《「お前ごときが魔王に勝てると思うな」とガチ勢に勇者パーティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい》閑話4-1 CONFLICT
「エターナのぉっ……ぶわぁぁぁあああああかっ!」
耳をつんざくインクの怒鳴り聲。
そして彼は一度もエターナのほうを振り向くことなく、家の外へと飛び出してしまった。
エターナはしばし呆然としていたが、すぐに椅子に深く座り直し、大きく息を吐いた。
こんなにも激しくインクの怒りを買ったのは、これが初めてだ。
「……まあ、それはそうなるよね」
當然のことだろう、とエターナはひとり納得する。
心臓や胃が痛い。
なぜ自分はこんなことをしているのか――馬鹿げている、と冷靜に分析することはできても、他の方法は思いつかない。
「それでもわたしは……インクの想いに応えることはできない」
目を細める。
視界とぼんやりと滲み、追憶の向こうから子供たちの聲が近づいてきた。
かつて、エターナがまだ本當にかった頃の記憶。
同年代の被検・・・たちが元気に走り回り、それをキンダーとクローディアが優しく見守る。
しかし時間が経つにつれて、その人數はしずつ減っていった。
ある者は発狂しながら自分の顔をかきむしって死に、またある者はがいびつに膨張して命を落とす。
大人しかったは朝、目を覚ますと靜かに息を引き取って、仲の良かった彼はあまりの苦しみに『殺してくれ』と懇願して言わぬとなった。
幸せだったのか、不幸だったのか、今でもよくわからない。
だがそれが、エターナの原點であった。
「わたしだけが生きている……」
あれから五十年以上が経過した。
今のところ、王國の研究により“魔族もどき”となったエターナのに変化はない。
「まだ、生きている」
手のひらを開く。
まるで十代前半ののようだ。
見た目だけで言えば、インクよりも年下になってしまった。
「いつまで、生きられる……」
それでも、彼には確かに、六十年以上生きてきた記憶がある。
エターナは完ではない。
當初の王國の目的であった“人工魔族”には限りなく近づいたが、しかし研究リーダーであるキンダーも功だとは言わなかったのだ。
中途半端な、試験。
ならば魔族と同じ年月生きられる保障もなく、明日死んだっておかしくはない。
だから――
「……いや、だからというわけではないけれど」
それだけが理由ではない。
しかし、インクの気持ちを拒む理由の一つではあった。
彼の怒り顔を思い浮かべると、過去の幻影は消えていく。
「泣いてた、な……」
きっぱりと『そんな関係になるつもりはない』と言われたのがショックだったんだろう。
いや、それだけではない。
もっとひどいことを――インクの想いを踏みにじるような言葉を並べた。
完全に、その心をへし折るために。
ただただ、鬱ながエターナのを満たしていた。
得たものなんて何一つありやしない、無意味に失っただけだ。
しかし正しいことはした。
加害者なのは紛れもない事実で、そこを誤魔化すつもりはないが――間違ったことをしたつもりもない。
「これでよかった……これで。やっと、インクをわたしから解放してあげられる」
自分に言い聞かせるようにエターナはつぶやいた。
『インクに幸せになってほしい』
それは紛れもなく、彼の本心だ。
だからこそ、それだけに、インクの想いをけれられない。
エターナはなによりも、彼が“普通”であることをむ。
互いに普通に生きてこられなかったからこそ、これからは普通のを得て、普通にをして――そんな人生を。
あの明るい格ならできるはずだ。
自分のような、いつまで生きられるかわからない、人間かどうかも怪しい、保護者気取りののそばにいるよりは、そっちのほうがずっといい。
『インクをしている』
それもまた、紛れもなくエターナの本心である。
保護者としてか、被験者としての共か、それともなのか。
今でも答えは出ていない。
答えを出そうとも思わない。
わかりきっているからだ。
笑ってしまうほどイカれた話なのに、もはや明白すぎて、考えるまでもないからだ。
ゆえに考えないで、ずっと棚上げにしている。
瞼を閉じると、浮かんでくるのはインクの笑顔。
思わずエターナは苦笑した。
その眩しく輝く表が焼け付くほどだというのに、答えを出さない程度でどう誤魔化すつもりなのか。
出會ってから四年以上の月日が過ぎた。
