《手違いダンジョンマスター~げられた魔達の楽園を作りたいと思います~》街へ來ました
「はい、それでは選を開始するぞ」
現在地、第1層森林エリア。
そこでルーレットを持った俺とラビィ、そしてサノー、後はユキムラと十勇士が待機している。
ミストは寢坊だ。
別に呼んではないのでお咎めなしだ、寢る子は育つって言うからな。
あれが育つのかは分からないけど、子守りにウノーを置いてきたので大丈夫だろう。
サノーは若干心配そうな顔をしているが、ウノーよ、サノーに頼りすぎでは無いだろうか。
そして十勇士の面々、全員がやる気に満ちている。
うん、ここまで良くやってくれた、これが最後の戦いだ、全力で行くぞ! ……なんの話だ。
さて、余計なお話しはこれくらいにして、ルーレットをスタートだ。
「……えーと、緑! ロクロウだよ!」
出てきた玉を確認し、ラビィが高々に宣言をする。
至近距離でばないで貰いたいな、耳がキーンってなるから。
そして當選したロクロウは……ぷるぷる震えてた。
「陛下! このロクロウ命を懸けて陛下をお守りします!」
歓喜に震えていた。
え? 良いのそれで、服の中だよ? 窮屈だとか思わないわけ?
本人が良いって言ってるんだから良いか、俺が余計なことは言わない方がやる気損なうかも知れない。
「じゃあ今回はロクロウに任せる。宜しくな」
「はっ! このに代えてでも!」
固い、その一言である。
「ぶー、私も行きたかったです!」
「サイゾウ、お前つい最近一緒だったろ」
「サスケくん、私は常にご主人様と一緒にいたいの!」
「そんなの全員同じだろ?」
何やらサイゾウとサスケが言い合っている様だ、大変仲が宜しそうで。
「ぬおおぉっ! 某、一生の不覚ぅ!」
「我なんて1度も當たってないからね! ユキムラはマシな方だね!」
「ははは、ユキムラ、モチ。陛下は私に任せると言い」
「「ぬぅぅぅ!!」」
あ、3バカ見っけ。
目は會わせない方が良いな。
「これもまた、試練です。ここから研鑽を積めば何れは私達が護衛に回れますよ。セイカイ」
「兄者、悔しいなら悔しいって言った方が良いぞ?」
「べべべ、別に悔しくないですよ!?」
イサとセイカイの兄弟コンビは何やら話し込んでる様子。
「あら、ユリ。今回は、外れちゃったわね」
「……次は當てますっ」
「ふふふ、私も早く當たりたい所ね」
「……カケイさんも直ぐに當たりますよ?」
「貴本當に良い娘ね」
「そ、そんなことないですよっ!」
む、ガールズトークかな? 俺には著いていけそうもない。
「あちゃー、私も外れたよクロト~」
「そうか、殘念なお知らせだが、お前の分の玉はって無いぞ」
「ええっ!? 何で!?」
何故、っていると思ったのだラビィよ……會議の段階で戦力外通告しただろう。
それにこのルーレット、十勇士専用だし、っている訳がない。
「さて、ラビィも五月蝿いからさっさと行くか」
「扱い酷くない!?」
ラビィのお世話はホブゴブリンやユキムラ、十勇士に任せるとしよう。
誰一人として安心できる要素は無いけど三人よれば文殊の知恵ってな、きっと何とかしてくれる事を祈っておきたい今日この頃。
「あ、良い忘れてた。俺が留守の間に侵者が來たりしたら反撃なり何なりしてくれ、リーダーは大將のユキムラを中心にするように」
「承知しました、このユキムラ。必ず良い果をあげましょうぞ!」
不安だなぁ、不安な要素しか無いなぁ……。
本當に大丈夫だろうか。
「……じゃあ、行ってくる」
「お気を付けて!」
◇◇◇
「いやぁ、大丈夫かな不安だなぁ」
「陛下のお気持ちはお察しします。私も奴等の行は不安要素しかありません」
家のダンジョンって良く良く考えると脳筋まみれだから、いざと言うときまともに機能するかが心配なのだ。
サノー位は殘しておくべきだったか……あいつら最終的には力業で捩じ伏せろを実行すると思うんだ。
「クロト様、ここはもう割り切るしか無いと思われる」
「だよなぁ、ミストが暴走しなけりゃ良いけど」
「ミスト様は見た目も中も子供ですからね。妙な喧嘩は起こらないと信じるしかない」
なんかこう、ガスの元栓しめたかとか窓や家の鍵をしめたか見たいな不安が殘ってソワソワする。
「さっさと街での報収集を終わらせるしかないな! 計畫的に行くぞ!」
「はっ! どこまでも陛下のお心のままに!」
「畏まりました」
◇◇◇
急ぎたいのは山々だったが、サスケやサイゾウ曰く、森を抜けるまで半日から1日、街までもそれなりにかかるそうで、初日はガンガン進んだことにより、森を抜けるのはもうすぐと言うところで、野営を開始。
DPにより取り寄せた簡易テントにて雑魚寢になるのだが寒さもある程度防げるし、暗さは俺の最下級魔法【提燈】で何とかなる。
荷は俺とサノーで折半している。
俺よりも力のあるサノーの方が割合は大きいけど本人はなんの苦もないそうで、流石は魔っす、尊敬するっす。
食料や水もちゃんと確保しているし、街までは問題なし!
