《異世界転生の特典は言語理解EXでした〜本を読むだけで魔法習得できるチートスキルだった件〜》第十六話「模擬戦をした」
「ククク、アッハッハッハッハ!!ついに、ついについに!!!解読できたぞ!!!」
レグリア國の城のある部屋で、エルフの魔法使いは高笑いをしていた。部屋には、エルフの魔法使い達が一同になって解読に勵んだ一冊の本が中心の大きな機に置かれている。男は、本を手に取り皆に見せびらかすように上へ掲げる。
「これで、世界は我らのだ!!!」
「ウオォォォォーーーー!!!」
部屋にいるエルフ達が、太い聲でぶ。皆、これまでの苦労を思い出しながら目的が達できた喜びを噛みしめる。
「ジン様、やりましたね。ついに、汚らしいハーフエルフのゴミ共を祭りにしてやれますよ!」
「ああ、ハーフエルフどころか世界を取れるさ。父上を洗脳したおかげでハーフエルフ共の殲滅はすぐできるだろうがな」
中心で本を掲げていた男の名はジンという。この國の第一王子にしてこの國最高の魔法使いと言われている男だ。百年に一人の天才と持ち上げられる程の天才が、長い年月をかけてやっと解読できた本。それが古代魔法本。しかし、実は彼一人で解読した訳ではないのだ。もちろん部下達の協力もあったのだが一番の協力者が他にいる。
「フフフ、ジン様おめでとうございます」
ジンの隣に突如現れた一人の。この部屋にいる者達は、皆耳が長いが彼だけは別だった。そう彼こそが古代魔法本の解読に攜わったキーパーソン。ニコニコとした笑顔でジンに話しかける。
「ッチ。お前か。一応お前にも謝しているよ。魔族であるお前と手を組んだのは癪だがな」
「ええ、私もジン様に協力できて嬉しく思っております」
「フン、何を企んでいるんだか。・・・・・・まぁいい、この召喚魔法を使って強力な悪魔を召喚すれば杞憂に終わることだ」
※
アギールを追いせまい道を歩いていくと広い空間に出た。エルフが訓練している姿が見える。ここは、訓練場のようなものだろうか。
「皆すまない。一度訓練を止めてくれ」
アギールが訓練中のエルフ達にそう言うと、皆一同に手を止め、壁に寄り掛かる。おかげで戦っても困らない程のスペースができた。
「今から協力してくれる助っ人のアレンと模擬戦を行う。アレンは俺以上に強いから皆參考にするように!」
アギールの奴、俺には力を試すみたいなこと言っておいて皆の前では、自分より強いだなんて言ってやがる。人をその気にさせるのが上手いというかなんというか。こういう奴にリーダーの素質ってのがあるのかもな。
「よし、じゃあ始めるか。アレン」
「おう、いつでもかかってきていいぜ。本當の戦いの前だ。ケガしないように手抜いてやるよ」
とは言ったものの、どれくらいの実力があるのか気になったため、鑑定を使う。やはり、相手の実力がどれくらいなのか知っておくのは何をするにしても便利だからな。
アギール
種族:エルフ
別:男
職業:大剣士
年齢:143
レベル:152
≪能力≫
魔力量:541
攻撃力:923
防力:840
俊敏力:994
≪現代魔法≫
風屬:初級~最上級 強化(大)(攻撃力、防力、俊敏力を+200) 水屬:初級~中級 屬:初級~上級
≪武≫
槍Ⅷ
冒険者ギルドにいたザントって奴よりよっぽど強かった。てか、コイツ143歳かよ!普通に20代ぐらいかと思ってたわ・・・・・・。エルフは長壽な種族だからこれが普通なのかもしれないが慣れないものがあるな。ルーシェとミカエラもめっちゃ歳とってるとか全然ありえるな。
俺が鑑定をしている瞬間にアギールは槍を構えた。
「俺もケガには気を付けてやるが、手を抜くってのは後悔させてやる。いくぞ!ウィンドダッシュ!」
中級風魔法の【ウィンドダッシュ】を使って一気に俺との距離を詰めてきた。しかし、余裕で見える。アギールの突きを剣で流す。
「やるな、アレン。余裕じゃないか」
「まぁ、遅いしな」
「言ってくれるね。じゃあ、これはどうかな? ハァァァ!」
アギールの槍の連打。一つ一つの作がしっかりとしていて、舞を踴っているかのような優雅な所作。中々の槍の練度だ。
だが遅い。連打の一つ一つをしっかりと剣でけ止める。
「っく、まるで隙がないな。もうし本気を出すよ。【強化大】!」
攻撃力、防力、俊敏力が上がる。槍の連打。突き。振り回し。どのきも速さ、重さが増すが俺を倒すには弱すぎる。俺は後ろに飛び、アギールとの距離をとった。
