《かわいい俺は世界最強〜俺tueeeeではなく俺moeeeeを目指します〜》17話 會。
招かれています。手をくいくいっとして。どうやら私とアレンの一連の流れを見ていたようで、しっーと口に指も當てています。アレンにはナイショということでしょうか。
しかしこのお招きは私にとっても好都合でした。いまいち盛り上がりきれない會話をぐだぐだと続けるより、強引にでも一回リセットする方がいいいいからです。
ベストタイミングでのお助け船を出してくれた店主さんに応えるために、私は伝家の寶刀「おトイレ」を使いました。幸いにもトイレは廚房の橫を通る必要があるので、自然と店主さんの方へと行けます。
廚房前まで行くと店主さんに手首を摑まれ、強引に中に引きずり込まれました。突然のことに私も反応出來ず、なすなく、なすがままにされました。
いやっ、襲われてしまうの私。百合は嫌いじゃないけど、神的には男でして、でもはであるし、はて、どちらなのでしょう。
そんな風に変な方向に走ってしまう、思考が迷走してしまったところで店主さんが口を開きました。
「ごめんね、デートの最中なのに」
「いえ。ちょうどよかったです」
「そっか。うん。そうだ名前は? それくらいわからないとね」
「フィアナです。店主さんは?」
「え、アレンの奴言ってなかったの? まったくあいつは……。私はハル。好きに呼んで」
「わかりましたハルさん。私も好きに呼んでください」
「じゃあフィアナさんだ」
と、強引に連れ込まれて最初にわした言葉は自己紹介でした。
あれ? ハルさん、このために私を手招きしたんじゃないですよね? 私的には、こう何かお話を聞けると思っていたのですが。おこがましでしょうか? それともご都合主義が過ぎるでしょうか?
「じゃあ、あんまり長くなっても恥ずかしいだろうから、早速本題に移ろうか」
「はい。お願いします。多分、ハルさんは何か知ってると思うので」
だから私を呼んだのでしょう。タイミングが良すぎますから。それにハルさんのアレンに言った「思い出に踏み込まれること」。どう考えても意味深い発言です。隠す気はさらさらないのでしょう。
「予想は出來ていると思うんだけど、もしかしたら知ってるかもね。この店、アシュレイ様がアレンと一緒に通っていた店なのよ」
「それは、はい。小さい頃から通っていると言っていましたから、なんとなく」
「だよね。アレンも小さい頃は可かったんだけどねぇ、今はあれだし。どこがいいの?」
「え……?」
「いけないいけない。すぐ話が線しちゃうのは悪い癖よね」
「は、はあ」
危ないところでした。
アレンのどこがいいのかという質問に対する答えは、10は作ってあります。それも當たり障りがないもの攻めたものどちらも。當然です、いつそれが必要になるかわかりませんから。予想されることは、徹底的に準備しなくてはいけません。
しかし今は、言うなればエクストラステージ。予想外もいいところな、アドリブ満載のステージなわけです。
隠れキャラであるハルさんの質問は、そんな唐突なエクストラステージでおいても唐突。初見殺しですかと文句を言いたくなるものでした。
そんな初見殺しハルさんは線した話を戻してくれました。
「アシュレイ様に気にってもらえて、この店も繁盛し始めたの。アレンも気にっていたけど。
アシュレイ様はいろんな種類を頼んでいた。それこそ當時店にあったメニューは制覇されたもの。それに、アシュレイ様の要でメニュー化したものもあるし」
アレンの甘黨はアシュレイさん譲りのようです。
「だからさっきのね食べさせ合いっこ。多分アシュレイ様に重なったんだと思うの」
「食べさせ合いがですか?」
「そう。アシュレイ様はんな種類をたのんで、アレンにもあげてたの。昔からベリータルトしか食べなかったからね、アレン」
昔からアレだけなんですか、アレンは。
「ベリータルトしか注文しないのに、アシュレイ様があげるのは食べるんだから。いっつもニコニコして、口開けて、おねだりしてね。
アシュレイ様もそれがわかってるから一口は必ず殘していたのよ」
それは微笑ましい景だったことでしょう。まだ素直だった頃のアレンが見せるイタズラな表。全てお見通しで、しかしそれを指摘せずに可がるアシュレイさん。かわいらしいスイーツにも囲まれて、絵になりそうです。
