《創の転生者〜最強魔導師の転生記〜》第28話 助手任命
次の日になった。今日は特に寢坊することもなく朝を迎えた。時刻7時10分。登校まではまだ時間がある。いつものように朝食を用意し、食べ終えたところで紅茶を楽しむ。
「どうしようかな。時間あるし・・・」
8時30分に登校すれば十分に間に合うため、殘りの時間をどうしようかと考える。すでに青いブレザーという制服は著用している。
「・・・ケーキ作ろうかな・・・」
簡単に作れるデザートを作ることにした。本當はそれなりに時間がかかるのだが、僕の魔法があればかなりの作業が省けるのだ。僕は鼻歌を歌いながら、キッチンへと向かう・・・。
◇
時刻は8時25分。僕はし早めに登校したので、學園長室の前に來ている。以前のように扉をノックし、返事を待つ。
コンコン
「どうぞ〜」
返事が返って來たので扉を開け、中にる。學園長は椅子に座り、紅茶を飲んでいた。
「あら?どうしたのよこんな朝はやくから。私は朝も忙しいのよ?」
「お菓子を作ったので持って來たんですが、その様子だといらないようですね。失禮しました」
「ちょっ!噓噓今は暇よ!!だから帰らないでお菓子を!!」
必死に僕を呼び止める。以前のタルトが余程気にったのだろう。これから何かお願いをするときはお菓子が有効かもしれない・・・。
「冗談ですから。ちゃんとありますよ。紅茶も持って來たんですから」
「・・・今何時かわかってる?」
「?8時30分くらいですよ?」
「・・・まあ、いいわ。これは確実に遅刻するでしょうけど・・・」
「そういえば最初のうちは真面目に通うように言っていましたね。では、このお茶會はまた後日に・・・」
「い、いいのよ!ユリはSSSランカーなんだから!!いつでもお茶をしても!」
「どれだけこれ食べたいんですか」
「ユリが作るお菓子は味しいじゃない」
完全に胃袋を摑んでしまったようだ。とりあえず僕は箱からホールに作ったケーキを取り出し、機の上に置く。
「おお〜・・これはまた味しそうな・・・」
「それはケーキです。イチカの実をペースト狀にして練りこんだクリームを使ってるので、程よく酸味が効いて味しいですよ」
僕は説明しながら紅茶を淹れる。ちなみにイチカの実というのは赤くて小さい果だ。しだけ酸っぱいのが特徴で、ケーキによく合うのだ。
「じゃあ、切り分けますね」
僕はナイフを取り出し、ケーキを6當分に切り分けていく。そのうちの1切れを學園長の皿に、もう1切れを僕の皿へと移して食べ始める。
しばらく談笑をしていると、學園長が気なることを僕に教えてくれた。
「ああ、そうそう。魔導工學のアリス先生って知ってる?」
「?いえ、知りませんが・・・」
「あの人がね、魔導工學に興味がある人を探してるらしいの。うちの生徒はほとんどが魔導師として戦うことを目標にしてるから、ほとんど興味あるる人がいないらしいのよ」
「魔法工學にですか・・・」
「お?もしかして興味あるの?」
「まあ、僕は魔導師としては1番上のランクになってしまいましたし、他にやることも見當たらないんで」
「まあ、そうよね。ユリが普通の授業をけて役に立つことはほとんどないわね。一回話してみる?」
「その、アリス先生とですか?」
いきなり話してみろと言われても、どんな人かもわからないのだから警戒してしまう。
「大丈夫よ。年は15歳で近いし、平民出だから話しやすいと思うわよ」
「隨分若いですし、平民の出なんですか・・・だから集まらないということも?」
「くだらない考えをする貴族の子も多いからね。私はSSランク魔導師だから、舐められることはないけど・・・」
「・・・貴族はめんどくさいですから」
「そうね・・・。ま、とりあえず呼んでみるわね」
「今からですか!?」
「そうよ?あの子ならすぐに來てくれるわ。基本的に研究ばっかしてるけど、呼んだらすぐ來てくれる子だから」
僕は直した。教室に戻ることはしばらくないだろうと・・・。
◇
10分ほどして、アリス先生とやらは學園長室にやって來た。
「ディアナさん・・。朝からどうしたんですか?」
し眠そうにしながら學園長に話しかける。長は僕より高い。僕は150半ばくらいの長なので、彼はそれなりに高長なのだろう。僕はびきっていないだけだ・・・そうに違いない・・・。
「アリスは一緒に研究してくれる子を探していたと思ったのだけれど?」
「ええ。探してますよ。助手として手伝ってくれる子が」
長い白髪はくはつを揺らし、纏っている白の襟を正しながら答える。かなり學園長と仲はいいようだ。
「それで、この子はどうかと思ったのよ」
「この子?」
2人は僕の方に顔を向ける。僕はアリス先生に笑顔を見せ、軽く會釈する。アリス先生はし驚いたような顔を見せ、僕に質問して來た。
「名前は何ていうの?」
「ユリエル=フロウドと申します。中等部1年Bクラスです」
「ってことは12歳よね?魔導工學はかなり難しい分野よ?容とかわからないと思うんだけど・・・」
