エウテルペから力を貰い、灰利のには人間の腕に龍の鱗がついたような腕になっていた。その腕は、人間の腕と同じサイズだが龍の膂力を持ち、黒曜石のような黒い鱗が肘から手の先まで綺麗に並んで生えている。

「腕、どう？」

「違和はない、だが余り自分のモノという覚がない。新しくつけられた何かをかしているみたいだ」

「義手みたいな？」

「それに近いと思う」

腕が新しく生えたのは良かったが、まだ腕とが馴染みきっていない。

「たぶん、これから使ううちに慣れていくだろう」

「ちょっと待って、手にれた新しいスキルで治るかも？」

「そう言えば、どんなスキルなんだ？」

「『魔力混一』のスキル。魔力の流れを見ることが出來て、ぶつかったりまったく別のものに魔力を混ぜたりして、一つの魔法にしたり一時的に魔法をに付與したりすることができるみたい」

「それはすごいな、魔法主の俺としては羨ましいスキルだ」

このスキルは、かなり強い。火、水、自然、、闇、どの魔法も合させて使うには、繊細な魔力作と魔力の調整が必要になる。しかし、『魔力混一』のスキルさえあれば相反する魔法と、闇魔法の混合魔法を使えるようになる。そのうえ、スキルのおかげで魔力を調整せずに魔法を混ぜれるので、他の魔法を使えるようになる。

「これを腕とに使って、馴染ませていく」

「信用してない訳では無いけど……俺のはそれを使っても大丈夫なんだよな？」

「大丈夫だと思う？」

「なんか、語尾に？がついていた気がするんだが！」

「気のせい」

「わかった、わかった、それじゃあお願いするよ。お前のことだ、俺に余計な気回しとかしてミスるなよ」

「ん！」

穂澄の元気な返事を聞き、俺はしの覚悟を決める。いくら力があったり、魔法が使えたりするからといって、を弄られるのは怖いのだ。

「よし、始めてくれ」

「安心してまってて」

穂澄の手が俺の龍の腕に、添えられる。長いしこれからは『龍腕りゅうわん』と言おう。

穂澄がスキル『魔力混一』を使う。

穂澄は、龍腕に宿っている龍の魔力を俺の中の魔力と混ぜて、まったく新しい一つの魔力を作り出そうとしている。

俺の魔力が、かされる。自分で魔力を使う時にかすのと、他人に自分の魔力をかされるのでは覚が違う。

(なんか、むずいな。それに変なじだ)

穂澄は慣れてきたみたいで、俺の中の魔力を俺の上半の中で循環させる。

ある程度、魔力が作できてきたら次に、龍腕の魔力を循環せさようと、穂澄の意識が移する。

龍腕の魔力に、『魔力混一』を使う。

魔力がかされる覚はない。

「どうしたんだ？」

「この魔力、とんでもないジャジャ馬…」

穂澄の様子を見る限り、スキルを使っても魔力が暴れ回るような覚で、上手く制できないようだ。

何回か龍腕の魔力を、しずつかそうと挑戦してるうちに、コツが摑めてきたみたいで、魔力のかしかたが、大きくなっていく。

「もうちょい」

(やっぱり、馴染んでないと言っても、既に俺の腕なんだし、変な覚がする。むしろ、俺と違う魔力を俺の中でかされるから、最初の時と比べられないぐらい、変なじがする。正直いって、かなりやばい)

そんなふうに思っているうちに、龍腕の魔力を循環させることに功したようだ。

「あとは、この二つをしずつ近づけて、混ぜてくだけ」

俺の中にある二つの魔力が、龍腕と左肩の部分で混じりあっていく。時々、二つの魔力がぶつかり離れてはくっつきを繰り返している。

俺の中の魔力が、完全に龍の魔力と混ざり始める。

龍の魔力が、俺の魔力に似てくる。

俺の魔力と龍の魔力、二つが合わさった魔力が遂には、俺のに馴染む最適な質になり、の方にも魔力が馴染んでいく。

(弄れている時はむずいけど、馴染んでいくと気持ちがいいな)

穂澄が脂汗を浮かべながら、どんどん馴染ませてゆく。

「……もう、し」

なんだか、嬉しくなってくるな。俺のために一生懸命になっている、の子がいるってのは。そしてそれが、最高の人である穂澄なのだから。

今までじたことのない魔力が、にっていく。

(これが龍の魔力か、凄まじいな)

龍の魔力が、腕から肩、、腹、足の順で馴染み渡る。

「はい、今日のところはこれで終わり」

「え、」

せっかく、魔力が馴染んできて心地よかったのに、なんでだ？

「いっきにかしすぎて、龍の魔力が暴れそう」

「そうなのか」

「ん、灰利の魔力はいいじだけど」

「なら仕方ないな」

「毎日しずつ、調整していく」

まあ、毎日こんな気持ちになれるならいいかな。

よし、だいぶ良くなったし魔力を使ってみるか。

俺は魔力を熾し、魔法を使おうと外に魔力を放出させようとする。が、出てきた瞬間魔力が弾けて散ってしまう。何度か試してみるけどうまくいかない。

「ありゃ？」

「たぶん、混ざりきってない魔力がぶつかってる」

「つまり俺はこれから數日間、魔力を魔法を使えないってことか？」

「そう」

俺は地に膝をつき、ショックをける。

だって、魔法主の俺から魔法を奪ったら何もできないよ。人ができて、その當日のうちからヒモとか、けなさすぎるだろ。

「しずつ」

「はあ、そうだよな。魔力が馴染むまで腕をかして、違和なくかせるようにしよう」

「そう言えば、灰利のスキルは？」

「言ってなかったな、俺のスキルは『魔力纏燐まりょくてんりん』だな」

「どんなスキル？」

「シンプルで、魔力を纏う。纏った魔力は、自分のから離れない限り自由に扱える」

今すぐ使いたいけど、無理だしな。

単純スキルだとは思うが、考え方と練習次第でいろいろ応用ができそうなスキルだ。例えば、魔力を纏った狀態で魔力を圧して裝甲にするのもありだ。相手の魔法が當たる前に、纏った魔力を変質させ無効化するのもありだ。etc……

思考に耽っているうちに、腹が減る。

「それじゃあ、今日はここら辺で飯にして寢るか」

「ん、また同じ布団」

「殘念ながらそれは無理だな。布団自がないから」

「あ…」

その後、を食べてから、二人で橫に並んで寢た。

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