《Re:現代知識チートの領地運営~辺境騎士爵の子供に転生しました~》姉と妹。

漢字ふりがな

ジャイガルドとアレクサンダーに、フィーナの妹レイリアを醫者に見せるため商業國メイビスまで行くことを伝えると二人とも、神妙そうな表をした。

やはり、教えるのは不味かっただろうか?

こんなところで、俺の計畫が潰えるのは困る……。

「なるほどー……それなら、俺様も手伝うぜ!」

「こ、このアレクサンダーもアルスの旦那のために力を貸しますぜ!」

「本當にいいのか?」

「もちろんだ! フィーナは俺様の子分だ! つまりフィーナの妹レイリアも俺の子分ってことだ! 子分を助けるのは親分の仕事だ!」

「ぼ、ぼくだって! 仲間の妹が――こ、困っていたら力くらい貸します!」

二人の目を見る限りフィーナの妹レイリアのことを、心から案じているのが伝わってくる。

そのまっすぐな視線に俺は――。

「わかった――。くれぐれも話は他に洩れないようにしてくれ」

「任せておけ!」

「アルスの旦那も、大船に乗ったつもりでいてくだせえ!」

「お、おう……」

何か反応が軽いんだよな……。

本當に大丈夫か?

「それじゃ俺様は親父が持っている倉庫の鍵をとってくらあ!」

「ぼ、ぼくは――防寒著の予備がないか確認してくるよ」

二人は、それぞれの目的のために村へ通じる道を戻っていった。

「やれやれ――。他人のために、何の見返りもなくけるなんて信じられないな……」

俺は二人の背中を見ながら呟くと「そう? でも、アルスくんがいたから皆が力を貸してくれたと思うよ?」とフィーナが語りかけてきた。

「……」

しまった……。

フィーナが居たことをすっかり忘れていた。

つい地で話をしていた。

「とりあえず……だ。俺達は俺達の仕事をしよう。フィーナついてきてくれ」

「う、うん――」

俺はフィーナを連れて森の中にっていく。

そして、森の中から1分ほどの木の幹に傷がついているのを確認したあと、土を掘り返していく。

すると土の中からは、30個近くの木箱が姿を現した。

全て魔王城から回収してきたものだ。

もちろん中は、魔王城から持ち出してきたものがっている。

「フィーナ、これをアイテムボックスに仕舞ってくれ」

「――え? で、でも……これって……」

「狼などの皮とか牙だ。時折、倒して回収したのを集めていたんだ」

「そうなの?」

「ああ! これも醫者を呼ぶ足しにはなると思っていたんだ」

「アルスくん……そんなに前から……」

フィーナが瞳に涙を溜めながら「ありがとう、ありがとう」と何度もお禮を言ってくる。

「気にすることはない。アイテムボックスにるか?」

「うん、やってみる」

フィーナは頷くと箱に手を當てて箱をアイテムボックスに仕舞った途端、眉間に皺を寄せると俺を見てきた。

何かあったのか?

もしかしたら魔力をかなり消費するのか?

いまの箱には、鉄製の剣がっていたからな。

「あまり無理はするなよ?」

「うん……」

フィーナは、戸うような顔をして頷いてくる。

やはり、かなり魔力を消耗するようだ。

それでも妹を助けたいのだろう。

何度も怪訝そうな表をして俺を見てきた。

合が悪いようなら言えよ? フィーナは、俺にとって大事な人だからな」

「……うん」

全部の箱がフィーナのアイテムボックスにったのは、5分ほど掛かったが誤差の範囲だ。

これで、あとは食料と山を越える皮に母親を連れ出せれば、こんな村からオサラバできる!

「それじゃフィーナ、村へ戻ろう」

「……ねえ? アルスくん……」

「どうした?」

フィーナは地面を見たまま俺の顔を見ようとはしない。

しばらくしてからフィーナは俺の瞳を見てくる。

の瞳には良く分からないが強い力がめられているような気がする。

「妹に――、レイリアに會ってほしいの」

「俺が? フィーナの妹に?」

どうして、俺がフィーナの妹なんかに會わないといけないのか? 意味が分からない。

俺には母親を説得するという仕事があるのだ。

そんな些事にかまけている余裕なんてない。

「うん……」

「いや、俺は商業國メイビスにいく用意とか――」

「――お願い……アルス……くん……お願い……妹に會って――」

……面倒だな。

だが……、ここでフィーナのお願いを斷って商業國メイビスへの同行を斷られても困る。

どうするか……。

俺は、心の中で溜息をつく。

「分かった。會えばいいんだな?」

「――うん……」

俺の言葉に、沈んだ聲でフィーナは頷いてきた。

フィーナの家に到著すると、彼は家の中にっていく。

そして、家の中から金髪碧眼の20歳後半のが出てきた。

はフィーナを大人にしたようなで、痩せてはいるが綺麗だと思う。

「これはアルス様――」

「お母さん! それは、いいから! そういえばお父さんは?」

「畑に行って……」

フィーナと母親の聲が聞こえてくる。

どうやら父親は畑に行っているようだな……。

まぁ、騎士爵の長男がとつぜん來訪したら驚くだろう。

「アルスくん! こっちきて!」

フィーナが俺の手を握ると家の中に通してくれた。

そして靴をいで居間から寢室に向かうと、扉を數度ノックしてから部屋の中に通してくれた。

「お姉ちゃん?」

鈴の音を思わせる澄んだ聲が聞こえてくる。

聲がしたほうへと視線を向けると布団の上に寢ている4歳くらいのがいた。

頬はこけていて布団から出ている手は驚くほど細い。

「レイリア、ただいま。今日はね、お姉ちゃんの友達を連れてきたの」

「友達?」

フィーナの言葉を聞いたレイリアという名のが俺を見てくる。

ただ、彼の目は視點が定まってない気が――。

「はじめまして……、レイリアです。寢たままでごめんなさい」

「……い、いや――。気にしなくていい。俺の名前はアルスと言う。これからよろしく頼む」

「はい、こちらこそ短い間ですけど――コホッコホッ」

「レイリア大丈夫?」

フィーナが、橫になったレイリアの背中をりながら俺を見てきた。

「アルスくん、妹をよろしくお願いします」

「……ああ、わかった――」

俺は何とも言えない気持ちでフィーナの家を後にした。

家に戻り、寢室でこれからのことを考えていたらいつの間にか眠っていた。

翌日、何となく目を覚ますと父親と母親は寢室には居ない。

騎士爵邸から外に出ると何十人もの村人が、どこから調達してきたか分からない荷車や馬の用意をしていた。

「……こ、これは……」

、何が起きた?

昨日までは、何の変化も無かったのに村が何時の間にか、何か一つの目的に向かっていているようにじられた。

「「アルス、ごめん!」」

聲がした方を振り向くと顔を腫らしたジャイガルドと、頭にたんこぶを作っているアレクサンダーが、地面の上に座っていた。

「……ま、まさか……」

「アルス!」

唐突に俺の頭の上に大きな手が載せられた。

そして、父親が俺を見てくると「フィーナの妹レイリアを助けるために商業國メイビスにいく計畫を立てているって聞いたぞ?」と微笑みながら話しかけてきた。

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