《ガチャで死したら異世界転移しました》冒険者學校 ⑨.5 傲慢
「んー・・・どれもこれも、ぱっとしないしかないわね」
「主殿からの命は、金を稼ぐことだぞ、メア。急に墮落し変質した天の使いたちフォールン・エンジェルズの様な大を討伐して主殿に褒めてもらうというのもいいが、生憎、普通この世界にはいても中級のドラゴンくらいだ。過度な期待をするな」
メアと紅華は、ギルドのクエストボードで用紙たちをにらめっこをしていた。
ルーナとサラ、そして二柱の悪魔は、そんな二人を椅子に座って遠巻きに眺めていた。
「・・・二人、遅いですね。別に依頼は何でもいいというのに」
「で、でも、強い敵を倒せば、主様に褒めて貰えるかもしれないんですよ?」
「それはそうですが・・・それよりも、今は數をこなしてより多くの報酬金を得るべきたと思うんですがね・・・ん?」
ルーナの目線の先では、二人の男冒険者が、メアと紅華に何やら話しかけているようだ。
「なぁなぁ、可いお二人さん。見たじ、どの依頼をけようか悩んでるのかな?」
「なんなら、俺達が良いもの見繕ってやるぜ?」
「はぁ・・・ほら、早く決めないからああいう事になる」
そう言いながら機に突っ伏すルーナ。
「は?誰ですかあなた方は、手助けとか要らないので、どこかに行ってくれます?」
直ぐにメアが男を睨みつけながら言い返した。
「な、なんだぁ?」
「どっか行けだァ?この、ちょっと調子乗ってんじゃねぇのか?新りのくせしてよォ!」
「おいメア。そういった行はしないようにと、主殿から言われただろう」
「あ、そうでした・・・ゴホン、ええっと・・・わ、私、初心者だからよく分かりませーん」
レインに言われたことを思い出したメアが必死に弁解しようとするが・・・
「もうおせーよ。ちょっと顔がいいから俺達が下手に出てやったってのによぉ?」
「ちょっとちょっと紅華!あなた仮にもギルドマスターでしょ?職員とか呼んで、何とかしなさいよ!」
どんどんヒートアップする男に、メアは紅華に小さな聲で助けを求める。
「はぁ、メア。お前はもっと考えて行すべきだぞ」
ため息をつく紅華が、一歩前に出る。
「あ?なんだ?今頃びたっておせーぞ」
「何を言っている?私を知らんとは、冒険者失格だな。私はここスラグディア支部のギルドマスターだ。そのペンダントを沒収されたくなかったら、今すぐここを立ち去るんだな」
そう言って二人が首から下げた銀のプレートを指さす。
「はっ!つくんだったらもっとましな噓をつくんだな!」
だがしかし、冒険者にはほども効いていないようだった。
「なっ!?」
「ねぇ紅華!そう言ってあなたも全然ダメじゃないの!どうするのよ、ここで騒ぎを起こしなんかしたら、依頼もけられないし、何より主様にまた怒られるわよ!?」
「くっ!」
「安心しな、いたぶった後は、じっくりと可がってやるからよぉ」
「「ギャハハハハ!!」」
何が面白いのか、男二人は狂ったように笑う。
そして男の一人がメアの肩に手をばそうとする・・・
「貴様等、その辺にしてもらおうか」
その手を橫から摑み、そう言い放ったのは、【傲慢】であった。
「あぁ?なんだぁ?」
「なんだぁ?お前は」
【傲慢】は突き刺さる視線をともせず、メア達の方を向く。
「二人とも、依頼はまだ決まらないのですか?」
「えぇ、まぁ」
「そうですか・・・」
【傲慢】は男の手を摑んでいない方の手でボードから一枚用紙を取り、メアに渡す。
「ではこれでいいでしょう。カウンターへ行って依頼をけてきてください」
「でも、そんな適當に・・・」
「大丈夫です。先程から見て・・いましたが、この依頼が一番効率、報酬金共に最適でしょうから」
【傲慢】は笑顔で返す。
「あら、そうですか。なら直ぐにでも行きましょう、紅華」
「分かった」
メアと紅華がカウンターへと向かったのを見屆けた【傲慢】は、やっと摑んだままの手を離した。
「・・・ちっ!おいおい、邪魔してくれたなァ」
「全くだ、おい。お前、プレートすらねぇ奴がいきがってんじゃねぇぞ?」
獲を逃してしまったと、二人の冒険者は【傲慢】にガンをつける。
「邪魔をしてくれた、だと?それはこちらの臺詞だ。折角サラ様を見守っていたのに・・・・・・・・・・・それに、今このやり取りのせいで、主から承った命の遂行も、しばかりの遅延が発生してしまった。さて、この落とし前、どうやって付けようものか──ゴミ共」
【傲慢】は抑えていたを解放し、目の前のふたりと共に一瞬で転移・・した。
「え?・・・ど、どこだここ・・・?」
「お、おい。何をした!?元の場所へ戻せ!」
流石に自の危機を悟った二人は、やっと慌てふためき出す。
「案ずるな、ここは先程の場所・・・・・とは時間の進み方が違う。何分、いや何年経とうとも、向こうでは1秒たりとも進んではいない。それどころか、ここで起きた事は全て無かった事・・・・・になるだろう」
「ひっ!」
男達は【傲慢】の凍てつくような目を見、戦慄する。
「な、何なんだお前は!?」
「こ、こんなの有り得ねぇだろ!こんなのお前、人間じゃないぞ!」
いや、正確に言うと、本來なら【傲慢】ですら、別の世界への転移・・・・・・・・など出來ない。しかし、【傲慢】はそれを可能とする。
全てを自分の思うがままにする・・・・・・・・・・・・・・、彼ならば。
「當たり前だ、こんなこと出來るのは、世でも、我が主くらいだろう。だが殘念だったな───私は【傲慢】なのだよ」
【傲慢】は元の姿に戻る・・・・・・。
全てに理不盡を振りかざす、彼本來の姿に。
「ひぃぃぃい!!」
「なんなんだよぉぉぉ!!」
大の男二人は、レイン達に向けるあの優しげな表など欠片も無い【傲慢】を前に、ただ悲鳴をあげることしか出來ないのだった。
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