《ガチャで死したら異世界転移しました》冒険者學校 ⑪ 特訓最終日
(やってみると、三日って言っても直ぐに過ぎるんだなー)
「はぁ!」
ハウルド家とアリサの決闘が明日に迫り、特訓最終日の最中、レインはアリサが全力で繰り出す數々の攻撃を、危なげなく正に軽々と躱し続けていた。
この日は學校が休みだったのもあり、初日と同じく學校の闘技場を借りて、朝からこうして特訓している。
「うんうん。初日から較べて隨分と速く・・なりましたね」
レインは呟き、自分の思っていたとおりだったと確信する。
(やっぱりこの世界でも、強くなるには闘う・・のが一番なのだろうね)
「はっ!」
アリサが渾の力で振り抜いた橫毆りの剣を、レインは左手に持つ木刀でけ流す。
「はい、一旦休憩」
「・・・また、いとも簡単に止められてしまいましたね」
そう言うアリサだが、その表は逆に清々しいもので、あまり気にしていないようだ。それもそうだろう、この三日の間で、軽く數百回は同じことが起こっているのだ。開き直らなければやっていられないだろう。
「さっきの距離の詰め方だと、初段を敵に躱された時に対処しにくいので、あまり良い手では無いですよ」
「あれでもダメなのですか・・・」
「その辺の冒険者やモンスターには通じると思いますが、一定以上の実力があればダメです。例えば、カイルとか?」
「勇者様を引き合いに出されてしまったら何も言えないのですが・・・分かりました。晝食の間にまた考えます」
アリサが客席に上がり休憩するのを確認したレインは、ネルとレイを擔當しているイグラッドの様子を見に行くことにした。
「どう?果は」
「うむ。二人共に素質は確かなようでな、中々に長しているぞ。後は、前衛の敵を一人で相手取る場合にどうするか、だな」
翌日の決闘でレインが一番危懼しているのがそれである。ネルとレイは二人とも魔師であり、前衛で戦う能力が無いのだ。運良く相手が同じく魔師であったならこちらのものだが、ばりばりの接近理系だとどうしても勝機が薄い。
「そういった場合に使える魔法もあるにはあるけど、今使えるようになったとしても、実際の戦略に組み込める訳じゃないからな・・・」
「二人には悪いが、一応覚悟はさせておくべきだな」
「だね。まぁアリサと僕らで勝てばいいわけだしさ。何より、負ける事は悪いことじゃないから」
ゲームでは負けなどありえないと思っていたレインだが、何度負けても、何故負けたのか考え、次に活かしてくるアリサを見ていて、それを改めていた。
「そうだな。負ける事は悪いことじゃない、か。いいことを言うではないか」
「はは。でも、勝つに越したことはないけどね」
「うむ、それもそうだな。・・・では、こちらもそろそろ休憩としよう。二人とも、食事でも済ませて來るといい」
二人が一目散にアリサの所へ向かった後、イグラッドがふと提案する。
「どうだ、お互い暇なのだし、明日に備えてというのも兼ねて、一度手合わせでもしてみるか?」
「あぁ・・・うん、いいよ。アリサ達にも、いい勉強になるだろうしね」
(よく考えたら、イグラッドと初めてあった時も決著は著いてなかったからな)
「ほう。お主の事であるから、斷るだろうと思っていたが。よし、ではやるか!」
上機嫌になったイグラッドは、近くにあった武立てから細の鉄剣を持ち、レインから距離をとる。
「やるのはいいけど、あんまり全力はダメだよ?」
「ふっ・・・前にも言ったが、加減は私の得意とする所だっ!」
瞬間、イグラッドの姿が消え、遅れてレインの目の前に現れる。
「はっ!」
レインは迫ってくる橫毆りの斬撃を木刀でけ流し、逆に振り返した。
イグラッドはそれを飛び退いて躱すが
「甘いね!」
「なっ!?」
合わせたように距離を詰めたレインの木刀が一閃する。
「ぐっ!」
剣の腹で防したイグラッドだが、その勢いまでは相殺できず吹き飛ばされた。
「我がに換われ・・・【の群衆クラウド・オブ・シャドウ】」
レインは小さく唱え、イグラッドに向かって駆ける。
勢を立て直したイグラッドは、困していた。いざ前を見るとそこには、本來一人であるはずの相手が、なくとも十以上になって向かってきているのだから。
(グレスティアめ、私に手加減しろと言っておきながら・・・これでも手加減している、ということか・・・)
「ではこちらも・・・【永遠溶けぬ極寒の牢獄フリッヂドプリズン・ネバーメルト】!」
イグラッドの魔法によって、一瞬にして場の溫度が凍える程にまで下がる。それと同時に、迫ってきていたレインの分が全て巨大な氷漬けになり、消えた。
「・・・っ!後ろか!」
瞬間、【匿】で姿を消していた本の・・・レインがイグラッドの背後で出現した。
「【の群衆クラウド・オブ・シャドウ】、我がを還せ」
そして何か呟くと、一瞬姿がぶれ・・、そのまま切りかかってくる。
二人はそのまま、二合三合・・・と切り結ぶ。
(おかしい・・・先ほどより力が弱いだと・・・?)
「っ!?まさか!!」
イグラッドが勘付いた時には、もう遅かった。今さっき切り合っていたレインは、役目を終えたかのように素直にイグラッドに切り伏せられ、消える。
そして、氷塊を挾んだ反対側に、真紅の魔法陣が生された。
それは更に輝きを増していき、魔法が完した事を報せる。
イグラッドは、自分がそれを躱せないことを悟り、両手をあげる。
「まさか幻影がまだ居たとは・・・參った、降參だ」
イグラッドがそう宣言したのを聞き、レインは完したばかりの魔法陣を組み解いた。
魔法陣は割れ、構していた魔力は魔素となって空気中に消え、魔法は無かったこと・・・・・・になった。
「あれ?まだもう一匹殘ってたんだけどな・・・まぁいいや」
そんなレインの呟きは、イグラッドには聞こえていなかったようだ。
彼は鉄剣を武立てに戻し、レインの元へと歩いてきた。
「・・・ふぅ。やはり強いな、グレスティアよ。勝負こそ間もなく著いたが・・・正直、手も足も出なかったぞ。まさか幻影を全て私に向かって來させずに、後方でお主の代わりに詠唱させていたとは」
「これでも、1対1だったらずっと勉強して極めていたつもりだからね。まぁそのおかげで一度も負けたこと無かったんだけど」
「ほう、それは誇るべき偉業だな。しかし、私とて竜族の間では無敗であったぞ」
最強である竜王の娘なのだから、別に普通では?とも思うレインだが、口には出さなかった。
(最強の子が最強とは限らないしね)
「さて、あの三人から見てどうだったか、聞きに行くとするか」
「うん。なんかこっちガン見してるし、流石に、見てませんでしたは無いだろうからね」
そして、レインとイグラッドは客席に登り、アリサ達の前まで歩く。
「・・・で、どうでしたかね?」
「・・・・・・あっえっと・・・はい。す、凄かった、です」
「・・・逆に參考にならないというか」
「・・・あれを參考にしろと言われても無理だ」
(・・・とても勉強になったようで僕も嬉しいよ・・・)
「ふむ・・・流石にあのレベルでも見て學ぶのは早すぎたようだな」
「取り敢えず、僕も休憩するので、午後はし経ってから始めましょうか」
「「「はい・・・」」」
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