「偶然かもしれないけどね、アシュレイ様は卵タルトが好きだったの。
あなたが悪いわけじゃないのはわかってるんだろうけどね、ほら、アシュレイ様に瓜二つでしょう? 余計に重ね合わせちゃったのよ。
あとそうだ。この店にの人を連れてきたのはフィアナさんが初めてだしね」
「それは、はい。わかっていました。卵タルトはさすがに予想外でしたが」
「そっか。なら、私からもお願いしていいかな」
「無理なことじゃなければ」
「アレンに、いい加減別のメニューも食べろって言ってやってよ。味しいのはベリータルトだけじゃないんだし。それに、卵タルトだってもっと味しくなってるんだから」
またお願いされてしまいました。エルバードさんもそうでしたが、アレンは市民にされているようです。
確かに癖は悪いですし、それに関しては弁護のしようがないでしょう。ですから、あの馬鹿はと口々に出てくるのです。まあ、格の悪さもあるとは思いますが。
ですが、それでも気にかけてはもらえているのです。それもかなり。
私的には安請け合いはしたくない気持ちです。気持ちというか、スタンスです。
しかし今回は、今回も、けてはいいとも思うのです。だってついでに片手間にですから。私がアレンを攻略することに変わりはないのですから、報料としてそれくらいならけもいいも思います。
「はい。私もアレンさんには食べてしいです。味しいですもんね」
「ありがとう」
エクストラステージクリア、といったところでしょうか。どうやら今回のステージ、進展があるわけでも新展開があるようでもなく、ただのついででした。
アレンとアシュレイさんの思い出を知っただけです。
アレンがいかに私に対して、アシュレイさんの影を重ねているかを再認識しただけです。
それだけでした。が、大切でした。
***
ハルさんに解放された私は席へと戻りました。その頃にはアレンも調子を取り戻し、平然と自分のベリータルトを口にしていました。
私も席について食べます。味しいです。改めてこれを私に酷似していた人が好きだったと知ると、どうにも不思議な気分になるわけでした。
まあ、それがなんなのかと言われればそれまでなのですが、私としてはそうはいけませんでした。
もともと、このデートの最終目的はアレンを萌えさせることです。そのためにいくつかの段階や、狀態を設けていて、策略も存在します。
その一つであり最大の課題であるアシュレイさんとの差別化。これはアシュレイさんが理想の大元だと知った時から、悩みに悩み続けてきた課題でした。これを越えることができなければ、アレンが本當の意味で萌えることはないと、斷言することが出來ます。
なのに今の私は無意識にとは言えアシュレイさんに近しい行をとってしまいました。いえ、行自は問題ないのでしょう。だってそれは些細なことだから。アシュレイさんが理想の大元なのだから、そうなるのが自然なのです。
むしろ、アシュレイさんという似非清楚屬を演じるなあたって、私は最善の選択をしたと自覚しているのです。そこに抜かりはなく、失敗もありませんでした。
では何を問題にしたいのかと言いますと、アシュレイさんを想起させてしまったということです。
これもある程度なら許容範囲でしょう。強すぎる、というか元ネタがありそれを演じるとなれば、どうしてもかすってはしまうのですから。
それに元ネタがあるというのは、それこそがメリットでもあるのです。
例えばモノマネ。地球ではモノマネグランプリが數多く催されていましたが、あれが一番わかりやすいでしょう。
ある時モノマネ番組を見て私は思いました。あんまり面白くないな、と。だって漫才でもありませし、笑えるわけがないです。
では何が大衆にけれられて、求められたのかと考えました。いえ、考えるまでなく、同じ部屋にいたお父さんを見ていればわかることでした。
お父さんはモノマネ番組が大好きでした。あ、今もきっとご存命ですからね。現在進行形で大好きでしょう。まあ、私がいなくなったことでどうなったのかは知りえませんが。しだけ申しわけとも思います。
話を戻します。
とにかくお父さんはモノマネ番組が大好きでした。あえていうなら、カラオケ番組もです。これも似たところがあります。
〇〇スペシャルがあれば必ず番組はそれ。テレビの番組選択権が弱いお父さんでしたが、私もお母さんもお父さんが珍しく大好きなものだと知っていましたので、その時は譲るのです。
