《魔がない世界で魔を使って世界最強》國前の朝
窓の外で雪が散り積もる景を眺めながら、セナはトントンとリズムを刻みながら食材を切り分けていく。今は日が昇り始めてまだ外が明るくなってすぐの頃。
一行は昨日の段階でコーネリアが見えていたのだが、下りの道が遠回りになってしまい、昨日のうちには著かなかったので、次の日に國することにして昨晩は野営をしたのだ。
「セナ〜、狩り行ってくるね?」
「行ってらっしゃい。お期待してる」
「任せて!彩ちゃんと健くんと雄也くんも手伝ってくれるから余裕だよ!」
「この辺ってなにがいるんだろうな?」
「さぁ〜?エルさん何か知ってる?」
「この辺だとスノウバードがいますね。キジに似ていて雪のように真っ白なで覆われている鳥です。はが引き締まっていて味しく、さらにその羽はひんやりと冷たく、寢などで重寶される高級素材でもあります」
「へぇ〜その羽しいかも」
「エルおねぇちゃん!ユノそのとりさんみたい!」
「じゃあ探しに行きますか?マスターもまだ寢ていますし、し朝ごはんが遅れても大丈夫でしょう」
「うん!いくー!」
『わっふ!』
「そうなると凜緒、スノウバードを狩るのはやめたほうがいいかもね」
結局セナ以外全員がスノウバードを探しに行くことになった。凜緒達は狩りに、エルとユノはバードウォッチングに。
「じゃあみんな気をつけて行って來てね。彌一まだ寢てるから起きたら朝ごはんにしよう」
彌一は昨日思いついたがあると言って夜遅くまで作業をしていたのだ。熱中すると誰の聲もってこないので誰も止めず、結果彌一が寢たのは午前3時頃になった。
そんなわけで現在も奧の寢室で眠っている。
全員が出て行くとトレーラーの中はシンッと靜まりかえり、コトコトと味噌を煮込む音だけが反響する。
米も炊き終わり、味噌も出來上がって火を消す。おかずは凜緒達がとってくるが、もし取れなかった時のことも考えて保存用のを自然解凍しておく。
「することないな.......」
予想より早く終わって、こんなことならユノちゃん達とバードウォッチングしに行けば良かったと外を眺めながら思う。
取り敢えず紅茶を淹れて炬燵にってやりかけだった服の修繕をする。裁は凜緒の方が得意で、服の修繕はほとんど任せているのだが、自分の服は自分で直しいく。所々きやすいように改造したりして服を直してしまう。
「...........暇だなぁ〜」
直してしまえばあとはすることがない。焼き菓子も出して炬燵でくつろぐが、部屋は暖かいのに誰もいないから空気が冷たい。
「..........彌一まだ起きないかな?」
そう言って立ち上がり奧の寢室に向かう。トレーラーの奧には二つ扉があり、右が子、左が男子の部屋だ。
一応ノックしてみるが反応がない。し待ってゆっくり扉を開ける。
部屋は畳で子部屋と同じ。奧には各自の置と大きなテーブルが一つ立てかけられている。
そんな畳の床に布団を敷いて彌一が寢ている。上下する布団と呼吸音から彌一はまだ寢ているようだ。
起こさないようにそっと近づいて顔を覗き込むと、安らかに目を閉じて眠っている。
「ふふ......彌一かわいい」
普段は彌一が先に起きるので彌一の寢顔を見るのは珍しい。優しい表で眠る彌一にセナは笑みをらす。
「..........ちょっとだけ」
そう言って布団をしめくり、布団の中に潛り込んで彌一の橫で添い寢する。
し冷たい部屋の中、する夫の布団に包まる。そこはとても暖かくとても優しい。
ずっと見ていても飽きないと、彌一の顔を見つめながら橫になっていたら、自然とまぶたが重くなって來た。
(............ダメ、彌一を、起こさない、と........)
頭ではそう言っても心地よい溫もりの睡魔にわれセナはそのまま眠ってしまった。
(............なんでセナが布団の中にいるんだ?)