インクは年相応に長して、順調に人に育ちつつある。
しかし中は大して変わっておらず、相変わらず明るくて人懐こいまま。
エターナを見つけると無防備に抱きついてきて、や肩に顔を埋める。
正直、嬉しかった。
自分が命を救い、視力も與えたインクが、いつまでも自分に懐いてくれていることが。
だがそこには、『エターナの右腕を奪った』という罪の意識も関連しているはずだ。
その気になれば、いっそ永遠に自分の元につなぎとめることだってできるだろう。
それだけのことをしてきた。
だったらいっそ、正しさなんて投げ捨てて、自分のエゴを通してしまえば――
「……だから、ダメなんだって」
薄っすらと目を開き、テーブルの木目を見ながら彼は言った。
そう、だから・・・こそ、エターナはインクを自分から引き離さねばならないと思ったのである。
そのは、危険だ。
せっかく開けたインクの道を、自ら閉ざしてしまうことになる。
なんのために生かしたんだ。
普通の人間として生きてもらうためだろう。
なんのために腕を犠牲にしてまで助けたんだ。
普通の人間として生きてもらうためだろう。
なんのために視力を回復させたんだ。
普通の人間として生きてもらうためだろう。
全ては、ただそのためだけに――斷じて、斷じて、斷じて、自分のものにするためなどでは、なかったはずだ。
が苦しい。
が重い。
呼吸すら億劫だ。
このまま息を止めて、自分を殺してしまいたい。
時間が経って、気持ちが落ち著いてくると、さらにのもやもやは膨らんでいった。
泣いていたのだ。
あんなにも眩しい笑顔を真っ直ぐに向けて、自分に好きだと言ってくれる人が。
『わたしはあくまで保護者としてインクに付き合ってきただけ。がどうとか言われても、正直、困る』
なんだそれは。
その言葉のどこに本心があると言うのか。
『インクはまだ子供。一時のでそう思っているだけ。わたしは大人だから、そういう子供の勘違いを諌める役目がある』
自分が大人のつもりでいるのか、過大評価も甚だしい。
ずっと山奧で引きこもって生きてきた人間が、他人を諌められるほど立派に長できているというのか。
お前の心はまだ、王都で実験として暮らしていたあの頃からなにも長していない。
『ずっと前から煩わしいと思っていた。わたしがインクをそういう目で見ることはないし、見られるのも迷』
ああ、本當に、なんて救いようのない――
「ちょっと、ドア開いてたわよ? いくらなんでも不用心すぎ……ってエターナ、そんなにずり落ちてなにしてるのよ」
すると、インクの出ていった玄関から、勝手にネイガスがってくる。
「ネイガス、不法侵」
「打ち合わせに來るって言ってたじゃない」
確かにそれは事実で、時間だって約束どおりだ。
インクが出ていってから、いつの間にか一時間以上が経過していたらしい。
その事実に心驚きつつも、を起こして普通に椅子に座るエターナ。
ネイガスは彼の向かいに腰掛け、部屋を見渡した。
「インクちゃんは?」
「出てった」
「なによそれ、まるで家出でもされたかのような言い方ね」
「……」
エターナは無言で目をそらす。
言葉などなくとも、それだけで充分だった。
「……本當にそうなの?」
「喧嘩した」
大きくため息をつくネイガス。
彼もエターナとインクの関係は知っている。
四年間、延々とインクが熱烈なアプローチを仕掛けていたにも関わらず、まったく進展していないことだって。
「そういうの、せめて打ち合わせの後にしてくれないかしら。その顔を見る限り、原因はあなたにあるんでしょう?」
「100パーセント」
「言い切るって相當ね。なにやったのよ」
「いつものように『好き』って言われたから、思いっきり突き放した」
エターナは憂げに目を伏せた。
それを見たネイガスは、眉間に皺を寄せ、軽くを乗り出し顔を近づけて指摘する。
「ずっと思ってたけど……あなた、アホね」
「心外」
「いいやアホよ。あれだけ好き好きオーラを出してる子を突き放すとか、常人にできる真似じゃないわ」
しかも四年間、一度も途切れることなくである。
「出してるからこそ……突き放した」
「余計にアホじゃない」
「アホアホうるさい! わたしだって、いろいろ考えてっ!」
珍しくをむき出しにして苛立つエターナ。
ネイガスはし驚いた様子で元の位置に戻った。
引かれた――そうじたエターナもまた冷靜さを取り戻し、椅子に座り直す。
