《現人神の導べ》35 第4番世界 勇者達は旅に出る
「―――という事で、そろそろ皆さんには旅を初めて貰いたく」
朝食後、久しぶりに王に呼ばれてワラワラ行くと、旅立ちのお願いだった。
王座に腰掛ける王妃……夫である王があれだったので、今王をしているが……々やつれ気味である。しかし目は完全に獲を狙うそれである。
なぜかって、馬鹿共相手に頑張ってるからな。
的に言うと、我が子に椅子を譲る前に無能を追い落とそうとハッスルしてる。
実に結構。王家はそうでないと。
そして勇者達の旅立ちは他國からの要請のようだ。魔王復活が近くなり、魔も活発化し始めどこも戦力不足なのだろう。
たかが27人の年が増えたところで対して変わらんと言うのに。
魔王復活する前に滅んだりしてな。
「各パーティーに資金と、全員に裝備の提供する準備はできました。どこへ行くかはもう、皆様にお任せします。王都を出る前に冒険者登録する事が推奨です。と言うより、そのように手配しています」
既にどこへ行けという様な狀態ではない……ということだ。
サボってた間に自然繁していた魔が、魔王復活により更に増え溢れ出る。
冒険者という分証も手にるし、これから魔を倒していくことになるからそれで金稼げるしと、旅する分には便利である。
それに異世界來たらやっぱ冒険者……だろうか。勇者達は喜んで登録しに行くだろう。むしろ言わなくても行きそう。
「異世界學園生活も終わりかー」
「俺らの方とはだいぶ違って面白かったけどなー」
「次は冒険者生活かー」
どちらかと言えば嬉しそうな勇者達。
どこ行くかはこの後パーティーごとに相談だ。1クラス分の裝備も資金も用意してくれるとは、中々の太っ腹である。
実際は潰した貴族から巻き上げた金のようだが、言わぬが花……と言うものか。
「勇者達に妾から餞別だ。我が國の神木……神霊樹の葉を用いた神薬、欠損や狀態異常を治すソーマをやろう。1人1本な」
「『おぉー!』」
「売るなよ? 貴重過ぎて値が付けれないだろうが。使う時は怪我に応じて使用しろ。迷ったら全部突っ込め」
「『イエスマム! マム……? ゴッド?』」
存在すら怪しい神の魔法薬、神薬ソーマが軽々しく渡された。
だが神から神の薬が渡されただけだから、別におかしな事もあるまい。
一部勇者達はどうでもいい事を気にしていた。
各パーティーのリーダーは資金をけ取り、男別になっている部屋へと向かい、裝備をけ取り試著して最終調整。冒険者登録だったりと旅立ちは數日後となる。
當然シュテル組は自前のがあるので、裝備はけ取らない。
「さて、好きな場所行っていいと言うが……どこ行くよ?」
「そー言われてもねぇ……」
裝備の確認も終え、冒険者登録は明日城の騎士達と行くようなので、行き先を決めるため部屋に集まっている。
「ユニエールさんどこかない?」
「妾はエスカランテ王國に行ってみたいところだな」
「東の魔法に力をれている國だっけかー」
「我が國は魔導大國でもあるからな。把握はしているが、実際見に行きたいのだ」
「じゃあエスカランテ行くかー」
「どこでもいいしなー。東行くかー」
「じゃあ東のエスカランテだね」
「うちのパーティーはエスカランテ目指すってことで決定」
行き先はさっくり決まった。
元よりどこ行きたいとかはなかったため、誰かしら行きたい場所があるならそれでよかったのだ。
「となると、旅の準備か」
「実地訓練と同じの買ってけばいいよね?」
「いいんじゃないかなぁ。実地訓練は無駄じゃなかったね?」
「『うんうん』」
各パーティーで買いやら旅立ちの準備を済ませ、翌日冒険者ギルドへと向かう。
冒険者ギルド本部は西のルンドマルク帝國に本部がある。それ以外にある冒険者ギルドは支部であり、各支部にいる支部長が運営している。
運営方針はその支部長次第なので、ある程度支部によって特が出る。
王都にある支部は普通で、可もなく不可もなく……実に堅実な運営をしている。
建は石造りの屋敷……とまではいかないが、大きな土地を占領。
人の出りはそれなりにあるといえる。
そこへ城の騎士を連れて勇者達がぞろぞろとっていく。
ぞろぞろとってきた年達を何事かと見る冒険者達だが、ギルド側には既に話が行っていたようで、すぐに會議室のような広い部屋に案される。