セナが睡魔に襲われて眠ってしまってから數分後、腕を包むらかさと暖かさに彌一は目が覚めた。
そして目を開けると目の前に無防備な表で眠るセナの顔があった。
きめ細やかな白いに、綺麗なまつげ。青い海のような髪はサラサラと落ち、艶やかな小さなは規則正しい呼吸をしている。
最の嫁の寢顔を見ながらもう何度になるかわからない惚れ直しをする。思わずそのを襲いたくなる。
「......すぅ.......すぅ......ふふ、彌一かわいい..........」
「一どんな夢を見てるんだ」
寢言と一緒にセナが寄って來て、その膨よかなを押し付けてくる。全から伝わるらかさに思わず手が背中に回る。
ぎゅっと抱きしめれば世界で一番の抱き枕に。そのままもう一度眠ってしまいたい。
「...........ん........彌一?」
セナがぎしパチっと目が開く。淺い眠りだったからかすぐに起きたようだ。
「おはよう。ごめん、本當は起こすつもりだったんだけど、つい」
「いいよ。むしろ暖かくて気持ちよかった。もうしこうしてていいか?」
「うん。私ももうしこうしていたい。みんな出ていったし」
「じゃあみんな戻ってくるまで寢るか?」
「うん。最近は野営ばっかりだったから一緒に寢れなくて寂しかった」
「セナは寂しがり屋だな」
「むぅ......彌一は寂しくなかったの?」
「そんなわけないだろ」
甘ったるい會話のあと彌一はセナにキスをする。頬に手を添え、軽くれる程度に髪をでる。
「んっ、ふふ、くすぐったい」
頬には微妙に朱が差して、セナは嬉しそうにはにかむ。
「その格好いいな」
彌一はセナの服裝を見てそう言う。
クリームの首まで覆うセーターに、ピチッとしたパンツルックのズボンでクールな印象。その上からエプロンをつけ、髪もアップに纏めている。普段とはまた違ったコーデに彌一は新鮮な気持ちでセナの服裝を眺める。
「似合う?」
「ああ、似合ってるぞ。なんていうか新妻ってじがする」
「よかった。王宮で々と地球の服裝を聞いて作ってみたの」
「そうなのか。いつものスカートも似合ってるが、こうした服裝も悪くないな」
コーディネートを褒められ喜ぶセナに、彌一も自分の為に頑張ってくれる嫁が嬉しくてさらに抱きしめる。
「ねぇ、彌一」
「ん?なんだ?」
目を合わせてセナが言うと、彌一も聞き返す。し頬を染めて口を開いた。
「朝ごはんにする?二度寢にする?そ、れ、と、も.......私?」
人差し指で口元を指し、上目遣いで見つめてくる。新妻の定番セリフに、かにそういったシュチュエーションに憧れていた彌一にとってそのセリフは電気を浴びたような覚が走った。
「どうしたんだそのセリフ?」
「その、前に子のみんなが話してたの。こう言えば彌一が喜んでくれるって。これって地球では新妻が言うって聞いたから」
そう言うとちょっと恥ずかしかったのか、口元を布団で隠してしまう。そんな仕草もらしく、彌一の手は自然とセナの頬に。
「意味、わかってるのか?」
コクンと小さく頷く。
意味がわかっていて憧れのシュチュエーションでわれているとなると、彌一はもう我慢できない。
「じゃあ、セナがいいな」
「んっ......っ、彌一の手、熱い.....」
ギュッと抱きしめた彌一の手はセナのセーターの裾を引き上げ、そこからきめ細やかな背中にびる。
れる手は熱く、スーッと背筋を指でなぞると、ビクッと反応する。そんな反応が可いくて彌一はさらに裾を上げて背筋を弄る。
「っ.......あっ、あんまり、かさないで.....っ!くすぐったくて.......!」
「反応するセナが可いから止まらない」
背筋をなぞられるたびにゾクゾクとした刺激が走り、それを必死に堪えるのに彌一の服をぎゅっと摑む。
「ひゃうっ!そんなに、.......いじわる......しないでぇ......」
「セナ、可いよ。そんな聲聞かされたら我慢できなくなる」
「んっ!あっ、..........ちゅっ.........ちゅっ.......恥ずかしい........ちゅ、んくっ」
「もっと聲、聞かせて」
「ひゃっ!あっ、そんなに、まないで......!あんっ!んんっ!........」
