《Re:現代知識チートの領地運営~辺境騎士爵の子供に転生しました~》決戦への布石(4)
「おほん! それでは――」
アルセス辺境伯が、俺と母親が話し合ったのを頃合と見たのか、わざとらしく咳きをすると、「それでは、すぐにでも軍議にりたいのだが?」と、語りかけてきた。
「はい。わかりました」
俺としても、魔王城が復活するまで時間がないことは分かっている。
なくとも悪戯に時間を浪費していい案件ではない。
アルセス辺境伯の後を著いていこうとすると、後ろから母親が俺を抱きしめてきて「それじゃ、お母さんは、家で待っているわね? アルス……、もうしだから頑張ってね」と、耳もとで言葉を紡いできた。
俺は思わず母親の言葉を反芻するように「――もうし?」と、首を傾げる。
何故か、いつもと母親の態度が違った気がするのだ。
「アルス!」
深く考える前に、俺の名前を父親であるアドリアンが呼んできた。
俺は考えることを一旦中斷する。
まずは魔王を倒して日常に戻ること――、それが、今の俺の目的……。
「いま、いきます」
俺は、手を振っている母親に背を向けるとアルセス辺境伯と父親がっていった天幕へとる。
天幕の中には、魔法師団長のアリサに、リンデールが待っていた。
「ようやく來たか――」
「大遅刻よ? アルス君」
「申し訳ありません。長い旅で思ったよりも疲れていたようで――、起きられませんでした。まぁ僕は、年齢的に5才ですからね」
俺は、わざとらしく肩を竦める。
そんな俺の態度に全員が小さく溜息をついた。
「まったく、アルベルトよ。お前は息子に、どんな教育をしているのだ?」
アルセス辺境伯は、俺の父親に突っ込みをれていた。
父親は、アルセス辺境伯からの言葉に「私は、息子を信じていますから」と、返していたが、それ以外に返す方法を、きっと父親は持っていないと思ってしまう。
何故なら、俺みたいに何度も生き返りを繰り返しているような子供を持っているのは特殊だと思う。
――それに、何より、異世界の中年の神がっているなんて誰も夢にも思わないだろう。
「ところでリンデールさん、例の用意は出來ていますか?」
「ああ、問題なく作業を兵士達に進めさせている」
「そうですか……。それで、どのくらいで用意は出來そうですか?」
「そうだな……、目安だが明日の夕方までには規定量が作れるはずだが――」
「なるべく手持ちの石炭、全てをにしておいて頂けますか? それから出來たものは、一緒に持ってきた麻袋にれて保管してください。あとは、出來るだけ暴には扱わないことも徹底させてください」
「どうしてだ?」
「小麥と違って簡単に発火しやすいからです。現在は、石炭を砕いてにしているのですから、下手しなくても陣地ごと吹き飛ぶはめになります」
俺の言葉に、全員の顔が真っ青になる。
「……そんな危険なモノを兵士達に……作らせていたの……か?」
リンデールの言葉に、俺は「あっ――」と言葉をらす。
兵士達が行っている作業が、どれだけ危険な作業であるのかを説明することを失念していた。
「申し訳ありません。リンデール殿。兵士の方が作業をしている容が、どれだけ危険なことかを事前に説明することを怠っていました――」
俺の言葉に、リンデールが額に青筋を立てる。
「――お前は!」
「やめんか! アルスも、自分の持っている知識を完全に把握していないということは事前に説明しておっただろう? ならば、一つの事から連鎖する事柄を思い出せなくても仕方がない。知識だけを持っていても、それを応用するためには、それに関する複數の事柄を紐付けして行かなくてはならないからな」
リンデールが俺に詰め寄ろうとしたところで、アルセス辺境伯が助け舟を出してくれた。
俺は、ホッと一息つきながらも、すぐに頭を下げる。
今回の問題は、全て俺が原因だ。