そうして私は大して面白くない番組を見る羽目になるわけでした。
しかしお父さんはモノマネが大好きと先程から言っている通りですから、當然面白いとじているのです。側から見ていて丸わかりです。
お母さんもなのです。夫婦の年の差はさほど離れていません。ですから趣味が合うのか、と軽く考えていました。
軽視し過ぎた、というより節過ぎました。
だって、それが要するに答えだったからです。
モノマネ番組が面白いとじるお父さんとお母さん。それに対して面白いないと、つまらないとじる私。違うのは、世代でした。
現在モノマネ番組で何がモノマネされているのかと言えば、大半がし前の、私が生まれる前の人達のモノマネ。もっと言えば、私が記憶に殘っている以前のモノマネ。
もちろん現在の流行りネタや、流行を取りれたりはしています。ですが、形式上で取りれいるだけであって、あくまでモノマネをしているのはそれではなく昔の人。
それだと私みたく「え? 似てるの似てないのどっち? というか誰?」となるわけです。面白い面白くない以前に、似ている似ていない以前に、モノマネなのかそうじゃないのかという時點に取り殘されているわけです。
ところが、お父さんやお母さんは當然自分達が青春を過ごした時代のモノマネばかり。懐かしさもあるでしょうし、「似ているのか似ていないのか」ということもわかるわけです。だから自然と面白さが出てくるのです。
さて、ここまで前振りをして何が言いたいのかと言いますと。
モノマネ、あるいはそれに準ずる近しいことは、元ネタを知ってさえいれば効果は抜群だということです。
ここで言うなら、似非清楚という屬を演じるにあたって、アシュレイさんという元ネタをアレンは知っているのだから効果は抜群、だということです。
アレンはさぞかし懐かしくじていることでしょう。それが転換して、理想をくすぐられていることでしょう。
ですがその転換にも許容範囲があり、やりすぎはマイナス効果になってしまうのです。毒になります。
メリットが増すならデメリットも増してしまうのです。
アシュレイさんと私が重なってしまうわけです。
「どうかしたか」
「い、いえ」
どうやらぼんやりとしすぎてしまったようです。いけないいけない。
考えることも大事ですが、今は目の前にも集中しないと。
だいたい、切り札があるのですから、あとはどうその狀況に持っていくかだけを考えるだけです。それは行しながら、臨機応変に対応しなければ出來ません。
さしあたっては、そろそろお店を出るためにも、名殘惜しくはありますが……、卵タルトを、食べてしまうとしましょう。……してしまいましょう。
「ごちそうさまでした」
綺麗に食べました。さらにはカスもなく、これなら上品に見えるでしょう。けっして味しいからしでも食べたいとかそんな淺ましい願があったわけではなくて、ただ単にアレンにしく見せるために綺麗に食べただけです。本當に本當です、多分。
「綺麗に食べるな」
「ありがとうございます。本當に味しかったので」
ほら、これが私の涙ぐましい努力の果です。こうした塵も積もれば山となる、略して塵積なことが大事なんです。かわいいは継続、萌えはトドメ。
お茶も飲んでしまいました。
そんな些細事にもさすがアレン、気がついてくれました。
「そろそろ店を出るか?」
「そうですね。長いこと居座ってしまいましたし」
「そうだな。では會計か」
だしなみを整えてカウンターに向かいます。この時ばかりはアレンのし後ろに立ちます。全額アレンが払ってくれるのです。その橫で金額を確認するのは野暮というものでしょう。
「味しかった?」
「まあまあだな」
「私が聞いてるのはフィアナさんよ」
「紛らわしい。……うん? おばさん、いつフィアナの名前を知った? 俺は言ってないはずだが」
「會話がし聞こえただけだよ」
「なんだ。盜み聞きか?」
「しないわよ。あんたのおかげで店は暇だし靜かだからよく聞こえちゃうの」
「一言一言嫌みを言いやがって」
「お互い様でしょう」
「あの、味しかったですよー」
油斷大敵! 本當にどこからでも癡話喧嘩を始めきます。なんですかそれ、本當に。まったく油斷なりません。というかハルさん、私の応援をしてくれたんじゃないんですか? どうして目の前で繰り広げてくれてんですか? 