顔を引き寄せ、そのにキスをする。れるよなキスではなく、いきなり火傷するような濃厚なキス。
脳髄を溶かされるような快楽に、二人の手はお互いの背中をで回し、もっと求めるように激しく舌を絡ませる。
「ちゅっ........あんっ........んっ、あむっ.........彌一、激しい.........んんっ........」
朝からしないようにしているキスを遠慮なく堪能しながら、彌一の手はセナのズボンにびていく。
優しくれる指にビクッと反応してしまう。
「ひゃっ、んんっ.........いやんっ、彌一に、襲われちゃう」
し茶化すように微笑むセナ。彌一はセナの頭を抱くと、耳元で囁きかける。
「あんなセリフでっておいて、やめてと言ってもやめないからな」
「.........うん、やめないで.........昨日は彌一が構ってくれないから、んっ........寂しかったんだから........」
赤くモジモジとしながら我慢できないと言った表でセナは再びを合わせる。啄ばむように短いキス。
「それはごめん。だから、たっぷりし合おう」
「うん。最近できなかった分、いっぱいちょうだい」
そんな激甘な會話をしながら、セナは仰向けの彌一に馬乗りになり、エプロンとセーター、ズボンをいで下著姿になる。
すると今度は彌一がいだエプロンをセナに著せた。
「........なんでエプロンだけ著させるの?」
「ロマンだからだ」
エプロンならぬ下著エプロン。チラリと覗く下著と白く艶やかな。
男を魅了する妖艶さは彌一から理という枷を溶かしてしまう。
手が自然とびて、キュッと引き締まった腰を抱き、華奢なそのを引き寄せる。
抱き合うと直にその暖かさとらかさが伝わってくる。
「ね、彌一.......続き、しよ.......?」
上気した頬にトロンとした瞳で、艶やかに微笑むセナの表に、背筋を痺れるような覚が走る。
「ちゅっ......んんっ、くちゅ......んんあっ、もっと、して.......」
「わかったよ。ちょっと暴かもだぞ?」
「うん、むしろ、いい......が火照って、我慢できないの.....あむっ......ひゃうっ、んっ......」
互いに手を取り指を絡め、無我夢中で熱くねっとりと舌を絡め合う。彌一はトロンと垂れるセナの青い瞳に、どうしようもないを抱き、し暴に引き寄せセナのをまさぐる。セナも甘い聲をらしながら求めるようにを寄せ、彌一の首元に何度もキスの雨を降らす。
布団の中でずっといたからかし二人の溫は熱く、吐息も熱い。しかしその熱さが二人を後押しし、鼻と鼻がくっつく距離で二人は見つめ合う。
「セナ。してる.......」
「私も......」
そしてもう一度二人のは重なりーーー
『ただいまー』
「「!?」」
玄関から聞こえて來た凜緒達の聲にビクッと二人は直。
『あれ?セナがいない』
『部屋にいるのでは?』
『ああ、そうか』
凜緒とエルがそう言ってこちらに近づいてくる。ここにこの格好のままいれば怒られることは確定だ。
「(........まずい!セナ、急いで服を著て窓から外へ出るんだ。外へ散歩に行ってたと言えば誤魔化せる)」
「(わかった!)」
このまま続きを、と完全にそういった空気だった二人だが流石に踏み止まった。もうし遅ければ恐らく止まらなかっただろう。
急いで服を著て窓から出て行くセナ。それと同時に扉がノックされた。
『やいく〜ん。起きてる?』
「お、おう!今起きた」
『セナ知らない?どこにもいないんだけど』
「あー、散歩にでも行ったんじゃないか?」
『かもね。朝ごはんセナが用意してくれてるよ』
「わかった。今行く」
寢間著を手早くぎ、ズボンにし厚めの上著を著て布団をたたむ。そういえばセナはあの格好のまま外に出たが大丈夫だっただろうか、などと考えながら部屋を出てリビングに出る。
リビングに出ると「あ!パパ〜!」とユノが駆け寄って來た。
抱き著いてくるユノを抱き上げて「おはよう」と頬にキスをすると、満面の笑みでぎゅっと抱き著く。
外にいたからか手がしひんやりと冷たい。
