何日か経って、干しと木のをかなりの數をように出來た。待っている間にワーウルフの革鎧と亀みたいなやつの甲羅を使って急所を最低限守れる裝備を作った。

そして俺たちは今、落ちてきた空間から出て下の階層に繋がるし急な坂を降りているところだ。下に繋がるこの場所は、2メートルぐらいの縦幅で余裕があるけど橫幅が50センチぐらいしかなかった。

足場はかなり悪いが蒞戸芽はスイスイと降りている。俺は腕が片方ないので自然魔法で向い風を起こして安全第一で向かっている。

「あとどれくらいで下につくと思う？」

「さぁ？結構降りてきたからあとしじゃないか？」

「確かめられない？」

「自然魔法の風でなんとなくの探査はできるけど出口に敵がいたらこの狹い道で戦わないといけないぞ」

「ん、それは面倒」

そんなことを言いながらも、俺は常に自分たちの前後10メートルを自然魔法の風と、魔法の周りを照らしてるの反で周りを警戒している。

魔法はかなり便利だが、戦闘になると今はあまり使えない。小學校などでやった蟲眼鏡でを集めて、火を起こす実験を応用して攻撃に生かせないか試したが、相手にダメージを與えるためのの量が多すぎて、魔力をほとんど持っていかれてしまった。なので今は索敵と周りを照らす程度しかできない。

「はぁ、結構長いな」

「うん、飽きてきた」

「し休憩するか」

降り始めて數十分が経つのに先が見えない。

魔力も半分よりなくなって、いざという時に魔法が使えなくなると困る。木のを使えば元に戻るが、あれは急時になった時や怪我をした時に使うために、頻繁に使用するのはできるだけ避けたい。

「はい、干しと水」

「ありがと」

そういえば、ここに來てからと水、それと木しか食べてない気がする。栄養的に心配になるがきっとあの木のおかげで大丈夫なんだろう。マジであの木たちには謝と尊敬しかないわ。さすがっす。

「自然魔法って地面も利用できるよね？」

「ああ、それがどうした？」

「それで探索すれば、敵に気づかれないんじゃない？」

「!!その手があったか、今まで風しか使ってなかったから他を考えてなかった」

「ん、抜けてる」

「早速やってみるか」

自然魔法を使い、地面に意識を寄せる。

地面に魔力を通して、今進んでいる方向に魔力を向ける。

(ん？なんだ、なにかいている？)

魔力を流した先の遠くで何かがいているのがわかった。

(だいたい、200メートルぐらいか)