「……先に打ち合わせを終わらせたい」
「國をあげたお祭りの打ち合わせなのよ? そんな地獄の泥沼にどっぷり浸かったような最低最悪の神狀態でできるわけないじゃない。あとインクちゃんがいないと困るわ、席は隣なんだから」
「だったらどうする? また別の日に」
「まず、インクちゃんにどうしてそんなことをしたのか白狀してもらおうかしら」
魔は目を細め、ネイガスをにらむ。
しかし彼にふざけた様子はない。
冷やかしているわけではなく、本気で相談に乗るつもりのようである。
「どうしてそこまで気にするのかが理解できない」
窓の外に視線を向け、苛立たしげに言った。
「同じ年の差カップルとして放ってはおけないわよ」
「カップルではない!」
「そういうとこよ。ムキになって否定する理由があなたにあるの? 私としては、とっととインクちゃんの気持ちをけれて付き合っちゃえばいいのにって……」
「そんな簡単に済ませられるなら最初から悩んだりはしていないっ!」
エターナは勢いよく立ち上がると、左手で強く機を叩く。
思わず仰け反るネイガス。
これ以上踏み込むな――と線を引いているようにも思えたが、なおもズケズケとり込んでくるのが彼である。
「……とにかく、これはわたしとインクの問題だから」
「そうでもないわよ? インクちゃんが落ち込むと、セーラちゃんも悲しむもの」
「長には痛みがともなうもの」
「それって言い訳によく使われるセリフよね。私はそうは思わないわ」
「自立するには必要」
「ひょっとして、年の差があるからとか、自分じゃ幸せにできないとか、いろいろ考えてるんじゃない? そんなの無駄よ、無駄。気持ちが本なら、どれだけ言い訳して遠ざけたって、結局は離れられないものなの」
「セーラとネイガスの関係と、わたしたちは違う」
「どう違うっていうのよ」
「わたしはあの子の保護者だから」
決定的な違いは、そこにあった。
フラムとミルキット、セーラとネイガス――彼たちの関係はある程度イーブンだった。
エターナとインクは違う。
いや、正確にはエターナが違うのだろう。
そう見てしまっていた。
四年前は子供だからと無邪気に接して、戦いの中で深く考えたことは無かったが、一緒に過ごしていくうちにごちゃごちゃと、余分な贅を付けてしまった。
「大人として、ちゃんと守らなくちゃならない」
責任。
倫理。
常識。
ただの拘束でしかないのに、必要と思えてしまうのは、それが“正論”だからだ。
「めんどくさいわね」
「面倒で結構」
「それはあなたの人生に必要なものなの?」
「わたしにはいらない。どうせ最初から普通じゃないし、いまさら戻れるものでもないから。でも……インクは違う。まだ十五歳。普通に生きることもできる」
「普通普通って、それなに? どういう生きかたなの?」
「わたしから離れて、もっと広い世界を見て、んな人と出會う」
「漠然としてるわね」
「そうでもない。王立魔法學校にれる予定もある」
「それって……今度新しく設立されてるっていう、大きな學校よね。確か全寮制の」
「多種多様な価値観をもつ學生たちとれあえば、きっとインクの世界も広がる。そこでたぶん……わたしよりも素敵だと思える人にも出會うはず」
エターナは別に自分に自信がないわけではない。
ただ、目が見えるようになったのはつい最近だというのに、まるで彼が世界で一番であるかのように言い寄るインクに、納得できないだけだ。
「きっと世界には、わたしよりもずっとインクのことを幸せにできる人がいる」
「自信が無いの?」
「そういうわけではない」
「いや、それを自信が無いっていうのよ。斷言するけど、ありえないわよ、それ。インクちゃんを幸せにできるのは、間違いなくあなた一人だけよ」
「わからない」
「あの子の顔を見てたら一目瞭然じゃない。エターナならそれぐらいわかりそうなものだけれど。そう、なるほど、あなた焦ってるのね」
「そんなことはない、ずっと平常心でいる」
「おおかた、インクちゃんの目が見えるようになったら、自分の見た目にがっかりして離れていくとでも思ってたんじゃないかしら」
「違う」
即座に否定してみたものの――それは、事実だった。
自分の子供のような姿を見れば、きっとインクは幻滅する。
そう期待・・していたのだ。
「けれど予想外に、離れるどころか、以前よりもアプローチが激しくなってしまった」
「違うったら違う」