そのまま炬燵に連れて行こうとすると、一羽の鳥が飛んできて彌一の肩に止まった。
大きさは鷲くらいの大きさで、全が真っ白な羽で覆われている。思わずでてみたくなり、手をばすと案外人懐っこいのか抵抗することなくでさせてくれる。
るとひんやりとしたがする。
「この鳥は?」
「スノウバードです。この辺りにしかいない珍しい鳥で、ユノ様と一緒に探しに行ったら、どうやらユノ様のことが気にったようでついてきたんです」
ユノはよくに好かれることが多く、王都の実家でも森のとよく遊んだり日向ぼっこしているのをよく見かける。
には純粋な子供の心が理解できるのか知らないが、ユノがに嫌われたところを見たことがない。
「なまえはね、スーちゃんにするの!」
『ピュー!』
スーちゃんと名付けられたスノウバードは、ユノの言葉が理解できるのか嬉しそうに鳴いて、
「ただいま〜。うぅ〜寒い」
と、そのタイミングでセナがり口からってきた。先程と同じ格好で、エプロンのみ腕に持っている。やはり寒かったようで二の腕をさすりながらってきた。
「ママー!みてみて!スーちゃん!」
「スーちゃん?......あ、もしかしてこれがスノウバード?へぇ〜綺麗。可いねユノちゃん」
「うん!」
スーちゃんを珍しそうに見つめるセナ。
と、そこへ凜緒が言ってきた。
「セナどこ行ってたの?」
「ちょ、ちょっとそこまで散歩に.......」
若干裏返った聲でそう言うセナに、し訝しげな目を向ける凜緒。でも一応納得したのか、特に何も言うことなく「ほら、風邪ひくよ」と中へ促す。
「おはようセナ」
「うん。おはよう彌一」
まるで今出會ったかのようにいつも通りに挨拶する二人。一見ごく普通の一コマだが、どこか違和をじた凜緒だけはじっと違和の正を探す。
そして気づいた。二人にとっては致命的とも言えるミスを。
「.......ねぇ、二人とも。今日はキスしないの?」
「「.....!!」」
その核心をつく言葉に二人は目を泳がせた。二人の頬を冷や汗が伝う。
「い、いや、これからしようかと」
「いつもは先にキスしてからなのに?」
「そ、それは、みんなもいるし」
「いくら注意しても人目もはばからずするくせに?」
何を言ってもすぐに返される凜緒。どう言い訳したものかと考える二人だが、既に真実に辿り著いている凜緒にいくら言い訳しても無駄な気がする。
やがて何も言わない二人の態度に確証を得た凜緒は顔を真っ赤にして詰め寄った。
「やっぱり!!私たちが帰ってくるまでにイチャイチャしてたんだね!大方セナがやいくんの寢込みを襲ってしようとしたら私たちが帰って來て慌てて窓から外に出たんでしょ!!」
「ぐっ...!」
鋭い推理にぐうの音もでないセナ。セナからったあたりも見事に的中している。
旗が悪くなったセナ。だが負けじと顔を上げる。
「別に私と彌一が朝から何をしようがいいでしょ。部外者の凜緒は黙ってて!」
「ぶ、部外者じゃないもん!一緒に旅をする仲間だし、第一私はやいくんの馴染だもん!だから私にも言う権利はある!」
「私は彌一のお嫁さんだから上だね!馴染とお嫁さんだとどっちが上だと思う〜?」
「むきいいいいいーーーっ!!セナのあほぉおおおおーーー!!」
「いひゃい!?凜緒のばかぁあああああーーー!!」
お互いにお互いの頬をつねてびよーんする。仲のいいように見えないこともないが、ムキになった二人はそのまま外へ飛び出していった。
そして外から『あほぉおおおおおーーー!!』と魔法の炸裂する音が聞こえて來た。
二人が出て行ったドアをしばし眺め、はぁ....とため息をつく彩。呆れの混じった聲で彌一に言う。
「彌一君。止めないの?」
「姉妹喧嘩みたいなもんだしすぐに収まるさ」
「まぁそうね」
「では先に朝食にしましょう。既には捌いてあります」
「おうわかった〜」
エルの言葉にわれ先に朝食を摂ることに。
外からは未だに発音がするが、よくある事なので気にしていたらきりがない。
彌一たちが朝食を食べ始める頃には、全ずぶ濡れのセナと凜緒も帰ってきて、彌一が錬して作った簡易シャワーでを溫める。
二人も朝食を摂り始め、ようやく一息ついたところで、彌一が今後の行方針を口に出す。
