《ガチャって召喚士!~神引きからはじめる異世界ハーレム紀行~》第七十七話 お別れ會
家の工事の期間が終わり、作業員たちはお疲れ様でしたといいながら敷地から帰って行った。
「わたしの部屋、無駄になっちゃったわね」
さやかがぽつりとつぶやく。
さやかはアトゥムを手にれた後、すぐにでも元の世界に戻ろうとした。
しかしそれは急すぎるので、せめて家が完するまでは待ってくれと俺が引き留めたのでまだこの世界に殘ってくれているのだ。
「そんなことないぞ、今日のお別れ會はさやかの部屋でやるんだからな。結果的にだけど、お別れ會をやるためだけの部屋なんて最高の贅沢だと思わないか? その分楽しもうぜ」
さやかはお別れという言葉がに突き刺さったのか、し寂しそうな顔でうんと頷いた。
――――――――――――――――――――
その日の夜。
元の世界基準で言うと七畳くらいの大きさのさやかの部屋に、七人のギルドメンバー全員が集まった。
部屋には紙で作った「さやかありがとう」の文字と花の裝飾で彩られている。
さやかの門出を祝うために、工事の期間中にさやか以外のメンバーで飾り付けを行ったのだ。
「こんな部屋を用意してくれていたのね、みんなありがとう」
「さやかちゃんの為だもの。みんなが自発的にこの部屋を何度も訪れては飾り付けをしたのよ」
ローザはにこやかな笑顔でさやかの方を見た。
さやかはローザにふふっと微笑み返す。
「でもさすがにこの部屋に七人は狹いわね。さやか苦しくない?」
アリサの質問に、さやかは手を左右に振って応じる。
「みんなが私のために用意してくれた部屋だもの、苦しいなんてことは全くないわよ」
「そう、それならいいんだけど……」
アリサはどことなくぎこちない。
一緒に部屋で暮らしていたアリサとさやかは最初のころとは打って変わって仲良くなっている。
それだけに今回の別れにどう対応していいのかわからないのだろう。
「さやかよ、本當に行ってしまうのであるか? わたしは寂しいのである」
「……止めちゃ……だめ、レイチェル。……もし……わたし……お姉ちゃんいなくなって……帰ってきてくれたら……嬉しい」
「レイチェルもシルヴィアもありがとうね。でもシルヴィアの言う通りわたしには帰る理由があるの、ごめんなさい」
さやかが力強い口調でそう言うと、部屋にはしんみりとした空気が流れる。
「おいおい、しめっぽいのは無しにしようぜ? なにもこれがさやかとの最後の別れってわけじゃないんだしさ」
俺の言葉にさやかは不思議そうな顔を浮かべる。
「ユートは召喚効果を見たでしょ? アトゥムの加護は一回きりしか使えないから正真正銘の最後なのよ?」
「見たさ。確かに今の狀況だとさやかが元の世界に戻ったら俺たちは會うすべがなくなってしまうのは分かるよ。でもそれもしばらくの辛抱だ」
「……どういうこと?」
さやかはよけいに混してしまったようだ。
頭にははてなの文字が浮かび上がっている。
俺は勿つけてチッチッチと指を振った。
「――簡単さ。アトゥムを二個手にれればよい。そうすれば行きと帰り、二日間かければ會いに行くことが出來る。……それにもし最終開放ができたら回數が無限になるかもわからないしな。そうなればさやかをこっちに連れてくることも可能で都合が良いんだけどな」
「――っ!? でもあんなにレアな召喚を二つ手にれるなんて、ましてや最終開放なんて奇跡みたいなこと……」
「ま、普通ならそうだな。でもここにいるのは俺だぜ? オーディンの奇跡を忘れたか?」
そういって俺は力強くさやかの目を見つめながら両手をがっしりと握った。
「だから安心して帰ってくれ。また必ず會えるからな!」
「……わかったわ」
さやかはし呆れた表で俺の手を握り返した。
「わたしもまた會いたいのである」
「……わたしも」
「わたくしもですわ!」
「わたしだって同じ気持ちよ」
レイチェル、シルヴィア、エリー、アリサが寄ってきて俺とさやかが握っている手に各々の手を重ねた。
「ちょっとあなたたち、これじゃあ今すぐさやかちゃんが帰っちゃうみたいじゃない! お別れ會はこれからなのよ」
ローザはそう言いながらも、最後に手を重ねたのであった。
――――――――――――――――――――
その後俺はスラー酒をみんなに振る舞い、宴は夜中まで行われた。
午前一時を回るころには、眠気をこらえきれずに部屋の中でぐったりと橫になるものがぽつぽつと出始めた。
一人、また一人と眠りについていき、起きているのは俺とさやかだけになった。
「みんな橫になっちゃったからこの部屋はもう足の踏み場もないな」
「ふふっ、そうね」
「みんな寢ちゃったしランプの明かり、消していいか?」
「いいわよ」
俺は天井からつるされているランプの燈に蓋をかぶせて消燈した。
窓からの月明かりのみが部屋をかすかに照らし、さやかのしい顔が儚げに映る。
「……あのね、ユート。以前わたし、この世界に未練を殘したくないって言ったの覚えてる?」
「ん? ああ、覚えてるよ」
「あれね、今考えると間違いだったって思う。ユートや他のみんなと過ごした記憶は日本に帰ってからも寶になるって思うの」
「俺達だって同じさ。さやかとの思い出はずっと忘れないよ。……といっても最初に言ったようにアトゥムを引きまくって必ずまた會いに行くからな」
「また言ってる。……期待しない程度に待ってるわ」
さやかは満面の笑みで答えてくれた。
「ところでさやか、元の世界でアトラスを使えば腕相撲の世界チャンピオンになれるんじゃないか?」
