《俺が斬ったの、隣國の王様らしい……》暴計畫
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フェルディナン王國の王都には、東西南北にスラム街がある。
各々のスラム街には特徴があり、俺がいるみなみスラムは最も安全で、秩序が保たれている。
というのも、南スラムにはテキラファミリーのアジトがあるから、貴族共や王都の憲兵隊も立ちる事が出來ない。
おで、テキラファミリーの庇護下にいる南スラムの住人達は安全な暮らしが約束され、テキラファミリーにより、秩序が保持されている。
一方で、テキラファミリーの手の屆かない他のスラム街は、酷い有様だ。
貴族や、一部の平民からの迫害、拐、人売買は日常茶飯事。
ファミリーの人員を幾らか割き、治安の維持を行なっているが、西スラム、北スラムの順で、貧民達は不當な扱いをけている。
そして、これが特に酷いのは東スラムだ。
「あそこはな、貴族が飽きた玩を捨てる場所なんだ。他にも、々な用途で使われてる、この國の闇そのものでな。薬漬けにされた生きた人間とか、酷いぞ?」
薬漬けにされたため、皮が筋から浮かされている。もはや、全の皮が剝がされているにも等しいそれは、思わずショック死する程だ、
しかし、それで死ねれば幸せ者で、生き殘ってしまった者は、細菌やウイルスに侵されながら、常に全を襲う激痛と、飢えをじ、苦しんで死ぬ。
「後、酷いのはだ。綺麗なは、男に好き放題され、病に侵され、散々いたぶられた後、痣だらけ骨折だらけで放り出される。そして、なら嫉妬され、顔の皮を剝がされるか、酸でも掛けられて溶かされるか」
も酷いが、男も酷いものがある。
「知ってるか? 一部の貴族の間だと地下闘技場で、捕らえた男と男を戦わせるらしい。中には、と男、子供と大人、妻と夫……。々な組み合わせで、金を餌に戦わせる」
しかも、それは殺し合いだ。
戦いで死ねるなら良い。
だが、中途半端に生きながらえば、腕や腳を失ったまま放り出される事だってある。
やりたい放題、したい放題。
「後は……」
「……い、いや、もう大丈夫……」
と、俺が東スラムで見た全てを詳らかに話そうと思ったところで、耐え兼ねたウィリアムが、口元を抑えていた。
「気分が悪いか?」
「そう……だね。気分がいい話では、ないよ」
「だろうな。だが、これがこの國の現狀だ。違法ドラッグを他國から橫流しにする、腐った國だ」
「だけど、みんなそうじゃないさ」
「ああ、だが、國のトップがこれならもう終わりだろう。恐らく、選抜戦で流れているテュポドラッグ。あれを流したのは、ボレリア帝國だ」
ウィリアムは青い顔をしたまま、視線だけを俺に向ける。
「ボレリア……」
「ああ、俺に接してきたからな。ドラッグで王國を腐敗させ、そのまま乗っ取る寸法だろう。古典的だが、この國の馬鹿共には有効だった。お、俺も手段を変える必要出てきた」
「手段……? 一、何の手段何だい?」
首を傾げて訊ねるウィリアムに。
「この國をぶっ壊す手段だ」
「!?」
ウィリアムは戦慄した様に息を呑む。
「その発言は、國家反逆罪に當たる、そう見て問題ないのかな……?」
「勿論。俺は、魔法使いとして大し、部からこの國を切り崩すつもりだったが、狀況が変わった。……実は、俺が魔法學院でチンタラと勉學に勵んでいる間に、並行してもう一つの計畫を進めていたんだ。お前には、それに協力してもらいたい」
「……きゅ、急にそんな事を言われても、決められない」
俺は迷っているウィリアムの事は気にせず、計畫について説明する。
どうせ、ここまで來たらウィリアムは逃れられない。東スラムの景は、とても見逃していい様な、そんな事ではない。
「お前に協力してしいのは、武の用意だな。近々、俺に賛同している民衆による暴を起こす。その混に乗じ、テキラファミリー率いる特攻隊が城を攻め落とす段取りなんだが、それには大量の武が必要でな。【クリエイト・ウェポン】で作ってもいいんだが、俺は選抜戦で忙しい」
ミラは『創造魔法』の適正が低く、武を作るには不向き。
よって、現在不足している武の用意を、俺はウィリアムに頼む。
「僕に、武を作れと……?」
「いや、それだと時間が掛かる。お前のリソースじゃ足りない。あと、三日で作れるか? 何萬、何千という武を」
「それは……。しかし、どうやって?」
「簡単だ。お前も貴族の端くれなら、家の力を使え。親の説得が必要なら、東スラムに連れて行く事を許可する」
ウィリアムは何か言いたそうにしているが、暫く口を開いては閉じてを繰り返すだけで、最後には頷いた。
「……僕も、東スラムは見過ごせない。君の言う通りにするよ。……リューズくん。でも、武を用意したとして、城を攻め落とせるかい?」
「この國で一番強い魔法使いの程度は知れている。俺なら、秒殺だが……ああ、いや、違うな」
俺はウィリアムの指摘に、一つ考えなければならない事を思い出す。
ボレリア帝國は王國を乗っ取るためにいている訳だから、そこで民衆による暴を起きれば、帝國もく可能がある。
不確定な要素があるとすれば、そこか。
「まあ、心配は無用だ。ファミリーの連中は、腐敗した王都の憲兵隊に鎮圧される程、弱くはない。お前は、お前の心配をした方がいい」
「あ、ああ……。しかし、まさか、こんなに近くで國家転覆を狙っていた人間がいたなんて、末恐ろしい。既に民衆の賛同も得てるなんて、本當に……」
「表に立っているのも、主にいていたのもテキラファミリーで、俺は魔法學院で無駄な時間を過ごしていただけだけどな」
ウィリアムは苦笑すると。
「うん……。でも、分かった。僕も腹を括ろう。君の言う通りに、王國はもう腐敗しきってしまった。こんな國は、もう滅んでしまった方が、民のため……なんだろうね」
「隨分と、思い切りがいいな」
「僕も常々、じていた事だからね。東スラムを見て、この國は本當に終わってしまったんだと、そう思った……。むしろ、これで未練も無くなった」
確かに、そう言うウィリアムの表は清々しい気がする。
と、ウィリアムは仰々しく俺に跪いて。
「……これからは、君に従おう。まずは、三日で武の用意……かな?」
「ああ、早ければ早い程いい。帝國がく前に、この國を崩すぞ」
こうして、俺はウィリアムを味方に付ける事に功した。
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