《俺が斬ったの、隣國の王様らしい……》五回戦のルーレット
☆☆☆
その日の選抜戦の最後。
五回戦のルーレットが回され、試合は明日となる。
俺は二人から絞られた後、げんなりとした足取りで円形闘技場の舞臺へ上がり、ルーレットを待つ。
そんな俺に。
「ああ、リューズ・ディアーさん?」
「……? そうだが?」
聲を掛けてきたのは、銀髪に赤と青のメッシュがっただった。瞳も、メッシュと同じオッドアイ。
「……ああ、その特徴的な容姿。ウィリアムが所屬してる、生徒會の會長、エリーザ・カマンガか」
「おや、ご存知でしたか」
「この學院の生徒會長だからな。顔くらいは、見た事がある」
名前も、知りたくなくても勝手に耳にってくる。
俺は褐で、獨特な雰囲気を醸すエリーザに目を向ける。
すると、エリーザは俺に微笑み掛け。
「ふふ、リューズさんの試合は全て拝見しました。見事な剣、魔法技能だと、若輩者ながら思いました」
「若輩者って……。俺より歳上だろ」
「未者の。という意味です」
エリーザは謙虛さからなのか、はたまた嫌味からなのか、そんな事をこの場で呟いた。
無論、この場には俺以外の選手――學生がいる。
王立魔法學院において、生徒會の面々というのは一般學生を遙かに上回る魔法技能と戦闘技を有する。
故に、その生徒會の頭が、自らを未者と言ったため、周りにいた學生達はギョッとしていた。
「……エリーザで未者なら、他の魔法使い達があまりにも不憫だ」
「……そうですか。リューズさんに、私が強いと思われているのなら、嬉しい限りです」
と、エリーザは作り笑いを浮かべ。
「是非とも、次の五回戦はリューズさんと當たりたいものです」
エリーザは敵意を隠しもせず、俺に挑発的な笑みを浮かべている。
彼の目は、どこまでも自信に満ちている。
「俺も、是非とも戦いたいがな。ルーレットの運次第だろ」
俺がそう言ってルーレットに目を向けると、丁度、視線を向けた先からフィーラが、どこかムスッとした様子で歩いてきた。
「もう! また私を置いて先に會場に行ったでしょー! しかも、生徒會長さんと一緒だし!」
「ああ、フィーラ様。ルーレットはランダムですから、五回戦はフィーラ様と當たる可能がありますね」
不敵な笑みを浮かべるエリーザ。
どこまでも挑発的なだが、そこら辺はフィーラも負けていない。
「エリーザ様は、私に勝てると……?」
「とんでもありません。隣國の王様に、しがない貴族でしかない私が……。とても。とても」
どっちも笑顔なのに、目が笑ってないんだが。
用な奴らだなあ……。
俺は何やら殺伐としている舞臺上で、殘った面々を目で確認しておく。
殘るは、俺とフィーラ、エリーザともう一人だ。
パッと見たじでは、大した事も無さそうだが……。
何か俺を凄い剣幕で睨んでいる……。
今まで戦った貴族と同じだろうな。となると、見た目通りの実力と見てもいいか。
とはいえ、油斷は命取り。
誰が相手でも、手を緩めるべきではない。
『では、時間となりましたのでルーレットを再開します!』
司會兼実況の聲が會場に響き渡り、騒ついていた會場は一瞬にして靜まる。
ここからはベスト四。
つまり、學院でも選りすぐりの四人が集められているという事だ。
『さあ、ルーレットスタート!』
掛け聲と共に、巨大なルーレットが回転。
そして、俺の五回戦での対戦相手となったのが。
「ああ、私、ですね。リューズさん」
「……まるで、仕組まれてるかと思うくらいの引き運だな。エリーザ生徒會長」
俺の対戦相手は、げんなりお売り魔法學院最強の魔法使い。
エリーザ・カマンガだ。
「むうー! 私が戦いたかったのに!」
「うるさいぞ、フィーラ」
「!?」
フィーラはルーレットの結果が不服なのか、頬を膨らませて騒いでいた。
注意したら、愕然とした顔になっていた。
それから、當てつけの様に自分の対戦相手を睨み付け、威嚇している。
野生か何かかよ……。
フィーラの対戦相手は威嚇され、完全に萎している。あっちは、もはや試合どころじゃなさそうだな。
「ふふ、お手らかにお願いします」
「……こちらこそ。全力で頼む」
試合は明日の朝。
俺はルーレットが終わり、対戦相手の発表後直ぐにスラムにある我が家へと戻り、英気を養った。
※こちらの作品は、「小説家になろう」にて掲載されています。「小説家になろう」の方では、前回までのお話に若干の加筆修正が施されていますので、そちらをお読み頂く事をお勧め致します。
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