なら相手の怒りを治めるには頭を下げて謝罪をするしか方法がない。
下手に、言い訳をしても事態を悪化させることにしか繋がらない。
俺の謝意を見ていたリンデールは大きく溜息をつく。
――それにより天幕の中は、居た堪れない張り詰めた雰囲気が漂う。
誰も発言しない中で、アルセス辺境伯が「今日は、これで一旦解散する。それとアリサ、お前はアルスの魔力の確認を取ってくれ。ハルス村に到著してから魔力が回復しているかの確認は最優先であるからな」と言葉を紡いできた。
アリサは、すぐに「わかりました」と答えると俺に近寄ってきて手を取ると天幕の外に連れ出してくれた。
「はぁ――。もう、しは自重してね? とっても重苦しい雰囲気になったわよ?」
「申し訳ありません」
返す言葉もない。
全て、俺の連絡ミスから起きた問題だ。
今日は、まだ風があったから発などは起きなかったが、數百人の兵士が石炭をにしているのだ。
下手したら人災になっていた。
「アルスくん? リンデール將軍は、兵士のこともそうだけど、アルス君のことも思って怒っていたのよ?」
「はい、わかっています。次回から、もっと気をつけます」
もっと自分の行について考えないと駄目だな。
【書籍化】物語完結後の世界線で「やっぱり君を聖女にする」と神様から告げられた悪役令嬢の華麗なる大逆転劇
転生も巻き戻りもせずに大逆転を遂げる悪役令嬢の物語。 婚約者だった皇太子とその浮気相手の聖女に斷罪されたイリス・タランチュランは、処刑を目前にして牢獄の中で夢を見た。夢の中でイリスはこの物語の神だと名乗るウサギに出會う。ウサギは聖女であるヒロインへの不満から、イリスに向けて「やっぱり君を聖女にする」と言い出した。目が覚めると、イリスの瞳は聖女の証であるルビー眼に変わっていた。同時刻、神殿の大神官の元には有り得ない衝撃的な神託が下り、知らせを聞いた皇帝は愕然とする。自分を陥れた元婚約者とヒロイン、そしてその周囲の人々へ復讐を誓うイリスは、神に與えられたこの設定を存分に利用するのだった。 ※お陰様で書籍化が決定いたしました。詳細は後日ご報告致します!
8 155【書籍化】初戀の人との晴れの日に令嬢は裏切りを知る〜拗らせ公爵は愛を乞う〜
一人目の婚約者から婚約破棄され、もう結婚はできないであろうと思っていた所に幼い頃から憧れていた王國騎士団団長であるレオン=レグルス公爵に求婚されたティツィアーノ(ティツィ)=サルヴィリオ。 しかし、レオン=レグルス公爵との結婚式當日、彼に戀人がいる事を聞いてしまう。 更に、この結婚自體が、「お前のような戦で剣を振り回すような野猿と結婚などしたくない。」と、その他諸々の暴言と言いがかりをつけ、婚約破棄を言い渡して來た元婚約者のアントニオ皇子の工作による物だった事を知る。 この結婚に愛がないことを知ったティツィアーノはある行動に出た。 國境を守るサルヴィリオ辺境伯の娘として、幼い頃からダンスや刺繍などではなく剣を持って育った、令嬢らしからぬ令嬢と、戀をしたことのないハイスペック公爵の勘違いが勘違いを呼び、誤解とすれ違いで空回りする両片思いのドタバタラブコメディです。 ※ティツィアーノと、レオン視點で物語が進んでいきます。 ※ざまぁはおまけ程度ですので、ご了承ください。 ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎ 8/7、8/8 日間ランキング(異世界戀愛)にて5位と表紙入りすることが出來ました。 読んでいただいた皆様に本當に感謝です。 ✳︎✳︎✳︎ 『書籍化』が決まりました。 ひとえに読んでくださった皆様、応援してくださった皆様のおかげです! ありがとうございます! 詳しい情報はまた後日お伝えできるようになったら掲載致します!! 本當にありがとうございました…