「……考えてもなかったわね。あなたもオーディンを使えばオリンピックで結果を殘せるんじゃない?」
「オーディンだと日に複數回走ったり泳いだりするオリンピックじゃ無理だろ。一回で勝負を決められるもの、例えばボクシングとかならいけるかも。ちょっとやってみたいな」
「なら一緒に帰ってみる?」
さやかは悪戯っぽく笑う。
「だから今それをやったらこっちに戻ってこれなくなるだろ。俺はここでの生活が気にってるんだ。しばらく待ってくれよ」
「わかってるわ……わかってる。気長に弟と待ってるわ。それじゃあもう遅いし、わたしも寢るわね」
し寂しそうな聲でそう言うとさやかも橫になってしまった。
こうしてさやかと過ごす最後の夜が終わっていったのだった。
高校生男子による怪異探訪
學校內でも生粋のモテ男である三人と行動を共にする『俺』。接點など同じクラスに所屬しているくらいしかない四人が連む訳は、地元に流れる不可思議な『噂』、その共同探訪であった--。 微ホラーです。ホラーを目指しましたがあんまり怖くないです。戀愛要素の方が強いかもしれません。章毎に獨立した形式で話を投稿していこうと思っていますので、どうかよろしくお願いします。 〇各章のざっとしたあらすじ 《序章.桜》高校生四人組は咲かない桜の噂を耳にしてその検証に乗り出した 《一章.縁切り》美少女から告白を受けた主人公。そんな彼に剃刀レターが屆く 《二章.凍雨》過去話。異常に長い雨が街に降り続く 《三章.河童》美樹本からの頼みで彼の手伝いをすることに。市內で目撃された河童の調査を行う 《四章.七不思議》オカ研からの要請により自校の七不思議を調査することになる。大所帯で夜の校舎を彷徨く 《五章.夏祭り》夏休みの合間の登校日。久しぶりにクラスメートとも顔を合わせる中、檜山がどうにも元気がない。折しも、地元では毎年恒例の夏祭りが開催されようとしていた 《六章.鬼》長い夏休みも終わり新學期が始まった。殘暑も厳しい最中にまた不可思議な噂が流れる 《七章.黃昏時》季節も秋を迎え、月末には文化祭が開催される。例年にない活気に満ちる文化祭で主人公も忙しくクラスの出し物を手伝うが…… 《八章.コックリさん》怒濤の忙しさに見舞われた文化祭も無事に終わりを迎えた。校內には祭りの終わりの寂しさを紛らわせるように新たな流れが生まれていた 《九章.流言飛語》気まずさを抱えながらも楽しく終わった修學旅行。數日振りに戻ってきた校內ではまた新たな騒ぎが起きており、永野は自分の意思に関係なくその騒動に巻き込まれていく 《最終章.古戸萩》校內を席巻した騒動も鎮まり、またいつものような平和な日常が帰ってきたのだと思われたが……。一人沈黙を貫く友人のために奔走する ※一話4000~6000字くらいで投稿していますが、話を切りよくさせたいので短かったり長かったりすることがあります。 ※章の進みによりキーワードが追加されることがあります。R15と殘酷な描寫は保険で入れています。
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【第2章完結済】 連載再開します! ※簡単なあらすじ 人型兵器で戦った僕はその代償で動けなくなってしまう。治すには、醫務室でセーラー服に白衣著たあの子と「あんなこと」しなきゃならない! なんで!? ※あらすじ 「この戦艦を、みんなを、僕が守るんだ!」 14歳の少年が、その思いを胸に戦い、「能力」を使った代償は、ヒロインとの「醫務室での秘め事」だった? 近未來。世界がサジタウイルスという未知の病禍に見舞われて50年後の世界。ここ絋國では「女ばかりが生まれ男性出生率が低い」というウイルスの置き土産に苦しんでいた。あり余る女性達は就職や結婚に難儀し、その社會的価値を喪失してしまう。そんな女性の尊厳が毀損した、生きづらさを抱えた世界。 最新鋭空中戦艦の「ふれあい體験乗艦」に選ばれた1人の男子と15人の女子。全員中學2年生。大人のいない中女子達を守るべく人型兵器で戦う暖斗だが、彼の持つ特殊能力で戦った代償として後遺癥で動けなくなってしまう。そんな彼を醫務室で白セーラーに白衣のコートを羽織り待ち続ける少女、愛依。暖斗の後遺癥を治す為に彼女がその手に持つ物は、なんと!? これは、女性の価値が暴落した世界でそれでも健気に、ひたむきに生きる女性達と、それを見守る1人の男子の物語――。 醫務室で絆を深めるふたり。旅路の果てに、ふたりの見る景色は? * * * 「二択です暖斗くん。わたしに『ほ乳瓶でミルクをもらう』のと、『はい、あ~ん♡』されるのとどっちがいい? どちらか選ばないと後遺癥治らないよ? ふふ」 「うう‥‥愛依。‥‥その設問は卑怯だよ? 『ほ乳瓶』斷固拒否‥‥いやしかし」 ※作者はアホです。「誰もやってない事」が大好きです。 「ベイビーアサルト 第一部」と、「第二部 ベイビーアサルト・マギアス」を同時進行。第一部での伏線を第二部で回収、またはその逆、もあるという、ちょっと特殊な構成です。 【舊題名】ベイビーアサルト~14才の撃墜王(エース)君は15人の同級生(ヒロイン)に、赤ちゃん扱いされたくない!! 「皆を守るんだ!」と戦った代償は、セーラー服に白衣ヒロインとの「強制赤ちゃんプレイ」だった?~ ※カクヨム様にて 1萬文字短編バージョンを掲載中。 題名変更するかもですが「ベイビーアサルト」の文言は必ず殘します。
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