《ガチャで死したら異世界転移しました》冒険者學校 ⑲ 拐
「お疲れ様です、グレスティアさん」
レインが控え室に戻ると、若干頬を赤く染めたアリサが出迎えた。
「うん、おつかれ。これで晴れて、妹さんを探すことが出來ますね」
レインは持っていた木刀を【アイテムボックス】に戻しながらそれに答える。
レイがそれを見てギョッとしていたが、【指ジュエル】を取り出した時も見ていた筈なので、レインは特に何も言わなかった。
「えぇ、そうですね。でも、未だ明確な場所が分かっていませんし・・・どうしたらいいのでしょう…」
アリサが俯きそうになった時、突然控え室のドアが叩かれた。
丁度近くにいたネルが扉を開け相手とし會話した後、部屋へ戻ってきた。
「アリサ様。この2人が、話したいことがある、と」
ネルに促されてってきたのは、リエナ・レヴィアと、先程イグラッドがボコボコにした男であった。既に魔法で回復はしてあるようだが。
「ああっレヴィアさん、先程の試合はありがとうございました。お、お怪我などしていませんか?」
アリサがレヴィアに気付くと、焦ったように言った。
「いえ、自分でも不思議なんだけど、特にこれと言った負傷は無いの。心配してくれてありがとう」
(なんか雰囲気が違うな・・・)
レインは戦っている最中のレヴィアと今のレヴィアに違和を抱く。
「まぁそう思うよね。私、剣を握るとなんというか…格が変わるってよく言われるんだよ」
「「「・・・?」」」
レヴィアは不意に、そんなことを言った。
レイン達がぽかんとしていると、レヴィアはまたやっちゃった、とでも言うような顔をする。隣の男もやれやれと眉間に手を當てた。
(ていうか今、僕が思ったこと・・・・・に返事しなかったか?)
「あぁ、済まない気にしないでくれ。こいつはしばかり特殊なスキルを持っていてな・・・」
男が早口で弁解する。
「【読心】という、相手が思ったことを普段の會話のように聞くことが出來てしまうスキルの効果でね。私も普段から、無闇に使用しないように気をつけてはいるんだけど・・・」
そう言って2人は頭を下げる。
それを見たアリサが慌てて止めさせていた。
(【読心】ね…使い方によっては最強のスキルなのではないか?)
レインは、レヴィア=要注意、と心に留めておくことにした。
「・・・それで、用というのは?」
レイの一言で場は再び真面目なものへと戻る。
「そうでした。話というのは・・・」
レヴィアは部屋の面々を確認すると、ひとつ頷き話し出した。
「単刀直に聞くよ。グレスティアさん、君は【名欠けネイムレス】を探しているのかい?」
「!?」
帽子のつばを弄っていたレインがきを止めたのを見、レヴィアはやはりと確信する。
「・・・えっと、その【名欠けネイムレス】って言うのは・・・?」
アリサが手を挙げ質問する。
「あぁ多分グレスティア君しか分かんないかな? えっと、【名欠けネイムレス】は、簡単に言うと・・・敵のボスみたいな?」
レヴィアは文字通り・・・・簡単に答える。が、レインが名前に反応するという事は、強いのだろうという事は分かったらしいアリサは、それ以上聞くことは無かった。
「・・・それで、【名欠けネイムレス】を探しているって言うのは、どういう事?」
「ん?お前さん、國王のおっさんから冒険者學校の調査頼まれたんだろ?別に調査隊も付けるって、言われてねーのか」
レインの質問に、今度はレヴィアの隣の男が答える。
「そういえば言われてたかも。僕は特に何もしなくていいとは言われてたから、気にしてなかったな」
悪びれず言うレインに、男は、マジかよ・・・と呟いた。
「兎に角、冒険者學校の不穏なきの原因は【名欠けネイムレス】なの。奴は私達だけの手には負えない。グレスティア君さえ良ければ、討伐の協力をお願いしたいわ。何なら、依頼という事でもいいけど」
レヴィアの申し出に、レインは悩む。
(【名欠けネイムレス】か・・・本當に僕が知ってる奴の事なら倒せ…はするだろうけど・・・)
「そいつが居る場所は分かってる?」
とレイン。