「よかったよかった。また來てね」
「是非」
「行くぞフィアナ」
「はい。ではまた」
「またのお越しを」
「気が向いたらな」
「あんたはいつも來てるでしょう」
結局を店を出るまで癡話喧嘩ですか……。
と、観念にも似た心持ちでいると、店の扉が開け放たれました。
「やっと見つけたわよアレンっ!」
そこには肩で息をし、髪をしたが。
どうやら語はここまでがジェットコースターで言うところの登りで、それも隨分と高くゆっくりと登っていたようで、やっと急な坂になるようです。一回転くらい余裕そうです。
斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪女を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】
【書籍化、コミカライズ情報】 第一巻、2021/09/18発売 第二巻、2022/02/10発売 第三巻、2022/06/20発売 コミカライズは2022/08/01に第一巻発売決定! 異母妹を虐げたことで斷罪された公爵令嬢のクラウディア。 地位も婚約者も妹に奪われた挙げ句、修道院送りとなった道中で襲われ、娼館へ行き著く。 だが娼館で人生を學び、全ては妹によって仕組まれていたと気付き――。 本當の悪女は誰? きまぐれな神様の力で逆行したクラウディアは誓いを立てる。 娼館で學んだ手管を使い、今度は自分が完璧な悪女となって、妹にやり返すと。 けれど彼女は、悪女の本質に気付いていなかった。 悪女どころか周囲からは淑女の見本として尊敬され、唯一彼女の噓を見破った王太子殿下からは興味を持たれることに!? 完璧な悪女を目指した結果溺愛される、見た目はエロいけど根が優しいお嬢様のお話。 誤字脫字のご報告助かります。漢字のひらがな表記については、わざとだったりするので報告の必要はありません。 あらすじ部分の第一章完結しました! 第二章、第三章も完結! 検索は「完璧悪女」を、Twitterでの呟きは「#完璧悪女」をご活用ください。
8 181オーバーロード:前編
未來に存在するVRMMO『ユグドラシル』のサービス終了の日。最強クラスのギルドの一角である『アインズ・ウール・ゴウン』のギルドマスター『モモンガ』は、メンバーと共に作り上げた居城の玉座に、臣下たるNPCたちにかしずかれながら座っていた。たった1人で、もはやいないかつての仲間達を思いながら。 そしてサービスが終わり強制ログアウトが生じるその瞬間、異変が起こった。ログアウトできず、そして何より話すことの出來ないはずのNPC達がまるで生きているかのように忠誠を示しだしたのだ。さらには外の世界は未知の世界。モモンガは混亂しながらも、絶対者(ギルドマスター)として行動を開始する。 これはアンデッドの肉體を得た絶対者たるモモンガが、己の(頭のおかしい)目的のために、異世界を蹂躙していく物語である。 この作品はarcadia様の方でも公開しております。
8 189【完結】「死んでみろ」と言われたので死にました。【書籍化・コミカライズ】
▶9/30角川ビーンズ文庫で書籍版発売しました! ▶コミカライズ、決定しました! 絶望、悲しみのドン底に落とされたナタリー。クソ夫に死んでみろと煽られ、カッと勢いで死んだ…と思ったら!? 同じ失敗はもうしない! ユリウス・ファングレー公爵に嫁いだ伯爵令嬢ナタリー・ペティグリューの逆行劇! ※皆様のおかげで、完結まで書けました…!本當にありがとうございます…!
8 64VRゲームでも身體は動かしたくない。
多種多様な武器とスキルや様々な【稱號】が存在するが、職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全沒入型VRMMO化されることになった。 身體をなるべく動かしたくない、岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム內の親友との會話で落ち著きを取り戻し、今日も<Imperial Of Egg>にログインする。 當作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結し次第、一日一話投稿致します。
8 178骸街SS
ーーこれは復習だ、手段を選ぶ理由は無い。ーー ○概要 "骸街SS(ムクロマチエスエス)"、略して"むくえす"は、歪められた近未來の日本を舞臺として、終わらない少年青年達の悲劇と戦いと成長、それの原動力である苦悩と決斷と復讐心、そしてその向こうにある虛構と現実、それら描かれた作者オリジナル世界観ダークファンタジーです。 ※小説としては処女作なので、もしも設定の矛盾や面白さの不足などを発見しても、どうか溫かい目で見てください。設定の矛盾やアドバイスなどがあれば、コメント欄で教えていただけると嬉しいです。 ※なろう・アルファポリスでも投稿しています! ○あらすじ それは日本から三権分立が廃止された2005年から150年後の話。政府や日本國軍に対する復讐を「生きる意味」と考える少年・隅川孤白や、人身売買サイトに売られていた記憶喪失の少年・松江織、スラム街に1人彷徨っていたステルス少女・谷川獨歌などの人生を中心としてストーリーが進んでいく、長編パラレルワールドダークファンタジー!
8 55すばらしき竜生!
赤羽クロトは生まれつきの特異體質の性で周囲から天才と呼ばれていた。ある日、周囲の期待に耐え切れず家出をして町の不良と行動を共にするようになる。 毎日が喧嘩の血生臭い生活だったが、クロトはそんな生活に満足し始めていた。その矢先、暴走トラックに惹かれそうになってる少女を助けて死ぬ。 そして神から新しい世界で生きる事を勧められ、クロトは一言こう言った。 「喧嘩強くてタフな種族でお願いします」
8 193