頑なに認めないエターナ。
しかし連続して図星を突かれたせいか、その表には苛立ちがにじみ出ている。
さらに追い込むため、ネイガスは言葉を緩めずまくしたてる。
「ねえエターナ、確かインクちゃんって水屬よね。別に魔法學校になんて通わなくたって、一流の師匠であるあなたに師事したほうがびると思うわよ」
「これから先の未來は、力だけ持っていたってしょうがない。人間を磨いて初めて……」
「他の誰かを好きになってくれるのを期待してるみたいだけど、私が思うに、『他の人を見てたらエターナがどれだけ素敵かわかった』ってあの子なら言い出すんじゃないかしら」
「う……」
「ほら、あなただってそう思ってるんじゃない。それに、もし仮に他の誰かを好きになったとして、それをエターナ自がけれられるの?」
「そ……それは……」
ある意味で最大の問題が、そこにある。
インクが自分以外の誰かに、自分にしていたように懐いたりしたら――想像しただけでが苦しくなる。
保護者として素直に喜ぶ自分も心の片隅にはいるのだ。
だが、そんなものは指先だけで弾き飛ばすほど、それは圧倒的な勢力であった。
「問題、無い」
強がるエターナ。
もちろん、ごまかせるはずなどない。
「問題しか無い顔してるわよ。だいたい、そんなに目元を腫らしておいてよくもここまで言い訳を並べられたわね」
「別に泣いてなんて……」
指摘されて、エターナは目元にれる。
するとたしかにそこは濡れていた。
先ほど、一人で考え込んでいる間にいつの間にか泣いていたらしい。
自覚もないうちに、ぽろぽろと。
「水はれるのに自分の涙はれない、と」
「うまいこと言えてないから」
「それはどうでもいいけど、泣くほどなら、余計に自分の気持ちに素直になったほうがいいと思うわよ。きっとあとで死ぬほど後悔するわ」
もしもセーラがネイガスから離れていったら――そんな未來を想像するだけで、彼は自分を殺したくなる。
きっとエターナも、今のままではそのうち、それと同じような思いをするはずだ。
だが困ったことに、それでもなお、“正しさ”なる不確かな価値観を優先する理由が彼にはあった。
「別に、素直になってないわけじゃない」
自分の気持ちに噓をついたつもりもない。
全ては真実だ。
ただ単に、意味もなく突き放したいのではなく――
「純粋に想えば想うほど、わからなくなる」
好きだからこそ。
しているからこそ、そばにいてはならないと考えてしまう。
「大事なのは、あなたがどう思うかではなくて、インクちゃんがどう思うかなんじゃない? なにが相手にとって幸せかなんて、もうわかりきってるじゃない」
「……うらやましい」
「急になによ」
「自分が誰よりも相手を幸せにできると言い切れるその自信が、うらやましい」
結局のところ、全ての原因はそこにあるのだ。
のこともある。
命のこともある。
インクにはもっとたくさんの世界を知ってほしい――そう思う保護者としての気持ちもある。
総じて、このまま自分の隣にいたのでは、インクは幸せになれないのではないか。
そう、思わざるを得ないのだ。
「堂々巡りね……」
「だから悩んでる」
「ねえエターナ、思ったんだけどね? それ、正直に言っちゃえばいいと思うのよ」
「なにを?」
「全部よ、全部。どうして突き放そうとするのか、なんで人になれないのか。だって、インクちゃんがエターナに不満を持ってるのって、なかなか好意を見せてくれないからでしょう? あなたにはあなたなりの表現がある。それが伝われば、もうちょっとお互い落ち著いて話ができると思うのよ」
「それは……考えたことがなかった」
どうにか突き放すことで意図を伝えようとしていたが――し考えてみれば、ネイガスの言うとおり、回りくどさなど必要なかったのだ。
もっとも、伝えたところで納得してくれるかはわからない。
人としてのを求めるインクとの話し合いは、延々と平行線をたどるかもしれない。
だが――喧嘩して、インクを悲しませるようなやり方は、エターナもんでいない。
「というわけで、インクちゃんを探しに行きましょう」
「……申し訳ない」
「いいのよ。私ね、他人の路に首突っ込むの大好きだから」
てへっ、と舌をぺろりと出すネイガス。
「はぁ……しだけ頭を下げたことを後悔した」
エターナは大きくため息をつきながらも、口元には笑みが浮かんでいた。
◇◇◇
家を出た二人は、早速魔法を発させた。
