《ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~》第九話 ある晴れたオフの日
「このままじゃいつまでたっても召喚ガチャどころか、ギルド設立もままならないな……」
俺はこの二週間で稼いだ金を數えて頭を抱える。
中級冒険者になって、報屋に紹介されたダンジョンでモンスター討伐を行ってはいる。
しかしこれが本當に稼げないのだ。
モンスターによって討伐報酬は異なるが、トロールクラスのボスを倒して得られるソルが々二萬ソル程度。
これだけでは四人の一日分の宿代くらいにしかならない。
商売あがったりである。
「どこかに上手い話でも転がってないかなー」
俺はそんなことを言いながら大きくびをする。
ここしばらくはダンジョンに出ずっぱりだったけれど、今日は久々のオフ日だ。
天気もいいし、外を散歩でもしてくるかと考えていたら、ローザがすごい勢いで俺の部屋のドアを開けてきた。
「ちょっと! ユート君みてほら!」
そういって一枚の紙を俺に差し出した。
なんだなんだ? チラシのように見えるが。
「えーっと、なになに」
俺はその紙を覗き込み、書かれている文字を読む。
”本日、じゃんけん大會を開催。優勝者には青のオーブをプレゼント! 貴重な召喚がしい人は、コノチャンスをお見逃しなく! ※參加料金 五萬ソル”
「青のオーブって、シルヴィアがしがってたやつだっけ?」
「そうよ、この機會に手にれて、シルヴィアちゃんへのサプライズプレゼントとしちゃいましょ!」
「確かに手にれるチャンスではあるけれど……參加料金の五萬ソルってぼったくりじゃない?」
俺が冷靜にそう言うと、ローザは俺に顔を近づけて凄んできた。
「シルヴィアちゃんの喜ぶ顔が見たくないの? こんなチャンス滅多にないわよ」
彼は一歩も引く気はないようだ。
「正直俺も興味はあるけどさ、アリサに聞かれたら何と言われるか……」
倹約家のアリサのことである、もし彼が聞いたら「じゃんけん大會? そんな運任せのものに五萬も払うなんて馬鹿げてるわ! 夢ばっか見てないで、地道にお金を貯めることを考えなさい!」とかなんとか言われるのが目に見えている。
「……それも含めてチャンスと言ってるのよ」
ローザがにひひと笑いながら言った。
「あ、そういえば今日アリサはいないんだったか」
今日はアリサとシルヴィアの二人は、隣町にある地元に帰っている。そういう意味では確かに好機ではあるな。
「わかったよ。それじゃあ支度をすませたらロビーで落ち合おう」
「さっすがユート君! 話が分かるわね。それじゃ、また後でねー」
機嫌良さそうに手を振りながら、駆け足でローザは部屋を出ていった。嵐のような人だなぁ。
――――――――――――――――――――
じゃんけん大會會場のり口に著くと、そこには三、四十程の人が集まっていた。
「これ、みんなじゃんけん大會の參加者なのか……?」
この人數で優勝を勝ち取るのは並大抵の運では出來ない。
「あのさ……やっぱり今日のところは帰らない?」
「何言ってるの!? ここまできて引き下がれるわけないじゃない」
ここに來るまでに俺たちは二時間以上もかけて歩いてきている。このままUターンすると無駄骨になってしまうからか、ローザの焦りが見て取れる。
こういう時に俺が止めてあげればいいのだろうけど悲しいかな、俺も同類だ。ギャンブルでは引くに引けないタイプなのである。
「……覚悟を決めるか。さらば、俺の五萬ソル!」
俺とローザは付で參加料金を払い、會場の中にった。
會場の中にはデパートの屋上によくある特設ステージのようなものが用意されていた。
し経つと司會の人が現れてルール説明が始まった。
どうやらこの勝負は司會者が出した手に勝った人のみが會場に殘るタイプの形式らしい。
「こうみえてじゃんけんには自信があるのよ、腕がなるわね」
ローザは気合十分だ。しかし自信があったところで、結局は運任せだと思うけどなぁ。
……いや、待てよ? オーディンを使ってみるというのはどうだろうか。
いままでオーディンを使った時は、毆りや蹴りの威力向上や、移速度の向上にしか使っていなかった。だけどオーディンの加護は全て・・の能力の向上だったはずだ。
意識して使えば視力を向上させて相手の手を読んで、絶対にばれないようにぎりぎりのタイミングで後出しをすることもできるんじゃないか?
オーディンの可能を探るための第一歩として、このじゃんけん大會を利用させてもらおうか!
――――――――――――――――――――
結論から言うとこの作戦は大功だった。最後の最後まで俺はじゃんけんに勝ち続け、見事に青のオーブを手にれたのである。
「いやー、本當に優勝できちゃうなんてね! ユート君持ってるわー」
じゃんけん大會の帰り道、ローザは満面の笑みで俺に言った。……まあ不正して勝ったんだけど、ばれてないからしょうがないよね。
「正直不安だったけど、勝ててよかったよ。これでシルヴィアの喜ぶ顔が見れるな」
「そうね。そうね。ユート君お手柄よ! シルヴィアちゃんが帰ってきたらすぐにでも儀式をやれるわよ」
「そういえばローザはシスターだもんな」
「そういえばって何よ。どっからどう見てもシスターでしょ!」
軽口を叩きあいながら夕暮れの道を歩き、俺たちは宿へと帰った。
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