8 190勇者のパーティーから追い出されましたが、最強になってスローライフ送れそうなので別にいいです
ある日、精霊大陸に『星魔王』と呼ばれる存在が出現した。 その日から世界には魔物が溢れ、混迷が訪れる。そんな最中、國々は星魔王を倒す為精鋭を集めた勇者パーティーを結成する。 そのパーティーの一員として參加していた焔使いのバグス・ラナー。だが、スキルの炎しか扱えない彼の能力は、次第に足手纏いとなり、そして遂に、パーティーメンバーから役立たずの宣告を受ける。 失意の內に彷徨った彼は、知り合った獣人をお供にやがて精霊大陸の奧地へと足を踏み入れていく。 精霊大陸がなぜそう呼ばれているのか、その理由も深く考えずにーー。
8 81職に恵まれた少年は世界を無雙する
ある日突然、出雲高等學校2年2組にやってきた、異世界から來たというエルバという人間。 その異世界は今、滅亡寸前!助けを求めてやってきたらしい。主人公はその異世界を救うために異世界へ転移した。ありきたりなファンタジーがここに來る! チート級スキルの主人公無雙! 感想とか間違いとかコメントくれたら嬉しいです!入れて欲しいキャラとかこうして欲しいとかあったら遠慮なくコメントしてください。 表紙→picrew「君の世界メーカー」 Twitter→真崎マサキ @skmw_i 投稿→不定期 気長に待てる人は読んでください。
8 198同志スターリンは美少女です!?
歴史にその悪名を知らしめるスターリンは美少女になりました。その中身は日本の元社會人ですが、何の因果か女の子スターリンの中身になりました。 なので、第二の祖國、ソビエト社會主義共和國連邦。通稱USSRを戦禍から守っていこうと思います。 やることの多いソ連ですが、まずは國內のゴミ掃除から始めましょう。 いや、割とマジで國內の腐敗がヤバイのです。本當に、頭を抱えるくらいに真剣に。 あと、スターリンの著しいイメージ崩壊があります。 *意味不明な謎技術も登場します(戦力には関係ありませんが、ある意味チートかも)
8 165出雲の阿國は銀盤に舞う
氷上の舞踏會とも形容されるアイスダンス。その選手である高校生、名越朋時は重度のあがり癥に苦しんでおり、その克服の願をかけに出雲大社を訪れる。願をかけたその瞬間 雷のような青白い光が近くにいた貓に直撃!動揺する朋時に、體を伸ばしてアクビをすると貓は言った。『ああ、驚いた』。自らを「出雲の阿國」だと言う貓の指導の下、朋時はパートナーの愛花とともに全日本ジュニア選手権の頂點を目指す。 參考文獻 『表情の舞 煌めくアイスダンサーたち』【著】田村明子 新書館 『氷上の光と影 ―知られざるフィギュアスケート』【著】田村明子 新潮文庫 『氷上の美しき戦士たち』【著】田村明子 新書館 『DVDでもっと華麗に! 魅せるフィギュアスケート 上達のコツ50 改訂版』【監】西田美和 メイツ出版株式會社 『フィギュアスケートはじめました。 大人でもはじめていいんだ! 教室・衣裝選びから技のコツまで 別世界に飛び込んだ體験記』【著】佐倉美穂 誠文堂新光社 『フィギュアスケート 美のテクニック』【著】野口美恵 新書館 『表現スポーツのコンディショニング 新體操・フィギュアスケート・バレエ編』【著】有吉與志恵 ベースボール・マガジン社 『バレエ・テクニックのすべて』【著】赤尾雄人 新書館 『トップスケーターのすごさがわかるフィギュアスケート』【著】中野友加里 ポプラ社 『絵でみる江戸の女子図鑑』【著】善養寺ススム 廣済堂出版 『真説 出雲の阿國』【著】早乙女貢 読売新聞 また阿川佐和子氏『出雲の阿國』(中公文庫)に大きな影響を受けておりますことを申し述べておきます。
8 156