國王がいると思われる部屋にると、真っ先にユウトの目にってきたのは、トラウマからか、顔を真っ青にし、拘束された薄著姿のマイカだった。

マイカを見た瞬間、ユウトは怒りに、憎しみに支配され、部屋を見渡す。すべての原因であると思しき、國王を見つけるや、否や、全力で襲い掛かった。しかし、その攻撃が國王に致命傷を與えることはなかった。

「まずいユウト、落ち著け！」

國王は、本來の姿を失っており、手、角、鱗、などが生え、怠惰な生活によりついた肪は攻撃のほとんどを吸収してしまうような恐ろしいものへと変わっていた。ユウトを止めるのは無理だと思ったトモキは、自らも恩恵ギフトを使い、ユウトに加勢することにする。しかし、それは悪魔自が許さないようで、國王のから悪魔そのものが現れ、トモキの行く手を阻みだす。

 「君の恩恵ギフトは、本だからこそ邪魔だ」

その言葉を引き金に、悪魔は自らより下級の悪魔を呼びだし一斉にトモキに襲い掛かる。悪魔により與えられた、疑似恩恵ギフトは封印され、ユウトが使える魔法は義手に組み込んだ魔法式のものだけになり、ユウトは普段よりも不利に立ち回らされていた。

「くそっ、魔力が足りなくなってきやがった」

ユウトは王城殲滅作戦の初っ端から、魔法を連発していたため、魔力の消費も激しかった。

「どうやら終わりみたいだな。我に歯向かうことの愚かさを知れ」

國王の臺詞が終わると同時に、百近い魔獣が現れ、ユウト、トモキ、そして捕らわれているマイカを襲う。

マイカたちが捕まったと知ってからまともに休息もとっていなかった、ユウトは今まででかなり消耗しており、異形の國王と數いる魔獣相手に戦うのは、さすがのユウトでも無理があった。現に、義手から爪を出し、魔獣を倒すのがやっとの狀況だった。

「マイカに手を。クソッ、俺に力があれば」

ユウトは、爪で魔獣を蹴散らすが、異形の國王をどうにか出來る訳もなく、魔獣に襲われてるマイカを眺めることしかできない自分に嫌気がさしていた。

『青年よ、力を求めるか？　ならば、我をけれるのだ』

なんなんだ、こんな時に。けれる？力が手にるならなんだってしてやるよ。

『そうか。その言葉、忘れるなよ』

ユウトの脳に響いていた、どすの利いた聲が収まると、ユウトの義手が黒くる。そのが収まるとユウトの義手から、右肩、右頬へと流れるように鱗が生え、爪は鋭く、長くびていた。

そこからは、立場が逆転したように、ユウトが圧倒的な力を駆使しその場にいた魔獣を殲滅をし、異形の國王を蹴り倒す。

「もちろん、覚悟は出來てるよな」

ユウトは、鎌を分解すると刃の部分を脂肪に食い込ませていく。そしてできた切り口に腕を突っ込み、鋭くびた爪で臓をえぐっていく。

「ファイヤボール」

ユウトは切り口から手を抜かずに、ファイヤボールを撃ち込みから異形の國王を散させる。そのまま悪魔に返りに濡れた義手で突っ込んでいく。ユウトの竜化はとどまる気配もなく、右半は殆んど竜と化していて、その目は濁り切り殺伐としたオーラを放ってこそいるがかろうじてユウトの自我は殘っていた。

「あれを倒したのか、人間風としてはやるな。だが、まだ足りない」

ユウトの攻撃は、悪魔の一撃によって相殺されてしまった。その後、何度も攻撃を繰り返すが、悪魔の力を前に、馴染み切っていない力、消耗しきったのユウトではまるで歯が立たなかった。悪魔の攻撃を、分解した鎌の持ち手に魔力を流してなんとかして防ぐも、それなりのダメージをけていた。

「人間としてはよく耐えたものだ。命だけは見逃してやるよ」

悪魔はそういうとユウトを蹴り上げ、倒れているトモキに打ち付ける。そして立ち上がれていないことを確認してから、次の獲を見つけたとでも言わんばかりに、マイカのもとへと向かっていく。

「いいじに恩恵ギフトを使って潤した魔力。あぁ、最高だな」

「マイカに、俺のマイカに手を出すなって、何度言えば分かるんだ」

ユウトは、いつの間にか立ち上がっていて、竜化した部分はより黒く輝き、ユウトのマイカに手を出そうとしたことに対する怒りをに、竜化した部分が魔力を生み出て、ユウトは魔法を連発出來るほどに回復していた。

「ほう、立ち上がれるのか。生意気だな」

「うるせぇ、くたばりあがれ」

ユウトは、重力魔法グラヴィティで悪魔のきを鈍らせると、ファイヤボールを悪魔の真下の床に撃ち込み続けて、床をぶち抜くと下のフロアに悪魔を蹴落とした。

「小癪な真似をしあがって」

ユウトは悪魔が下に落ちたことを確認すると、完全に災厄竜のものと化した右腕を、無理やり制してチャージを開始し、竜化した部分が軋むように痛むのをこらえ一般上限を超え限界までチャージする。

『我が力をに任せて無理やり制するとは、面白いな青年。我が力を貸してやろうじゃないか』

ユウトの脳に再びどすの利いた聲が響いたかと思うと、ユウトのじていた痛みは、竜化した部分と、そうでない部分の狹間に移り焼けるような痛みに変わる。

「オーバーチャージ、ブラストレーザッ！」

そして限界までチャージがされた右腕から、全てを抉ると言われても納得がいくようなレーザーを下のフロアにいる悪魔に、持てる魔力全てを込め、魔力が切れるまで撃ち続ける。

魔力が切れ、ユウトが倒れると、それまで時間が止まったかのようにけなくなっていたマイカ、トモキ、魔族、途中からってきていたカズヤに、カンナがようやく正気を取り戻す。

「マジで倒しあがったよ」

「僕が恩恵ギフトを使っても歯が立たないのに、すご過ぎるよユウトくんは」

「とりあえず約束通り、こいつは頂くぞ」

そういうと魔族は、悪魔だったの魔力が殘る殘骸、そして漂う魔力を自らに融合させた。