「さて、今日ようやく【コーネリア王國】に到著するわけだが、著いたら1週間程度滯在して【コーネリア大迷宮】に挑みたいと思うんだが、それでもいいか?」
「いいけど、1週間も滯在するの?」
そう聞いてくる彩に彌一はディスプレイに周辺の地図を呼び出す。
地図はコーネリア王國を中心に険しい山岳地帯を寫す。大きな山脈を丸々囲むように作られた城壁に、その中に山頂の王城を中心に二つの円の部城壁で區切られた國だ。
そしてそんな王國から山を一つ越えた深い峽谷付近に赤いマークがつけられる。そこが目的地のコーネリア大迷宮だ。
「この大迷宮に移するためには、山をぐるっと回るか、山を越える必要がある。どっちにしても雪山用に裝備を換裝しておきたいんだ。全員の裝備を強化するとなるとし時間がかかる」
「なるほど、そういうことか」
「特に雄也と健の二人は前衛だから々と裝備を強化しないとだしな。最近レベルが上がってきて武がついていかないんだろ?」
「あはは、お見通しか」
苦笑いの雄也が申し訳なさそうに答える。アーティファクトである各々の武は問題ないが、それ以外の武が能力に追いついていないのだ。
彌一はそれをコーネリア技大國で雪用裝備とついでに各人の武の強化を行なってしまおうと言うのだ。
「すまん彌一」
「いいって気にすんな。アーティファクトの整備と強化なんて俺以外にできないしな。それに武は自分の命を預けるだ。しでも不合があるといざという時命を落とすぞ」
「わかったわ。今回は彌一くんに任せるわ」
そんなわけで彌一たちは裝備強化のためコーネリア王國に1週間近く滯在することになった。朝食がてらの會議も終えて、いよいよ國する。
シャアアアアアア!と雪の上をる音を立てながら彌一たちは凄い速度で山道を下っていた。
スノーボードで。
「はや〜い!パパ!はやい!」
『ピュー!』
抱っこした腕の中でキャッキャとはしゃぐユノと一緒に彌一もスノーボードで木々を避けながら下る。肩にはスノウバードことスーちゃんも用に乗って鳴いている。
彌一たちが昨日野営したのはちょうど山の山頂あたりで、山頂からならって下りた方が速いのでは?という健の意見で全員錬魔で作ったスノーボードを使って山を下ることになったのだ。
彌一たち地球組は全員スノーボードの経験があったので問題なくれた。むしろ昔より能力や反神経、視力なども格段に上がっているので、今ではプロのスノーボーダー並みの腕前だ。
そしてセナとエルの方だが、エルは乗りなどの扱いが上手いため、説明してしるとれるようになった。セナも若干手間取ったが、【疾風加速ゲイル・アクセラレイション】をうまく併用する事でれるようになった。
「セナお先に〜!」
「むっ、負けない!」
を倒して雪に手をつきながら大きく曲がる凜緒に、セナも負けじと風の方向を作して凜緒の後に続く。
倒れた木や巖をジャンプ臺代わりに大きくジャンプすれば、上下逆さまで二回転を行い、オリンピックのスノーボード選手もビックリな技を平気でやってのける。
一どこでそんな技をと思う彌一。
何度か子供の頃綾乃家と日伊月家でスキーに行くことはあり、凜緒もその時スノーボードが始めてだったので、回數で言えば彌一と同じはず。
と言うことは凜緒は覚でやってのけているのだ。
改めて凜緒の底知れない運神経に驚愕しつつ、腕に抱くユノを落とさないよう気を配りながらっていく。
「パパ〜、ユノもすべりたい〜!」
「ユノにスノボはまだ早いから、あとでソリを作ってあげるから我慢してくれ」
「そり?」
「うーんとな、ソリって言う板に座ってる乗りだ。サニアと一緒に乗れる用の大きいやつ作ってやるからな〜」
「ほんと!?やったー!」
スノボにサニアを乗せてやることができず、今は霊化しているのでユノは嬉しそうに笑う。
「お〜い!彌一!あれじゃないか!?」
先行する健からの聲で前を見る。
巨大な山を中心にぐるりと囲む巨大な城壁。
近くに來てわかるが、技大國だけあって城壁も砲門の數や壁の素材などが他の國の城壁以上に強固に作られている。
だが城壁も無骨な印象はなく、むしろ丁寧に揃えられて作られれている為、洗禮されたというものもじる。