アイテムボックスってやっぱりしくなるよなぁ……夢のまた夢だから諦めるしかないな。
まぁDPでんな取り出せる時點でほぼ勝ち組よ勝ち組、他に異世界人がいたら自慢してやるからな。
そんなじで特に進展は無いものの、夜は直ぐに寢た。
◇◇◇
森を抜け、その先に見えたのはかなり広大な草原だった。
ミストを迎えに行くときも見たんだが、今回久しぶりに外に出た訳で、綺麗な景を見るってのは気分転換になるな。
快晴の大空で太がギラギラと燃えているが、苦しい暑さじゃない。
そして何より草原を駆け抜けるその風がにれ、し熱くなっているの熱を外に逃がしている。
非常に気持ちが良いな、寢てしまいたい。
「こんなところで寢ると魔にも襲われますから、寢ないように」
「わ、わかってるよ?」
流石は草原のど真ん中にある村で過ごしていた奴だ、多は魔の生態に詳しいらしい。
「あちらの街道に沿って行けば街に著くそうで」
草原にポツンと存在し、左右に絶え間なく続いている煉瓦っぽい作りの道。
そこに沿って歩けば近隣に街がある。
街道は若干ぼこぼこしていて、油斷するとコケそうな気がする。
そう考えると日本の道路の整備は凄いな、多のガタガタで文句を言う人は非常に我が儘だと実するぜ。
街道を歩いていると、かなりないが、馬車とすれ違ったり、逆に追い越されたりする。
スゲー、馬車初めて見たわ、本當に馬が引いてるんだな。
そう考えるとこの世界は中世ヨーロッパ位の文明だろうか。
だとなると、街中が綺麗かは怪しいな、中世ヨーロッパの時代はそこかしこに生ゴミや糞尿垂れ流しってじだったっぽいし? まぁ、俺授業寢てたから良く分かんないけどさ。
いやぁ、懐かしいな、高校生時代、まさか大學にる前にタライで異世界に來るとは思わなんだ。
これが本當のたらい回しってな、はっはっは……笑えねぇんだよこの野郎!
あのくそ神め、いつかぶっ飛ばしてやるからな! 【魔化】してダンジョンの支配下に置いてホブゴブリンの部下にしてやるわ! もしくは砂のお世話係!
ふぅ、奴の事を考えるのはやめよう。腹が立つだけだし。
にしても、外ってのはたまには良いもんだな。
んな事を見たり聞いたり、知ったりするのは人生に置いて良い経験だとか山田が言ってたけど、まぁ、同い年なのに謎発言する奴は変人だったな。
「陛下、街がお見えになりました」
んな事考えているとロクロウに聲をかけられた。
「おぉ、あれが街!」
なんかデカイ石造りの壁に囲まれ、その天井からはしだけ高い建が有るのか、見え隠れしているのが分かる。
遠くからでも大きさが分かるので近くに行けば相當大きい街だろう。
ここなら報も集まり易そうだし、ダンジョンの噂話を広げるのにもうってつけかもしれない。
問題は、ダンジョンがあると聞いて大量に押し寄せられる事が問題だ。
あちらが強すぎればこっちの階層のあまりないダンジョンは潰されるし、俺も死ぬ。
でも逆にこちらが強すぎれば、事ある毎に撃退してもっと強いやつを呼ばれてしまえば結局終わる。
良い塩梅とは難しいものだ、料理人って大変なんだろうな。
俺には向いてないわ、合掌。
「ロクロウ、そろそろ服にってくれ」
「は、はっ! ご無禮をお許し下さい」
何が無禮なのか分かんない。
俺がロクロウを窮屈な思いさせてるからこっちが許して下さい何だけどな。
ロクロウも結構変わったスライムだな、全員変わってるけど。
因みに馬車とすれ違うときには隠れてもらったりして何とか誤魔化していました。
「すみませーん、街にりたいんですが」
「ようこそ、えっと分を証明出來るものはお持ちですか?」
「……すみません、持ってないです」
骨にシュンとしてみる。
サノーは姿勢を崩す事なく真顔で見ている。
「あちゃー、そうですか……代わりに門稅としてお一人様銀貨3枚になるんですけど」
「纏まった金を持って居なくてですね、この武とか幾らになります?」
腰にお飾りで挿している上質な剣(DP50)×2本を指指す。
門番さんは顎に手を當てて、うーんと唸り剣をまじまじと見つめる。
全く価値がなかったらどうしよう……最悪簡易テントを売るか? 意外と良いものだし、市場崩落させる勢いはあると思うんだよ。
「自分、新人なもんで良く分からないんですよね。々お待ち下さい」
門番さんはお隣の別の門番さんに頷いた後、街の中へ行ってしまった。
すると數分後、門番さんと渋い門番さんがやってくる。
「うーん、武を売るってことか。なるほど、この質ならそこそこ良い値段になるだろ。一先ずこの剣を擔保に街にる許可はやろう、兄さん達、冒険者志かい?」
「まぁ、そんな所です」
「となると、登録料もかかる事になるんだが……宛はあんのか?」
へぇ、冒険者になるのにも登録料がいるのか、世の中って世知辛いねぇ。
「あるにはあるので大丈夫です」
「そうか、なら大丈夫だ。ようこそ、マルタの街へ」
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