風と水――二人の力を使えば、人を探すのはたやすい。
排水口に潛むネズミの一匹すら逃さぬ度で、コンシリア全域をカバーできる。
逃げて隠れている彼をこんな方法で探すと、あとで『ずるい』と怒らせそうではあるが――
「まだそう遠くまでは行ってないはずよね」
「知らない場所に行くとも思えない」
二人は今いる場所を中心として、しずつ索敵範囲を広げていく。
だが――一向に引っかからない。
「地上はもちろん、地下も、屋も反応無しね」
「もうし広げてみる」
「それはいいけど、走ってもこんなに遠くにはいけないんじゃないかしら」
違和を覚えるネイガス。
なおもエターナは探索を続け、そして――離れた地下に、インクではないが、奇妙な反応を察知した。
そいつは四足歩行で水路を移し、異様な速さでどこかへ向かっている。
「……ネイガス」
「こっちもキャッチしたわ、このき……普通の生きじゃないわね」
「あまり考えたくはないけれど、一つの可能がわたしの頭に浮かんでいる」
「たぶん私も同じだと思うわ。でも念のため聞いておいてもいい?」
焦らす意図はなかったが、エターナは一旦大きく息を吐き出してから、その名を告げた。
「――“キマイラ”」
この目で見たわけではない。
だがモンスターでもない、人でもないその謎の異形を察知して、本能的にそうじたのだ。
どうやらネイガスもそれは同じらしく、を噛んで深刻な表を見せる。
するとそのとき――ドオォンッ! と音が響き、セーラがいるはずの大聖堂から黒煙が上がった。
立て続けに起きる異変に、呆然と立ち盡くす二人。
『平和ボケしすぎなんだよバーカ』
エターナの耳に、風に乗って男の聲が聞こえてきた。
誰かは知らないが、明らかな挑発だ。
十中八九、今でもオリジンを信仰し、テロ行為を繰り返す“神の脈”の仕業だろう。
フラム不在を狙って、持ちうる力の全てを注ぎ、コンシリアを混に陥れようとしているのだ。
おそらく、探してもインクが見つからなかったのは彼らの手によるものだろう。
「インク……!」
エターナは悔しさと不甲斐なさに拳を握る。
ネイガスは己の聖域に土足で踏み込んでくる目障りな敵の存在に、表が消え、瞳に黒い炎を滾らせる。
そして二人は言葉すらわすことなく、同時に、それぞれ異なる方向へと駆け出した。
【最強の整備士】役立たずと言われたスキルメンテで俺は全てを、「魔改造」する!みんなの真の力を開放したら、世界最強パーティになっていた【書籍化決定!】
2022/6/7 書籍化決定しました! 「フィーグ・ロー。フィーグ、お前の正式採用は無しだ。クビだよ」 この物語の主人公、フィーグはスキルを整備する「スキルメンテ」が外れスキルだと斷じた勇者によって、勇者パーティをクビになった。 「メンテ」とは、スキルを整備・改造する能力だ。酷使して暴走したスキルを修復したり、複數のスキルを掛け合わせ改造することができる。 勇者パーティが快進撃を続けていたのは、フィーグのおかげでもあった。 追放後、フィーグは故郷に戻る。そこでは、様々な者にメンテの能力を認められており、彼は引く手數多であった。 「メンテ」による改造は、やがて【魔改造】と呼ばれる強大な能力に次第に発展していく。 以前、冒険者パーティでひどい目に遭った女剣士リリアや聖女の能力を疑われ婚約破棄されたエリシスなど、自信を失った仲間のスキルを魔改造し、力と自信を取り戻させるフィーグ。 次第にフィーグのパーティは世界最強へ進化していき、栄光の道を歩むことになる。 一方、勇者に加擔していた王都のギルマスは、企みが発覚し、沒落していくのだった。また、勇者アクファも當然のごとくその地位を失っていく——。 ※カクヨム様その他でも掲載していますが、なろう様版が改稿最新版になります。
8 68【書籍化・コミカライズ】実家、捨てさせていただきます!〜ド田舎の虐げられ令嬢は王都のエリート騎士に溺愛される〜
