《異世界召喚!?ゲーム気分で目指すはスローライフ~加減知らずと馴染の異世界生活~》8-3メルクス王國軍
教會対策の會議が終わった翌日、ユウトは仕方なさそうにメルクス王國の軍の基地にやってきていた。
「さて、俺が指導するんだっけな」
ユウトはやれやれと溜め息をついてから、集まっているメルクス王國軍の面々の前に出る。
「あーっと、今日から數日間だがお前らメルクス王國軍を指導することになったユウトだ」
ユウトは気だるげにそう言う。しかしメルクス王國軍の面々は何も言う事が出來ない。なぜなら彼らの中には、直接ユウトの重力魔法を験したものもいるし、何より、右半が軽く竜化している黒髪の男で、ユウトと言えば悪魔殺しとして知られているからだ。
「今日の訓練だが、俺に全員で一撃當てろ。それだけだ。もちろん俺は魔法を使わない。使うのは木製のレプリカでいいだろ。これなら重癥にもならんだろうし」
ユウトはそう言いながら、手元にあった木製の鎌で勢いをつけて何度か空を切る。するとそれに亀裂がった。
それが災難にも見えてしまった前列の兵士は、戦うことに嫌気すら覚えさせてもらえないほどの力の差をじた。
ユウトは仕方ない、ともうひと振り、ふた振りしてそれを塵にすると、箒を持ってきてそれを構えた。
「さあ、その実力見せてもらおうか」
一部の兵士はユウトの事を魔法だけのやつなどと言っていたが、そんな威勢もなくなった狀態でユウトに一撃當てるという模擬戦が始まった。
「…………なぜ攻撃しない? そっちに戦う意思がないならこっちから行くぞ」
ユウトは何もしてこない兵士どもに嫌気を覚え始め、ついにそう言い放ち箒を片手に、掃除兵士の無力化を始めるべく兵士たちの中に突っ込んでいく。
ユウトが突っ込んできたのを確認すると、兵士たちはユウトに群がり始める。しかし、そこに連帯の2文字は無く互いに武を當てあっているだけでユウトには掠りもしない。
「お前ら、それが真剣でも同じことすんのかよっ」
ユウトは兵士の攻撃をかわしながらしゃがみ込み、兵士たちの足元に箒をれ足をすくうようにぐるりと回してそう言う。
「うわっ、早速やってっるよ」
様子見などと言いながらやって來たラピスは、ってくるや否やその景を見て引き気味にそうらす。
「これでもかなり手加減してる方なんだぞ。使ったのそこにあった箒だし」
ユウトは箒を持ち直すと、剣のように構えて見せる。
ラピスはさらに引き気味に「そうか、じゃあ、あとは任せた」と言いその場から足早に去っていった。
「さて、お前らにはまず連帯やら連攜やらを覚えてもらう。何度も言うようだがあれが真剣なら、半分は味方からの攻撃で戦線を離してたぞ」
そう言い、ユウトは兵士たちを3、4人のグループに分けていく。そしてそれぞれのグループに役割を與え先ほどと同じようなことにならないように対策する。
「さあ、もう1回だ」
ユウトが箒を構えると、グループに分けた効果か、連攜の取れた攻撃が飛んでくる。ユウトは箒で攻撃を弾いていくが、箒というハンデもあっていまいち押しきれていない。ユウトは周りを囲まれる前に、1歩下がり態勢を整え前傾姿勢になり、兵士たちの足元を狙っていく。しかし、上手い事武を裁かれた事や、急速な長に驚きしの油斷が生じた際の隙で、兵士の1人がほんの僅かだがユウトに掠り傷を負わせた。
「もうここまで來たのか、うんうん。とりあえず今日は終わりな。明日は対魔獣の実踐訓練するからな」
ラジャと、全兵士がそう言ったところで解散となった。
しかしユウトはその場に殘り、素振りをはじめとするトレーニングを始めた。數時間ほど訓練をして休息をしたところで、隅に薄っすらとるものを見つけた。
「ん? なんだこれ? 人形かなんかか?」
ユウトがつまみ上げたそれは、小さな人形のようにも見える、人の形をしたものだった。
「さて、拾ったはいいがこれ、なんだ?」
薄汚れた、かろうじてる背中、かすかにだが呼吸があるように見える。ユウトは仕方なく回復魔法をかけて見るが、呼吸がある程度整っただけ。
「帰って調べるか」
ユウトはそれを無限倉庫ストレージボックスにれその場を後にした。
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