「えぇ、つい先程奴の塒らしきものが見つかった。場所は、冒険者學校。その地下に広がる、広大な地下窟よ」
レヴィアがそう宣言した直後、【傲慢】とレインに【神経応テレパシー】が繋がった。
『はいはい主です。何?』
『以前から捜索していた、リエナ・ディア・レクウェルなのですが、先程居場所がわかったようです』
『ほぉ、場所は?』
『はい。ルーナ様が探知系魔法を使用したところ、主の通う冒険者學校の地下にある窟、その最奧部にて反応があったそうです』
『あー…了解。じゃあメアに言って一度僕の所に転移してきて貰えるかな?詳しくは著いてから話す』
『承りました。では───』
【傲慢】との通信が終わったレインは、一つ息を吐きレヴィアに答える。
「僕も丁度同じ場所に用事が出來たから、協力するよ」
「それは本當に助かるわ!」
「あぁ、ありがてぇ限りだ」
レインの協力を得られたレヴィア達は上機嫌に何か話している。
そんな中ふと、イグラッドがレインに耳打ちしてきた。
「グレスティアよ。討伐の協力というのはその・・・彼奴も來るのか?」
「彼奴って…あぁ、メアの事?」
頷くイグラッドに、普通に來るだろうと伝えると、「そうか・・・」とし項垂れていた。
「取り敢えず、これでアリサさんがハウルド家に縛られる必要はなくなった訳ですが、貴族間のあーだこーだはそちらでお願いしますね」
「あ、はい。と言っても、決闘をける條件として、私達が勝利した場合には、ハウルド家は今後一切レクウェル家に関與しないというものだったので、特に何かをしないといけないということは無いですが」
両親が勢いで決めてしまったんですよ、とはにかんで言うアリサ。
「あ! そうだった。もうひとつ、アリサさんに聞きたいことがあったんだ」
手をぽんと鳴らしたレヴィアがアリサを見て言う。
「アリサさんは、ハウルド家の現當主に會ったことはある?」
アリサは首を傾げ考える。
「えっと・・・無い、ですね。この決闘もハウルド家から両親宛に書狀が屆いたのがきっかけで、條件や日時も全て書面上で決められましたし」
アリサの話にレヴィアは、「やっぱりそうか、でも・・・」と呟き考え込む。
し経った後、レヴィアはおもむろに話し始める。
「私達【零落の兇弾】がこの決闘に出るよう依頼された時、私はハウルド家現當主に裏に・・・・直接・・依頼されたの。それもこれ以上ない程のもてなしをされたわ」
なんだ自慢か?と思ったレインだが、直ぐにそうではないと気付く。
(確かに、決闘という特別な催しの話をするのにさえ手紙で済ませていたのに、冒険者に依頼をするだけの事に、何故直に接する必要があったのか・・・)
場合によっては、國の定める法よりも強力な條件が提示される事もあるのが決闘というものである。
それに対し、その決闘に出てくれと冒険者に依頼するのは、別にこの世界では珍しいことでは無いし普通の事である。
では何故、屆けられる過程で何があるかわからない手紙に、云わば機事項を記す様な人間が、ただの依頼を裏に行ったのか。
「そもそも、私はこの決闘が何の為に行われているのか全く知らないの。良かったら聞かせてくれないかな?」
アリサがレヴィアに事の経緯を話すと、レヴィアは眉を細める。
「2年前の貸しを今頃返せと・・・?彼はそういう人には見えなかったけど・・・」
「・・・まずそれらは本當に同一人なのか?」
靜まり返る部屋の中、落ち込みから回復したイグラッドがぽつりと零した。
「あ、そうか・・・片方は本人には會ってないんだから、その二つが同じ人間とは限らないのか! つまり──」
ハッとしたレヴィアが話を続けようとした瞬間──
「おんやぁ?1人攫いにこよーと思ってたら、これはまた獲大量だこと。ははっ、こりゃ旦那にいい土産になりそうだなァ」
「何を言ってるの暗男、集まったとこを狙ったんだから大量に決まってるでしょう?」
謎の二人組が現れ、部屋にいた誰もの視界が暗黒に染まった─────
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