距離をなんとなく摑んで、魔力の度を上げてから流す魔力を増やす。

「…なにか近づいてくるぞ！たぶん魔だ」

「地面の中から？」

「ああ、通した魔力を辿って近づいてくる！」

「戻る？」

「いや、進もう。ここにある程度の魔力を固定して、しの時間ここから魔力が流れるようにするから、前に進んで広い空間に出るまで走る」

「ちなみにどれくらいの距離？」

「さっき魔がいたのが200メートルくらいだからそれ以上だ！」

殘っている魔力の半分をその場に固定して、前に進む。

魔のスピードは俺達が走るのと、だいたい同じくらいだ。

固定した魔力から自分に報がってくる。

固定した魔力から魔まであと100メートル。

自分たちまで75メートル。

「蒞戸芽、し屈め。風で浮きながら移する」

「ん」

相手は地面の中をいているので、スピードは落ちるが移している時に振や音でバレないようにするため、風でで浮きながら移したほうが安全だ。

固定した魔力まで50メートル。

自分たちまで15メートル。

地面を掘りながら進んでいる音が聞こえる。

魔力の報は位置が分かるだけで魔の姿までは、伝わらない。

地面を掘り進める凄まじい音が地面から自分たちのいる空間に響き渡る。

遂に魔とすれ違う。

どうやらバレなかったみたいだ。

魔が通り過ぎてから蒞戸芽とアイコンタクトを取って確認しあう。

「バレなかったみたい？」

「だな、こんな狹いところで戦闘になりなくないからな」

固定した魔力から伝わってくる。

固定した魔力まで０メートル。

固定していた魔力が潰れる。

その瞬間、

ズズズズズズズズッ

重い音が窟の空間の上下左右、全方向から鳴り響き窟が崩壊し始める。

「やばい、全力で逃げるぞ！」

「うん」

俺は木のをし飲み、痛みを伴いながら力と魔力を強制的に回復させる。

「ぐっ、魔法をかける」

そう言って、今自分ができる最大の魔力で追い風をつくる。

走り始める。

じたことのないスピードが出る。

景が一気に通り過ぎる。

窟の壁の窪みや出っ張りは早すぎて目に止まらない。

今まで通ってきた道がどんどん崩れていく。

前は、暗くてほとんど何も見えない。

魔力は移に使っているため、は最低限しか照らさない。

數分か數十分か、必死に走り続けて窟の崩壊が止まる。

「はぁはぁ、ようやく落ち著けるか？」

「ん、さすがに連続で起こりすぎてて疲れた」

蒞戸芽は口調には出てないが、顔を見るとかなり疲れている。俺は力よりも魔力を使い過ぎて枯渇気味になっている。

「ほら、これ飲め」

「わかった」

俺は蒞戸芽にも木のを渡し、お互いに回復する。

「やっぱり痛くてこれ苦手」

「そういうなって、これで俺たちは助かってるんだから」

ーーーザァァァァーーー

「なんだ？遠くから水の音が聞こえる」

「……違う、水がこっちに流れてきてる」

「なんでだ、魔力ではそんな反応なかったのに」

「どうする？」

木ので回復したばかりの魔力を再び無理やり捻り熾す。

「とりあえず、俺が全力で壁をはる。蒞戸芽は俺に木のを壁を作っている間に口にれてくれ」

「わかった」

火魔法で空気を膨張させてしでも、水の到達を遅らせる。

水魔法で薄い氷の層を何枚にも重ねて壁を作る。

自然魔法で後ろで崩れている窟の巖と、その場にある地面を隆起させて支える柱と壁を作る。

「はい」

蒞戸芽から木のを俺の口にれてもらう。

続きを作る。

魔法で超高度ののエネルギーを込めた球を自分の橫に一つ作る。

「木のを!!」

再び木のを飲ませてもらう。

闇魔法で自分に『狂鬼化きょうきか』を付與する。これは全的なステータスを底上げできる魔法だが、強くかけすぎると理がなくなり暴走狀態になってしまう。

「くる!!」

水が到達する。

膨張した空気は水で冷やされて徐々に元に戻っていく。

何層にも重ねた氷の壁は、十數秒耐えたが亀裂がはいってくる。

巖の壁は氷よりは耐えたが水の勢いが強すぎてどんどん削られていく。

「蒞戸芽もう一度を!!」

「いくら何でも連続は危ない！」

「ここで死ぬよりはマシだ!!もうこれしか後がない！」

「……わかった…」

を飲ませてもらう。

が急激な変化によって悲鳴をあげる。

「ぐっ、まだだ」

壁が全て崩れていき、迫りくる水が見える。

回復したばかりの魔力で、水魔法と魔法を行使する。

水魔法で凸凹レンズのような水のを作る。

次に、魔法で自分の橫に作ったのエネルギーの球に働きかける。

水の目掛けて、の球からエネルギーが発される。

水のにのエネルギーが到達する。

凸凹レンズのような水のにエネルギーがあたり、一點にエネルギーが凝されてレーザーが発される。

レーザーは一瞬で迫りくる水に到達して、莫大な熱量とエネルギー量で水を蒸発させていく。

(よし！このままいけば!!)

窟いっぱいに広がったレーザーが水をどんどん蒸発させて押し返してきている。

……ピシッ

俺は狀況がだいぶ良くなって油斷していたので、周りの巖にヒビがり始めていることに気づかない。

「っ!!危ない!!」

ドンッ

「えっ」

蒞戸芽が俺を押す。

ヒビがったところから水が流れ込んでくる。

水が蒞戸芽の背中にあたる。

「蒞戸芽ぇ!!」

蒞戸芽をよく見ると水の當たったところからジュゥゥという音が聞こえる。

「まさかこれは!!」

俺は流れてくるそれに向けて保存用のを投げる。

がゆっくりとだが確実に溶けていってる。

流れ込んでくるそれは強酸だった。

「蒞戸芽離れろ!!」

「ダメ、今離れたらみんな死ぬ」

ワーウルフの革鎧のおかげで直接蒞戸芽に害はないがいずれ革鎧もすべて溶かされる。

(くっ、どうすれば！)

ビキィッ

窟の壁が一気に崩れて、俺たちは強酸に飲み込まれる。

(クソッ、一か八かだ!!)

木ののった袋を口にくわえる。

蒞戸芽の著ていた革鎧を破り捨て、蒞戸芽に抱きつく。

俺は発しっ放しだったレーザーを止め、レーザーに余ったエネルギーでぎりぎりくっついたふたりを覆えるサイズのバリアをつくる。

(何とか、耐えてくれ!!)

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