「大丈夫ですよ。僕はわかると思います」
「どこからそんな自信が・・・」
僕が本當にできるかどうかを疑っているようだ。と、そこで學園長はとんでもないことを言い出した。
「ねえ、ユリ。あなたのことをアリスに話していいかしら?」
「僕のことですか?」
「ええ。あなたのランクよ」
「・・・は?」
何を言っているのだろうか。僕のランクは完全に非公開の機報だ。もし許可なくバラしたりするようなら、重大な処罰を下されるような・・・。
「大丈夫よ。アリスもランクを隠している人だから」
「ディアナさん!?なんで一般の生徒にそのことを!?」
「アリス、ランクカードをユリに貸して。これは大事なことよ。ユリがどれだけ凄い生徒なのか教えてあげるから」
「・・・わかりました・・・ユリ君だっけ?私のランクは誰にも言わないでね」
「それは約束します。誰にも言いません」
それを聞いて、アリスさんは僕にランクカードを渡してくれた。僕はそれをみて驚いた。彼ランクはとても高かったのだ。
「SSランク魔導師・・・ですか・・・」
「一応そんなランクだから、隠しているの。誰にも言わないでね」
「どう?驚いた?アリスは15歳にして世界トップクラスの魔導師なのよ?」
「いや、驚きました。それで・・・次は僕の番ですか?」
「そうよ」
思えば、僕のランクを知る人はこれで5人目となる。だが、みな貴族ではないのだ。貴族に見せていいランクではない。僕はアリスさんに、彼と同じお願いをする。
「アリスさんも、僕のランクを誰にも言わないでくださいね」
「安心して。私のランクも知られているから約束は守る」
その言葉を聞き、僕は収納の指からランクカードを出現させる。それだけでもアリスさんは驚いていたが、渡されたカードをみて、更に驚愕することとなる。
「・・・は?え?・・・あれ?・・見間違い?」
「ちゃんと見なさいアリス。事実よ」
「と、SSSランク!?え?でも4人しかいないはずじゃ・・・」
「ユリは5人目よ。本部から非公開にされている子。
ブラックサラマンダーを瞬殺して、SSSランクになったそうよ」
「ブラックサラマンダーを・・瞬殺・・・」
「私も前に模擬戦をしたけど、一方的にボコボコにされたわ」
そこまで聞いて、アリスさんは僕に視線を向けた。まだ驚きの殘った顔で。
「SSSランカー・・・だったの?」
「そこに記されている通りです。まあ、まだ3位ですけど」
「3位でもすごいわ・・・」
僕は昨日自分の順位を確認したところ、3位と表示されていた。ロドスさんは元々3位だったのだろうから、勝った僕が1つ上になったということだ。
「ごめんなさい。あなたを最初見くびっていたわ。人は見かけによらないのね」
「僕の方も、SSランカーだとは知りえませんでした。お詫びします」
2人がお互いを認め合ったところで、アリスさんの分のケーキを切り分け、お茶をする。
「これすごく味しいわ・・・ユリ君が作ったの?」
「そうですよ。料理が得意なもので」
「これは私のお墨付きよ」
「ってことは、研究室に來るときに持って來てもらえるわけね?」
「別に大丈夫ですよ。すぐに作れるものですから」
「はあ〜・・・これで研究もはかどるわ〜〜」
僕を助手にした理由がこれになることはやめてほしい。一応、自分で魔導を作れるだけの腕はあるのだ。
「まあ、詳しい話は研究室でするわね。・・・かなり疲れちゃったし・・・」
「昨日も研究してたの?」
「ええ。もうしで何か摑めそうなんですよ」
「ふーん・・・ユリ」
「はい?」
「ちょっとアリスに抱かせてあげてほしいのよ」
「だ、抱くってなんですかディアナ?」
「ああ。ユリはね、特異質みたいで、抱きしめるとユリの魔力が勝手に疲れを浄化してしまうのよ」
「それは・・・また便利な・・いや、でも・・」
アリスさんが僕を見てしためらうような顔をする。
「気な年をそんな理由で抱きしめていいのか・・・」
「遠慮なんていらないわよね?ユリ」
「學園長はなんで僕にそんな軽いノリになったんですか?」
「姉様の子供なんだから私の甥っ子じゃない。ランクが上でも、家族のように接していいはずよね?」
「家族・・・ですか。母にも家族ってよく言われましたね」
「家族だからお願いも軽いのよ」
僕の使い方が荒いような気もするが、家族と言われて悪い気はしない。ということで、僕は承諾した。
「いいですよ。疲れが取れるみたいなんで」
「えっと・・・じゃあお言葉に甘えて・・・」
アリスさんが僕の橫に座り、抱き寄せると、重を僕に預けて力した。
「うあ〜〜〜〜なんですかこれ〜〜〜〜・・・すごい気持ちい〜〜」
「私も初めてやったときはびっくりしたわ。すごい疲れが取れるんですもの」
「とりあえず終わったら離してくださいね。研究室に移しますから」
「もうしばらくお待ち下さ〜い・・」
それからアリスさんが僕を離すまでに、40分ほどかかったのだった。
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