「屬魔法を・・・・ですか？

彼は自分を遠ざけるのではなく、むしろ近くに置こうとしてくれている。

「そうよ。あなたが外の世界でルーン魔法を使わなくても、十分に生きていけるように私が教えるの」

外でルーン魔法を使う危険は先ほど聞いたので理解している。だが、セレスさんと同じ屬が向いているとは限らない。

そんな不安をセレスさんはし違う方向に理解したらしく・・・

「大丈夫よ。何があっても見捨てたりしないから」

「・・・・はい」

また、し泣きそうになってしまった。この人の優しさはとても心に染みてくる。両親だった者たちから、など一切けずに育ったのだ。これだけの優しさをくれた彼は・・・母親のように見えた。

「じゃあ、これからお願いします」

「うん、よろしい！じゃあまず適を調べましょうか」

先ほどもし述べたが、魔法には屬があり、その適の魔法を使うことができる。ほかの屬も全く使えないという訳ではないが・・・出力は適の100分の1ほどしか出すことができない。

ということで必然的に適屬を主力として扱うことになる。

「じゃあ、ちょっと準備するわね」

そう言ってセレスさんは席を立ち、リビングの奧に置かれていた五角形の石版を持ってきた。各頂點には 赤、青、緑、黃、黒、の 5つのの寶石が埋め込まれている。それぞれから1本の線がびており中心で5本が重なっている。

「適を調べる石版よ。見るのは初めて？」

「はい・・・どうやって検査するんですか？」

なんとなく予想は付いているのだが・・・

「石版の中心に手を置いて魔力を流すのよ。魔力はほんのしでいいからね」

たくさん流してしますと壊れてしまうかもしれないのだそうだ。僕の魔力ではちょっとのつもりが莫大な量になってしまうかもしれないので、慎重にやるべきだろう。

「じゃあ・・・いきます」

右手を石版の上に乗せ、し・・・ほんのしだけ魔力を流す。すると石版の黒い寶石のみらず、ほかの寶石は綺麗にり出した。

セレスさんを見てみると、顔が引きつっている。

「よ、4屬持ち・・・これはまた規格外な・・・」

「これって多いんですか？」

正直よくわからない。ほかの人の適を見たことはないのだ。

「多いも何も人間が持てる適全てよ。黒いのは闇屬で、人間が持てる屬では・・・・あら？」

「え？」

セレスさんが石版を凝視している。僕もつられて石版をみる。

先程までっていなかった闇屬の黒い寶石が鈍くっている。ほかの寶石は明るく輝いているのだが、鈍く、かすかに明滅しているのだ。

「どういうこと？ししかないとはいえ、闇の適があるなんて・・・・」

「でも、は弱いですよ」

「多分、ほんのしだけ闇の適もあるんだと思うわ。闇屬持ちの人間なんて聞いたことないけど」

ほんのししかないのなら、使えないも同然だろう。つまり僕のメインに使う屬は、4つということになる。

「まあいいわ。屬はそれぞれ火、水、風、、この4つよ。これはあくまで系統だから、氷とか雷とかも使えるわ。ちなみに私は風とよ」

なんとなく察していた。僕の記憶をみるときにの魔法を使っていたし、エルフには風の適が多いと言われているからだ。

「まず最初に魔力を増やす修行をするんだけど、ユリエルは必要ないわね」

「これ以上増えても困りますから」

既に規格外の魔力量を誇っている。僕にはこれ以上魔力は必要ない。ということで必然的に次の修行からることになる。だが・・・

「修行は明日からやるから、どういう魔法を使うか今日考えておくのよ」

「え？今日はやらないんですか？」

てっきりすぐに始める者だと思っていたのだが・・・

「イメージが固まっていない狀態で使っても魔法は使えないわよ。魔法はね、魔力を介にして自分の持つ系統の魔法をイメージで現化させるものなのよ」

「・・・なるほどです・・・」

さすがは魔法に長けているエルフ族だ。魔法の仕組みまで知っていたとは。

ということで、魔法の適がわかったので、夜は魔法のイメージを固めることにした。

◇

その夜。僕はセレスさんに言われた通り魔法のイメージを固めることにした。普通とは全く違う方法で・・・・

「【事象の原理を伝えよ】」

魔法とはイメージだと、セレスさんは言っていた。つまり、明確な原理を理解しているとイメージが固まりやすいと考えたのだ。

力を完全に継承した今ならわかるのだ。ルーン魔法は、全知の力でもある。知識をそのに宿すことができる。

「事象の原理をインプット・・・・・できたな。これで魔法の行使が飛躍的に上がるはず・・・」

実際、自分の聞いたことのない言葉をいくつも使っている。セレスさんですら知らない言葉だ。

僕の魔法の萬能さはとどまるところを知らない。だからこそ、無闇に使えば利用しようとしてくる輩が出てくるのだろう・・・

「明日の訓練は頑張ろう・・・」

そう思い目を閉じ、やがて夢の中にっていくのだった・・・

◇

その頃のセレス。彼は今、 地下にある書庫にいた。

ユリエルの魔法について調べていたのである。

「・・・・やっぱりないわね」

ユリエルの魔法は萬能で強力すぎる。あの魔法単で世界中の魔法師を相手にして圧勝してしまうほどの強さだ。

仮にも自分の養子であり弟子になるような子の魔法だ。セレスがある程度のことを把握しておく必要はあるのだが・・・

「どの時代の文獻にもあんな規格外の魔法なんてないわね・・・」

どの本を読んでも見當たらない。セレス自、數え切れないほどの文獻や書を読んでいるのだが、あの魔法について書かれた本など見たことはなかった。

「やっぱりあの魔法って・・・救世の魔導師の・・・」

彼は一つの可能を考えていた。

あの魔法は・・・歴史の英雄の魔法なのではないかと・・・