そこへおっさんがやってくる。
「よく來たな。俺がここの支部長をしている。早速冒険者の説明をしよう」
まず冒険者と言うが、実質何でも屋だ。
ジャンル問わず様々な依頼がロビーにある掲示板に張り出される。
冒険者はその掲示板から好きな依頼をけ、遂行後報酬をもらう。
功した依頼容や依頼功率、更に人柄などを參考にギルドランクが上がる。
冒険者達はギルドランクで管理されており、依頼もランクが設定されている。
見栄を張って死なない為の処置だ。
ランクが上がると報酬も上がり、ギルドと提攜している店で割引されたりと々利點がある。
ギルドランクはF E D C B A Sと7段階に分かれており、Fからのスタートとなる。
FとEが新人。DとCが一人前。BとAがベテラン。Sは最早超人、英雄だ。
「勇者様方はDからのスタートになる」
「俺達はともかく……ユニエールさんも……Dから?」
「妾はランクなんぞどうでもいいから別に構わんぞ。1人だけランク違くてもあれだしな。それにD以上は『どんなやつか』というのが重要になるのだろう?」
「ああ、Dから上はそうなる」
という事で、他の勇者達と同じようにギルドへと登録するシュテル。
そして冒険者の証をけ取った勇者達の一部は……。
「う、うわぁ……まさかのドッグタグだ……」
「ドッグタグって?」
「昔の兵士がに著けていたらしい。これの持ち主はどこどこの誰々ですってやつだな……」
「誰だか分からなくてもこれを見れば……ってか……?」
「だな……」
「『うわぁ……』」
過去が舞臺のFPSゲーム、もしくは映畫などで見たのだろう。年齢的に映畫だろうか。FPSゲームは一応人向けだ。
冒険者の証はドッグタグ。個人識別用の認識票。
表は名前やランク、登録日に登録場所が記され、裏には最近の討伐記録が表示される。
小さい割にやたら高能な気がするが、ほのかに神力をじるので10番世界にあるステータスリングの劣化版アーティファクトだ。
水晶板の読取機とセットで、そちらには依頼の達率や今までけた依頼の一覧が表示される。
アーティファクトとは神々が作ったと言われる。
そして実際冒険者の証は創造神様が作ったであり、複製も不可能。破壊も不可能だ。つまり全が跡形もなくなる攻撃をけてもこれだけは殘る。
魔に丸呑みされても吐き出されるか、そのうち出てくるだろう。普段地中に住む魔とかだと知らないが。
「死を見つけたら証を探して近くのギルドに屆けてくれると助かる。そういう仕事とは言え、人知れず死ぬってのは寂しいだろう。持ちは見つけた者が使うなり、品としてギルドに一緒に渡すなりするといい」
それからも冒険者に関する説明をけ、勇者達の質問にもちゃんと答えていた。おっちゃんは中々真面目なようだ。面倒見がいいと言うべきか。だからこその支部長なのかもしれない。
そして次の日、勇者達は3つに別れた。
東の大國であるエスカランテ王國を目指す者達。
西の大國であるルンドマルク帝國を目指す者達。
そして今いる大國であるフェルリンデン王國の周囲を回ってみる者達だ。
王や第一王子達に見送られ、城を後にする勇者達。
全員集まっている今のうちにシュテルが聲をかける。
「では諸君、命の危険が常にあることを忘れるな。6番世界ほど優しくない事がすぐに分かるだろう……油斷するなよ。子と違って野郎共は大すぐ殺されるからな、頑張れよ」
「正直魔より、悪知恵の働く人間の方が厄介ですからね」
「全くだな。特に見かけがいい者には気をつけろよ」
「貴族は面倒くさいからねー」
「見かけがいい同士でくっつくので、無駄に外見がいいのは大貴族だと思って構いませんよ。學園で見ているでしょう?」
「ではな諸君。次妾と會う時はなからず君達がピンチの時だ。會わない事を祈っているよ」
「ごきげんよう」
「頑張ってねー」
シュテル、ヒルデ、フィーナに応援? されて、各方面へと別れる勇者達。
シュテル達は東のエスカランテ王國を目指すので、東門から出発する。
どうせ最初のうちはあっちこっち転移する事になるんだろうなーと思いながら、東門へ向かうシュテルであった。
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