【DREノベルス様から12/10頃発売予定!】 辺境伯令嬢のクロエは、背中に痣がある事と生まれてから家族や親戚が相次いで不幸に見舞われた事から『災いをもたらす忌み子』として虐げられていた。 日常的に暴力を振るってくる母に、何かと鬱憤を晴らしてくる意地悪な姉。 (私が悪いんだ……忌み子だから仕方がない)とクロエは耐え忍んでいたが、ある日ついに我慢の限界を迎える。 「もうこんな狂った家にいたくない……!!」 クロエは逃げ出した。 野を越え山を越え、ついには王都に辿り著く。 しかしそこでクロエの體力が盡き、弱っていたところを柄の悪い男たちに襲われてしまう。 覚悟を決めたクロエだったが、たまたま通りかかった青年によって助けられた。 「行くところがないなら、しばらく家に來るか? ちょうど家政婦を探していたんだ」 青年──ロイドは王都の平和を守る第一騎士団の若きエリート騎士。 「恩人の役に立ちたい」とクロエは、ロイドの家の家政婦として住み込み始める。 今まで実家の家事を全て引き受けこき使われていたクロエが、ロイドの家でもその能力を発揮するのに時間はかからなかった。 「部屋がこんなに綺麗に……」「こんな美味いもの、今まで食べたことがない」「本當に凄いな、君は」 「こんなに褒められたの……はじめて……」 ロイドは騎士団內で「漆黒の死神」なんて呼ばれる冷酷無慈悲な剣士らしいが、クロエの前では違う一面も見せてくれ、いつのまにか溺愛されるようになる。 一方、クロエが居なくなった実家では、これまでクロエに様々な部分で依存していたため少しずつ崩壊の兆しを見せていて……。 これは、忌み子として虐げらてきた令嬢が、剣一筋で生きてきた真面目で優しい騎士と一緒に、ささやかな幸せを手に入れていく物語。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※書籍化・コミカライズ進行中です!
8 173高校生である私が請け負うには重過ぎる
海野蒼衣(うみのあおい)、高校三年の春。 そんな時期に転校してきたのは黒衣をまとった怪しげな男子高生。 彼には決して表向きには行動できないある『仕事』を行なっていた⁉︎ そしてひょんな事から彼女は、彼の『仕事』へと加擔せざるを得ない狀況に陥ってしまう。 彼女の奇妙で奇怪な最後の一年間が始まろうとしていた。
8 159継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》
☆TOブックス様にて書籍版が発売されてます☆ ☆ニコニコ靜畫にて漫畫版が公開されています☆ ☆四巻12/10発売☆ 「この世界には魔法がある。しかし、魔法を使うためには何かしらの適性魔法と魔法が使えるだけの魔力が必要だ」 これを俺は、転生して數ヶ月で知った。しかし、まだ赤ん坊の俺は適性魔法を知ることは出來ない.... 「なら、知ることが出來るまで魔力を鍛えればいいじゃん」 それから毎日、魔力を黙々と鍛え続けた。そして時が経ち、適性魔法が『創造魔法』である事を知る。俺は、創造魔法と知ると「これは當たりだ」と思い、喜んだ。しかし、周りの大人は創造魔法と知ると喜ぶどころか悲しんでいた...「創造魔法は珍しいが、簡単な物も作ることの出來ない無能魔法なんだよ」これが、悲しむ理由だった。その後、実際に創造魔法を使ってみるが、本當に何も造ることは出來なかった。「これは無能魔法と言われても仕方ないか...」しかし、俺はある創造魔法の秘密を見つけた。そして、今まで鍛えてきた魔力のおかげで無能魔法が便利魔法に変わっていく.... ※小説家になろうで投稿してから修正が終わった話を載せています。
8 88異世界で始める人生改革 ~貴族編〜(公爵編→貴族編
「ああ、死にたい」事あるごとにそう呟く大學生、坂上宏人は橫斷歩道を渡っている途中トラックにはねられそうになっている女子高生を救い自らが撥ねられてしまう。だが死ぬ間際、彼は、「こんなところで死ねない!死ねるわけがない」そう思い殘し、そのまま死んでしまう。死にたいという言葉と死ねないという思いを抱えながら死んだ彼は、あの世の狹間で神に出會い、異世界に転生される。そこで手にいれたのは攻撃魔法不可、支援特化の魔法とスキルだった。 仕方ないからこれで納得できる人生送ろう。 感想の返信はご勘弁お願いいたしますm(_ _)m エンターブレイン様より書籍化いたしました。
8 190異世界に勇者召喚されたけどチートな一般人|(噓)だった
日常に退屈している少年 鳴龍《なきり》 榊斬《こうき》はある日、教室で寢ているとクラスメイト4人とともに異世界に召喚される。しかし榊斬は召喚される前に女神にある能力をもらう。いざ召喚されると榊斬だけ勇者の稱號をもっていない一般人だった。しかし本當に強いのは、、、
8 123