ユウト達は、他から浮いた雰囲気の豪華な屋敷の前に來ていた。

「ここがもらっていた屋敷ねぇ」

「すっごい豪華だね～。っていうか、なんで黙ってたのユウくん？」

「いや、どうせこの町から出ていく予定だしな」

ユウトの言葉に２人は猛反発、奴隷３人はこの狀況にひたすら恐怖を覚えていた。

「なんでここから出ていくのよ」

「もったいないよ～、こんなお屋敷があるのに」

ユウトは苦笑いしながら、定住できない理由を説明する。

「俺たち一応王國から敵対視されてるからな、定住はリスクでしかないんだ」

「なるほど～」

「いったいなにしたの？　あんた達は」

「まぁ、ちょっとこの王國の意思に背いてスローライフ送ろうとしてるだけだ。大した事ない」

ユウトの言葉に奴隷たちは顔を青ざめさせる。王國の命に背いた人の奴隷になってしまったのだ。當然と言えば當然の反応だ。

「王國の命に背くなんて、ご主人は何者なのかしら？」

「うちの主人すっごく危なそう」

「……怖いのです」

奴隷たちは、ユウトの言葉を聞いて口々に想を述べていく。

後ろから聞こえる言葉が辛いな。まぁ気にせず目的だけ達して、旅の準備するか。

ユウトは奴隷たちの方を向くと、出來るだけ優しい口調で話しかける。

「えっと、自己紹介してもらっても良いかな？　俺は君達の主人？　でユウトだ」

「私はユウくんの馴染のマイカだよ～」

「私は、エリザベートです」

ユウトに続いて、２人も優しい口調で挨拶する。

「えっ、えっと、私はユーヴァニカです」

「ミーシャよ」

「リュッ、リュアルミアです」

なるほどお姉さんがニカでツンデレがミーシャケモミミロリはミアか…ミアをもふりたいな。

「ユウトさん、奴隷になぜ服従の首つけないんですか？」

「なに、それ」

ユウトは、首を手でなんとか伝えようとしているエリに首をかしげる。

「私分かったかも～、命令を無理やり聞かせるやつでしょ～」

「まぁ、だいたいそんなもんですよ」

ユウトは奴隷を買った理由と首の能力を頭の中で照らし合わせ必要の無さを確認する。

「俺は別に、奴隷扱いする気ないし、要らんだろ」

「「「「えっ！」」」」

この世界では、奴隷には服従の首をつけるのが當たり前なので、４人は驚きの聲を上げる。

「そんなに驚かれてもな。ニカとミーシャにはこの屋敷の維持をお願いしたいな、ミアは旅のとき料理作ってくれるかな？」

「私との扱いの差が……奴隷にはあんなに丁寧に、グスッ」

「エリさんドンマイ。まぁ、エリさんが悪いんだけどね～」

毎回話の途中で関係ないこと言ったり、面倒事持って來たり……うっ、思い出しただけで頭が……

ユウトは今までのエリの行いを思い出し頭を抱えながら、奴隷たちの聲に耳を傾ける。

「いいんですか？」

「訳わかんないんだけど」

「なんで私だけ別行なのです？」

３人は思い思いに想を口にする。それはユウトの予想していた反応そのものだった。

「まぁ、みんなは奴隷として買ったけど、この屋敷のメイドやってもらうためと、旅のときに料理できる人がいないからだからね」

「本當にその目的だったんですか」

「さすがユウくんクオリティ」

マイカよ、それはどういう意味だ。

「あとこれ、ニカに渡しておくよ、魔力をちょっと流し込めば使えるはず」

ユウトは無限倉庫ストレージボックスから鞄を取り出すと、その中から１臺の攜帯を取り出してニカに渡す。

「「「「なん、なんですか？　これは」」」」

攜帯を見たことのない４人はまたも驚きの聲を上げる。

「ユウくんの前の攜帯だ～。なんで持ってるの～？」

「機種変してからしばらくはデータ移行とかの関係でもってられるだろ。帰りに攜帯屋に返しに行く予定だったんだよ。でもここに來たから返せないし改造した」

「これは一なんなんですか？」

「魔力を流し込んで使う、連絡ができる魔道マジックアイテムもどきかな」

「魔道マジックアイテムなんて高価なものを、なんで私に？」

「連絡用かな、何かあった時に連絡できたら便利だろ」

「そっ、そんな理由で……」

この世界での魔道マジックアイテムは非常に高価なもので、絶対に奴隷などには渡さず家寶にするようなものだ。

「管理と維持だけしてくれれば、奴隷だって事は隠して良いし、結婚とか勝手にして良いし、なんならこの屋敷使っても良いけど」

「「「「「ええっ！」」」そんなに甘いんですか？　ご主人様は？」」

「ごっ、ご主人様私は？」

「ミアは、一緒に旅だ。味しいご飯を作ってくれよ」

「がっ、頑張るのです！」

「お金は金庫にってるから、あとよろしく」

「ユウトさん、あんなに適當でいいんですか？　裏切られるかもですよ。化けスペックに言うのはあれですが」

「ユウくん、し適當すぎ～」

「困ることは特にないと思うけど、金欠になりそうなら、またなんか倒せばいいし」

「ご主人、バケモノなの？」

「そういう意味じゃないと思うわ」

「おお、これで電源がるのですか！」

問題なさそうだし良かった、みんな楽しそうだし。

「しばらく任せたぞ、ニカ、ミーシャ。じゃあ街出る準備しにかかるぞ」

「りょ～か～い」

「分かったのです」

「あっ、置いてかないでくださいよ」

「なんだかフリーダムなご主人でしたね」

「そうね、でも良い人だった」

ユウトとマイカが、ミアを連れて屋敷を出て行こうとすると、慌ててエリも付いてくる。そんな様子を見てニカとミーシャはそんなことを話すのであった。