《Re:現代知識チートの領地運営~辺境騎士爵の子供に転生しました~》決戦への布石(15)
アリサ先生と別れて川を渡り家に向かう。
視線の先――、自宅から一筋の煙が空に向けて立ち昇っているのが分かる。
母親が夕飯の用意をしているのだろう。
俺は、アルスがしていたように母親の名前を呼びながら引き戸の扉を開けて「母さん、ただいま」と、言葉を紡ぐ。
すると――。
すぐ、臺所で夕飯の支度をしていた母親が、鍋の中のシチューを掻き混ぜながら「お帰りなさい」と語りかけてきた。
いつも通り、俺は居間に上がろうとして靴をごうとしたところで父親の靴が置いてあることに気がついた。
「母さん、これ――」
「疲れて帰ってきているのよ? あの人は王宮で騎士はしていたけど、領主として何日も実務はしてこなかったから……」
母親の言葉になるほどと頷く。
そういえば……。
俺が、この世界に転生してきてから父親が執務室で仕事をしているのを殆ど見たことがない。
記憶の糸を辿っても、父親と最初に出會ったのは山狩りの遠征に戻ってきた後。
その後、魔法の才能が見つかってからは、アルセイドに向かうのを見たくらいで領主の仕事をしていた覚えがまったくない。
つまり……、珍しく領主としての仕事を何日もしていたから疲れてしまったと言うことだろう。
「……それでは、しばらく寢かせておいたほうが?」
「そうね。數日は忙しいのでしょう? 寢かせておいてあげましょう」
俺は母親の言葉に頷く。
無理をさせて魔王討伐に支障が出ても仕方ない。
「アルス。今日は、アルセス辺境伯様がたくさんの塩を差しれてくれたのよ?」
母親がほくほく顔で語ってきたが……、すぐに理解できた。
何せ、俺の母親は、アルセス辺境伯の黒歴史を、俺の亡くなった祖母からたくさん聞いているのだから。
大勢の兵士がいるところでは、話さないでほしいという賄賂だというのが――。
母親と二人で夕飯を食べたが、俺も魔王と戦う前だったこともあり張しているのか料理の味がよく分からなかった。
――翌日の朝から俺の日課は、いつもの水汲みから始まる。
それは魔力の回復を促す目的であったが……。
晝ごろまで、川から水を汲んできては、臺所の水瓶に水をれるという作業を繰り返していた。
「アルス君!」
最後の水汲みが終わって、居間で呆けていると尋ねてきたのはアリサ先生で、彼は靴をいで居間に上がってくる。
「何か問題でもあったんですか?」
石炭を砕いている途中で炭塵発でも起きたのかと心配になってしまうが、アリサ先生の様子は慌てているというじは見られないから問題ないだろう。
「問題というよりもね、あと4日で魔王城の結界が切れるのでしょう?」
「まぁ、そうですね……。多の誤差はあるかも知れませんが――」
俺は居間のガラスが嵌っていない窓から外で洗濯を干している母親へと視線を向けながら、アリサ先生の質問に答えを返す。
「アルセス辺境伯様からの命令でね――」
「アルセス辺境伯の命令?」
「――そう。今後の作戦にアルス君の魔力と、どのくらいの魔法が使えるのかが鍵になってくるから毎日、知らせるようにって言われているのよね」
「そういうことですか……」
俺としては、魔王を倒す手段はいくつか用意しておいたが、そのどれもが魔法力をそんなに必要とするものではない。
そもそも、3週間も掛けて蓄積していた魔力を、今回は実質4日で貯めないといけないからだ。
そんなのはまず不可能だし、それを補う方法が炭塵発になる。
俺の考えを他所にアリサ先生は、魔法指南書を居間のテーブルの上に置いて「アルス君、これに手を置いて」と話かけてきた。
俺は小さく溜息をつきながら手を置くが、まだ帰ってきてから3日しか経ってない。
正直、3日で回復できる魔力量なんて、たかが知れていると思うのだが……。
「思ったより魔力が回復していないのね」
魔法指南書の表紙に手を掲げてみるが、表紙の中央に埋め込まれている寶玉は、淡い白にってはいたが、天井を貫くほどではない。
「もう良いわよ。やっぱり領地で活することがアルス君の魔力回復に適しているようね。寶玉の様子から見ると、すでに中級魔法師くらいの魔力は回復しているようね」
「中級? それなら天井を貫くほどのは?」
彼の言葉に、し興味が起きて質問することにした。
「天井って、この家の天井を貫くほどのよね?」
「そうですが……」
「そんなのありえないわ。変質させていない魔力で天井を貫くなんて、そんなの……、この世界の摂理に逆らえるほどの魔力を有しているってことになるのよ?」
彼の言葉に俺は一瞬、言葉を失った。
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