《シスコン&ブラコンの天才兄妹は異世界でもその天賦の才を振るいます》兄妹の初探検
この世界での迷宮ダンジョンとは地震や臺風等の自然災害と同じ人工的に創られるものではなく、自然現象として考えられているだ。
多くの學者がその謎に取り掛かっているが、未だにその謎は完全には解明されていない。
一説では地中に埋められている、魔力の多く込められた魔石によって引き起こされる現象だという考えもある。
迷宮の魔もその魔力によって産み出された副産のようなものだと推察されているようだ。
時々、寶箱トレジャーボックスが見つかる場合もあるので、一攫千金を狙う冒険者も後を絶たないようだ。
クエストの為に迷宮に向かっていた太達兄妹は、迷宮に備えての準備を街でしていた。
「まずは松明的な暗闇を照らすが必要だな」
「ん、魔法が使えればいいんだけど」
雫言うとおり、基本的に迷宮を探索する場合には屬魔法を使用するのが普通なのだが、當然この二人は魔法の練習をしてないので使用が出來ないのだ。
まあ、魔法が使えないという縛りプレーの一環だと思えば楽しくじるがな。
そんな二人が向かった先は、冒険者用達の武や防が販売されているお店だった。
何故今更?と思われるかもしれないが、正直今までのクエストは手持ちの武だけで楽勝だったのだが、迷宮となると話しは別になってくる。
これまでのクエストは討伐する魔の種類が予め分かっていたが、迷宮では遭遇する魔の種類バリエーションは數えきれないほどになる。
今までの魔は黒鵞のみで倒してきたが、近接戦が出來ない相手に遭遇した場合刀は不利になり得る。
念には念をれる為に訪れてはみたのだが…
「す、すげえ!お前さん、これほどの業をどこで手にれたんだ!これ売ってくれねぇか?金は出すからよ!」
俺は只今、ドワーフのオッサンに詰め寄られていた。
というか、近い近い!オッサンに詰め寄られて喜ぶほど、俺は腐っていない。
「こいつを売るつもりはないんだ。悪いな」
「そ、そうか…殘念だ」
そう言うと、ドワーフのオッサンは肩を落としてあからさまに落ち込んでしまった。
どうやら、この異世界でも日本の伝統技は特筆すべきものらしい。
落ち込んでいる時に悪いが話を進ませても頂く。
「それで俺達迷宮に向かいたいんだけど、必要なものってあるか?」
「迷宮りするのか?それなら燈りは必須だな。お前さん達屬の魔法は使えるか?」
「あー…使えないな」
「分かった。なら、屬の魔石を買っていくといい。他にはそうだな…」
オッサンは店の商品を漁りながら、次々と必要なを並べていく。
すると、その中から一つを雫が興味深そうに手に取る。
「オッサン、これは?」
「ん?ああ、それか。それは火薬といってな、音で魔を追い返すなんだが…Fランクぐらいの魔にしか効果がないんだよ」
オッサンはそう言うが、火薬があれば地球での人類が作り出した、あの最強の武──銃・が造り出せる。
その事に雫も気付いたのか、俺の顔を見て頷く。
「オッサン、この火薬を在庫があるだけ売ってくれないか?」
「は?火薬を?いや、俺としては売れなくて困ってたから嬉しいが…いいのか?」
相當売れ殘りがあるのか、オッサンはこんなを?という目で訊いてくるが、火薬の良さに気付けないとは勿ない。
俺が頷くと、ちょっと待ってろと言い殘して、店の奧に在庫を確認しに向かう。
その間、暇な俺達は店の商品をして回ることにする。
店には片手剣や両手剣、弓や槍など様々な種類の武が揃えられていた。
武は黒鵞があるからいいとしても防は買った方がいいだろうか?
気になって雫に相談してみると、防も一緒に錬で造り出すから必要ないと言われた。
店をしてから暫くすると、オッサンが大きめの木箱を2つ、両手に抱えて戻ってきた。
「これで全部だが、かなり重たいぞ。お前さんたち二人だけで大丈夫か?」
「あぁ、何ら問題はない」
俺はオッサンから木箱をけ取ると、魔法収納を発させ中に放り込んでいく。
「おぉ、お前さん空間収納持ちだったのか。商売人としては羨ましい限りだぜ」
暗黒の覗く空間の中に放り込まれていく木箱を見て、オッサンが慨深そうに呟く。
この反応から恐らくだが、空間収納は珍しいスキルの部類にるのだろう。
訊いてみたいところだが、當たり前の事を訊くとかえって怪しまれそうなので心の中で留めておく。
「それで、金額はいくらだ?」
「そうだな…銀貨3枚でどうだ?」
「そんなに安くていいのか?」
「ああ、どうせ売れ殘りそうだったからな。それにお前さん達なら、何か驚くことをやってくれると思うからよ」
オッサンはそう言ってくれるが、木箱2つ分の火薬が銀貨3枚は破格だと思う。
地球の相場だと大2リットルペットボトル程の容量で7000円程なので、この木箱だと12萬5000円位の値段はするだろう。
なので銀貨3枚──地球で15000円は破格の値段だろう。
まあ、安く買えるのなら問題はないけれど。
ちなみに屬の魔石は思いの外高額で銀貨6枚もした。日本円に換算すると3萬円だ。
魔石は魔力を籠めれば魔石に刻まれた魔法が発できる仕組みとなっている。俺達が購する魔石には〈発ライト〉の魔法式が刻まれているらしい。
魔石はモバイルバッテリーのように使用できる回數に限りがあり、籠める魔力にもよるが大800回は発できるらしい。
使い回しが効くとはいえ中々痛い出費になってしまった。
その後も暫く店で迷宮に必要なをし、代金を支払い店を後にした。
◇
王都を出て、暫く歩くと前にゴブリン討伐の際に訪れた森が見えてきた。
システィラの話だとこの最新部の辺りに迷宮が在るらしい。
今回はゴブリン共には用はないので、お下がり願おうか。
俺は殺気をlevel6まで引き上げる。
すると、周囲に知していた魔らしき反応が俺達の周囲から散っていく。
これでしは楽に進めるだろう。
蟲除けならぬ、魔避けをした俺達は早速迷宮に向かって森の中のっていく。
その後、暫く歩くと目の前に迷宮らしき窟が姿を現した。
システィラの言っていた座標とも合ってるし、ここで間違いないだろう。
ちなみに、此処までの道のりは魔避けをしていたおで一匹たりとも魔と遭遇することはなかった。
「お兄ちゃん、雫疲れた」
「お前は歩いていないだろ…」
雫は俺の背中にもたれながら呟くが、歩いて數分で疲れたと駄々をコネだしたので、仕方なく俺がおんぶをしてきたのだ。
このままだと俺の二つ名が『子育て冒険者』になりそうで怖い。
文句を言う雫を背中から下ろして、空間収納の中から屬の魔石を取り出す。
魔石は魔力を込めると、白くり始める。
そのは徐々に大きくなっていき──って、眩しい眩しい!が強すぎるから!