「もうしで城壁だ!一旦近くで止まって歩いて行くぞ!」
その號令をけて全員森から抜ける前に近くの巖に隠れて止まる。
彌一もザッと止まりユノを下ろす。全員のボードを回収して異空間に放り込む。
「全員必要な荷だけ背負ってくれ。流石に荷がないと不自然だ」
厳しい雪の環境と険しい山脈の連なるこのコーネリアまで辿り著くには本來ならば相當な苦労が必要となる。彌一たちはへカートを使って快適に山を越えることができたが、本來ならば吹雪を凌げる場所を探しつつ時間をかけて行軍するしかないのだ。
なので彌一は無駄に大きなリュックを出してそれを全員に配る。見た目は重そうだが、中はあまりっていないので見た目ほど重くは無い。
「それと、防寒対策もしといてくれ」
「あー、流石にこの環境で外套だけは無理があるよな」
健の言葉の通り全員外套しか著ていない。魔で溫度を快適に保つ加工がされているのだが、見た目はただの外套な為見ていて異常だ。
「じゃあ、あっちの巖で著替えてくるね?」
「わかった」
そういう訳で全員著替える。便利な外套ではあるが、便利過ぎる故にめんどくさいことにもなるのだと知った彌一だった。
數分後、全員見た目暖かな防寒対策をして森を抜ける。今日は晴れて日差しも暖かいが、空気が冷たく太があっても寒い。
見渡す限りの白い雪の汚れなきキャンパス。太の日差しが反して雪面をキラキラと銀に輝く。
極寒の地だからこそ見える景がそこにはあった。
「綺麗.......!」
「日本じゃこんな景見れないな」
彩と健に彌一も頷く。土地開発の進む日本では広大な大自然の雪化粧というものは拝める機會がない。
「この辺りは観地も多いそうですから、國してあとで回ってみるのもいいかと。それにコーネリアの最大の観名所は地下ですから」
「地下?」
「コーネリアは元々鉱山採掘場なのです。この領地最大の鉱山採掘場に國を作った訳なので、地上に出ている部分は氷山の一角に過ぎないんです」
コーネリアの地下はいくつもの階層で區切られており、今もなお鉱山採掘場としての働きを持っている。またこの付近の山々は火山も多いらしく、地下はとても溫暖な空間で観地としても機能する。
「だとしたら早く行って々と見て回りたいな」
「珍しい鉱石とかあるといいんだが。鉱石魔が不足気味だし」
「武の製造も一流が集まるのでこの際裝備を一度強化するのもありですね」
「なら私々と揃えたいんだ!ナイフとかの暗も充実させたいし!」
「凜緒。あんたは私と行よ。文句は認めません」
「え!?なんで!?」
そんな會話をしながら城壁に近づいて行き、巨大な門が見え始める。詰所には待ち人が、國のある場所のせいか一人もいない。
衛兵も久しぶりの來客にし驚いた表で彌一たちを見る。
彌一はそんな衛兵に向かっていく。
「ようこそコーネリアへ。この時期に地上からの來客は珍しいですね」
「どうも。地上から?」
「このコーネリアは時期的な影響で山からの流通ができない時があるので、地下に近くの街からコーネリアまでの間を通る霊車という乗りがあるんですよ。この時期は大抵の観客や商人は霊車に乗ってやってきます」
「へぇ〜!そんなものがあるんですね!」
霊車と名前を聞く限り列車のような乗りだと推測できる。流石技大國なだけはあると改めて心していると、衛兵が紙を渡してくる。
「この國書にサインをお願いします。それと國料としてお一人七千ネクトをいただきます」
「はい、わかりました」
一通り國書に目を通して、全員の名前を書いていく。ユノは待ちきれない様子で「はやく!はやく!」とセナの手を引っ張ってはしゃいでいる。そんなユノをセナが抱っこして待っていると、サインをし終えた彌一は衛兵にお金と一緒に國書を渡す。
衛兵は目を通し、問題ないとわかると詰所の中にっていき、人用ゲートのレバーを上げて門を開く。
「それではどうぞ。ようこそコーネリアへ」
門をくぐり、彌一たちは浮き足立つ気持ちを抑え、技大國コーネリアへ足を踏みれた。
僕はまた、あの鈴の音を聞く
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