アギールは息が切れ始めている。最初に見せていた余裕の表も消えていた。俺は反撃の一つもせず、ただただけに回っている。けの姿勢も大事だが、攻撃をしないというのも相手に失禮か。
「アギール、俺もし攻めさせてもらうぞ」
「ああ、來い!」
アギールとの間に空いていた距離を一気に詰める。魔法は使っていないただの能力でのダッシュ。魔法を使わずともアギールの【ウィンドダッシュ】より速い。
アギールは、咄嗟に反応して槍を構え防の姿勢をとる。俺はそこにし本気の一撃をれてやった。どでかい音と地面がれる音が響く。アギールは上手くを使い、衝撃に耐えた。しかし、またもやアギールと俺との間には距離ができていた。
「ハハハ、なんて一撃だ。お前は化か?」
「ただの人間だよ」
「バカ言え、ただの人間がこんなに強いわけないだろうが」
「じゃあちょっと強い人で」
「ちょっとどころじゃないから驚いてるんだろうが・・・・・・ったく、俺の負けだよ。強さの底が見えねえ。手札を切らせることすらできなかったよ」
アギールが手をあげて降參の宣言をし、地面に座り込む。清々しい表をしていて143歳とは思えない好青年っぷりだ。エルフで143歳は普通らしいけども。
戦いの最中、周りはシーンとしていたが戦いが終わると歓聲が地下全に響き渡る。試合のレベルの高さに激する者や、俺の強さを喜ぶ者。皆一同に興していた。
「うわぁああああ!!!!すげぇえええええ!!!!」
「こ、これが俺達に協力してくれる助っ人・・・・・・!なんて頼もしいんだ!!」
そんな聲がちらほらとそこら辺できこえてくる。まぁこういう聲を聞いて悪い気分はしない。どちらかというと良い気分になるが、めんどくさいぐらいに絡んでくるやつがいるから困る。
「アレン様、お疲れ様です」
模擬線を終えて、ボーっと突っ立っている俺にルーシェが話しかけてきた。手にはタオルを持っている。しいて汗をかいてたのでそれを有難く頂くことにする。ルーシェは俺とアギールが模擬線をすることに乗り気ではなかったが、模擬線を終えた今では楽しそうにしていた。
「おう、ルーシェか。サンキューな」
「いえいえ、どういたしまして。それにしても、アレン様はやっぱりすごいですね。アギールに楽々勝っちゃうんですから!アギールは昔アレン様と同じSランク冒険者として名を馳せていたらしいんですよ」
へー。アギールは昔冒険者をやっていたんだな。それも俺と同じSランク。まぁ、143歳なんだし何をやっていても驚きはしないけど。
「アレン、試合をしてくれてありがとう。お前みたいな強い奴が俺達に協力してくれると思うとすごい心強いよ」
座っていたアギールが立ち上がり、俺に聲をかけてきた。初対面のときとは違った親しみやすさが雰囲気に表れている。
「おう。そのことについてだが、俺は何をすればいいかよく把握していないのだが」
「簡潔に言うとお前には強敵を倒してほしいんだ。とにかく詳しいことは後で行う作戦會議で話す。決行の日は明後日だ。それまでに今日の疲れを癒しておいてくれ。って言ってもお前は疲れてないか」
「そんなことないさ。アギールは強かった」
「ハッハッハ、ありがとうなアレン。このあと、みんなで飯を食べるんだ。俺達自慢の料理をご馳走してやるから楽しみにしとけよ。ああそうそう、この地下は結構広いから迷子にならないようルーシェにでも案してもらえ」
アギールは愉快そうに笑いながら、來た道を戻っていった。隣にいるルーシェは、し顔を赤くしている。なるほどな、ルーシェはアギールに惚れているな。分かりやすい奴め。
「ア、アレン様。よっ、良ければ私がここを案しましょうか?私も帰ってきたばっかなので々と回っておきたいですし」
「じゃあ案してもらおうかな」
「分かりました!夕食までもうし時間があるので今のうちに回っておきましょう!」
「よろしく頼む」
ルーシェは顔を赤めたり、嬉しそうにしたり、笑顔になったりと忙しそうだ。
夕食までの間、ルーシェに地下を案してもらった。なんで教會の地下がこんなに広いんだよって思うぐらい広かった。たぶんルーシェがいなかったら迷子になってかもと思うぐらいに。
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