個人的には魔力を込めすぎたじはなかったのだが、どうやら規定の量よりも多かったらしいので、込める魔力を弱めると丁度いい明るさに戻っていく。
雫は隣で「目がー!目がー!」などと、びながらのたうち回っているが、ボケている辺り問題はないだろう。
魔石のを調整し終わると、いよいよ迷宮に足を踏みれる。
窟は暗く、明かりがなければ數メートル先も見渡せないほどだった。
だが、予想に反して地球の鍾のようにじめじめはしておらず、蟲なども見當たらなかった。
雫は蟲が大の苦手なので好都合と言えるだろう。
通路は整備されているかのような程歩きやすくなっており、地球と異世界との違いをじる。
すると、曲がり角に魔の気配をじる。
「雫、下がってろ」
「了解」
俺は雫を下がらせると、黒鵞に手を掛けて戦闘準備にる。
ちなみに、この迷宮依頼ダンジョンクエストには迷宮に出現する魔の種類の記録も含まれているので、殺気で追い返すわけにはいかないのだ。
「グルルルル…」
曲がり角から顔を出したのは、黒い並みを持った狼のような魔だった。
「あの魔の名前はナイトウルフ。ステータスはスピード特化のDランク相當。暗視スキル持ち」
雫が鑑定で視たのか、素早く教えてくれる。
──流石、シズペディアさん!
駆け出した俺は腰にくくり付けていた魔石に魔力を込めて辺りを一帯を輝かせる。
すると、暗視スキルを発させていたナイトウルフは急激な発に目が眩んだのか、一瞬きを止める。
その一瞬の隙にナイトウルフに近づいた俺は黒鵞を相手の元に突き刺す。
その一撃で魔は致命傷を負ったのか、赤い飛沫を上げて倒れる。
ゲームと違い、倒した後は消えるのではなくその場に死が殘るので、かなりグロいシーンになる。
先程、魔を倒す際に斬るのではなく、突きを使用したのは、迷宮は狹いので刀を振り回すと、きが制限されるからだ。
更に迷宮のような一直線の通路だと道幅が狹く、橫の移が制限されるので、避けられにくいと思ったからだ。
俺達は、ナイトウルフの牙をドワーフのオッサンの店で購しておいた、討伐部位の採取専用のナイフで切り落とすと先へと進む。
探索の途中で寶箱を幾つか見つけたが、お寶に目を奪われている隙に敵襲に會う場合も想定して、中は適當に空間収納の中には放り込んでおいたので、鑑定で詳細を視る事もしなかった。
その後も何かの魔と遭遇したが、何か奇妙な雰囲気をじる。
──こんなに魔の數がないものなのか?
迷宮自初めてなので何とも言えないが、これは余りにもな過ぎる。
俺達が不思議にじながらも窟を進んでいると、目の前に黒い重厚な扉が視線にってきた。
雫は「うわー、ラスボスが凄い…」と呟いているが、中に居るぞ──
これまでの魔とは格が違う──桁違いの存在を放つ生が──
「雫。どうやらこの扉の中にはボスキャラが居るっぽいが…どうする?」
雫に確認を取る。
ここは異世界だ。安直な判斷は出來ない俺は雫の意見を聞く。
恐らく魔の數が極端になかったのは、こいつのせいだろう。
「言語道斷。行く」
「だよな…」
俺達がこの世界には刺激を求めに來たのだ。
弱者と戦う気は起きないが、強敵ならウェルカムだ。
お互いに頷き合い決斷をした俺達は重厚な扉に手を掛け、力を込める。
すると扉は砂埃を上げ、軋むような音を出して開き始める。
扉を開けた中は大きな空間が広がっており、學校がすっぽりりそうな大きさがあった。
だが、その空間も狹くじるような存在が、そこにはそびえ立っていた。
「ハハッ…こいつは驚いた…」
「初めて見た…」
扉を開いた俺達の視界に映り込んだそれは───
「グルアアアアアアアッ!!!」
───俺の持つ魔石のを反し、神々しく輝く鉱石で全を包まれた、悪魔のような雙角を持った、全長15メートルは有りそうなミノタウロスだった
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