブリン語ってよく分からないな。

「って危な。ウィンドカッターかよ、當たったら深傷は絶対負うだろ」

まぁ、これ以上の攻撃は期待できないし、仕留めるか。

「魔法、ファイヤボール」

もちろんこれも、使い捨て魔法巻マジックスクロールだ。

本當便利だな。これを使えば、その魔法も使えるようになるし。メシウマすぎるな。

ファイヤーボールが魔師マジックゴブリンにれた瞬間に、一瞬目を瞑ってしまうようなと熱が襲い、地面が抉れるほどの発が起きた 。

「えっ、俺のイメージしてたファイヤボールと違うんだけど。ファイヤボールって初級魔法じゃないのかよ」

驚いた。もうアレ発魔法かなんかだろ。なんかクレーターみたいなのできちゃったし。

この発音でボスの將軍ジェネラルゴブリンとその取り巻き集団が様子を伺いに、悠人と舞香の側に迫っていた。もちろん、悠人は固有能力のメニューのマップでいち早く気づいた。

「舞香、『信頼の』を使って、俺の持ってる使い捨て魔法巻マジックスクロール何本が持っておけ。ボスが発音聞きつけて、こっちに向かってきてるから」

これからは、もうししっかり威力を知ってから、使うようにしようと思いました、まる。

「えっ、ユウくん何も持ってないじゃ～ん」

そういえば、言ってなかったな。

「使い捨て魔法巻マジックスクロール売ってた店の店員が、無限倉庫ストレージボックス使ってるとこ見て使えるようにした」

「相変わらずのチート恩恵ギフトだね～。さすが神」

「恩恵ギフトがチートだってのは同だが、俺は神とかじゃないからな」

悠人はもちろんだが、舞香も逃げる様子は一切見せず、ふざけながらも、しっかりと戦う準備を整えていた。

「とりあえず今は、こっちに來るゴブリンども始末するぞ」

「任せといて」

ファイヤボール習得したし最悪それで済むが、問題になりそうだしなぁ。ボスの取り巻きには、回復役ヒーラーがいるから出來ればそいつの回復魔法覚えたいし、最終手段になりそうだな。威力弱めの魔法巻マジックスクロールあったかな……ファイヤブレスなら威力弱いし問題ないかな。

「先手必勝、ファイヤブレス」

そう唱えた瞬間に、魔法巻マジックスクロールからブレス狀の火が取り巻きである雑魚ゴブリンを襲った。もちろん、取り巻きの雑魚ゴブリンは全滅し、將軍ジェネラルゴブリン、ヒーラーゴブリンのどちらにもかなりのダメージを與えた。

「俺、魔法適高かったっか？」

測ってないし、測れるのかすら分からないけど、魔法とは無関係の世界で生きてきた奴とは思えない威力なんだが。

「ユウくん、ヒーラーゴブリンが回復魔法使うっぽいよ」

おっ、まじか、習得できればかなり楽になるだろうし見るか。

「■▼●■」

やっぱりゴブリン語は分からん。

ヒーラーゴブリンが、ゴブリン語で魔法を詠唱すると、將軍ジェネラルゴブリンはに包まれ、ダメージを回復した。

もうこいつらに用ないし、終わらせるか。

「魔法、ファイヤブレス」

悠人は用もなくなったヒーラーゴブリンと將軍ジェネラルゴブリンに向かって、ファイヤーブレスを使い、あっという間に、焼き盡くして倒した。

「なんか魔法巻マジックスクロールの時より威力高いよ、ユウくん凄～い」

どうやら俺は、魔法適が高いのかもしれないな。やっぱり召喚された勇者候補だから高いのかな。

「とりあえず倒したから、討伐証明部位と魔石だけ回収するぞ」

「わかった～」