《ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~》第五十六話 贖罪
「心の準備はできたか?」
教會のり口にたどり著き、抱えていたさやかを下ろしてから最後の確認をする。
さやかはやや強張った表でこくりと頷いた。
エリーのこともあったので、異端審問機関でのさやかの処遇は大丈夫だと思う。
しかし、それでも100パーセントの保証があるわけではないので俺も張してしまう。
「よし、じゃあいくぞ」
俺はさやかの手を引いて教會の中へとっていった。
――――――――――――――――――――
「どーも、ユートです」
「あら、ユート君じゃない。それと一緒にいるのは……誰?」
教會の中ではローザがパタパタを持って掃除を行っていた。
「この子はさやかっていうんだけど……ちょっと込みった話になるんだ」
「……込みった話? まさか結婚式を挙げたいとかじゃないでしょうね? そんなことしたらアリサちゃん泣いちゃうわよ?」
「……すまん、真面目な話なんだ。今ミルドレッドはいるか?」
ローザは俺の真剣な表を見ると、笑顔から真面目な顔にすぐに切り替えて話す。
「ミルドレッドは控室の方にいるわよ。たまたま今日が機関の幹部の打ち合わせの日で、神父様と話してるところなの。そろそろ打ち合わせも終わってる頃だと思うから呼んでくるわね。その辺に座って待っててもらえる?」
そう言ってローザは控室の方に行ってしまった。
先日の教會襲撃の影響で、教會の設備はまだ完全に復舊されていない。
特に椅子に関しては焼け落ちてしまったので家庭用の椅子がまばらに並べられているだけである。
「取りあえずここの椅子にでも座ろうか」
「ええ」
ひとまずローザに言われた通り二人して座って待つことにした。座った後は張からか、気まずい沈黙が訪れる。その空気に耐えられなくなり、俺は口を開いた。
「なあさやか、ちゃんと喋れそうか?」
「大丈夫よ。誠心誠意謝罪するから安心して」
「……俺からもフォローするからよろしく頼むぞ」
俺とさやかはその後會話もなく、ただローザたちが戻ってくるのを椅子に座って待った。
しばらくするとローザが神父とミルドレッドを連れて教會の禮拝堂に戻ってきた。
「急ごしらえの椅子で待たせてしまってすまないな」
神父が開口一番に俺たちに謝った。
「いえいえ、こちらこそ急に來てすみません。でも大事な話なので……さやか、頼んだぞ」
さやかは意を決して前に立ち上がると、ヘルヘイムへの加擔についての謝罪、自分の境遇について、それからヘルヘイム撲滅に向けての全面協力をする旨を説明した。
「……事はわかった。でもな、異世界ではどうだったかは知らないけどこっちの世界には法がある。犯罪に加擔したんだから罰をけてもらうぞ」
ミルドレッドが強い口調できっぱりと言い切った。
「ちょっと待ってくれ! さやかは確かにヘルヘイムに屬してはいたが、この前の事件や竊盜に直接加擔していたわけじゃないんだ。エリーみたいに保護観察処分ですましてやることはできないか? ――頼む!」
俺がさやかの前に一歩踏み出ようとすると、それをさやかは手でさえぎった。
「ありがとう、ユート。……でも罪は罪だわ。言われた通りに罰をける覚悟はあります」
さやかは毅然とした態度でミルドレッドの顔を見據える。
「……うん、いい覚悟だ。それじゃあ罰を言い渡すぞ」
「――頼む、待ってくれ!」
俺の必死の訴えにもミルドレッドは耳を貸す様子はない。
ミルドレッドは手を前に出し、さやかを指さす。
「――お前への罰は島流しだ。元いた世界に帰ってもらうぞ」
ローザと神父はミルドレッドの判決を聞いてニコニコしている。
「えっ、それって……」
さやかは困した様子でミルドレッドに聞き返した。
「この罰は取り消さないぞ。お前にアトゥムをなんとしても取らせるから、それで異世界に帰って弟の面倒をみてやるように!」
「……はい。……ありがとう……ございます」
張から解き放たれたのか、それとも謝の気持ちかはわからないが、さやかの目から一滴の涙が頬を伝ってこぼれ落ちた。
「ミルドレッド、さすがリーダー! 俺からも謝を言わせてもらうぜ」
俺はミルドレッドに謝のしるしとして手を差し出して握手を求める。
「よせ、私は罰を言い渡しただけだ。お前たち二人はまだここで待っていてくれ。島流しにするまでのさやかの処遇をこちらで考えさせてもらうからな」
「ふふ、それじゃあお二人共またあとでね!」
ローザは俺たち二人にウインクしてから控室の方に向かっていく。神父とミルドレッドもその後について行った。
禮拝堂から彼らの姿が見えなくなった頃に、「素直じゃないんだから、ミルドレッドは~」なんてことをローザが言っているのが微かに聞こえた。
「良かったな、さやか」
「……ええ、本當に良かった。あなたについてきて……良かった。……ありがとう」
そう言うとさやかの表がぶわっと崩れ、堰を切ったように涙があふれ出してきた。
俺はそっとさやかの肩にれ、彼が落ち著くまでの間ずっとぽんぽんと叩いてなだめるのであった。
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