《創の転生者〜最強魔導師の転生記〜》第44話 苛立ち
「いやあ!マリーが!先生!マリーが黒いのに・・・!!」
「お、落ち著け!!くっそ!黒いのが迫ってるから一旦下がるぞ!」
「どうしてですか!マリーがあの中にいるんですよ!!」
「王様に助けてもらった命を無駄にする気か!俺としても、お前だけでも生きてもらわないと困るんだよ!!」
僕の下では、飲み込まれた王のことで2人がパニックになっている。いや、パニックになっているのはアルナの方から。アグニスはアルナを落ち著かせようと必死のようだ。
僕は朱雀の上からそれを見下ろしながら・・・・
かなりイラついていた。
(あの人は自分の命の重さを理解していないのか・・・・。ていうかなんで戻ってきたんだよ・・。せっかく助けたのに意味ないだろう。お禮なんかいうために戻ってきたとかアホじゃないか・・・?)
僕の中で、王様の印象が変わった。あれはかなりの天然な突っ走り屋だ。危険を理解できていない。しモンスターを倒せた程度で調子に乗ってしまったんだろう。いままで安全地帯でぬくぬく育っていたため、気持ちが高ぶっていたのも考えられる。
僕はそんな王様に、呆れと苛立ちをじる。
そして何より・・・
「僕の任務を邪魔したこの馬鹿でかいのは、許せないな・・・」
1番イラついているのは、僕の任務を邪魔したこの黒いだ。こいつは消しておかなければ、神衛生上よくない。
「【思考をリセット 冷靜にさせろ】」
一旦頭を落ち著かせる。思考がどんどんクリアになっていくのがわかる。僕は、あの黒い影を潰すための作戦を考える。
「まず・・・あの2人は邪魔だ・・・」
僕は下にいる2人に目を向け、魔法を発。邪魔なので、草原に送り返すことにする。今更正も何もない。僕の顔を見てはいないので、特定されることはまずないだろう。
「【あの2人を草原に転移させろ】」
魔法を発。2人の姿が一瞬にして視界から消える。これで邪魔なので要素はなくなった。
次にすることは、あの黒い影の報を得ることだ。ルーン魔法で奴の全てを頭に流す。先程は本ではなかったので報が見れなかったのだろう。だが、あのデカイ影が本のようなので、容易に報は得られた。
「シャドウハンター・・やっぱりか。自らの影をるとともに、他の生の影に寄生し、本にも侵食。影のため、理的な攻撃は意味がない。が、は効果的。影が巨大なのは、他の生を本に取り込んだためである・・・・」
影は基本的に理的な干渉はけ付けない。凍結しない、燃えない、風に煽られない。
が、を強く當てることにより、討伐が可能。だが、自も影に影響されるため、相殺してしまう可能が高い・・・。
「・・・なるほど。王様は生きているな。それに、食われたとか言っていた他の3人も」
僕は求めていた報を手にし、満足する。
「・・・取り込んだものは絶命してしまうと、影が使えなくなる。寄生したものは、本が死ぬと獨立した影となり、遠隔作型の駒になる・・。なるほど、取り込んだのは自分が使うためか。となると、あれだけデカイということはそれだけの生を取り込んだということか・・・」
そして、取り込まれたものは、影の中で生きている。
倒した後、そのモンスターが全て出てきてしまったら面倒だ。中にいる4人だけ救出できればいい。
それらの條件を満たす作戦は・・・
「僕があの中に取り込まれて、側から4人を探す。救出の後、側のモンスターを全部殺し、影の中からを発させる・・・。シンプルな上に、これが1番良さそうだ」
だが、この作戦はし時間がかかりそうなのである。あまり時間をかけると面倒なことになりそうだが、こちらとしては仕方なくやっていることなのでと、妥協することにした。
「全く。早く帰って研究の続きがしたいのに・・・」
「・・クア・・」
朱雀がし小さい聲で返事を返す。そういえば朱雀のことを忘れていた。
「朱雀。お前は僕の中に帰ってくれ。今回の作戦では、朱雀にできることはないから」
「クアア・・・」
悲しそうに鳴くが、今回は仕方ない。朱雀も影の中に同行させるわけにはいかないのだ。
「ごめんな。帰ったら僕の魔力をいくらでも食べていいから」
「クアア〜〜」
どうやら納得してくれたようだ。朱雀にから離れ、僕は空中に浮遊する。すぐに朱雀が小さく姿を変え、僕の作った魔法陣の中にって行った。
「さてと、僕は潛しますか・・・っとその前に」
僕はうっかり影に取り込まれないように魔法を自分にかける。
「【の護りライトプロテクション】」
対シャドウハンター魔法である。をの防壁で覆い、影からの干渉をなくす。は常に影を相殺し、均衡を保つ。これで無事に進めるはず。さらに僕自がっているため、周りも多は明るくなる。
「後は・・・・あの草原に影がいかないようにしないとな」
潛っている間に、あの草原に侵されては面倒だ。僕はさらに魔法を周囲に展開する。
「【の結界ライトサークル】
草原にの結界を展開。反応は見えないが、いきなり周囲がり出したのだ。きっと驚いているに違いない。これも全て、學園長からの依頼と、僕のサービスだ。誰かが死んだりすれば、それだけ學園長のに立場が危うくなる。
「でも今回はさすがにサービスしすぎかな?帰ったら何を要求しようか・・」
僕はそんなことを考えるが、思考を中斷し目の前のことに集中する。
「さーて行きますか。王様には個別で説教が必要だな。なんでこんなに張り切っていたのか・・・」
僕は王様と話すことを決める。勿論、姿を変えて。
「シャドウハンターは、跡形もなく消してやる」
そう心に決め、地面の黒い影の上に立つ。
そして、僕は黒い影に飲み込まれた。
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